最近のある週末の出来事。
日中、井の頭線の某駅ホームで電車待ちをしていた。すると、左30mほど離れたところから中年の太った男性が叫び声を上げながらこっちに向かって走ってくるではないか!手に危険物を持っていないのは確認できたが、何かあってはと一応身構えた吉田。男性は吉田の目の前を走り去っていった。「
タンゼンケータンゼンケー」と意味のわからないことを興奮気味に叫んでいた。
う~ん、まあ、ココは日本だから、ああいう人もいるだろうと無理に結論づけてうなづいていると、再び、右30m程離れたところからさきほどの男性がこちらに向かって走ってくるではないか!同じように「タンゼンケー」って叫んでいる。同時に男性の後方から電車が追いかけるようにホームに入ってきた。
しかし、そうは言っても!
タンゼンケーって何だ?何かの
呪文か??( ̄ヘ ̄)
と思いながら、右方向の男性と電車のデッドヒートを見て、タンゼンケーの意味を理解した。電車の顔に3000系とかかれたプレートが電車の顔にあったのだ。
タンゼンケー・・・・サンゼンケー・・・・
3000系ヾ(*´・∀・`*)ノ そうか、なるほど、中年男性は俗に言う
鉄男くんってやつだな。
危険な人物ではないと判断した吉田は逆に興味がわいてきた。偶然なのか、運命なのか、同じ車両に乗ることになった鉄男くんと吉田。
鉄男くんは端っこの席をぶん取ると、手すりをべたべたと触りながら「そうかぁ。もうすぐお別れか」「寂しいなぁ」などとでっかい独り言を繰り返した。
電車の中吊りに「さよなら3000系」とある。車内には他にも鉄男くんがおり、その中吊りを写真におさめる様子が目に入った。電車には詳しくないし、興味はわかないが、いわゆるこの3000系って電車がもうすぐ走らなくなるってことなんだろう。
車内をひととおり見渡した後、再びそばの鉄男くんに目をやる。相変わらず手すりをべたべた独り言。同じことを繰り返しているだけなのに、なぜだかそれを聞いているのが面白くてたまらない吉田。
「今までありがとう、でも、やっぱり寂しいな」
「でも、ありがとう。でも、寂しい」
「そうだ、駅員さんにお礼を言おう!」
え~っ?
お礼??(o・。・o)
鉄男くん、駅員にお礼を言うのか?そうしたら駅員はどんなリアクションを示すんだろう?
これは見ておかなきゃ損!(`・ω・´)
(-公- ;)別に損ではないと思うが。。
電車が終点の渋谷に着いた。ドアが開き、乗客がどっと降りる。鉄男くんのお礼を見たくて、様子を伺っていた吉田。しかし、乗客のほとんどが降りても鉄男くんはなかなか席を立とうとしない。
鉄男くん、早く席を立ってホームにいる駅員のところに向かってくれ。このまま電車を降りない吉田が怪しまれるだろう!
すると、ようやく席を立った鉄男くん、ホームに飛び出した。すぐそばに駅員がいる。
ほら、駅員にお礼を言ってくれ!駅員のリアクションを見せてくれ!!
ところが鉄男くん、駅員には向かわず、再び電車に飛び乗ってしまった。
そして席に座り、手すりをベタベタ触っている。
こら~っヽ(≧Д≦)ノ 鉄男くん、いや、鉄男!さすがの吉田もそこまで待てないぞ、さっさと駅員にお礼を言えってーの!!早く言わないとホームでうろついている吉田が怪しまれるだろうが~。
イライラしながらも携帯を無駄にいじりつつ、鉄男の様子見。
(-公- ;)わざわざ鉄男くんの駅員へのお礼を見るだけのために・・・吉田もホントに暇だな。。
ええい、乗りかかった船だ。もう後戻りはできない。何としても駅員のリアクションを見るまでは死んでも死に切れんっヽ(・`Д´・)ノ
(-公- ;)そこまでなのか。。
再び席を立った鉄男が電車を飛び出した。よーし、ついに駅員にお礼を言いに行くか!?
・・・と思ったら、「せっかくだから全体を見ておこう」と電車のお尻に向かってつっ走っていった。
こんにゃろ~鉄男!さすがに待てんっ!も~勝手にしろっ( ̄ー ̄*)σσ
鉄男を見放し、改札へ。。
電車の顔の周りには携帯やカメラを向ける人だかり。
とりあえず、と、ミーハー心から吉田も携帯を向けた。
なあ、
キミはそんなに有名なのか?