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夢の傑作映画館・高島与一

ドラマ・映画のシナリオ、ルポ、ドキュメンタリー、構成台本、小説、エッセーなどの執筆とドラマ論、脚本指導

生類憐れみの令

2012-06-04 22:59:09 | 芸術・文化
☆父と娘の会話~居間にて②

娘「今日、大飯原発再稼働で、細野が福井県庁へ行ったのに、夕刊には何も出てない…。内閣改造の話ばっかりや」

父「細野は、先週末に行く予定やったんを、週明けに延期したよな。あれには二つの狙いがあるな」

娘「何やのん?」

父「ひとつは、週末やったら県庁前にたくさん人が集まれるから、ウィークディに変えた。福井に行きたくても、仕事を急に休みに変えて、福井に行かれん人はおるわな」

娘「オヤジは元々休みやん」

父「オレには致命的にカネがない」

娘「もうひとつは?」

父「内閣改造にぶつけることを計算したな。ニュースが、そっちばかりになって、福井の大事件が消せる。スキャンダルは、より大きなスキャンダルを消す働きがある。これ、スキャンダルの法則やな」

娘「内閣改造はスキャンダルか?」

父「まさにスキャンダルや。入閣した大臣はスキャンダルだらけ」

娘「細野は、裏口から入った。4月の枝野の時もそうや」

父「裏口入学か。カネが動いてるな」

娘「ちょっと違うねんけど…」

父「オレは研究したのや」

娘「何を?」

父「福井県庁は福井城の城跡にあって、お堀と石垣に囲まれてる。堀を越える侵入路の橋は3つしかない」

娘「歴史と地理の研究か。原発に関係ないわ」

父「それが関係ある。なんで、反対する人は正面の橋に集まるのや。二つの裏口を固めたら入城でけへん」

娘「戦争ゴッコと違うぞ」

父「いや、これは戦争に等しい。放射能を撒き散らして、国民が死んでもええと権力が判断した。戦争とどこが違うねん」

娘「それはそうやけど…そこまで考えが回らん」

父「細野を福井城に閉じ込める。いや、もっとええのは、大飯原発に常駐させる。逃げられへんよう、格納容器に縛り付け、試運転開始の時に、悲鳴を上げてストップ! て叫ぶかどうかをユーストリームで生中継する」

娘「それが、どんな意味があんねん、オッサン! ウチらは、再稼動を止めたいのや!」

父「原子炉の中で、ドジョウを泳がす。ドジョウ総理が苦しむ」

娘「アホかッ! 人間でも平気で殺そうか言う奴に、ドジョウの命なんか、どうってことない」

父「人間もドジョウも、命に変りはない。生類憐れみの令を出そ!」

娘「オマエは江戸時代に生きとんのかッ!」

父「なんでやねん。自然との共生とか、命に優劣をつけない考え方って、仏教本来の思想と違うんか。ニッポン人も、もうチョッと真剣に仏教思想を学んでたら、マシな国民になれたんと違うか。南無妙法蓮…陀仏」

娘「何宗や!」

父「宗派なんか超越せェ。小さいことに拘るな。もっと大局を見よッ! 娘よ! 宇宙を司る真理に目覚めよッ!」

娘「教祖かッ! オウムかッ!」

父「セイザイカンガクホウ、セイザイカンガクホウ、セイザイカンガクホウ…(出て行く)」

娘「また、山伏かッ! 恥ずかしいから町内周るなッ!」
 


 

笑いたいのに笑えない…何故じゃ?

2012-06-03 22:34:09 | 芸術・文化
☆天才バカボンパパと桃尻娘の会話~居間にて


娘「内閣改造するんやってさ」

父「問題閣僚を消去するんやろ。日本の政治は、パソコンみたいやな」

娘「どういう意味?」

父「問題閣僚を、ゴミ箱に移しますか? クリック! それで消去や、簡単やな」

娘「せやけど、問題のない閣僚ておるか?」

父「おらんやろ。みんなゴミ箱行きやな…。ゴミ箱を空にしますか? クリック! そして誰もいなくなった…」

娘「とくに仙石チームの5人組が問題や」

父「仙石チーム5人組なんて知れたもんや。政・財・官・学・報の5人組による原子力ムラが問題やね」

娘「何それ?」

父「政界、財界、官僚、エセ学者、報道界の原子力ムラ複合体のことや」

娘「なるほど……。芸人や文化人もおるで」

父「あれは使い走り」

娘「……外部被ばくと内部被ばくて知ってるか?」

父「外部被ばく言うたら、アメリカのグローバル資本に侵されてる言うことやな。内部被ばくが、今言うた政・財・官・学・報によって、庶民の生活と健康と脳みそが侵されてることやね」

娘「外れてるけど、当たってるな…。大飯原発の再稼働が風雲急を告げてるから、反対のアクションに行くねん。オヤジも一緒に行こうや」

父「いやや」

娘「なんで?」

父「この前、お前に誘われて、一回だけ脱原発デモに行ったやろ」

娘「うん。それがどうしたん?」

父「あん時、子どもを守れ、母親を守れ、妊婦を守れ、若者を守れ、とか声をかけてたけど、おっさんを守れて言うてなかったからな。オレを守ってくれへん奴らと付き合いたない」

娘「何、わがまま言うてんねん。自己中か!」

父「違うがな。年寄りを守れとも言うてなかった。病人を守れとも言うてなかった。障害者を守れとも言うてなかった。弱い立場の人たちを全て守ろうとせえへんような奴らと付き合いたないわ」

娘「屁理屈や! 未来のために優先的に助けようと言うことやんか」

父「違う。人間の命に優先順位を付けてええのんか。年寄りには未来がないと言うのんか。今まで、一生懸命生きて来たお年寄りを大事にしようと言う奴はおらんのか。一人でも、そう言うことに疑問の声をあげようとせえへん集団が嫌いなだけや」 

娘「頑固やな」

父「昨日、電車に乗ってたら高校生くらいの女の子2人と男の子1人の3人組が喋ってたんや。何を言うてたと思う?」

娘「聞き耳立ててたんかい。好きやな」

父「お前も、原発に反対してる人間の話ばっかり聴いてたらあかんのや。本気で原発を無くそうと思ったら、原発反対の行動をせえへん人間が、何を考えてるのかを知らんかったら、ほんまに政・財・官・学・報の5人組が一体になった原子力ムラを崩すことなんかでけへん」

娘「その子ら、何を言うてたん?」

父「ディズニーランドの話をしてな、縫いぐるみのSが3000円とか、Lが3万円とか話してるんや。そいで、人生考えても無駄や、なるようにしかなれへんて喋っとんねん」

娘「それが、原発とどない関係あんねん?」

父「人生は、なるようにしかなれへんと考えてる若者やぞ。社会や自分の人生をどう切り拓くかと言う意識なんか、欠片もないのや。流されてるだけ。大飯原発の再稼働が強行されようが、福井の原発で事故が起ころうが、放射能が降って来ようが、なるようにしかならんと言うことやろ。原発に反対する連中は、こういう若者をどうすんねん。こいつらも守るんか」

娘「それは社会に問題があるからや。教育に問題があるからや。考えられないようにされてしまってる庶民を目覚めさせることも運動の課題や」

父「奴らは、毎日が何となく楽しかったらええのや。鬱陶しい現実のことは考えたくないのや。目覚めたいなんて思ってない。いらんお節介なんや」

娘「完全にニヒルになっとんな。社会を変えることを投げとんのか?」

父「そうやない。賢明な庶民もおれば、愚かな庶民もおると言うシビアな現実から出発せんとあかんと言いたいだけや。世の中を本気で変えようと思ったら、愚かな庶民とも粘り強く付き合って行く覚悟がなければいかんと言うことや。原発に反対する人間だけで集まって、デモしてるだけではあかん。お前は、この1年ちょっとの間に、原発に反対する人たちとの繋がりは作ったかも知らんが、何も考えてないような人を何人考えるようにしたんや?」

娘「……」

父「オレはな、再稼働反対のアクションは、お前に任せて、ご近所の愚かな庶民とお付き合いして来る。己の愚かさも自覚した上で、愚かな民の中に浸って生きる。一緒にアホな話して、一緒に笑い転げて、アホなおっさんで生きて行く。アホなおっさんの言うことやったら、ちょっとは聴いてくれる。誰でも他人から説教なんかされたないもんや。お前は、原発に反対する賢明な庶民と、しっかり手を繋いで生きて行け。人間それぞれ持ち場がある。個性が違う。そやから人間は面白い。愚かな庶民も嫌いになるな。まあ、そういうこっちゃ。お前、一人でアクションに行っといで」

娘「行くわ」

父「うん。頑張っといで」

娘「オヤジもな」

父「分かってる……せやけど、オレは頑張る言うのが嫌いや。とことん嫌いや……頑張り過ぎたら燃え尽きてしまう。メルトダウンはアカンのや」

娘「ホンマにヘソ曲がりやな」

父「そしたら町内回って来るわ……。セイザイカンガクホウ、セイザイカンガクホウ……」

娘「何やそれ?」

父「政・財・官・学・報の5人組を封じ込める呪文や。オレのシュプレヒコールやな。セイザイカンガクホウ、セイザイカンガクホウ……(出て行く)」

娘「山伏か……セイザイカンガクホウ(呟く)」



原発ゼロスタート・こどもの日パフォーマンス

2012-05-01 23:01:46 | 芸術・文化
ハ~イ!

5日、阪急武庫之荘駅南側で、パフォーマンスやりま~す。弾けま~す!!!



原発ゼロスタート・こどもの日パフォーマンス


☆5月5日(土曜) 午後2時~5時

☆阪急武庫之荘駅南側改札出て、スロープ降りた辺り

☆親子や、お爺ちゃん・お婆ちゃんとお孫さんなどで楽しめる企画にします。

◎歌:チロリン村のシンガーソンググリーンマン(近所でギター借りて来ました。ギター弾けないのでカッコだけ。アカペラで歌います)

◎100金ショップとかへ行って、「スーパーふうせん楽しい・カンタン、バルーンアート」「メロディ風船」「なつかしのおもちゃ」「アンパンマンうちわ」「ミニこいのぼり」などを買って来ました。画用紙とかクレヨンとかも持って行って、子どもたちが遊べるようにしたいと思います。

◎なんでも芸のある方、飛び入り出演、大歓迎!!! 鳴り物も歓迎!


       高島与一 


生きてるものはいないのか

2012-03-08 00:34:49 | 芸術・文化
  長編超大河ドラマ「生きてるものは いないのか」  作:高島与一


テロップ「○×○×年3月11日午前5時36分、人類は遂に、大学教員、高島与太郎(800歳)一人を残し、絶滅した…。ハレルヤ!」

■○×大学・444号教室(朝)

 白髪頭の高島与太郎講師(800歳)が、教室の前の方の席にポツリと一人、座っている。

高島(独白)「なんか、学生が一人も来ないな……大学の中もガランとしてるし……休講じゃないよな(考えている)。連絡もなかったし……(少し大きな声で)学生は、いないのか!? 」

 館内にこだまする。「いないのか、いないのか、いないのか!?」

高島(独白)「(もっと大きな声で)生きてるものは、いないのか!? 」

 大学内にこだまする。「いないのか、いないのか、いないのか!?」
 空から鐘の音が聞こえて来る。

高島(独白)「(ポツンと)お迎えかァ~。生き伸びたのは放射性廃棄物だけだった……」

 ニコッと微笑して、崩れ落ちる。
 音楽、盛り上がる。
 ♪ハ~レルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ

                     (人類のおわり)

   




落首(拝啓 東京電力殿)

2012-03-08 00:22:31 | 芸術・文化
福島県浪江町、今野さんの留守宅に貼り出された落首(落書きの歌)

◎拝啓 東京電力殿 仮設でパチンコできるのも東電さんのおかげです 仮設で涙流すのも東電さんのおかげです 東電さんよありがとう 12月12日里帰り

◎今日も暮れゆく仮設の村で 友よつらかろせつなかろ  いつか帰る日を想い

◎放射能体験ツアー大募集!! 東電セシウム観光 先着100名無料

ボブ・ディラン「風に吹かれて」

2012-03-05 22:50:13 | 芸術・文化
★ボブ・ディラン Bob Dylanの曲「風に吹かれて」Blowin' In The Wind

ボブ・ディランを象徴する曲で、プロテストソングの名作として今でも歌われている。1963年にリリースされ、アルバム "Free Wheelin' に収録された。

おじさん「ボブ・ディラン、知ってる?」

若者「ボク、知らん…」


♪脱原発ソング「放射能、風に吹かれて」(ボク・シラン作詞)


どれだけ放射能が飛んだら

原発事故は収束するの

どれだけ傷ついたら

原発は終わるの

私にあなたに

問われる日々が


どれだけ騙されたら

怒りが湧くの

いつまでも黙っていたら

世の中変るの

叫びをあげよう

あなたが主人公


どれだけ我慢をしたら

幸せになれるの

どこまで歩いて行ったら

光が見えるの

一歩でも進もう

未来に向けて

 





一体改革……いったい、改革?

2012-03-02 23:49:28 | 芸術・文化
★脱線福祉論「日本は世界一の長寿国」

◎茶の間にて「父と娘の会話」

  天才バカボンパパと桃尻娘がコタツで談笑。

桃尻娘「原発の稼動期限を法律で決めると言ってたのに、最初40年までと言っておいて、例外で20年延長できるってさ。60年も稼動できるんだよ。死にかけの原発の寿命を60年間も法律で保証してやるようなもんじゃないの」

パパ「どんなもんじゃ?  今晩の飯は、もんじゃ焼きか…? 俺は関西のお好み焼きが、やっぱりいいのだ…」

桃尻娘「食いもんの話とちゃう! 原発の寿命!」

パパ「延命治療だな。日本は世界一の長寿国だから、原発も長生きするのだ」

桃尻娘「問題が違うじゃん!」

パパ「長生きしてもな、痴呆とかになると、原発の介護が大変だわな」

桃尻娘「原発に痴呆とか、あるのかよ!」

パパ「あるさ。原発は地方の問題や」

桃尻娘「問題が違うじゃん! 都会の人間は関係ないのかよ!」

パパ「そう喧嘩腰になるな。玉の輿に乗れ、娘よ」

桃尻娘「話を逸らすな! 原発の寿命!!!!」

パパ「そんな大きな声を出すな。隣に聞こえる」

桃尻娘「都会の人間は、原発と関係ないんか!」

パパ「末期原発の安楽死について議論するべきなのだ。植物状態の原発の延命だけを考えるのは問題なのだ。寝たきり原発は悲惨だ。原発の命の尊厳を考慮すべきなのだ」

桃尻娘「人間の命の尊厳が無視されてんのが問題なの!」

パパ「一体改革だ」

桃尻娘「何言ってんだ! 思いつきで喋るな! お前は、どじょうか!」

パパ「解散だッ!」

桃尻娘「じゃかましッ! 徹夜討論だッ!」

パパ「眠い……(あくび)」

  パパ、立ち上がりかける。

桃尻娘「逃げるな!(パパの腕を持って、引き倒す)撃ち殺すぞ!」

パパ「話せば分かる!」

桃尻娘「親娘の縁、切るぞ!」

パパ「お前は、すぐそれを言うね。この貧困な福祉の国で、パパは老後を送れない(鼻をすする)」!

桃尻娘「泣き落としか! お前は、自分のことしか考えてないのか!」

パパ「だって、政治家や官僚だって、自分のことしか考えてないよ」

桃尻娘「もっと広い視野を持て! 父よ!」

パパ「角度は、どれくらい?」

桃尻娘「こんなおっさんばっかりやから、この国は良くならんのじゃ!」

パパ「若者よ、怒りを忘れるな」

桃尻娘「お前に、怒りは無いのか!」

パパ「忘却とは、忘れ去ることなり…」

桃尻娘「忘れ過ぎじゃ!」

 この後、パパと娘は24時間、愛は地球を救うかについて、延々と白熱「朝までテレビ」を続けたのだった…。



 

童謡『どんぐり ころころ』

2012-01-14 22:34:51 | 芸術・文化
♪童謡「どんぐりころころ」

どんぐり ころころ どんぶりこ

おいけに はまって さあたいへん

どじょうが でてきて こんにちは

ぼっちゃん いっしょに あそびましょ


どんぐり ころころ よろこんで

しばらく いっしょに あそんだが

やっぱり おやまが こいしいと

ないては どじょうを こまらせた


♪動揺「公約コロコロ」

公約 コロコロ ドンブリ勘定

支持率 下がって さあ大変

ドジョウが 出て来て さあどうじょ  

ボッチャン! 一緒に 沈みましょ (嫌ジャ!!!)


財務省 ウハウハ 喜んで

しばらく 一緒に お勉強

やっぱり 消費税が 恋しいと

脅して ドジョウを 踊らせた


 

時は過ぎてゆく

2012-01-09 04:02:21 | 芸術・文化
みなみなさまへ

寒中、お見舞い申しあげます。

シャンソン歌手のジョルジュ・ムスタキの歌が好きです。何故、好きになったかを話すと長くなるので省略します。シャンソンは人生の詩(うた)です。

寒の入りの6日に、63歳の誕生日を過ぎ、今、自分が人生の第4コーナーを回り、ラストの直線コースに入ったと思っています。父が59歳で亡くなり、私は60歳まで生きられれば御の字だと、非合理にも思い続け、還暦を迎えた時から、そう想い、後は人生のオツリだと思っていたところがあるのです。

このオツリの人生に、原発と放射能という怪物と真正面から向き合わなければならなくなるとは想像すらできていませんでした。まさに、私の人生に文字通り「想定外」のことが起こってしまったのです。学生運動と労働運動に賭けた青春時代の激動の時と同じ様な激震が、人生の黄昏に生起しました。

直線コースに入ってから、老馬に鞭を入れゴールに向けて走り抜けるのは、いささか疲れます。それが、ヨタヨタした走りとも言えない走りであってさえもです。しかし、落馬はできません。

ムスタキの歌、「もう遅すぎる(時は過ぎてゆく)」と、それをスローバラードにした金子由香利さんの同曲を、みなみなさまと人生への感謝の気持ちとして贈らせて下さい。この歳になりますと、疲れた時、このような歌が癒してくれるのです。

老人の繰言めいていますが、ご寛容を……。


♪ジョルジュ・ムスタキ『もう遅すぎる(時は過ぎてゆく)』

http://www.youtube.com/watch?v=ElFchu8HWl0


♪金子由香利『時は過ぎてゆく』

http://www.youtube.com/watch?v=7NX4SgbtapI


★ムスタキの歌が好きになった経過は以下に。

http://blog.goo.ne.jp/yoi41taka/e/2eae0f4c4ee29583bda05191fe310a8f






究極のブラック・ショート・ショート

2011-11-24 01:59:31 | 芸術・文化
  『絶対安全自販機』~究極のブラック・ショート・ショート

(私の頭がショートして、電源喪失www 錯乱の巷で……)  by高島与一


 今や、何でも自動販売機で売っている。最近で驚いたのは、大クワガタ、カブト虫、熱帯魚が売られているとのテレビ・ニュースだ。おコメ、生花、CD、パンスト、ブラジャー、化粧品、アイフォン、パック旅行のチケット、放射線線量計、罹災証明書、放射能付きガレキ、等など……。ネット・ショッピングの急成長に対抗するかのように、街角自販機ショッピングが息を吐く。原子炉は放射能を吐く。路上から電脳空間まで、仁義無き自由競争のフルマラソン24時間耐久レース、愛は地球を救わない。いや、救うのか……。ナベツネさん、いかが?

 「ホンマかいな……?」

 と、思う人は、相当に時代遅れである。一日二杯の酒でも飲んで、眠った方がいい。肴はとくに拘らない方がいい。

 最新の自販機には、音声案内も音楽も入り、デジタル店員が親切に誘導し応対してくれる。フランチャイズ・チェーン外食産業の店員のマニュアル化された定型応対よりも、遙かに多様で柔軟な接客をしてくれるのだ。

「マックシェークはいかがですか?」

 このデジタル店員装置が自販機以外にも波及・拡大し、外食産業の非正規労働者が次々とクビ切りに遭い、国民の所得格差は究極の二極化を辿りつつあるようだ。もちろん自販機には、最新式のコンピュータや節電の「無」計画停電時に備えた小型原子炉が内蔵されている。

 「ホンマかいな……?」

 と、思う人は、確実に時代遅れである。マイクで一曲、十八番(オハコ)を唄い、眠った方がいい。子どもには愚痴を聞かせない方がいい。河島英五がそう唄っていたから……。

 ただ困った事態が発生するようになった。商品の中に高級品が含まれているため、そういう自販機を狙った“自販機荒らし”が多発し出したのだ。もちろん、高級品を扱っている自販機は、当然お札も大量に溜まっているので、現金を狙うことも目的である。先日は、クレーンで自販機を吊り上げて運び去った荒っぽい手口も登場した。目撃者もいたのだが、あまりにも平然と「作業」が進められたため、実際に工事をしているのだと信じ込んでしまったと言う。

♪今日の~仕事は~辛かった~後は~焼酎を~あおるだけ~(「山谷ブルース」岡林信康)

 こういう大胆な手口は、某国のシンジケートの仕業に間違いないと、亡国の評論家たち、「専門家」たちがテレビでしたり顔の「解説」を喚いている。何でもかんでも某国の仕業にして、ナショナリズムを煽りさえすればギャラが稼げる電波貴族のお歴々が、「思考停止はいけない」とのたまう。「ガンバロー、ニッポン!」

 「あんたらが、思考停止やろ!」

 と、虚しくテレビに靴を投げつける卑屈さに自己嫌悪が増殖する。ヒクヒクと頬が引きつる。

 (そうだ、そうだ……。酔っ払いの顔が赤いのも、お猿のお尻が赤いのも、郵便ポストが赤いのも、アカの所為だ……)

とかなんとか、投げやりに、槍を投げ、匙を投げかける。

 (いかん、いかん……。ネバー・ギブアップ! シェーン・カムバック!)

 高額の現金狙いの防止策としては、キャッシュ・カード化が検討されているが、全国の自販機製造メーカーのカードの規格をいかに統一するかの利権争いが凄まじく、与野党の俗っぽい族議員たちに、札束が乱れ飛んでいるとの関係筋情報も存在する。そのあたりは、「週間ホスト」「週間現在」の独壇場だ。

民営化された警察公社のポリスマンが自販機の警備に当たっているが、とても人員が足らず、民営化すれば経費削減になるとの論拠が崩れ、政府も警察公社も対策に追われている。終にポリスマンを機械化し、自販機に内臓するシステムが警察公社の肝いりで開発された。同時に警察公社の強力な根回しによって、あれよあれよと言う間に、47都道府県で「自販機破壊防止条例」が成立し、ポリスマン内臓自販機が実質的に義務化された。

 センサーで異物を感知すると、自販機の上部からこん棒が3回振り下ろされる。それでも異物が退去しないと、中からピストルが発射される仕組みだ。これでは、ポリスマンという職業そのものが不要になりかねない。これは大きな社会問題であり、実際に社会問題化した。富山県で、失業を恐れたポリスマンたちが最新式の自販機をぶち壊す「自販機騒動」が勃発し、全国に波及した。自販機をぶち壊しに行ったポリスマンが、自販機が発砲したピストルの弾に当たって大勢負傷した。これは果して正当防衛か、と法曹界が放送界で侃々諤々議論を続けている。その間に、ポリスマンはドンドン病院に担ぎ込まれる。医師不足で病院をたらい回しされ、死者も出ている。

 ポリスマン内臓で駄目なら自衛官内蔵でと、民営化された自主防衛公団が乗り出し、終に自衛官内蔵自販機の試作品が完成した。センサーが異物を感知すると、3秒間マシンガンをブッ放し、それでも異物が立ち去らない場合は、ミサイルが発射されると言う。3分間は、せめて待つべきだと、インスタント・ラーメン業界の幹部は新聞にコメント。電力会社は、各原発に自衛官内蔵システムを採用することに乗り気になっている。これで崩れ去った“原発安全神話”が復活すると大喜び。旧約聖書の時代は終わったが、キリストの復活よろしく、新約聖書の時代が始るらしい。キリストで駄目ならムハンマドさ……。しかし、問題は地震じゃなかったのかな……。東電にセシウム入りハルマゲドンブリでも差し入れして、反省を促すか……。猿でも反省するのだから……。

 ただ、「自衛官自販機」が法律的に問題がないか、「法律学者」や「学識」経験者が諮問委員会で検討中。十手を持った「御用! 御用!」の御用学者が誤用される諮問委員会……。そんなんで、いいんかい? お前ら、岡引か! それがクリアされれば、国会に法案が上程される動きが急ピッチで進んでおり、予断を許さない緊迫した状況である……とかなんとか、新聞の隅っこに小さなベタ記事で書かれているが、国民の大多数は某国とのサッカー・ワールドカップ決勝戦に熱中しており、勝敗の行方は予断を許さない緊迫した状況である。ニッポン、チャチャチャ! オレ~オレオレオレ~♪ オレオレ詐欺か!

              ☆     ☆     ☆

 「絶対安全自主防衛自衛官自販機法」が、連立与党の圧倒的多数で、あっさり国会を通過してしまった。数合わせで野合した連立与党は困ったものだ。政策論議など不在でトコロテンを押し出すように、練り歯磨きを搾り出すように、法案を通過させてしまうのだから……。

「お母さん! この国の憲法はどこへ行ったのでしょう?」

最大与党「地震の会」の端下首相の独裁者的リーダーシップは一部で「ハシズム」と揶揄されているが、彼はドジョウよりツラの皮が厚い。蛙のツラにションベン。与党内少数政党、国民珍党の強面、元警察官僚のドン亀田が、いくらどやし付けても揺さぶってみても、端下首相は、「地震の会」は元々揺さぶるのが仕事だとうそぶき、「逢坂市と原発をブッ壊す!」と意味不明のワンフレーズを絶叫するのみ。ミニ小泉もいいとこ。盗狂ト知事の石腹珍太郎も「首都に原発を!」と言った手前、「壊さないで!」と真っ青。
「都構想、都構想ってね、あなた……。うちの都庁は高層だよ!」
と、意味不明の強がりを都庁記者クラブで叫ぶ石腹閣下。敬礼ッ! カシラ~、右ッ! 右向け~、右ッ! あんた、右しか見ないの……!?

              ☆     ☆     ☆

 あれからしばらく経過した。

 上には上がいるもので、裏の裏をかいて、「自衛官自販機」からミサイルを盗み出す奴が現れたので大変な騒動に。

 AHOテレビのニュースは、「犯人グループは、テロリストのアル会だ!」と決め付けている。どの会だ!?
 官房長官は「ただちに健康に影響はありません!」と常套句。そればっかり言って来たので、口癖になってしまったのかも知れない。

 密かに開発が進んでいた核ミサイル搭載の自販機が、満を持して登場。いったん進みだした大きな流れは、大河の流れをせき止めるのが困難なように、なかなか難しいのだ。脱ダムもなし崩しに崩れ去った。

 ところが、核ミサイルを盗み出そうとする奴が現れた。一般庶民との交際を禁じられた893さんたちが、トサカに来たのかも知れない、と消息通や関係筋。どの筋や!? 御堂筋! しかし、どうも陰謀臭い……。しかも、小型原子炉内蔵の自販機を荒っぽくダイナマイトで爆破しやがった! 自販機爆発は次々に連鎖し、地震列島のお祭りの打ち上げ花火が一斉に炸裂したように、轟音と爆風、臨界、メルトダウン、核爆発の連鎖、そして死の灰、黒い雨……。


             ☆     ☆     ☆







             ☆     ☆     ☆

この空白は、いったい何だ?

私は、誰……? ここは、どこ……?

今は、いつなんだろう……?

記憶というものがない……。

そうだ、僕は、「鉄腕アトム」だった……。妹のウランは、どこにいる……? 弟のプルト二ウムは……? あの灯はランプさん、あれは自家発電か……?

僕は、ラララ科学の子として、お茶の水博士によって、この世に生み出された。科学と原子力による明るい未来を担うシンボルとして……。だが、だが、今では、ビキニ環礁で眠りから覚めたゴジラの怒りが痛いほど解る。僕だって眠い時に水爆実験をかまされたら間違いなく怒る。僕は、科学の子としてではなく、愛の子として生まれたかった……。果して、愛は地球を救うのか……。そう信じたい! 神よ! どうか、仰って下さい! 愛は永遠なりと……。 僕は、火の鳥になる! 不死鳥、フェニックス……。フクシマはフェ二ックス! もうエネルギーが切れる……。生きたい! お母さ~ん!

つづく

……どこへ、つづく……THE END OF THE WORLD     完

(エンディング・ロール)

作:高島与一

音楽:忌野清志郎、岡林信康、高島与一


今、世界中に脱原発のゴジラが徘徊している……。地球は、再びジュラ期を迎えた。

「アッ! フェニックス!」


♪ラブミ~テンダ~ラブミ~ディア~何言ってんだ~馬鹿野郎 ウソ吐くな~長生きして~ナ~

故、忌野清志郎に合掌! ジャンルは違うけど、山本太郎さんが、頑張ってますよ!


♪この世にオイラが生まれても

なんでお前は生まれたか

訊いてくれるな知らぬから

それじゃ一人で考えよう

オイラが生まれたその理由(わけ)を

Let's think about it !


オイラが歩くこの道は

果して合っているだろか

教えておくれ解らない

自我とは愛とはその訳を

Please teach me it !


この世にオイラがいなくても

それで世界は変ろうか

だけどこの眼で確かめよう

オイラの道のその先を

Let's make sure it !


世界の重みをヒシヒシと

感じる社会の現状に

ドッコイ! オイラは立ち向かう

その場でなかまと繋がろう

手と手を結び一歩ずつ

Let's walk step by step !

(「I t !~生きた証(あかし) 」  作詞:高島与一)



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