~「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」
大手新聞社の社会部記者に宛てて届いた一通の手紙。
そこには、首都圏全域を震撼させる無差別連続殺人に関して
犯人しか知り得ないであろう犯行の様子が詳述されていた。
送り主は「ワクチン」と名乗ったうえで、記者に対して紙上での公開討論を要求する。
「おれの殺人を言葉で止めてみろ」。
連続殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。
果たして、絶対の自信を持つ犯人の目的は―
劇場型犯罪と報道の行方を圧倒的なディテールで描出した、第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
以上はアマゾンよりお借りした内容紹介です。
登場する新聞社、太陽新聞・・・これって絶対朝日やん!(笑)
ほぼそのまんまですもんね。
言葉の応酬で繰り返される公開討論は、少々観念的な部分もありますが
後半に向けての熱く静かな助走といった所でしょうか。。
事件と関係なさそうな陽一郎クンのモノローグが何度も入りますが、
どんな風に事件とからんでくるのかと思いつつ後半に入るや・・急展開。
二転三転しつつ、ラスト数ページで、またもや驚きの事実が・・上手いもんですね~。。
登場人物が少ないので、消去法でいくと、まさかと思いながら彼が犯人だろな・・と
想像はつくのですが、それでもドンデン返しは綺麗に決まっていて
おおー!ってなりますよ!
タイトルの「だから殺せなかった」
これいいです^^
そっか~だから殺せなかったのか・・・とすべての読み手の腑に落ちます。
殺さなかった、じゃなく、殺せなかった。
犯人の心情が辛く重い一文字です。
新人作家さんですが、次回作もぜひ読んでみたいものですね。
ちなみに、一本木透というペンネームは主人公の新聞記者の名前でもあります。
こういうお遊びというかセンスも好きやなあ。。
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