「たくましさ、力強さ学べる」 男性保育士が人気
(信濃毎日新聞 1月11日(木)より)
男性の保育士を求める声が、県内の保育園児の保護者らの間で増え、松本や上田、伊那の各市では行政に要望する動きになっている。「たくましさや力強さを学べる」との理由のほか、子どもを狙った犯罪が目立つ中で「防犯面で心強い」という期待があるからだ。一方で、保育士は「女性の仕事」というイメージが根強く、男性志願者が少ない。男性が資格を取得できる学校も女性に比べて少なく、環境が整っていないのが実情だ。
「もう1周、頑張れー」。昨年暮れ、松本市村井保育園で保育士の小河原仁志さん(33)が声を掛けると、受け持ちの園児29人が小雨の中を元気に駆け出した。ほぼ毎日、園の周りを15分ほど一緒にランニングするなど運動に力を入れる。「足腰が鍛えられ、転ぶ子が少なくなった」
「子どもと遊ぶのが好き」で、1995年に同市で初めて正規職員の男性保育士として採用された。女性ばかりの職場に「当初は変な目で見られていたと思う。自分も不安や恥ずかしさがあった」と振り返る。
松本市が保育園で採用している男性保育士は現在13人。同市並柳保育園の大月仁さん(33)も「最初は保護者に『男の保育士で大丈夫か』と心配されたが、今は『男性は頼もしい』と言われることもある」と話す。同市保育園保護者会連盟の有賀明子会長(31)は「母子家庭の園児にとっては、父性を感じられる良さもある」と指摘する。
県こども・家庭福祉課によると、中核市の長野市を除き、県内の公立・私立保育園で働く男性保育士は本年度、計79人。4年前より33人増えた。しかし、全体は約5千人で、ほぼ65人に1人という少なさだ。長野市立の保育園には計5人しかいない。
松本市和田保育園保護者会長の中川博美さん(39)は「1人でも男性保育士がいると心強い。子どもの遊びの幅も広がる」と、同園にはいない男性保育士の配置を市に要望している。行政への要望は上田市や伊那市などでもある。
一方、これらの市では「なるべく多く採用したいが、試験は性別にかかわらず行うため、なかなか増えない」と悩む。松本市の場合、来年度の正規職員の採用試験に合格した保育士8人はいずれも女性。受験者は158人で、男性は1割に満たない14人。男性合格者は2003年度の2人を最後にいない 。
また県内8校の保育士養成校のうち、男女共学は松本短大(松本市)、県短大(長野市)、県福祉大学校(諏訪市)だけで、ほかは女性が対象だ。
小河原さんや大月さんは「男性保育士を一気に増やすのは難しいだろうが、自分たちが楽しみながら頑張っている姿を見せることが大切」と話している。
(信濃毎日新聞 1月11日(木)より)
男性の保育士を求める声が、県内の保育園児の保護者らの間で増え、松本や上田、伊那の各市では行政に要望する動きになっている。「たくましさや力強さを学べる」との理由のほか、子どもを狙った犯罪が目立つ中で「防犯面で心強い」という期待があるからだ。一方で、保育士は「女性の仕事」というイメージが根強く、男性志願者が少ない。男性が資格を取得できる学校も女性に比べて少なく、環境が整っていないのが実情だ。
「もう1周、頑張れー」。昨年暮れ、松本市村井保育園で保育士の小河原仁志さん(33)が声を掛けると、受け持ちの園児29人が小雨の中を元気に駆け出した。ほぼ毎日、園の周りを15分ほど一緒にランニングするなど運動に力を入れる。「足腰が鍛えられ、転ぶ子が少なくなった」
「子どもと遊ぶのが好き」で、1995年に同市で初めて正規職員の男性保育士として採用された。女性ばかりの職場に「当初は変な目で見られていたと思う。自分も不安や恥ずかしさがあった」と振り返る。
松本市が保育園で採用している男性保育士は現在13人。同市並柳保育園の大月仁さん(33)も「最初は保護者に『男の保育士で大丈夫か』と心配されたが、今は『男性は頼もしい』と言われることもある」と話す。同市保育園保護者会連盟の有賀明子会長(31)は「母子家庭の園児にとっては、父性を感じられる良さもある」と指摘する。
県こども・家庭福祉課によると、中核市の長野市を除き、県内の公立・私立保育園で働く男性保育士は本年度、計79人。4年前より33人増えた。しかし、全体は約5千人で、ほぼ65人に1人という少なさだ。長野市立の保育園には計5人しかいない。
松本市和田保育園保護者会長の中川博美さん(39)は「1人でも男性保育士がいると心強い。子どもの遊びの幅も広がる」と、同園にはいない男性保育士の配置を市に要望している。行政への要望は上田市や伊那市などでもある。
一方、これらの市では「なるべく多く採用したいが、試験は性別にかかわらず行うため、なかなか増えない」と悩む。松本市の場合、来年度の正規職員の採用試験に合格した保育士8人はいずれも女性。受験者は158人で、男性は1割に満たない14人。男性合格者は2003年度の2人を最後にいない 。
また県内8校の保育士養成校のうち、男女共学は松本短大(松本市)、県短大(長野市)、県福祉大学校(諏訪市)だけで、ほかは女性が対象だ。
小河原さんや大月さんは「男性保育士を一気に増やすのは難しいだろうが、自分たちが楽しみながら頑張っている姿を見せることが大切」と話している。