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History, Strategy, Ideology, and Nations

1月14日

2010年01月14日 | INTELLIGENCE
 最近、人から教えられたことだが、格言・名言を集めた本が人気を博しているらしい。
 確かに書店のビジネス本が並ぶコーナーに行くと、
 松下幸之助や本田宗一郎といった著名な経営者の言葉を集めた本が多く置かれているし、
 昨今の歴史ブームに乗って、戦国武将や大名の名言録が復刊されたとも聞いている。
 インターネットで、格言・名言と入力して検索すると、
 古今東西、あらゆる分野の格言・名言を集めたウェブサイトが多数、ヒットするのも、
 そうしたブームが静かに浸透しているからであろう。
 また、「Youtube」においても、格言・名言で構成された動画を見ることができる。

 格言や名言に多く触れることは、人生の教訓や指針を学ぶ上で最も簡便な方法である。
 先人の叡智を凝縮した言葉には、やはり何かしら味わい深いものがあるし、
 そこから何かを悟ったような気分にもなれる。
 このようなものを集めた本が売れるということは、
 それだけ自分の人生に思い悩む人が多くなったということなのかもしれない。
 
 しかし、格言や名言をたくさん知っているからといって、
 それで人生の達人になれるわけでは決してない。
 また、格言や名言を他人にひけらかすことも、
 自分の教養や博識を誇っているようで、本来は格好悪いことである。

 とはいえ、歴史研究や人物研究などの場合、
 こうした格言や名言は、時に物事の本質を表すものとして、ついつい使いたくなる衝動に駆られる。
 一般にそれは「エピグラフ」と呼ばれており、
 欧米では、エピグラフ集のような辞典も編纂されていることを考えた時、
 案外、そのニーズは高いことがうかがえるのである。
 
 情報研究の分野でも、そうした書物はあるのかなと思って調べてみると、
 一点、見つかったので、以下に紹介しておきたい。

 Charles E. Lathrop
 The Literary Spy: The Ultimate Source for Quatations on Espionage and Intelligence
 New Haven and London: Yale University Press, 2004
  
 これは、情報関係者や情報研究者の言葉を中心に集めたもので、
 全部で65項目、3000以上の引用句が収録されている。
 インテリジェンス問題で気の利いたことを言いたい時に参照すると良いだろう。
 ただし、露骨な引用は、読み手に嫌味な印象を与えてしまうので、ご注意を。