On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

加納朋子

2006年08月20日 | 読書
ミステリー作家の「加納朋子」の「ななつのこ」シリーズ(駒子シリーズ)を読んだ。
この作家はミステリー(謎解き)を余り読まない私はよく知らなかったんだが「ななつのこ」という作品は評判になったハズで、聞いたことがあり、丁度いま娘がハマって居るのをみて読んでみることにした。
謎解きミシテリーというと普通、殺人事件とかがテーマになり探偵さんが現れるという作品が多いが、彼女の作品は最近流行の「素人探偵」でもない本当の日常的な事柄を題材にしている。そう言う意味で北村薫などの作品を彷彿とさせるんだが事実加納朋子の作品は北村薫へのファンレター的な文章から始まった物らしい。
駒子シリーズは文庫で2冊(ななつのこ、魔法飛行)と最近出た「スペース」の3つが出版されている。最後のスペースは10年ほどブランクがあいてるようだ。
これら駒子シリーズはそれぞれ構成が結構凝っていてなるほど良くできた作品である。特にデビュー作である「ななつのこ」は小説の中に小説を入れ込んだ入れ子形式で有る上に、連作短編でありながら全体的に大きなミステリーを構成していて、最後に大きなプレゼントを貰ったようなきぶんになる、とても凝った作品だ。主人公駒子は短大生であるが出演者の性格付けがシツコイほどに描写が豊富であり、わかりやすい性格の人物作りがなされている。そして天然ボケの駒子はとても愛すべき主人公である。また文学作品のことが古典を含め随所に書かれていて、本好き文学好きには楽しめるし、この作品を通して読んだことのない古典作品にも興味をもってくれる若い人が出てきて欲しいという作者の気持ちも読み取れるなと思った。たとえば「銀の匙」(中勘助)、「罪と罰」(ドストエフスキー)「ライ麦畑で捕まえて」(サリンジャー)「赤毛のアン」(モンゴメリー)などなど。これらの誰でも知ってるような古典作品、あなたは読んだことがありますか?
最後に読んだスペースはもう1回読み直しても言い作品と感じたのだが、後半はとても読後感の良い恋愛小説だ。前半(「スペース」)はその恋愛を題材に、煙に巻くようなミステリーが出来ていて、最初のこちら前半を読まされる読者は「???」となりつつ読み進めていくと、そのミステリーとなる物語の最初から、まるで別の物語のように語られる後半(「バックスペース」)に出会える。後半のあちことでなるほどと得心するような所があるわけで、これまでに無かったような小説である。
いずれにしても謎解きミステリーが苦手な私でもなんとか読み終えることが出来たのはその構成のおもしろさと余り複雑でない日常の謎を題材にした事によるところが大きい。内容的にも重いテーマの純文学ではなく、頭を悩ますようなミステリーでもなく、とても読みやすい作品であるが、文章はなかなか文学の薫り高い作品であると感じた、本好きの為のほのぼのミステリーである。



ミステリーや探偵物のシリーズ作品というと「私はこれ!」ってのが本好きにはあるものだ。読みたいときに読めるって事は幸せなことで、そう言う意味で逆にまだ続きが出版されていないってのはとても待ち遠しくていらいらしたりもする。探偵物でシリーズ化されている物はたくさんあるけれど私の場合、下記のようなシリーズ作品を読み進めている。(途中でやめちゃった物は含まず)
海外の物
1.スペンサーシリーズ(RBパーカー)
2.キンジーミルホーンシリーズ(スーグラフトン)
3.V・I・ウォーショースキーシリーズ(サラパレッキー)
4.競馬シリーズ(ディックフランシス)
国内のもの
1.新宿鮫(大沢 在昌)

ま、どれもハードボイルドであるな。マットスカダーやポリファックス、スカーペッタ、などのシリーズ物も一応読んでいるが、次の作品を待ってると言うほどでもない。競馬シリーズはまだ37冊くらいあるうち、半分弱かな。面白いんだけどなかなか手に取らない。まあたくさんあるのでいずれ、いずれである。



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