ゆうくんちの日常

ショウガイジの居る家庭の日常をありのままに。

裕母の見解。

2005年01月31日 | ライ症候群に関して
やはり、マンガの影響とは大きいもので「ライ症候群についての見解」を求められたり薬についての質問を受けたりすることが多くなった。
どうして薬害なのに闘わないのか?という批判も含めて。
一番多いのが「インフルエンザ脳症=ライ症候群というのは本当ですか?」という質問。これについてはブログに書いてあるので読んでもらえてれば…と思うのだが、私の書き方が悪いのか理解されていないようだ。「またかよ…」と思われる方もいらっしゃると思うが、再度記しておきたい。

【私の考え方】ということを念頭に置いて頂きたいのだが、私は「インフルエンザ脳症=ライ症候群」と断定するのは如何なものか?と思っている。
繰り返しになるが、ライ症候群を薬害と疑っている見識者が「インフルエンザ脳症=ライ症候群」と断定してしまったところが、この混乱を招いている。原因不明(薬を服用していない場合など)でインフルエンザ脳症になったコドモは確実に存在する。薬を服用しておらず、原因不明でライ症候群と診断されたコドモも存在する。

インフルエンザ脳症とライ症候群の大きな違いは肝臓の生体検査で明らかになる。ライ症候群の場合は、肝臓に脂肪肝が認められるのだ。緊急に血液検査だけで診断すると、劇症肝炎と間違われることもある。ユウヤの場合も症状が劇症肝炎と酷似しており、最初はその可能性も示唆された。しかし、脳浮腫が進んでいて肝臓と同時進行で悪化を辿る状態は、恐らくライ症候群であろうという当時の主治医の見解の元に治療を開始した。肝生検は発症直後にやらなくてはあまり意味がないとのことだったが、その時は命を救うことの方が先決で、ユウヤが肝生検をしたのは暫く経ってからだった。それでも「確定は出来ないが恐らくライ症候群であっただろう」という診断に落ち着いた。解熱剤を服用していたのも大きな目安の一つとなったと言ってもいい。

それからもうひとつ、私の世間を斜めから見ている部分だと思うが、この事ももう一度書いておこうと思う。
2~3年前、急に「ライ症候群」という名前が姿を消した時期がある。その時に「ライ症候群=インフルエンザ脳症」(敢えて逆)だと【どこかが、誰かが】操作しているのではないかと、私は疑っていた。この辺も当時書き記していたはずだ。「ライ症候群は薬害」だと感じ始めていた【どこかが、誰かが】薬害を認める訳にはいかないと病名そのものを消し去ろうとしたのではないかと感じたのだ。「インフルエンザ脳症」と言えばイメージ的に薬害からは遠ざかるという安直な考えだったのではないだろうか?あながち間違いじゃないんでは?と今も思っている。

マンガについては「プロパガンダである」ということが書かれているブログやサイトもいくつか目にした。私が「振り回されている人」と紹介されてもいた。
ん、何かを世間に知らしめるという意味では役目を果たしたのだろうと私も思っている。が、はっきり言って私は「マンガを読んで振り回されている人に振り回されている」のだ。自分の中ではユウヤのことについては決着を付けているし、これからのことも冷静に見守っていこうと思っている。それ以上でもそれ以下でもない。

薬害と思っていて何で闘わないか?についても、私は闘う種類を薬害に限定しなかったとしか言えない。
告発した人、裁判をおこした人をどうこう思っている訳でもない。やり方や方向性が違うだけで、気持ちは同じだと思うから。そういう人達から「協力して欲しい」と言われて、ユウヤが解熱剤を服用した時の処方箋を薬局からコピーしてもらい、間違いのない資料として提出したこともある。症例に載っているのも協力していることになるんじゃないだろうか?

ショウガイジが周りに居ない人達にとってはピンと来ない話かもしれないが、彼等を取り巻く環境はまだまだ厳しいことが多い。
障がいの程度に関わらず、親達は我が子の環境を少しでも過ごしやすくするために日々考え、動いている。「目の前のこと」でも問題は山積みだが、これが「近い将来」になるともっと問題は深刻になる。私は、こちら側の問題に尽力したい。それが私の闘い方だ。

薬については、私は医療従事者ではないので個別にお答え出来ない。ユウヤの場合はどうしているか?であれば話すことは出来るが、それが誰にも当てはまることではないのは判って頂けるだろう。薬のことが知りたい場合は、私何かよりも、薬について詳しく書いてあるサイトを検索するとか、本を読んだ方がためになると思う。私も実際そうしている。自分で調べて、その上で主治医と話し合いをしている。
薬に安易に頼らないことも大事だが、ただ薬を恐れるだけで飲んだり飲まなかったりすれば、必要な時にきちんと服用することで完治する病気も治らないのではないかと思う。気にかかることや疑いがあるのなら、その場で医師と話し合うのが一番良い方法だと思う。話し合いをしないで一方的に医師を敵対したり、自分の素人判断で薬を悪者にしてしまうのは、どうかなぁと思うのだ。

ユウヤは日常的に十種類程度の薬を服用している。副作用も判っていてのことだ。てんかんや筋緊張を抑えるためには必要な薬ばかり。中には副作用を抑えるための薬も含まれる。何をどう選んで決定するかは、医師の判断によるのがフツーだが、ショウガイジの親はその決定権も任されることが多い。これは医師との信頼関係のもとだが、結構辛い作業である。特に私のように薬で我が子の人生を変えてしまった者にとっては。

これで一通りのことは書けただろうか?
当時のことを思い出すのは、本当にキツイ。また痩せちゃったんじゃないかしらん(笑)。もう同じ事を何度も書かなくていいように、この記事は特に大事にしよう。

++関連記事++

*週刊少年マガジン『クニミツの政』
*『クニミツの政』記事→取材依頼
*『クニミツの政』をきっかけに…【早速追記】

2005.1.31追記

『クニミツの政』をきっかけに…【早速追記】

2005年01月20日 | ライ症候群に関して
通りすがりという匿名さんから、うちのブログをよそのブログのコメント欄でリンクされている以上、責任持って書いておかなくてはいけないことがある。
そして『クニミツの政』に関しては、もうこれで書くのは終わりにするつもりだ。

「解熱剤の使い方次第で脳症になる」という事実を、世間により大きく広めたという事では、このマンガの意味はあったと思う。

●簡単に解熱剤を処方する医師、多剤投与に疑問を抱かない医師と患者・家族、被害者が多く存在するという事実を知っていながら黙認していた厚生労働省。

●解熱剤を服用していないのに、インフルエンザ脳症となり、残念ながら亡くなったコドモ、障がいを残したコドモ、幸いにも後遺症を残さなかったコドモの症例があるという事実、人数についてはっきりと明記していない『クニミツの政』。


以上については、【問題アリ】ということで深くは触れない。(前の記事でも触れていることである。)

慶応大学病院の近藤誠医師の発言で「インフルエンザにかかったら脳症になる危険性があり ひどい時には死んだりするかもしれないと思う人もいるでしょう」という行がある。
その後すぐにインフルエンザの予防接種に対する話にすり替わっているため、本当のところは?!っていう大事な部分がうやむやなままだ。
インフルエンザも基本的には風邪だから、薬を使わずとも…という展開なのだが、インフルエンザにかかって41度~42度の発熱で残念な結果に…という症例もある。
簡単に切り捨てられる話ではないと思う。

わたしが危惧しているひとつ、「たかが風邪」という意識から、風邪症状によく似た他の病気などを見逃すことも増えてくるのではないかということ。

「様子を見て」という言葉ほど、難しくて持て余す言葉はない。
様子を見る相手が、我が子ならば尚更だ。子育ての経験や勘のようなものから「ここまでは様子を見て大丈夫だろう」と親は判断する。しかし、風邪というのはいつも同じパターンではないのだ。判断しかねる場合、病院に行くということに「これぐらいで連れて来ちゃった…」と肩身の狭い思いをするのは間違いだと思う。
勝手に市販の風邪薬を飲ませたり、前に飲み残していた薬(病院でもらっていたとしても)を飲ませるよりは危険じゃないのでは?とわたしは思っている。他の病気だった場合、余計な薬を体内に入れるよりは安全なはずだし、検査値も誤差が少ないと思うのだ。

それから、風邪症状の中で嘔吐や下痢が続いた場合も、水分補給に努めていたつもりが実は充分足りてなくて脱水になっていた…という場合もある。
脱水症状があったら、飲めない水分を無理に取らせるよりも(吐けば苦しいだけ)点滴を打ってもらった方が安全だ。命の危険を回避出来るし、本人も楽になる。
楽になった途端、暴れまくって親もスタッフも大変…なんて、さっきのぐったりした姿はなんだったの?っていう状態になることもあるくらいだ。

「抗生剤」…風邪で受診するともれなく付いてくると言ってもいいようなこの薬は、「ウィルスには効果がない」ということを知っている人も多いと思う。前号のマンガにも書いてあったかな。

で、わたしはユウヤには簡単に抗生剤はもらわない主義だ。
わたしはユウヤの分泌物の色や固さで必要かどうか、判断することが多い。
採血の結果を見ながら、医師と話し合う。
その場合「取り敢えず抗生剤出しとく?」という医師の診断だったら即却下。(受診したのが主治医ではない場合、こういう診断はよくあることなのだ。)明らかに呼吸器系統に炎症を起こしているな…と思われる場合は、まず3日、効果が見えて完全に叩きたい場合、延長して2日と決めて服用させる。

ユウヤは抗生剤の副作用が下痢という形で出るため、今度はこっちを治すのに途方もない時間がかかるのだ。これも経験が覚えさせてくれたあまり嬉しくない判断力。
それに、ユウヤは発症後たくさんの抗生剤を使ったため、耐性がついてしまっているものもある。(抗生剤が効かなくなること)
だから簡単に耐性を付けないためにも「取り敢えず」では服用させない。
いざというとき困るのはユウヤだから。

けれど、細菌性の風邪だった場合(重症化している場合も含む)抗生剤をきちんと飲むことで酷くならずに済む場合が多い。むやみに「風邪に抗生剤はいらないんだ」と拒否していると手遅れになることだってあるだろう。

「この薬はなぜ今必要なのか?」「絶対必要なものなのか?」「飲むことでの副作用は?」「効果はどのくらいで表れるのか?」
これくらいは医師に聞いてみて、充分納得出来てから処方してもらうと良いのではないかと思う。

「素人が口出すのは悪いんじゃないかしら?」「信用してないと思われるんじゃないかしら?」「機嫌損ねないかしら?」
なんて心配は要らない。たったこれだけの説明を鬱陶しがるような小児科医なら、ぐずるコドモを冷静には診てくれない。そんな医師にコドモを預けられるか、考えれば答えは簡単なはずだ。
ただ、混んでいる場合もあるので、聞きたいことはメモしていくくらいの配慮は必要だと思う。答えも書き残せるし…ね?!

ユウヤの主治医は、わたしの機関銃トークにも慣れてくれた。
それと薬に対しても医師に対しても「譲れないところ」があることも理解してくれている。ペラペラペラ~っと勢いよく喋るわたしをポワ~ンと見て、尋ねれば何でも答えてくれる。断られたのは「メルアド教えて」と言った時くらいだ(笑)。

ああ、つい性格上、話をお気楽な方向へと持っていってしまう。いかんいかん。

簡単に「風邪」というけれど、されど風邪…だったりするのだ。
昔の人は、コドモが高熱で唸っていても服や布団をいっぱい着せて、おでこや氷枕で冷やしていただけだったし、お風呂もダメ!と言っていた。
でも今は、悪寒の時は暖めてそれ以降は冷やすようにと言われる。
冷やすのもおでこはひんやりして気持ちがいいだけで、解熱には効果がない、あるのは大血管がある部位(腋、首の後ろ、太股の付け根)だと言われる。
お風呂もよほどの高熱ではない限り入って良いと言われる。

看病だってこんな風に変わってきているのだ。医学は日進月歩である。
副作用の少ない、より安全に近づいた薬も開発されるだろうし、これだけ医師が増えてくれば、より専門性の高い知識や技術を持った医師も増えるだろう。
出来るだけ副作用の少ない薬や治療法の最新情報をチェックし、本当に必要なものを必要なだけ、処方する医師が求められているのだ。
そして医師に全てを任せるだけじゃなく、コドモを早く治すために自分に出来ることを医師と話し合う(協力する?)ことも必要じゃないだろうか?

それから、薬剤師。
大体担当する人が決まってくるとありがたい。ちょっと薬について心配な時、気軽に問い合わせることが出来る関係を持つと心強いものだ。(我が家の掛かり付け薬局については、また後日書くつもりだ。)掛かり付けになると、薬剤師から担当医に疑問な点は問い合わせてくれたりするし、つい忘れがちな飲み合わせについても配慮してくれる。

インフルエンザの予防接種については、型が合わなければ効果がないという事が散々伝えられている。それでも「しないよりはマシだろう」と思って受ける人が多い以上、わたしには何も言えない。受けている人は、副反応についても理解しているだろうし、型が合わなかったらインフルエンザにかかる可能性は受けないのと同じだけだと納得の上だと思うから。

以前にも書いたが、ユウヤには脳症になる前からインフルエンザの予防接種は受けさせていない。最初は卵白のアレルギーを持っていたから…というのが大きな理由だった。
発症前に予防接種を受けていれば、脳症になることはなかったのかもしれないという「たら・れば」は、この際考えるのはアホらしいのでやめておく。過去には戻れない。
脳症になった後、解熱剤の副作用の他に、インフルエンザのウィルスが、ユウヤに何らかの影響を与えていたかもしれないという可能性を聞いて、余計なものを体内にわざわざ入れるのはやめようと決めた。

わたしはコドモの頃(多分小学生だったか…)インフルエンザの予防接種でひどい副反応が出て、赤く腫れ上がり高熱が出たので、それ以来受けていない。先天性の心臓病を持っているから、高熱が出るとかなり負担になる。
今のわたしがそれで寝込んでしまったら、悔しくてたまらないだろう。きっと「予防接種なんか余計なものやらなきゃよかった!」と地団駄を踏むに違いない。自然にインフルエンザにかかってしまった場合は「あ~あ…」と諦めもつくのではないかと思う。

風邪を引いて免疫をつけていく…というのも大事なことだろうし、ゆっくり休養をとれば自然治癒力で治るものだ…というのも尤もな話だ。
わたしも先日風邪を引いたが、普段寝不足なため、ヒロの休みの日にまとめて寝せてもらったら楽になった。ただの疲労だったのかもしれないが、風邪症状は確かにあったのだ。

安易に薬に頼らない。これは自戒も込めてわざわざ書いておく。

でも、休養をとっても症状の改善がみられない、他に症状が出てきた…など、いつもと違うと感じた時には、受診してみることも大切だと思っている。何も大学病院や総合病院に行って、辛い中待たされ通しで過ごさなくてもイイ。

近所の開業医や診療所で信頼出来るホームドクターを見つけていくと安心だと思う。

ユウヤはいつもの大学病院の他に、地域の診療所(障がい児・者に詳しい)で診てもらうようになった。これからもっと信頼関係を深めていこうと思っているところだ。
わたしも気管支炎の時、近所の診療所で診てもらった。
心臓のこともあるので心臓と肺も一緒にチェックしてもらえ、安心出来た。

ユウヤが(恐らく)ライ症候群で後遺症を残し、失ったものは大き過ぎて取り返しのつかないことだけれど、今はそれを悔やんでばかりでは生きていけないのだ。
今週、ずっと学校を欠席しているくらい、一度呼吸器系統が調子を崩すと長引いてしまう。
それをひどくさせないように、入院させないで自宅で乗り切るように、神経を集中する、目の前の今出来ることを精一杯やる。
これを「一行三昧」というのだそうだ。いつの間にかわたしの座右の銘になっていた。

病院にかかること、薬をもらうことなどについて、わたしの考えをまとめる機会となった『クニミツの政』にも、繰り返しになるが、受け入れられることとそうじゃないことがあるにせよ、薬害について言及したことは意味があると思う。今後の厚生労働省の動きに注目していきたい。

愚かな親がぐだぐだと書いてしまったが、子育て中の方は、わたしを反面教師として構わないので、頭の片隅にでもこの記事を覚えていてくだされば…と思う。
それにしても長い…(笑)。
最後まで読んで下さったココロ優しいあなた。ありがとう。

2005.1.20
 他界した最愛の祖父の誕生日に。
 リエ@裕母



【追記】
こんなに長く書いたのに、もう追記しなくてはいけなくなった。
『クニミツの政』の読者が、情報を混乱させている。

*インフルエンザの予防接種を受けた方がインフルエンザにかかる確率が高いらしい*と。

マンガの内容のどこかにそんなことが書いてあったっけ?前号は人に貸しているので調べようがない。今号には読み返したが載っていなかった。勝手に解釈したことなのだろうと思う。
恐れていたことが起き始めている。情報が錯綜し、混乱を招いている。

挙げ句の果てには薬害ではなくインフルエンザ脳症になった人を持つ家族に、「間違った情報を載せるな」と批判する。
間違った情報って何?現実に起きたことだよ?実際、家族に原因不明のインフルエンザ脳症の後遺症を持つ人が驚くほどいるのだ。薬害だけで片付けられる問題じゃないの。

自分で得た情報を勝手に解釈して思いこんで、自分とは何も関係のないひとを批判するとはどういうことだ?責める筋合いではないだろう。

『クニミツの政』の作者だって、薬害以外で脳症の後遺症を持った人を責めているだろうか?間違っても、薬害以外で脳症になった人については言及していないし(ここがこの作品の甘いところなのだ)、逆を返せば責めてもいない。

勝手な思いこみで人を傷つけるようなことだけはお願いだからやめてほしい。それぞれの家族は、自分達なりに折り合いを付けて生きているのだ。

はっきり書いておく。(気が咎めるので書かなかったけれど)
解熱剤や風邪薬を飲ませなければインフルエンザ脳症にはならないというのは間違いだ。薬害でのライ症候群の患者数を減らすことが出来ても、原因不明のインフルエンザ脳症の患者数を減らすにはどうすればいいか?厚生労働省や医師に聞いてみるといい。誰にでも起こりうる可能性があるって事なのだから。

++関連記事++

*週刊少年マガジン『クニミツの政』
*『クニミツの政』記事→取材依頼
*裕母の見解。

2005.1.31追記

『クニミツの政』記事→取材依頼

2005年01月16日 | ライ症候群に関して
 マスコミの反応というのは、思った以上に早いものである。
ブログに『クニミツの政』のことを書いたらその日には講談社からメールで取材依頼が届いた。本館アトリエ F.F.は、Yahoo!に登録されているので「ライ症候群」で検索すれば簡単に出てくるから、それも関係しているだろう。
 依頼してこられた講談社の編集者A氏(としておく)に、どういう趣旨の取材なのかを確認しないことには簡単に受けられない。メールは正直面倒だったので「電話下さい」とだけ返事をしておいた。以下は電話で話した内容である。

 『クニミツの政』の流れで行くと、厚生労働省への糾弾に参加することになるだろう。裕母はこのマンガについて初めて知ったし、前後の流れも判らない。原作者がどういう目的で「ライ症候群」や「薬害」について追求しようと思ったのかも知りたいところだった。
 マンガに関して言えば、原作者のお子さんが解熱剤で危険な目に遭わされそうになり(幸い何の被害も受けなかったらしいが)怒りに震えて取材を始めたというのが真相だそうだ。それを聞いて、遊び半分やお祭り騒ぎでこの作品を作った訳ではないことが判り、少々安心した。このマンガは、最終的に国会議員、官僚などに問題を突きつけて…というのがお約束らしい。今回は医師に対してはやんわりと、厚生労働省に対してはキツく…という感じなのかな。

 「出来れば、この話題で国会を動かしたいと思っている。」とA氏は言った。最終的な目標は「インフルエンザの時だけでなく発熱に関して安易に解熱剤を処方しない」というような改定まで持っていきたいそうだ。そうなれば、「ライ症候群に罹る子供達が随分経ることだろう」と。これは大きな枠組みであって、そこから細かく「こういう場合は」という但し書きもつくことだろう。

 取材に関して、【コドモの取り上げ方】というのが一番気になったところである。愛情のない【晒され方】はお断りだ。「例えば写真ですけど。ユウヤがにこにこ笑っているような写真は使う訳ありませんね?きっと生々しい写真を望まれるでしょう?」
A氏はとっても正直な人だった。「センセーショナルなものを作り上げる為には、やはりお子さんが笑っている写真よりは生々しい写真の方がインパクトはありますよね…。」ん。そうだよね。それがお仕事ですものね。

 ということで「はい、お断り!」となった訳だが、結果的にミニ取材みたいなことになった。この様な薬害の可能性のあるコドモの親の場合、怒りを原動力に告発や糾弾に参加する…ということが自然な流れなのだろうか?もちろん裕母も、簡単に解熱剤を処方した医師や、危険性を知っていながら対処を先送りにしてきた厚生労働省に対して悔しいし、怒りや疑問がないわけではない。
 けれど、何の疑いも持たず(無知だったのだけど)解熱剤を飲ませた親の責任は?と思ってしまう。これはずっと自分に対して思っていること。人のせいばかりに出来ない自分がいるのだ。ユウヤを楽にしてやりたい一心でやったことだけど、自分も薬に頼って生きてきたし大丈夫でしょ、という過信もあった。ユウヤの体調がよくなれば自分も楽になれるとも思っていたはず。はぁ。書いていて凹むわ。

 うちは「厚生労働省など告発するつもりはない」ということははっきり伝えた。その仲間に名前を連ねることも、枝葉のように責任を担うことも一切したくないと。裕母には荷が重すぎるのだ。今置かれている立場や環境でさえ、闘わねばならないことや繰り返し伝えて行かねばならないことがたくさんある。過去に遡っている時間も余裕もないというのが本音だ。「これ以上の犠牲者を出さないために」と動いている人達に顔向け出来ないほど、裕母はユウヤひとりのことで精一杯である。

 毎日の生活で精一杯の親が、そんなに頑張り続けなければいけないの?とも思う。そりゃ、当事者が訴えて行かなくては解らない事というのがある。でも、各現場のひとりひとりがしっかり仕事をしていれば薬害という大きな問題が先送りになることはなかったんじゃないだろうか?それぞれの立場で人のいのちの重みを真剣に考えてくれたら…。初めてのことではないのだし、学習して欲しい。
「それを解らせるために告発するのだ」と言われるだろう。だが「告発される前に気づけよ」と呆れるほか、裕母にはリアクションがとれない。目の前の優先順位をひとつずつやっつけなくては生活が出来ないのだから。余裕がないとしか、答えようがない。

 それから、世間に「こんなになっちゃったんだよ、うちの息子」って愛情のないキツイ写真晒して、誰かに責任を求めるというのは性に合わない。ヒロが「でもリエはネット上にユウヤを出してるよね?」って言った。そうだ。私は親バカでユウヤを多くの人に見て欲しくて写真を載せている。晒しているつもりはないけれど。
 でも、レンズを通してユウヤを見つめる時、誰よりも愛情を持っている。愛情のない写真は1枚だって載せていない。ユウヤが病と闘っている時の写真でも、そこから先に繋げているという自負がある。

 センセーショナルな記事に載せるような写真は、生々しいキツイ写真じゃなければ…という人とは、感受性が合わない気がする。にっこり笑ったユウヤ(の写真)を見た時に、そうなるまでの経過や現在の生き方を 想像したり感じ入ったりするような感受性を持つ人と、わたしは付き合いたい。だから、今まで受けてきた「取材」というのは、そういう感受性を持った人との繋がりだった。A氏は悪い人でも嫌いな人でもない。取材目的が合わなかっただけだ。感受性も裕母とは合わなかったのだと思う。

 『クニミツの政』に書かれていた乱暴な発言に関して、マンガに小さく注意書きがしてあるようだが、伝わりにくい。これで偏った情報が流れてしまうと、混乱する人も偏見を持つ人も傷つく人も出てくるだろうと思ったので、A氏が記事にする時には「原因不明で脳症(いろいろなパターンを合わせて)になっているケースもある」という記述を約束してもらいたいと言ったら「自分では記事に盛り込みたいと思っているが、編集長の考え方ひとつなので約束は出来ません。サラリーマン発言ですみません…」と言われた。期待は出来ないみたいだが、こちらの気持ちは伝えたつもりだ。Aさん頼みますよ。

 ユウヤの成長と自分の経験を綴っていくことが、誰かの背中を押していると実感しているし、やっぱり本館やブログのコンセプトは変えるつもりはない。うちは「告発サイトではない」と改めて書かなくても、みんな判ってくれてるかなぁ。今回のことでは、思い出したくないことも思い出したし、自分がどれだけ未熟な人間かも改めて文章にした。これこそ生々しいではないか。決してセンセーショナルではないけどね。

 もうひとつ、ステージママとして、きっぱり書いておく。

可愛い写りのユウヤの写真しか雑誌には載せませんからっ!

++関連記事++

*週刊少年マガジン『クニミツの政』
*『クニミツの政』をきっかけに…【早速追記】
*裕母の見解。

2005.1.31追記


週刊少年マガジン『クニミツの政』

2005年01月14日 | ライ症候群に関して
※かなり重たい話なので、お時間のある時にゆっくりお読み下さい。

今週号の週刊少年マガジン(7号)に掲載されている『クニミツの政』というマンガで
「インフルエンザ脳症」が扱われていると、お友達がメールで知らせてくださった。
ヒロに仕事帰り買ってきてもらい、早速読んでみた。
少々乱暴なところはあるけれど、大体私達が思っている通りのことが描かれていた。
手に取るチャンスがあったら、是非読んで頂きたい話だ。
裕母の拙い文章よりも、判りやすく説明されている。
それに、後遺症を持ったコドモタチの姿が「まんま」描かれている。
きっとユウヤも客観的に観るとこういう風に映るのだろうと思う。
表情がはっきりしない分、暗い。どよよ~ん。

上記に書いた“少々乱暴なところ”というのは、
「インフルエンザ脳症=ライ症候群」として書かれていることだ。
んー。ユウヤはいくつかの病名の可能性が出てきているのだけど、解熱剤を使ったことは確かで、
裕母はこれが一番の引き金、若しくは追い打ちを掛けた…と思っている。
だからユウヤの場合はそれで何となく説明が付くのだけど、お薬も飲んでいないのに
「インフルエンザ脳症」や「急性脳症」と診断され、後遺症(重い軽いは差があるにせよ)が
残ったコドモも多いはず。
この辺を突っ込むと、納得出来ない人も多いかも知れない。ということは明記しておく。

『クニミツの政』今号のキーワード
*薬害
*インフルエンザ脳症
*ライ症候群
*多剤投与
*インフルエンザの予防接種による副作用
*厚生労働省が戦犯?!

マンガの紹介だけをしてもリアリティに欠けるかな?
2月に入ると裕母は精神的に不安定になる。ユウヤが発症した月だからだ。
それを受け入れてからは随分落ち着いているとは思うけど、あまりこういう話はしたくなくなる。
なので、今のうちに過去に向き合ってみた。

今までユウヤのことを綴ってきたアトリエ F.F.(本館)の
ゆうやのあゆみに書いている記事をリンクさせておこう。


*ライ症候群について
*ライ症候群について 裕母が思うこと

2~3年前に書いた記事だけど、思いは今も変わっていない。
読んでくれた人それぞれが、自分の胸の中で理解してくださればいいと思う。
裕母に出来ることは、ユウヤと共に生きてきた日々、生きている日々を記録すること。
そして読んでくれた人に、何かを感じてもらうことが出来たら…。
これが、ちっぽけな裕母の大きな願いだ。

++関連記事++
*『クニミツの政』記事→取材依頼
*『クニミツの政』をきっかけに…【早速追記】
*裕母の見解。
2005.1.31追記