みなさま
夜分申しわけありません。重複の場合はご容赦を御願いいたします。
高島与一
標記行動に私は参加します。
先日お知らせしたように、「被災者支援・放射線被ばくを許さない会」として賛同団体になっています。
「脱原発」・「ガレキ広域処理反対」で、大同団結です。
お時間が許す範囲で、可能な時間帯にお越しくださればと思います。よろしく御願いいたします。
【以下転送】
17日のプレスリリースの件です。
17日の要望書提出の場所が、秘書課からの申し出で、変更されています。それも含め再度プレスリリースで呼び掛けています。
ぜひ心当たりの報道関係の方々に下記より「チラシ」と「プレスリリース文」をお送りください。よろしくお願いします。
下記のリンクからダウンロードできます。
チラシ
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=c576c984-6901-4aba-9d14-84ba094ccf52
プレスリリース文
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=74920943-f5fb-4b4a-bbd4-0e8e30635795
当日、市に提出する予定の要望書の内容です。
要望書
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=531a41e8-3193-4e0d-8479-74291122d157
夜分申しわけありません。重複の場合はご容赦を御願いいたします。
高島与一
標記行動に私は参加します。
先日お知らせしたように、「被災者支援・放射線被ばくを許さない会」として賛同団体になっています。
「脱原発」・「ガレキ広域処理反対」で、大同団結です。
お時間が許す範囲で、可能な時間帯にお越しくださればと思います。よろしく御願いいたします。
【以下転送】
17日のプレスリリースの件です。
17日の要望書提出の場所が、秘書課からの申し出で、変更されています。それも含め再度プレスリリースで呼び掛けています。
ぜひ心当たりの報道関係の方々に下記より「チラシ」と「プレスリリース文」をお送りください。よろしくお願いします。
下記のリンクからダウンロードできます。
チラシ
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=c576c984-6901-4aba-9d14-84ba094ccf52
プレスリリース文
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=74920943-f5fb-4b4a-bbd4-0e8e30635795
当日、市に提出する予定の要望書の内容です。
要望書
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-eowtpvcvead3paxn7sfsedhtiq-1001&uniqid=531a41e8-3193-4e0d-8479-74291122d157
各位
高島与一
関西における「震災ガレキ広域処理」問題が急展開しています。大阪市が此花区でガレキ受け入れについて住民説明会を2度開き、橋下市長は受け入れ表明しました。
関西広域連合は、フェニックス(神戸沖、尼崎沖、大阪湾の大阪市沖、泉大津沖の4箇所)に焼却灰受け入れの要請をすることを表明しました。神戸沖と大阪市沖は海面埋め立てのため、問題が多く、尼崎沖と泉大津沖は埋め立てが既に完了して、埋め立て地の再利用の段階になっています。したがって、この2つは海面埋め立てとはならないで、地中埋め立てになるとの理由で、この2箇所が狙われています。泉大津沖は太陽光パネルの設置が決まっていて、焼却灰埋め立ての土地の確保が困難であることがあり、有力な候補地として尼崎沖が狙われています。
橋下大阪市長は、大飯原発再稼働容認もそうですが、このガレキ広域処理でも、大阪都構想推進との裏取引を現政権と行った可能性が大です。
細野~環境省官僚は、ガレキ受け入れ方針に関して、省益、面子、利権により、成果を宣伝したいがために、大都市である北九州市と大阪市は何としても突破したいと考えているようです。
こうした情勢の緊迫の中で、関西のお母さんたち有志が動いており、17日大阪市庁で記者会見し、18日10~15時大阪市庁前で座り込みを提議しています。私も座り込みに参加します。
賛同人、賛同団体を求めており、当会および高島個人が賛同しました。事後承諾になりましたが、ご理解をお願いします。個人の賛同人として名前を公表しても差し支えないという方は連絡してあげてください。
以下にアピールを貼り付けます。
なお、13日金曜日は関電前行動の日ですが、西宮市勤労会館(阪神西宮、東10分)で19時から、ガレキ問題で山本節子さんの講演会があり、高島はそちらに参加しますのでご了承下さい。
【以下転載】
みなさまこんにちは。
添付のアクションについて、発起人の中村さんに代わり、投稿いたします。
以下、文責・小東。
ニュアンスがうまく伝わってなければ、わたしの文章力のせいです。すみません。
====================
みなさまご存じの通り、大阪市による非民主的な震災ガレキ受け入れの動きに対し、
まずは大阪市議会に対して陳情作戦が行われ、市内外から555通もの陳情書が届いて、議会関係者も驚いているような状況です。
しかし、聞くところによれば、補正予算にすでに瓦礫処理費用が計上されており、17、18日?の民生保健委員会で予算が可決されれば、手続き上は少なくとも大阪市での瓦礫受け入れが決定してしまいます。
同時に、松井大阪知事や関西広域連合(長は井戸兵庫県知事)がフェニックス尼崎沖での受け入れが可能となるよう関係自治体に圧力をかけていますので、公有水面埋め立て許可権限者の兵庫県は、すんなり変更してしまう可能性があり、更に廃棄物処理法上の設置許可権限者である尼崎市経済環境局に対しても許可変更手続きを迫ってくるでしょう。
変更申請をするのはフェニックス本社ですので、このままでは尼崎市が押し切られ、更に下手をすると、議会の反対で止まったはずの西宮が、市長の一存で焼却→尼崎沖埋立、となる可能性も高まっています。
まさに、大阪市のみならず、瀬戸内全体の危機が今そこにあるわけです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120701-OYT1T00383.htm
関西がれき受け入れ先、トップ判断で…大阪知事
事実、此花区での大阪市による非民主的な住民説明会の最終回に、西宮の環境課長が来ていました。
(西宮の環境課職員は危険を認識しており、市職労も反対の立場。だが立場上市長に逆らえない)
この情勢を受け、次なる作戦は「広域処理に批判的な科学者と市民による大阪市への申し入れ行動&座り込み」です。
これは、子ども環境ひょうご川西支部の中村さん、それから豊中の西田さん、高槻(時々富山?)の佐野さん、の3人の「母」と、最初に彼女たちに意見書をくれたりして主旨に賛同してくれた滋賀の畑先生、橋本医師ら「科学者や専門家」からなる「母と科学者の会」が呼びかけたものです。
そこで、皆さまにお願いです。
添付のチラシを見ていただき、主旨にご賛同いただけるようでしたら、裏面の「賛同団体」または、「賛同人」「避難者」(個人名義)での掲載に手を挙げていただければありがたいです。
複数の団体名での賛同も可です(わたしなどは子ども環境ひょうご神戸支部、マダム会議の2団体と個人です)。
要は、「様々な分断を超えて、命を守りたい」という主旨にご賛成いただける方であれば、年齢、性別(「母」とありますが、父や、子供のいない方ももちろん可)、職業、国籍、思想信など、一切問わず、です。
また、17日の申し入れ行動、また特に18日の座り込みにご参加いただくのも、大歓迎です。
18日午前中の座り込み行動に際しては、おかとんさんが動員をかけます。
その他、ご参加のMLや個人的なご友人などで、賛同者を募っていただけるなら、なおありがたいです。
あまり時間がありませんが、ご検討の上、よろしくお願いします。
高島与一
関西における「震災ガレキ広域処理」問題が急展開しています。大阪市が此花区でガレキ受け入れについて住民説明会を2度開き、橋下市長は受け入れ表明しました。
関西広域連合は、フェニックス(神戸沖、尼崎沖、大阪湾の大阪市沖、泉大津沖の4箇所)に焼却灰受け入れの要請をすることを表明しました。神戸沖と大阪市沖は海面埋め立てのため、問題が多く、尼崎沖と泉大津沖は埋め立てが既に完了して、埋め立て地の再利用の段階になっています。したがって、この2つは海面埋め立てとはならないで、地中埋め立てになるとの理由で、この2箇所が狙われています。泉大津沖は太陽光パネルの設置が決まっていて、焼却灰埋め立ての土地の確保が困難であることがあり、有力な候補地として尼崎沖が狙われています。
橋下大阪市長は、大飯原発再稼働容認もそうですが、このガレキ広域処理でも、大阪都構想推進との裏取引を現政権と行った可能性が大です。
細野~環境省官僚は、ガレキ受け入れ方針に関して、省益、面子、利権により、成果を宣伝したいがために、大都市である北九州市と大阪市は何としても突破したいと考えているようです。
こうした情勢の緊迫の中で、関西のお母さんたち有志が動いており、17日大阪市庁で記者会見し、18日10~15時大阪市庁前で座り込みを提議しています。私も座り込みに参加します。
賛同人、賛同団体を求めており、当会および高島個人が賛同しました。事後承諾になりましたが、ご理解をお願いします。個人の賛同人として名前を公表しても差し支えないという方は連絡してあげてください。
以下にアピールを貼り付けます。
なお、13日金曜日は関電前行動の日ですが、西宮市勤労会館(阪神西宮、東10分)で19時から、ガレキ問題で山本節子さんの講演会があり、高島はそちらに参加しますのでご了承下さい。
【以下転載】
みなさまこんにちは。
添付のアクションについて、発起人の中村さんに代わり、投稿いたします。
以下、文責・小東。
ニュアンスがうまく伝わってなければ、わたしの文章力のせいです。すみません。
====================
みなさまご存じの通り、大阪市による非民主的な震災ガレキ受け入れの動きに対し、
まずは大阪市議会に対して陳情作戦が行われ、市内外から555通もの陳情書が届いて、議会関係者も驚いているような状況です。
しかし、聞くところによれば、補正予算にすでに瓦礫処理費用が計上されており、17、18日?の民生保健委員会で予算が可決されれば、手続き上は少なくとも大阪市での瓦礫受け入れが決定してしまいます。
同時に、松井大阪知事や関西広域連合(長は井戸兵庫県知事)がフェニックス尼崎沖での受け入れが可能となるよう関係自治体に圧力をかけていますので、公有水面埋め立て許可権限者の兵庫県は、すんなり変更してしまう可能性があり、更に廃棄物処理法上の設置許可権限者である尼崎市経済環境局に対しても許可変更手続きを迫ってくるでしょう。
変更申請をするのはフェニックス本社ですので、このままでは尼崎市が押し切られ、更に下手をすると、議会の反対で止まったはずの西宮が、市長の一存で焼却→尼崎沖埋立、となる可能性も高まっています。
まさに、大阪市のみならず、瀬戸内全体の危機が今そこにあるわけです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120701-OYT1T00383.htm
関西がれき受け入れ先、トップ判断で…大阪知事
事実、此花区での大阪市による非民主的な住民説明会の最終回に、西宮の環境課長が来ていました。
(西宮の環境課職員は危険を認識しており、市職労も反対の立場。だが立場上市長に逆らえない)
この情勢を受け、次なる作戦は「広域処理に批判的な科学者と市民による大阪市への申し入れ行動&座り込み」です。
これは、子ども環境ひょうご川西支部の中村さん、それから豊中の西田さん、高槻(時々富山?)の佐野さん、の3人の「母」と、最初に彼女たちに意見書をくれたりして主旨に賛同してくれた滋賀の畑先生、橋本医師ら「科学者や専門家」からなる「母と科学者の会」が呼びかけたものです。
そこで、皆さまにお願いです。
添付のチラシを見ていただき、主旨にご賛同いただけるようでしたら、裏面の「賛同団体」または、「賛同人」「避難者」(個人名義)での掲載に手を挙げていただければありがたいです。
複数の団体名での賛同も可です(わたしなどは子ども環境ひょうご神戸支部、マダム会議の2団体と個人です)。
要は、「様々な分断を超えて、命を守りたい」という主旨にご賛成いただける方であれば、年齢、性別(「母」とありますが、父や、子供のいない方ももちろん可)、職業、国籍、思想信など、一切問わず、です。
また、17日の申し入れ行動、また特に18日の座り込みにご参加いただくのも、大歓迎です。
18日午前中の座り込み行動に際しては、おかとんさんが動員をかけます。
その他、ご参加のMLや個人的なご友人などで、賛同者を募っていただけるなら、なおありがたいです。
あまり時間がありませんが、ご検討の上、よろしくお願いします。
「福島を切り捨ててはならない」山田 真(小児科医)
http://qc.sanpal.co.jp/info/1520/
【以下転載】
放射能を感じることが重要
今この会場の線量は0.06マイクロシーベルト。放射能はその存在を忘れてしまいがちだが、私たちのまわりにはいっぱいある。忘れてしまうと国や東電の責任を免罪してしまう。私は線量をいつも計るようにしている。私の持っている測定器は10万円ほどの器械。高価だから個人で持つのは大変かもしれないが、グループで持って測って放射能を実感したほうがいい。
放射能について国はいいかげんな計測しかしていない。東京都は新宿で測っている値を発表しているが、このところ0.05マイクロシーベルトくらいになっている。しかし江東区は0.15~20マイクロシーベルトくらいある。国民は正確な情報を知らされていないので、嘘になれてしまっている。福島は「あきらめた」という状態になっている。国・県・専門家、誰も信用できないから要求もしない。自分たちだけで守っているので限界があるが、国や県に要求するとろくなものが返ってこない。このごろ福島に行くと「それでいいのか」と思い、切ない気持ちになる。
救援連絡センター設立のころ
救援連絡センターができたころは、東大闘争からはじまる全国学園闘争があり、市民や労働者の闘いがあり、日常的に逮捕者やけが人が出た。1968年の東大闘争のとき私は卒業して医者になっていた。医療救対ということでデモ隊について救急箱を持って一緒に走ったが、とても処置できないので、慈恵医大を拠点にして一時的な野戦病院を作り、救援活動をしていた。なりたての医者を集めたが、人のけがを縫ったこともない医者もいた。けがをした人のなかには、あそこで縫うよりは捕まったほうがいい、という話もあった。かなり滅茶苦茶な医療をやっていた、と今思う。
そういうなかで、共産党系の国民救援会はあったが、対抗するものを作ろうと救援連絡センターを作った。亡くなられた水戸巌さん、郡山吉江さん、私が医療側ということで3人くらいで始めた。今回、水戸さんのことを思い出したが、水戸さんが生きていたら嘆かれたろう。水戸さんは、原子力の専門家で原発に反対し、原発労働者の被曝問題にも関わっていた。水戸さんが生きていたら今回の原発事故は起きなかったかもしれない。
獄中医療については、拘置所に毎週かよったこともある。制限時間なしに接見していたが、実際には金網越しにしか見ることができなかった。先進国といわれる国のなかで、日本の獄中医療は劣悪だ。私が関わっていた30、40年前から良くなっていない。獄中にいる、存在することで起きる病気を「獄原病」という名前をつけた。「現代用語の基礎知識」の今年のキーワードというので載ったこともある。外の医者が行って治療する、その判断によって本人が希望する病院で治療するということを確立しなければいけない。密室治療は恐ろしいと思うそんな経験をしてきた。
日本が放射能に無警戒なのは何故か
昨年、3月11日に福島原発で大事故が起きたが、その半年くらい前に「母の友」という雑誌の連載で医療被曝のことについて書いていた。日本人は放射能について警戒心がない、という問題提起をしていた。広島・長崎を経験していながらどうして医療被曝のことが問題にならないのか不思議だった。5、6年前、ヨーロッパの科学者が世界中の医療で使われる放射線の現状について調べた。日本はレントゲンを撮る率がきわめて多い。学校で全員がレントゲン検査をやることは、日本しか行っていない。欧米では労働者への検診は、被曝するデメリットと診察のメリットを考えると意味がない、ということでやられていない。
最新の機械であるCTの時代になってアメリカなどと比較して日本が何十倍も被曝している。CTの3分の1は日本にある、といわれている。日本人は欧米に比べて何十倍か被曝している。ヨーロッパの専門医達が不思議がるのは、日本は広島、長崎で被曝して放射能の怖さを知っている国民であるはずなのに、放射能を警戒しないのはどうしてか、ということ。ヨーロッパの科学者達が計算すると、治療のメリットと被曝のデメリットを比較すると発ガンのデメリットのほうが大きく、レントゲンということがプラスになっていない。にもかかわらず日本では話題にならないのはどうしてか、と言っている。日本の専門家達はヨーロッパから言われるけど放射能の危険性についてどうやって計算して出すのかと言う。広島の被曝者の資料しかなく、広島の被曝の仕方と医療の被曝はスタイルが違う。だから、広島を資料にして危険だ、と言われても耳を傾ける必要がない、と言うのが日本の科学者の態度。
日本が放射線に無警戒なのは何故か、これまで解らなかったが、今回、3・11福島原発事故ではじめて解った。日本は被曝国だから、放射能に対する発言権を世界で一番持っている。核保有国としては、日本人に一番安全だと見てもらわなければ困る。それで、原爆が落とされて以降周到にアメリカによって作られたABCCという機関を通じて、被曝の実態をなるべく小さく見せてきた。福島で起きたことは、広島、長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故という一連の流れの中にある。広島、長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故の人々が受けてきた過酷な隠蔽工作が福島で明らかになった、ということである。
福島の子どもたちの現状
福島の現状は、被害を訴えているにもかかわらず、見捨てられようとしていることが明らかになってきた、ということだ。私は昨年6月にはじめて福島に行き、その後10回くらい行った。福島の子どもたちの健康相談会をやっているが、実際には子どもたちのからだに大きな変化は今のところは起きていない。だが今起きていないというのが実は怖いことで、10年、20年たって起きても何の補償も出ない可能性がある。広島よりもひどい状態が起きるのではないか、相談会でも親御さんはそれを心配している。多いときは10人くらいの医者が集まって相談会を担当するが、1人1時間くらいひたすら聞く。そして、私たち医者ができることは多くない。大丈夫だと言うわけにもいかないし、こんなふうに危険だとも言えない。一緒に続けて闘おう、子ども達をきちっと見続けようとしか言えない。最初のころは「避難しようかどうか」という相談が主だった。そして、避難できる人たちは福島を離れた。自主避難する人を非難する人がいるが、それはおかしい。避難する人たちは基本的に正しい。
ところでぼくの自宅へ昨日までモンゴルの人たち五人ほど来客があった。モンゴルの人達が日本に観光でやってくるのは危険かと聞かれて私は答えることができなかった。どうしても返事をしろ、東京は安全かと聞かれたら、「小さい子はこないほうがいい」としか言えない。
福島現地で起きている分断
福島では最初のころも分断が起きていた。大きな事故が起きるとさまざまな差別が起きる。福島は3つの地域に分かれている。原発のある浜通り、福島から郡山へ向かう中通り、そして会津という地域。原発があれば豊かになるよと宣伝して、浜通りという貧しい所へ原発を持って行った。
浜通りは回復できない、と国は思っているだろう。会津は福島の中では東京並に線量が低い地域が多いのに福島とひとまとめにされて、農産物も売れず困っている。中通りは深刻な状態にあって、さまざまなところがある。福島市は完全に沈黙させられているが、郡山は闘いが組めている、いわきは復興を目ざしている、というふうにさまざまなのだ。
地域的な分断のほかに、いろいろな対立がある。避難していた人と残った人、家族の中でもお母さんは子どものために避難したいと思う、お父さんは仕事があるから避難できない、おじいちゃん・おばあちゃんは「たいしたことないと言われているから、ここに残っていても大丈夫だ」と言う。家の中でも意見が違い、家族のなかでも厳しい状況がある。私たちは「小さな子どもたちは避難したほうがいい」と言っている。
6月のころは相談会もなごやかな雰囲気だった。7月になって戒厳令になったという気がした。福島では放射能が不安だと言うとバッシングを受ける状態になっていた。とりわけ福島市が強くいろいろな規制をしている。外に出ている子どもに対して、「早く教室へ入ったほうがいい」「長袖のシャツを着ていたほうがいい」くらいの注意をした教師に育委員会から指導が入る。それで、何人かの学校の先生が辞めている。
医師会は放射能を無視
福島市の医師会は全員「放射能は心配ない」と口裏を合わせることになっている。最近は子どもを連れたお母さんが受診して、放射能と一言いうと横を向き診てくれないという状態になっている。山下俊一教授という悪名高いピエロがいるが、実は悪の中枢ではない。前面に出てきて非難されても英雄気取りになっている山下みたいのはどこにでもいる。亡くなった重松逸浩とか長崎大の長滝重信とかもっと悪い人がいる。昨年9月に福島で国際会議が開かれ「もう福島は収束した。将来も健康被害はない」と宣言されてしまったが、主催したのは日本財団だった。福島では健康被害なしとするため山下などが動いている。
福島の個人病院で健康診断をしようとしたら、福島市からストップがかかり、「山下さんと相談してからやれ」と言われた。山下としては自分たち以外の健康診断はやらせない。勝手にやった健康診断で被害はなし、将来も大丈夫と言ってしまう。他のところでやるとそういう結果は出ないわけだから、自分たちの健康診断のおかしさが暴露されてしまうから止めている。それで、福島の医者は動きがとれない。
食物による内部被曝を減らしたい
外部被曝を避けようとしてずっと家にこもっているわけにもいかないので、まず、食べ物・飲み物による内部被曝を減らしたい、と思っている。福島の小中学生が日本で一番福島産の食材を食べている。総理大臣がカイワレを食べたという下らないパフォーマンスはあるが、そのパフォーマンスを福島の子どもたちが集団でやらされている。ただちに被害は出ていないから「大丈夫だろう」と微かな期待をかけさせられ、福島の子どもたちが福島産の食材を食べさせられ、牛乳を飲まされている。福島産以外の食材を使ってほしいと要求する親はまわりの保護者から非難される、というとてもつらい状況になっている。
何とか避難できる人たちは避難した。福島で運動してきた人もかなり福島から引っ越した。これまで、福島が危険だと言いながら福島を出ないということで、「危険だと言いながらいるのだから、本当は危険ではないのではないか」という声が浴びせられた人もいる。「残るも地獄、出るも地獄」と言われている。東京に避難している人たちも楽に生活しているわけではなく「福島に帰りたい」と思っている。避難先も1位は山形で、2位は米沢で、3位は新潟、4位北海道という順序になっている人が多い。一旦出ると、例え将来線量が減ったとしても帰れないと思っている人が多い。
また、福島出身ということで差別されるのではないか、という気持ちが非常に強い。実際に子どもを幼稚園に入れようと連れて行ったら「福島の人は遠慮して下さい」と断られた例がある。人権問題にしようと思ったが、お母さんが「幼稚園の名前は絶対に言わない」と頑なに拒否するのでそれ以上できていない。
福島で健康相談会をはじめて驚いたのは、400人くらいきたこと。東京でも沢山くるだろうと思って東京で相談会を開いたが30人くらいしかこなかった。福島の人たちは避難先で福島出身ということを明かさない、としているようだ。例えば江東区の東雲(しののめ)に固まって避難している人たちは、福島出身だということがわかっているはずだが、それでも外と連絡をとりたくない、という人が多い。広島の被曝者が被曝者であることを隠してきた、ということを福島の人たちが知っているわけではないと思うが、直感的にわかるのかと思う。福島のお母さんと話していると、女の子は福島とわかると結婚できなくなる、子どもを生めないのではないかと心配している。福島という名前で差別されるということを実感している人たちが多くなっている。
被曝と補償の関係
福島に残った人で「心配だ、不安だ」という人には風評被害だ、という非難が集中するというつらい状況にある。どうして山下俊一教授が活躍して「なんでもない」と言うかというと、補償の問題があるからだ。平凡社新書で出ている「被ばくと補償」という直野章子さんが書いた本がある。「広島、長崎そして福島」と書かれているが、広島での補償の状態が書かれている。
広島で被曝した人たちについて、いろいろな形で書かれている。直接、爆心地近くに入って動き回った人たちも被曝の対象になっているが、遺体を10体以上収容・処理の作業をした人が被曝者と認定されている。9人の遺体を処理した人は被曝者にならないけれども、10人を処理した人は被曝者になっている。あとから被爆地に入って遺体を収容したお母さんや、背中に負ぶわれていた子どもで被曝の対象になるのは2歳以下の子ども。実際に赤ちゃんを背中に負ぶったお母さんが小学校の子どもの手を引いて被曝者10体以上の収容を手伝ったが、赤ちゃんとお母さんは認定されたが、小学生はどこにも入らなかった。3人連れで歩いていながら、小学生だけ認定されない、という悲惨なことが起きている。
実際に今問題になっているのは、内部被曝、低線量被曝であり広島では補償されていない。沢山の被曝者が切り捨てられている状態で、今、低線量被曝について語ることができるのは、肥田舜太郎さん、矢ヶ崎克馬さんといったお医者さんたちだが、この人たちは被曝者の訴訟に関わってきた人。そういう人たちしか低線量被曝した人たちに寄り添ってこなかった。ほかの人たちは、多くの専門家たちは低線量被曝、内部被曝はない、ということにしてきた。
1991年に亡くなった中川保雄さんという人が書いた「放射線被曝の歴史」という本や、チェルノブイリのあとカール・Z・モーガンという国際放射線防護委員会で最初の委員長だった人が1994年に書いた「原子力開発の光と影」という労作がある。モーガンという人は、低線量被曝、内部被曝を告発したから委員長をおろされた。「モーガンは立派な人だが、精神状態に異常をきたして変なことを言うようになった」という情報が日本に入ってきたが、この本はモーガンが九一歳の時に書かれたもので立派な本。モーガンやゴフマンなどは追放されている。ロシアでもチェルノブイリで真実に近いことを伝えた学者たちは、ほとんど追放された。旧ソ連の学者ではヨーロッパに亡命している人もいるし、汚職をデッチあげられて禁固刑になった人もいる。放射能の健康被害について告発した人たちは、ことごとく抹殺されてきた。今回の福島についても最初から被害隠しが行われている。
研究材料としての健康診断
国は勝手に健康診断して、あとになって「なんでもなかった」という結果を出してくる。東海村の臨界事故で3人の作業員が高線量の被曝をしているが、2人亡くなって1人はその後どうされたかよくわからない。それ以外に二百数十名の人が被曝している。この人たちは体の中のナトリウム量を調べ、1番多い人で42シーベルトだった。それで、50ミリシーベルト以下では将来にわたって影響はない、ということで事故調査委員会は終わりにしてしまった。蓋はしてしまったが、この人たちは毎年健康診断をしている。広島もそうだが、治療の対象ではなくて研究材料にされている。アメリカにとって広島・長崎は爆弾の威力を計る実験だったわけで、放射線の被害を浴びた人たちがどんな状態か知りたかったはず。そういう意味では調査・研究はするが、「健康被害が出るかもしれない」と言うと拙いのでそういう言い方はしない。東海村事故の時も毎年やる健康診断については、「健康被害はないのだから毎年やる必要はないが、住民の中に不安を持つ人がいるので不安を解消するために健康診断をやる」と言っていた。
今回の福島についても18歳以下の甲状腺癌の調査をやる、ということを発表した際に、東京新聞の記者が山下教授に聞いたら、「健康被害はないのだから、本当はやる必要がないのだが、住民の不安に応えるため」と言った。健康診断をやる場合、最初から「全員異常がでない」ということなら健康診断などやる必要はない。今、福島では「ない」と想定した上で、健康診断をやっている。
最初、浪江地区とか大熊地区とかの強制避難地域の住民には、60ページの分厚いものが渡されて、3月11日以降の、行動記録、食事記録を全部書けと言う話だった。そんな周辺の人たちは11日から14日くらいほとんど何の情報もなく、食事のことなど覚えていない。私たちが東京で水素爆発の状況をテレビで見ていた時に、水素爆発を知らなかったという人があの地域に多数いる。ほとんど噂がネットで伝わったという状態で、電話も電気も使えない状態だった。
3月12日の沢山の放射能が降り注いでいる状態で、背中に赤ちゃんを負ぶって屋外で待っていた、というお母さんが何人もいて悔やんでいる。東電や国を責めるのではなく、自分を責めている。自分がうかつで情報をつかめなかったために、この子をこんなにしてしまった、と思っている。お母さんの責任ではなく、国や東電が悪いのだが、実際にはそういう人たちが多い。避難所にいれば、食事の状態なども分かるのだが、日常生活の延長は特別なことがないから覚えていないし、書けない。回収率は悪かったのだが、行政が書けというのでかなりの人が書いた。その結果、勝手に線量が1人1人出され、「このくらいの線量しか浴びていないので一生健康については問題ない」と書かれたものが返ってきている状態。こんなものが信用できるわけはない。
全ての問題は被曝の問題だ
結局、全ての問題は被曝に対してどう補償されるのかという問題であり、現地の人達も私たちも被曝手帳を早く作れと言ってきたが、作らないし、被曝者認定はしていない。実は被曝者という言葉は使わない方がいい、という意見もある。被曝者と言うと証明しなければならない。どのくらいの線量を浴びたという線引きがされてしまう。それは被害者を限定することになる。実際には被曝量はわからない人が多い。被曝者というより被害者というほうが正しい、と思う。そして、最低限、一生にわたる補償をしてくれないと困る。
国は補償を少なくするためには被曝者を最小限にしようとする。結局チェルノブイリでも、国際的には被害を最小限にして子どもの甲状腺癌だけが被害であるように言ってきた。しかし、それ以外に大人にも子どもにも各種の癌が増えているし、免疫力の低下や循環器の異常などさまざまな被害が出ている。しかし、因果関係が証明されないということで、原発の被害ということになっていない。甲状腺癌については隠しきれなかったということだが、日本では甲状腺癌さえも隠そうとしている。
補償の問題になると因果関係の立証ということになるが、放射能が原因ということを証明することはほとんどできない。どれが原因か明らかにする力は今の医学にはない。放射能特有の症状というのはないので、ある地域で年間1人しか甲状腺癌が出なかったのに、10年後に10人に出たとしたら、影響があったと認めなければならない。だが、1人1人放射線の影響があった、なかったと見分けることは医学の力ではできない。そうすると、全ての子どもに放射線の影響はないとして切り捨てるか、全ての子どもに影響があり補償の対象にするか、どっちかしかない。加害者側がそうじゃないと証明できないかぎり、全ての人に補償すべきである、というのが森永ヒ素ミルク中毒事件、水俣病でやられてきたもの。これが福島では非常にしにくい。ひとつは地域が限定できない、そして被害者が非常に多いことが要因である。
マスコミの状況と避難問題
今、渡利地区が問題になっている。しかし、こうした現地の情報が全国に伝わらない。東京新聞、共同通信くらいは現地に入って取材しているが、ほかのところは現地取材をしないで記者クラブ情報だけ。福島民報は県の御用新聞みたいになっているので「福島は大丈夫・安全」「全ての検査をしたが何の被害も出ていない」という報道しかしない新聞になっている。その受け売りをしている東京の新聞を読んでも、福島の状態はわからない。
渡利地区は福島の中心部に近い地域、阿武隈川をはさんだ向かい側が官庁街という立地。渡利地区を汚染地区にすると、福島市全域を避難地区にせざるを得ない。福島市全体を避難地区に指定すると、20万人規模の人達が補償の対象になる。渡利地区は線量を測ってみると4マイクロシーベルトという東京から見れば100倍くらいの線量があったりする。実際に2月に相談を受けたおじいちゃんは「家の中であちこち線量を測ったら20マイクロシーベルトもある場所があった」という、恐ろしい地獄のようなところで暮らしている。福島が避難地区と認められないと、それより少し低い郡山などは到底認められない。渡利地区は橋頭堡のところであり、渡利地区を認めさせることができれば、もう少し避難地区を広げられる。そのへんのところで闘いが止まっている、というのが今の状態である。
実際に水俣病の闘いのことなど考えれば、今度の事故で東電という会社の入口は座り込まれて、機能停止になっていても当たり前だと思うが、敵が国なのか東電なのか見えにくい状態になっている。私は、もはや国が相手ではなくて核保有国・国連レベルの問題であると思う。基本的には、アメリカの問題だと思う。情報もアメリカが流していい、という情報は流せるが、流していけない、という情報は流せない状況であって、山下俊一教授をはじめ専門家といわれる人達もアメリカの傀儡だと思う。ABCCの流れを酌み放射能の被害をできるだけ低くするように、世界規模で押さえつけている。福島原発事故は非常に大きな事故であって、世界的に見て大変なことが日本で起こっているのだ。
集団訴訟を起こし、福島を切り捨てない
これから何をするかだが、非常に大きな問題が沢山あって、とにかく早いうちに集団訴訟を起こすことが必要だと思う。今は10何人の訴訟が行われているが、もっと大きな訴訟にする。東京など被災地だと思っている人達を集めて大きな訴訟にしていかないと、風化し新聞社も関心を失っている状態になっていく。とくに今年になってから、避難という言葉もあまり使われなくなり、かわりに保養をすすめようということになってきた。
これまで、子どもたちを1週間、10日と疎開させるということをやっていたが、その程度のことでは間に合わない。子どもたちの体の中からセシウムを出すために、北海道と福島の学校が提携し、1年生が北海道の学校に通って1ヵ月したら帰ってきて、その後2年生が行くとか、長期の月単位の保養をしていこうという話になっている。それは、国が何もしない、補償の見通しもない、生活を立て直してくれるという方向性も見えないなかで、悲しい選択だと思う。
私たちは、沖縄を切り捨て、広島を切り捨て、長崎を切り捨ててきた。そして何もなかったかのように復興してきた。福島についても、福島を切り捨てた上で復興しようという姿勢が国に見えている。その中で切り捨てられまいとして、福島があがいているというのが今の状態だと思う。福島の問題は福島だけの問題ではない。私たちは、沖縄、広島、長崎、第五福竜丸を切り捨ててきたという歴史を今こそ断ち切らなくてはならない。
http://qc.sanpal.co.jp/info/1520/
【以下転載】
放射能を感じることが重要
今この会場の線量は0.06マイクロシーベルト。放射能はその存在を忘れてしまいがちだが、私たちのまわりにはいっぱいある。忘れてしまうと国や東電の責任を免罪してしまう。私は線量をいつも計るようにしている。私の持っている測定器は10万円ほどの器械。高価だから個人で持つのは大変かもしれないが、グループで持って測って放射能を実感したほうがいい。
放射能について国はいいかげんな計測しかしていない。東京都は新宿で測っている値を発表しているが、このところ0.05マイクロシーベルトくらいになっている。しかし江東区は0.15~20マイクロシーベルトくらいある。国民は正確な情報を知らされていないので、嘘になれてしまっている。福島は「あきらめた」という状態になっている。国・県・専門家、誰も信用できないから要求もしない。自分たちだけで守っているので限界があるが、国や県に要求するとろくなものが返ってこない。このごろ福島に行くと「それでいいのか」と思い、切ない気持ちになる。
救援連絡センター設立のころ
救援連絡センターができたころは、東大闘争からはじまる全国学園闘争があり、市民や労働者の闘いがあり、日常的に逮捕者やけが人が出た。1968年の東大闘争のとき私は卒業して医者になっていた。医療救対ということでデモ隊について救急箱を持って一緒に走ったが、とても処置できないので、慈恵医大を拠点にして一時的な野戦病院を作り、救援活動をしていた。なりたての医者を集めたが、人のけがを縫ったこともない医者もいた。けがをした人のなかには、あそこで縫うよりは捕まったほうがいい、という話もあった。かなり滅茶苦茶な医療をやっていた、と今思う。
そういうなかで、共産党系の国民救援会はあったが、対抗するものを作ろうと救援連絡センターを作った。亡くなられた水戸巌さん、郡山吉江さん、私が医療側ということで3人くらいで始めた。今回、水戸さんのことを思い出したが、水戸さんが生きていたら嘆かれたろう。水戸さんは、原子力の専門家で原発に反対し、原発労働者の被曝問題にも関わっていた。水戸さんが生きていたら今回の原発事故は起きなかったかもしれない。
獄中医療については、拘置所に毎週かよったこともある。制限時間なしに接見していたが、実際には金網越しにしか見ることができなかった。先進国といわれる国のなかで、日本の獄中医療は劣悪だ。私が関わっていた30、40年前から良くなっていない。獄中にいる、存在することで起きる病気を「獄原病」という名前をつけた。「現代用語の基礎知識」の今年のキーワードというので載ったこともある。外の医者が行って治療する、その判断によって本人が希望する病院で治療するということを確立しなければいけない。密室治療は恐ろしいと思うそんな経験をしてきた。
日本が放射能に無警戒なのは何故か
昨年、3月11日に福島原発で大事故が起きたが、その半年くらい前に「母の友」という雑誌の連載で医療被曝のことについて書いていた。日本人は放射能について警戒心がない、という問題提起をしていた。広島・長崎を経験していながらどうして医療被曝のことが問題にならないのか不思議だった。5、6年前、ヨーロッパの科学者が世界中の医療で使われる放射線の現状について調べた。日本はレントゲンを撮る率がきわめて多い。学校で全員がレントゲン検査をやることは、日本しか行っていない。欧米では労働者への検診は、被曝するデメリットと診察のメリットを考えると意味がない、ということでやられていない。
最新の機械であるCTの時代になってアメリカなどと比較して日本が何十倍も被曝している。CTの3分の1は日本にある、といわれている。日本人は欧米に比べて何十倍か被曝している。ヨーロッパの専門医達が不思議がるのは、日本は広島、長崎で被曝して放射能の怖さを知っている国民であるはずなのに、放射能を警戒しないのはどうしてか、ということ。ヨーロッパの科学者達が計算すると、治療のメリットと被曝のデメリットを比較すると発ガンのデメリットのほうが大きく、レントゲンということがプラスになっていない。にもかかわらず日本では話題にならないのはどうしてか、と言っている。日本の専門家達はヨーロッパから言われるけど放射能の危険性についてどうやって計算して出すのかと言う。広島の被曝者の資料しかなく、広島の被曝の仕方と医療の被曝はスタイルが違う。だから、広島を資料にして危険だ、と言われても耳を傾ける必要がない、と言うのが日本の科学者の態度。
日本が放射線に無警戒なのは何故か、これまで解らなかったが、今回、3・11福島原発事故ではじめて解った。日本は被曝国だから、放射能に対する発言権を世界で一番持っている。核保有国としては、日本人に一番安全だと見てもらわなければ困る。それで、原爆が落とされて以降周到にアメリカによって作られたABCCという機関を通じて、被曝の実態をなるべく小さく見せてきた。福島で起きたことは、広島、長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故という一連の流れの中にある。広島、長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故の人々が受けてきた過酷な隠蔽工作が福島で明らかになった、ということである。
福島の子どもたちの現状
福島の現状は、被害を訴えているにもかかわらず、見捨てられようとしていることが明らかになってきた、ということだ。私は昨年6月にはじめて福島に行き、その後10回くらい行った。福島の子どもたちの健康相談会をやっているが、実際には子どもたちのからだに大きな変化は今のところは起きていない。だが今起きていないというのが実は怖いことで、10年、20年たって起きても何の補償も出ない可能性がある。広島よりもひどい状態が起きるのではないか、相談会でも親御さんはそれを心配している。多いときは10人くらいの医者が集まって相談会を担当するが、1人1時間くらいひたすら聞く。そして、私たち医者ができることは多くない。大丈夫だと言うわけにもいかないし、こんなふうに危険だとも言えない。一緒に続けて闘おう、子ども達をきちっと見続けようとしか言えない。最初のころは「避難しようかどうか」という相談が主だった。そして、避難できる人たちは福島を離れた。自主避難する人を非難する人がいるが、それはおかしい。避難する人たちは基本的に正しい。
ところでぼくの自宅へ昨日までモンゴルの人たち五人ほど来客があった。モンゴルの人達が日本に観光でやってくるのは危険かと聞かれて私は答えることができなかった。どうしても返事をしろ、東京は安全かと聞かれたら、「小さい子はこないほうがいい」としか言えない。
福島現地で起きている分断
福島では最初のころも分断が起きていた。大きな事故が起きるとさまざまな差別が起きる。福島は3つの地域に分かれている。原発のある浜通り、福島から郡山へ向かう中通り、そして会津という地域。原発があれば豊かになるよと宣伝して、浜通りという貧しい所へ原発を持って行った。
浜通りは回復できない、と国は思っているだろう。会津は福島の中では東京並に線量が低い地域が多いのに福島とひとまとめにされて、農産物も売れず困っている。中通りは深刻な状態にあって、さまざまなところがある。福島市は完全に沈黙させられているが、郡山は闘いが組めている、いわきは復興を目ざしている、というふうにさまざまなのだ。
地域的な分断のほかに、いろいろな対立がある。避難していた人と残った人、家族の中でもお母さんは子どものために避難したいと思う、お父さんは仕事があるから避難できない、おじいちゃん・おばあちゃんは「たいしたことないと言われているから、ここに残っていても大丈夫だ」と言う。家の中でも意見が違い、家族のなかでも厳しい状況がある。私たちは「小さな子どもたちは避難したほうがいい」と言っている。
6月のころは相談会もなごやかな雰囲気だった。7月になって戒厳令になったという気がした。福島では放射能が不安だと言うとバッシングを受ける状態になっていた。とりわけ福島市が強くいろいろな規制をしている。外に出ている子どもに対して、「早く教室へ入ったほうがいい」「長袖のシャツを着ていたほうがいい」くらいの注意をした教師に育委員会から指導が入る。それで、何人かの学校の先生が辞めている。
医師会は放射能を無視
福島市の医師会は全員「放射能は心配ない」と口裏を合わせることになっている。最近は子どもを連れたお母さんが受診して、放射能と一言いうと横を向き診てくれないという状態になっている。山下俊一教授という悪名高いピエロがいるが、実は悪の中枢ではない。前面に出てきて非難されても英雄気取りになっている山下みたいのはどこにでもいる。亡くなった重松逸浩とか長崎大の長滝重信とかもっと悪い人がいる。昨年9月に福島で国際会議が開かれ「もう福島は収束した。将来も健康被害はない」と宣言されてしまったが、主催したのは日本財団だった。福島では健康被害なしとするため山下などが動いている。
福島の個人病院で健康診断をしようとしたら、福島市からストップがかかり、「山下さんと相談してからやれ」と言われた。山下としては自分たち以外の健康診断はやらせない。勝手にやった健康診断で被害はなし、将来も大丈夫と言ってしまう。他のところでやるとそういう結果は出ないわけだから、自分たちの健康診断のおかしさが暴露されてしまうから止めている。それで、福島の医者は動きがとれない。
食物による内部被曝を減らしたい
外部被曝を避けようとしてずっと家にこもっているわけにもいかないので、まず、食べ物・飲み物による内部被曝を減らしたい、と思っている。福島の小中学生が日本で一番福島産の食材を食べている。総理大臣がカイワレを食べたという下らないパフォーマンスはあるが、そのパフォーマンスを福島の子どもたちが集団でやらされている。ただちに被害は出ていないから「大丈夫だろう」と微かな期待をかけさせられ、福島の子どもたちが福島産の食材を食べさせられ、牛乳を飲まされている。福島産以外の食材を使ってほしいと要求する親はまわりの保護者から非難される、というとてもつらい状況になっている。
何とか避難できる人たちは避難した。福島で運動してきた人もかなり福島から引っ越した。これまで、福島が危険だと言いながら福島を出ないということで、「危険だと言いながらいるのだから、本当は危険ではないのではないか」という声が浴びせられた人もいる。「残るも地獄、出るも地獄」と言われている。東京に避難している人たちも楽に生活しているわけではなく「福島に帰りたい」と思っている。避難先も1位は山形で、2位は米沢で、3位は新潟、4位北海道という順序になっている人が多い。一旦出ると、例え将来線量が減ったとしても帰れないと思っている人が多い。
また、福島出身ということで差別されるのではないか、という気持ちが非常に強い。実際に子どもを幼稚園に入れようと連れて行ったら「福島の人は遠慮して下さい」と断られた例がある。人権問題にしようと思ったが、お母さんが「幼稚園の名前は絶対に言わない」と頑なに拒否するのでそれ以上できていない。
福島で健康相談会をはじめて驚いたのは、400人くらいきたこと。東京でも沢山くるだろうと思って東京で相談会を開いたが30人くらいしかこなかった。福島の人たちは避難先で福島出身ということを明かさない、としているようだ。例えば江東区の東雲(しののめ)に固まって避難している人たちは、福島出身だということがわかっているはずだが、それでも外と連絡をとりたくない、という人が多い。広島の被曝者が被曝者であることを隠してきた、ということを福島の人たちが知っているわけではないと思うが、直感的にわかるのかと思う。福島のお母さんと話していると、女の子は福島とわかると結婚できなくなる、子どもを生めないのではないかと心配している。福島という名前で差別されるということを実感している人たちが多くなっている。
被曝と補償の関係
福島に残った人で「心配だ、不安だ」という人には風評被害だ、という非難が集中するというつらい状況にある。どうして山下俊一教授が活躍して「なんでもない」と言うかというと、補償の問題があるからだ。平凡社新書で出ている「被ばくと補償」という直野章子さんが書いた本がある。「広島、長崎そして福島」と書かれているが、広島での補償の状態が書かれている。
広島で被曝した人たちについて、いろいろな形で書かれている。直接、爆心地近くに入って動き回った人たちも被曝の対象になっているが、遺体を10体以上収容・処理の作業をした人が被曝者と認定されている。9人の遺体を処理した人は被曝者にならないけれども、10人を処理した人は被曝者になっている。あとから被爆地に入って遺体を収容したお母さんや、背中に負ぶわれていた子どもで被曝の対象になるのは2歳以下の子ども。実際に赤ちゃんを背中に負ぶったお母さんが小学校の子どもの手を引いて被曝者10体以上の収容を手伝ったが、赤ちゃんとお母さんは認定されたが、小学生はどこにも入らなかった。3人連れで歩いていながら、小学生だけ認定されない、という悲惨なことが起きている。
実際に今問題になっているのは、内部被曝、低線量被曝であり広島では補償されていない。沢山の被曝者が切り捨てられている状態で、今、低線量被曝について語ることができるのは、肥田舜太郎さん、矢ヶ崎克馬さんといったお医者さんたちだが、この人たちは被曝者の訴訟に関わってきた人。そういう人たちしか低線量被曝した人たちに寄り添ってこなかった。ほかの人たちは、多くの専門家たちは低線量被曝、内部被曝はない、ということにしてきた。
1991年に亡くなった中川保雄さんという人が書いた「放射線被曝の歴史」という本や、チェルノブイリのあとカール・Z・モーガンという国際放射線防護委員会で最初の委員長だった人が1994年に書いた「原子力開発の光と影」という労作がある。モーガンという人は、低線量被曝、内部被曝を告発したから委員長をおろされた。「モーガンは立派な人だが、精神状態に異常をきたして変なことを言うようになった」という情報が日本に入ってきたが、この本はモーガンが九一歳の時に書かれたもので立派な本。モーガンやゴフマンなどは追放されている。ロシアでもチェルノブイリで真実に近いことを伝えた学者たちは、ほとんど追放された。旧ソ連の学者ではヨーロッパに亡命している人もいるし、汚職をデッチあげられて禁固刑になった人もいる。放射能の健康被害について告発した人たちは、ことごとく抹殺されてきた。今回の福島についても最初から被害隠しが行われている。
研究材料としての健康診断
国は勝手に健康診断して、あとになって「なんでもなかった」という結果を出してくる。東海村の臨界事故で3人の作業員が高線量の被曝をしているが、2人亡くなって1人はその後どうされたかよくわからない。それ以外に二百数十名の人が被曝している。この人たちは体の中のナトリウム量を調べ、1番多い人で42シーベルトだった。それで、50ミリシーベルト以下では将来にわたって影響はない、ということで事故調査委員会は終わりにしてしまった。蓋はしてしまったが、この人たちは毎年健康診断をしている。広島もそうだが、治療の対象ではなくて研究材料にされている。アメリカにとって広島・長崎は爆弾の威力を計る実験だったわけで、放射線の被害を浴びた人たちがどんな状態か知りたかったはず。そういう意味では調査・研究はするが、「健康被害が出るかもしれない」と言うと拙いのでそういう言い方はしない。東海村事故の時も毎年やる健康診断については、「健康被害はないのだから毎年やる必要はないが、住民の中に不安を持つ人がいるので不安を解消するために健康診断をやる」と言っていた。
今回の福島についても18歳以下の甲状腺癌の調査をやる、ということを発表した際に、東京新聞の記者が山下教授に聞いたら、「健康被害はないのだから、本当はやる必要がないのだが、住民の不安に応えるため」と言った。健康診断をやる場合、最初から「全員異常がでない」ということなら健康診断などやる必要はない。今、福島では「ない」と想定した上で、健康診断をやっている。
最初、浪江地区とか大熊地区とかの強制避難地域の住民には、60ページの分厚いものが渡されて、3月11日以降の、行動記録、食事記録を全部書けと言う話だった。そんな周辺の人たちは11日から14日くらいほとんど何の情報もなく、食事のことなど覚えていない。私たちが東京で水素爆発の状況をテレビで見ていた時に、水素爆発を知らなかったという人があの地域に多数いる。ほとんど噂がネットで伝わったという状態で、電話も電気も使えない状態だった。
3月12日の沢山の放射能が降り注いでいる状態で、背中に赤ちゃんを負ぶって屋外で待っていた、というお母さんが何人もいて悔やんでいる。東電や国を責めるのではなく、自分を責めている。自分がうかつで情報をつかめなかったために、この子をこんなにしてしまった、と思っている。お母さんの責任ではなく、国や東電が悪いのだが、実際にはそういう人たちが多い。避難所にいれば、食事の状態なども分かるのだが、日常生活の延長は特別なことがないから覚えていないし、書けない。回収率は悪かったのだが、行政が書けというのでかなりの人が書いた。その結果、勝手に線量が1人1人出され、「このくらいの線量しか浴びていないので一生健康については問題ない」と書かれたものが返ってきている状態。こんなものが信用できるわけはない。
全ての問題は被曝の問題だ
結局、全ての問題は被曝に対してどう補償されるのかという問題であり、現地の人達も私たちも被曝手帳を早く作れと言ってきたが、作らないし、被曝者認定はしていない。実は被曝者という言葉は使わない方がいい、という意見もある。被曝者と言うと証明しなければならない。どのくらいの線量を浴びたという線引きがされてしまう。それは被害者を限定することになる。実際には被曝量はわからない人が多い。被曝者というより被害者というほうが正しい、と思う。そして、最低限、一生にわたる補償をしてくれないと困る。
国は補償を少なくするためには被曝者を最小限にしようとする。結局チェルノブイリでも、国際的には被害を最小限にして子どもの甲状腺癌だけが被害であるように言ってきた。しかし、それ以外に大人にも子どもにも各種の癌が増えているし、免疫力の低下や循環器の異常などさまざまな被害が出ている。しかし、因果関係が証明されないということで、原発の被害ということになっていない。甲状腺癌については隠しきれなかったということだが、日本では甲状腺癌さえも隠そうとしている。
補償の問題になると因果関係の立証ということになるが、放射能が原因ということを証明することはほとんどできない。どれが原因か明らかにする力は今の医学にはない。放射能特有の症状というのはないので、ある地域で年間1人しか甲状腺癌が出なかったのに、10年後に10人に出たとしたら、影響があったと認めなければならない。だが、1人1人放射線の影響があった、なかったと見分けることは医学の力ではできない。そうすると、全ての子どもに放射線の影響はないとして切り捨てるか、全ての子どもに影響があり補償の対象にするか、どっちかしかない。加害者側がそうじゃないと証明できないかぎり、全ての人に補償すべきである、というのが森永ヒ素ミルク中毒事件、水俣病でやられてきたもの。これが福島では非常にしにくい。ひとつは地域が限定できない、そして被害者が非常に多いことが要因である。
マスコミの状況と避難問題
今、渡利地区が問題になっている。しかし、こうした現地の情報が全国に伝わらない。東京新聞、共同通信くらいは現地に入って取材しているが、ほかのところは現地取材をしないで記者クラブ情報だけ。福島民報は県の御用新聞みたいになっているので「福島は大丈夫・安全」「全ての検査をしたが何の被害も出ていない」という報道しかしない新聞になっている。その受け売りをしている東京の新聞を読んでも、福島の状態はわからない。
渡利地区は福島の中心部に近い地域、阿武隈川をはさんだ向かい側が官庁街という立地。渡利地区を汚染地区にすると、福島市全域を避難地区にせざるを得ない。福島市全体を避難地区に指定すると、20万人規模の人達が補償の対象になる。渡利地区は線量を測ってみると4マイクロシーベルトという東京から見れば100倍くらいの線量があったりする。実際に2月に相談を受けたおじいちゃんは「家の中であちこち線量を測ったら20マイクロシーベルトもある場所があった」という、恐ろしい地獄のようなところで暮らしている。福島が避難地区と認められないと、それより少し低い郡山などは到底認められない。渡利地区は橋頭堡のところであり、渡利地区を認めさせることができれば、もう少し避難地区を広げられる。そのへんのところで闘いが止まっている、というのが今の状態である。
実際に水俣病の闘いのことなど考えれば、今度の事故で東電という会社の入口は座り込まれて、機能停止になっていても当たり前だと思うが、敵が国なのか東電なのか見えにくい状態になっている。私は、もはや国が相手ではなくて核保有国・国連レベルの問題であると思う。基本的には、アメリカの問題だと思う。情報もアメリカが流していい、という情報は流せるが、流していけない、という情報は流せない状況であって、山下俊一教授をはじめ専門家といわれる人達もアメリカの傀儡だと思う。ABCCの流れを酌み放射能の被害をできるだけ低くするように、世界規模で押さえつけている。福島原発事故は非常に大きな事故であって、世界的に見て大変なことが日本で起こっているのだ。
集団訴訟を起こし、福島を切り捨てない
これから何をするかだが、非常に大きな問題が沢山あって、とにかく早いうちに集団訴訟を起こすことが必要だと思う。今は10何人の訴訟が行われているが、もっと大きな訴訟にする。東京など被災地だと思っている人達を集めて大きな訴訟にしていかないと、風化し新聞社も関心を失っている状態になっていく。とくに今年になってから、避難という言葉もあまり使われなくなり、かわりに保養をすすめようということになってきた。
これまで、子どもたちを1週間、10日と疎開させるということをやっていたが、その程度のことでは間に合わない。子どもたちの体の中からセシウムを出すために、北海道と福島の学校が提携し、1年生が北海道の学校に通って1ヵ月したら帰ってきて、その後2年生が行くとか、長期の月単位の保養をしていこうという話になっている。それは、国が何もしない、補償の見通しもない、生活を立て直してくれるという方向性も見えないなかで、悲しい選択だと思う。
私たちは、沖縄を切り捨て、広島を切り捨て、長崎を切り捨ててきた。そして何もなかったかのように復興してきた。福島についても、福島を切り捨てた上で復興しようという姿勢が国に見えている。その中で切り捨てられまいとして、福島があがいているというのが今の状態だと思う。福島の問題は福島だけの問題ではない。私たちは、沖縄、広島、長崎、第五福竜丸を切り捨ててきたという歴史を今こそ断ち切らなくてはならない。
兵庫県尼崎市の市長に対し、「被災地支援」に関する要望書を提出しました。
ガレキ受け入れに反対することは、被災地支援に背を向けることだとする一部の考えに対して、住民の側から真の被災地支援の内容を逆提案したものです。
【以下転載】
2012年6月18日
尼崎市市長 稲村 和美 殿
放射能汚染されたガレキの処理について考える尼崎ネットワーク
代表 広畑 貞昭 印
尼崎市尾浜町1丁目32 2-107
がれきの広域処理問題に関するシンポジウムの開催と
被災地支援・復興支援の拡充を求める要望書
尼崎市におかれましては、昨年3月11日以降被災地の支援にご尽力いただきましたこと深く感謝申し上げます。行政のみならず、民間レベルでも多くの支援活動が展開されましたことに、尼崎市民として誇りに感じる次第です。
さて、5月に2回開催されました「震災がれきの受け入れについて稲村市長とともに考える対話集会」では、市長と参加した市民との間で二つの論点で方向性が一致したと考えています。
第一に、がれきの広域処理問題に関する勉強会の開催です。この問題が多方面から検討される必要があることは、マスコミやインターネットなどからの情報が錯そうし、真偽の確認も含めて混乱していることからも明らかです。稲村市長が「今後勉強会を開催したい」と言われましたことに私たちは全面的に賛成いたします。がれきの広域処理に賛成する専門家と反対する専門家を交えて、ぜひともシンポジウムを開催していただきたいと要望いたします。
第2に、被災地支援・復興支援の拡充の問題です。尼崎市では官民を問わず支援にご尽力いただいたことは広く市民の一致する見解です。しかし、がれきの広域処理が被災地支援になるとは私たちには思えません。がれきを広域処理することで、がれきの運搬費が余分に発生します。処理を受け入れた自治体は被災自治体に運搬費を含めた処理費を請求することになります。処理費の95%は国が負担し、残り5%を自治体が起債で賄い、自治体は10年で償還することになっています。起債5%の償還はH23年、24年分は特別交付金が支給されることが確定していますが、以降は交付が確定しているわけではありません。がれきの広域処理が進めば被災自治体の財政を圧迫しかねない危うさがあります。
そもそもがれきの広域処理は税金の無駄遣いというそしりを免れません。余分な運搬費を計上するのであれば、被災自治体へその分を還元させ、地元の雇用確保などに結びつけることがより有効な税金の使い方です。
被災地支援・復興支援と言っても課題は山積しており、一自治体でできることには自ずと限界があることは理解しています。したがって、何を優先課題にする必要があるかの政策判断は避けて通れないと考えます。
私たちは、日々の放射能汚染に曝されていながら、未だ避難できずに被災地で暮らさざるを得ない子どもたちに救いの手を差し伸べることを優先課題にすべきであると判断します。未来を担う子どもたちの健康・命を守ることは大人の、社会の、普遍的な優先的課題だと考えるからです。
福島県のかなりの地域の家族に代表されるように、子どもたちは外遊びもできず、学校のグランドや園庭での活動も制約され、マスクと線量バッチを胸に着け、暑い時期にも長袖・長ズボン着用での登下校を強いられています。
家族揃って自主避難するには、生活保障・経済問題をはじめ、あまりにも多くの困難が存在しています。国が避難指定地域を拡大し、東電を含めて補償を拡充することが一義的課題なのですが、それとは逆行するように、放射能汚染の酷い避難指定地域でさえ除染によって帰郷できるような幻想を振りまいており、住民の切実なニーズに応えようとはしていません。
一方、全国各地では、少しでも被災者の累積被ばく量を軽減しようと、民間・市民グループが「子ども、母子の避難・一時保養受け入れ」の活動を乏しい予算の中でも必死に取組んでおられます。何としても、被災地の子どもたちを放射能被ばくから守りたいとの熱い思いで活動されているのです。しかしながら、乏しい予算の中では、子どもや母子の受け入れに限界があります。広報・宣伝もネットが中心にならざるを得ません。
被災地の子どもたちが安心して太陽のもとで遊んだり、当たり前のように空気を胸いっぱい吸い込む機会をつくるような支援を尼崎市は拡充していただきたいと要望いたします。
以下、具体的な提案をさせていただきます。
◎「放射線被ばくから被災地の子どもたちを守る尼崎市プロジェクト・チーム」を市のイニシアチブで早急に立ち上げて下さい。運営は市役所職員だけで行うのではなく、広く市民参加でお願いいたします。
既に、先行して活動している市民グループにも参加していただき、その経験・蓄積を生かせるようにしてください。
◎避難受け入れ促進のため検討・具体化していただきたい課題について述べさせていただきます。
1.自主避難促進のため公営・民間住宅提供、斡旋の拡充
2.母子避難に対応する住宅提供、学校・保育園転入など各種サービス・情報提供の円滑な体制充実
3.「避難・一時保養受け入れ」実施の市民グループへの財政補助、広報・宣伝への全面協力
4.見知らぬ土地へ来て、孤立しがちな避難者の自主的グループ結成・運営に対するサポート、情報提供
5.学校長期休暇時の一時保養企画に対して市の財政補助、施設提供、広報・宣伝など各種協力
6.避難者の雇用保障の充実
生活保障のために夫が現地に残って仕事を続け、母子だけで避難し、家族が引き裂かれた暮らしを強いられるケースがほとんどです。
この問題を解決するためには、雇用保障の課題は非常に重要です。ハローワークとの連携強化も必要です。
7.被災地に届く広報・宣伝活動の強化・充実
いくら支援施策を決めても、被災地住民に情報が届かなかったら宝の持ち腐れに終わります。紙媒体・ネットなどを活用し被災地住民に届く広報・宣伝活動を実施して下さい。
8.これらの活動を円滑に推進するため、被災地からの避難者を「支援担当職員」として雇用して下さい。
被災地との連絡調整、避難受け入れコーディネート、避難者相談窓口などの仕事を避難者の事情や気持ちに通じている当事者が担うことは、各種支援事業を円滑に進めることに大変役立つと考えます。
9.これら諸事業を実施するため尼崎市の財政が不十分なら、尼崎市住民対象にカンパ・寄付集めのキャンペーンを市民運動として実施して下さい。私たちも街頭に立ちます。
また、被災地で活動する市民グループや全国の市民支援グループとの情報収集・交換・連携は不可欠です。既に各種ブログやメーリングリスト、SNSなどネット上のツールを駆使して連携は進んでいます。このような自発的市民の活動に、尼崎市も大胆に連携して欲しいのです。そうすれば、自治体行政だけではできない大きな力が発揮できると考えます。縄張り意識は突破いたしましょう。
私たちは、決して尼崎市行政だけに一方的に要望しているのではなく、主権者としての市民の自覚と責任を持って、行政と連携・協力して被災者支援事業を主体的に担って行く覚悟であることを表明し、以上、要望と致します。
稲村市長の英断をよろしくお願い致します。
【参考資料】
☆長野県松本市長、菅谷 昭氏「チェルノブイリ原発事故から学ばない日本政府、汚染の深刻さを未だ理解せず」
http://blogs.yahoo.co.jp/costarica0012/23269448.html
ガレキ受け入れに反対することは、被災地支援に背を向けることだとする一部の考えに対して、住民の側から真の被災地支援の内容を逆提案したものです。
【以下転載】
2012年6月18日
尼崎市市長 稲村 和美 殿
放射能汚染されたガレキの処理について考える尼崎ネットワーク
代表 広畑 貞昭 印
尼崎市尾浜町1丁目32 2-107
がれきの広域処理問題に関するシンポジウムの開催と
被災地支援・復興支援の拡充を求める要望書
尼崎市におかれましては、昨年3月11日以降被災地の支援にご尽力いただきましたこと深く感謝申し上げます。行政のみならず、民間レベルでも多くの支援活動が展開されましたことに、尼崎市民として誇りに感じる次第です。
さて、5月に2回開催されました「震災がれきの受け入れについて稲村市長とともに考える対話集会」では、市長と参加した市民との間で二つの論点で方向性が一致したと考えています。
第一に、がれきの広域処理問題に関する勉強会の開催です。この問題が多方面から検討される必要があることは、マスコミやインターネットなどからの情報が錯そうし、真偽の確認も含めて混乱していることからも明らかです。稲村市長が「今後勉強会を開催したい」と言われましたことに私たちは全面的に賛成いたします。がれきの広域処理に賛成する専門家と反対する専門家を交えて、ぜひともシンポジウムを開催していただきたいと要望いたします。
第2に、被災地支援・復興支援の拡充の問題です。尼崎市では官民を問わず支援にご尽力いただいたことは広く市民の一致する見解です。しかし、がれきの広域処理が被災地支援になるとは私たちには思えません。がれきを広域処理することで、がれきの運搬費が余分に発生します。処理を受け入れた自治体は被災自治体に運搬費を含めた処理費を請求することになります。処理費の95%は国が負担し、残り5%を自治体が起債で賄い、自治体は10年で償還することになっています。起債5%の償還はH23年、24年分は特別交付金が支給されることが確定していますが、以降は交付が確定しているわけではありません。がれきの広域処理が進めば被災自治体の財政を圧迫しかねない危うさがあります。
そもそもがれきの広域処理は税金の無駄遣いというそしりを免れません。余分な運搬費を計上するのであれば、被災自治体へその分を還元させ、地元の雇用確保などに結びつけることがより有効な税金の使い方です。
被災地支援・復興支援と言っても課題は山積しており、一自治体でできることには自ずと限界があることは理解しています。したがって、何を優先課題にする必要があるかの政策判断は避けて通れないと考えます。
私たちは、日々の放射能汚染に曝されていながら、未だ避難できずに被災地で暮らさざるを得ない子どもたちに救いの手を差し伸べることを優先課題にすべきであると判断します。未来を担う子どもたちの健康・命を守ることは大人の、社会の、普遍的な優先的課題だと考えるからです。
福島県のかなりの地域の家族に代表されるように、子どもたちは外遊びもできず、学校のグランドや園庭での活動も制約され、マスクと線量バッチを胸に着け、暑い時期にも長袖・長ズボン着用での登下校を強いられています。
家族揃って自主避難するには、生活保障・経済問題をはじめ、あまりにも多くの困難が存在しています。国が避難指定地域を拡大し、東電を含めて補償を拡充することが一義的課題なのですが、それとは逆行するように、放射能汚染の酷い避難指定地域でさえ除染によって帰郷できるような幻想を振りまいており、住民の切実なニーズに応えようとはしていません。
一方、全国各地では、少しでも被災者の累積被ばく量を軽減しようと、民間・市民グループが「子ども、母子の避難・一時保養受け入れ」の活動を乏しい予算の中でも必死に取組んでおられます。何としても、被災地の子どもたちを放射能被ばくから守りたいとの熱い思いで活動されているのです。しかしながら、乏しい予算の中では、子どもや母子の受け入れに限界があります。広報・宣伝もネットが中心にならざるを得ません。
被災地の子どもたちが安心して太陽のもとで遊んだり、当たり前のように空気を胸いっぱい吸い込む機会をつくるような支援を尼崎市は拡充していただきたいと要望いたします。
以下、具体的な提案をさせていただきます。
◎「放射線被ばくから被災地の子どもたちを守る尼崎市プロジェクト・チーム」を市のイニシアチブで早急に立ち上げて下さい。運営は市役所職員だけで行うのではなく、広く市民参加でお願いいたします。
既に、先行して活動している市民グループにも参加していただき、その経験・蓄積を生かせるようにしてください。
◎避難受け入れ促進のため検討・具体化していただきたい課題について述べさせていただきます。
1.自主避難促進のため公営・民間住宅提供、斡旋の拡充
2.母子避難に対応する住宅提供、学校・保育園転入など各種サービス・情報提供の円滑な体制充実
3.「避難・一時保養受け入れ」実施の市民グループへの財政補助、広報・宣伝への全面協力
4.見知らぬ土地へ来て、孤立しがちな避難者の自主的グループ結成・運営に対するサポート、情報提供
5.学校長期休暇時の一時保養企画に対して市の財政補助、施設提供、広報・宣伝など各種協力
6.避難者の雇用保障の充実
生活保障のために夫が現地に残って仕事を続け、母子だけで避難し、家族が引き裂かれた暮らしを強いられるケースがほとんどです。
この問題を解決するためには、雇用保障の課題は非常に重要です。ハローワークとの連携強化も必要です。
7.被災地に届く広報・宣伝活動の強化・充実
いくら支援施策を決めても、被災地住民に情報が届かなかったら宝の持ち腐れに終わります。紙媒体・ネットなどを活用し被災地住民に届く広報・宣伝活動を実施して下さい。
8.これらの活動を円滑に推進するため、被災地からの避難者を「支援担当職員」として雇用して下さい。
被災地との連絡調整、避難受け入れコーディネート、避難者相談窓口などの仕事を避難者の事情や気持ちに通じている当事者が担うことは、各種支援事業を円滑に進めることに大変役立つと考えます。
9.これら諸事業を実施するため尼崎市の財政が不十分なら、尼崎市住民対象にカンパ・寄付集めのキャンペーンを市民運動として実施して下さい。私たちも街頭に立ちます。
また、被災地で活動する市民グループや全国の市民支援グループとの情報収集・交換・連携は不可欠です。既に各種ブログやメーリングリスト、SNSなどネット上のツールを駆使して連携は進んでいます。このような自発的市民の活動に、尼崎市も大胆に連携して欲しいのです。そうすれば、自治体行政だけではできない大きな力が発揮できると考えます。縄張り意識は突破いたしましょう。
私たちは、決して尼崎市行政だけに一方的に要望しているのではなく、主権者としての市民の自覚と責任を持って、行政と連携・協力して被災者支援事業を主体的に担って行く覚悟であることを表明し、以上、要望と致します。
稲村市長の英断をよろしくお願い致します。
【参考資料】
☆長野県松本市長、菅谷 昭氏「チェルノブイリ原発事故から学ばない日本政府、汚染の深刻さを未だ理解せず」
http://blogs.yahoo.co.jp/costarica0012/23269448.html
5月16・20日、「災害ガレキ広域処理問題」についての尼崎市の市長対話集会を前に、まとめた論点を質問形式に直した文章です。
これを含めて、さらに補強し、尼崎市長と関係部局に質問状として提出し、回答・討論を求めて行きます。
費用や利権の問題、被災地の要求の無視、本当に被災地復興・支援になるか、などは省略しています。
市長は試験焼却の延期は表明しましたが、「受け入れ拒否」は、まだ表明していません。
「真の被災地支援のための要望書」も別途提出します。
これは、16日の「対話集会」での私の発言及び西宮市長への質問書をベースにまとめます。
【一定のまとめ】
私は、根本的・原理的・思想的な論議にまで持ち込みたいと考えています。ちゃんと思考してしない「思考停止」には、根本的なところにまで踏み込んで議論しないことには、いかに浅薄にしか考えていないかを自覚してもらうことはできないと思うからです。
真の対話を成立させるためにも、お互いが真剣に学習し、真摯に議論することが必須と考えるからです。
原発問題・ガレキ問題は、人間観・科学技術観・価値観を巡っての論争だと考えています。
以下の見解は、現時点までの私の学習の到達段階でしかありません。不十分な点など、忌憚なくご指摘をお願い致します。
☆「災害ガレキ広域処理問題についての質問状」
1.100ベクレル/kg以下というクリアランス・レベルは放射性セシウムに関しての値だとの認識は、尼崎市の「対話集会」の基礎用語集にも書かれています。
今回の「災害ガレキ広域処理問題」において、環境省も尼崎市も放射線核種として放射性セシウムしか問題にしていないところに一つの大きな課題が潜んでいると考えられます。
日本のマスコミ報道では希少ですが、それでもストロンチウム、プルトニウムなど他の放射線核種の発見は報道されており、ネットなどの情報では海外の専門家・機関が福島原発事故に由来する他の放射線核種の飛散を伝えています。東電などの発表やマスコミ報道が少ないからと言って、放射性セシウム以外の核種を無視することはできません。
福島原発事故から由来する放射線核種は、放射性セシウムしか存在しないとお考えでしょうか?
また、それらを無視しても良いとの合理的根拠は何でしょうか? 対策は必要ないとお考えでしょうか?
2.100ベクレル/kg以下のクリアランス・レベルは放射性セシウムについての値です。すべての放射線核種は、当然のことですが、すべて物質としての性質が異なり、半減期や人体に与える影響・危険性も異なります。したがって、原子炉等規正法や放射線障害防止法に基づくクリアランス・レベル設定も放射線核種によって値は全て異なります。
これらの違いを考慮した上で、どのように測定しコントロールされるのでしょうか?
3.バグフィルターについて
放射性物質は、燃焼によって気化します。フィルターの機能は、空気中(煙)に存在する微粒子を気体の通過時に補足するものです。もし気体を通過させないのなら排出口は詰まってしまい、焼却炉は爆発します。気化した放射線核種は、当然ながらフィルターを通過します。
にも関わらず、環境省は一部の「専門家」の発言「99.9%除去できる」という数値を臆面もなく垂れ流しているのです。気化した放射線核種が、0.1%にコントロールされると言う考えは、最早「バグフィルター神話」でしかありません。実証データも合理的推論に耐え得る根拠も存在しません。
また、先述したように放射線核種は放射性セシウムに限りません。すべての核種は物質の性質が異なり、気化する温度も異なります。一体、このような放射線核種の様々な気化の温度を通常の焼却炉においてコントロールし、気化をさせないことなど技術的に可能とお考えでしょうか?
また、微粒子といっても物質により異なり、超微粒子も存在し、フィルターを通過することは充分あり得ることです。
以上の諸点を踏まえるなら、「99.9%」という数字が、いかに恣意的な数字か、合理的推論を欠如させたものであるかは、試験焼却という危険な人体実験をしないでも明らかと思われますが、どうお考えでしょうか?
4.内部被ばくの危険性及びクリアランス・レベル自体の問題について
チェルノブイリ原発事故以降の治療・解剖や研究によって、放射性物質が人体に与える影響については、この値以下なら安全であるとする「しきい値」は存在しないことが世界的に認識されて来ています。また、内部被ばくや累積被ばくの危険性についても多くの研究者によって指摘されているところです。
クリアランス・レベルという考え方は、このような流れに逆行する考え方です。この値以下なら、「放射性物質と見なさなくてもいい」「人体に与える危険性について無視してもいい」との考えは、新たに「しきい値」を設定し直す発想に他なりません。
原子炉解体を想定して2005年に「原子炉等規正法」が改悪され、クリアランス・レベルという考えが導入されました。クリアランス・レベル以下の放射性廃棄物の資源としての再利用を認めたものですが、それはコンクリートや金属などに限定されたものであって、焼却を想定してはいません。
しかし、そもそもの発想が国民の健康を守る観点からではなく、「経済の論理」から出て来たものです。「資源の再利用」そのものは、一般論として、限られた資源を有効に再利用するもので、正しいことだと考えますが、人体に危険な放射性物質を「放射性物質と見なさない」と強弁するのは、人間の命や地球環境を守る観点から主張された「資源の再利用」という理念を冒涜するものと言わなければなりません。
このクリアランス・レベルの発想を、原子炉だけでなく、医療機関・教育機関・研究機関などが排出する全ての放射性廃棄物に横滑りさせ、「放射線障害防止法」に導入されたのが、2012年です。これを2010年に国会提出したのが文部科学省です。この改悪により、「クリアランス・レベル以下の放射性廃棄物は放射性物質と見なさない」、「産業廃棄物として処理・再利用できる。可燃物は焼却していい」という恐るべき改悪が行われました。
これも理由は、「経済の論理」です。これら機関が排出する放射性廃棄物が膨大になり、従来のドラム缶に密閉して埋設する処理法が、コスト高になって来たため、「産業廃棄物として処理・再利用」に踏み込んだのです。
これに乗ったのが、今回の環境省の「災害ガレキ広域処理」なのです。
歴史的な流れを把握すれば、人間の健康と環境を守る理念からの大幅な後退であることは明白です。
稲村市長は、「対話集会」において、「自然界にも放射能が存在する」と何度も発言されました。これは一般論としては当たり前のことですが、「自然界にも放射能が存在する」と言うことによって、原発由来の放射能の危険性を薄めよう、相対化しようとして「電気事業連合会」が盛んに使用して来たレトリックと残念ながら同じです。
自然界の放射能は、人類の長い歴史の中で、人間に一定の免疫力を与えて来ました。それと、原水爆や原発に由来して発生する人工的放射性物質が人体に与える影響・危険性とは自ずと異なると考えますが、いかがでしょうか?
プルト二ウムなどは自然界には存在しない猛毒物質です。そのことはご承知でしょうか?
厚生労働省が、アルコール濃度や煙草のニコチン・タール濃度にクリアランス・レベルを設定し、この値以下なら未成年も飲んでいい、吸っていいとの法律案を提出したら、社会から袋叩きに遭うことは間違いありません。
クリアランス・レベル以下の放射性物質なら吸ってもいいとの発想は、お酒や煙草の例を考えれば、いかにナンセンスなことか明らかではありませんか?
どうして、文部科学省や今回の環境省の考えは批判の対象にならないのでしょうか?
自治体は、市民の健康と福祉の増進に関わる点については、国の基準に関わらず、独自の見識を持った施策を実行するのが、地方自治・住民自治の本旨と考えますが、その点については、どうお考えでしょうか?
その点について、今回の「災害ガレキ広域処理」問題では、どのように具体化されるのか、お聞かせ下さい?
子どもたちが、クリアランス・レベル以下の放射性物質を吸わされるのなら、アルコールや煙草にもクリランス・レベルを設定して許可してくれと言われた時に、どう説得・納得させたら良いかお答え下さい?
これを含めて、さらに補強し、尼崎市長と関係部局に質問状として提出し、回答・討論を求めて行きます。
費用や利権の問題、被災地の要求の無視、本当に被災地復興・支援になるか、などは省略しています。
市長は試験焼却の延期は表明しましたが、「受け入れ拒否」は、まだ表明していません。
「真の被災地支援のための要望書」も別途提出します。
これは、16日の「対話集会」での私の発言及び西宮市長への質問書をベースにまとめます。
【一定のまとめ】
私は、根本的・原理的・思想的な論議にまで持ち込みたいと考えています。ちゃんと思考してしない「思考停止」には、根本的なところにまで踏み込んで議論しないことには、いかに浅薄にしか考えていないかを自覚してもらうことはできないと思うからです。
真の対話を成立させるためにも、お互いが真剣に学習し、真摯に議論することが必須と考えるからです。
原発問題・ガレキ問題は、人間観・科学技術観・価値観を巡っての論争だと考えています。
以下の見解は、現時点までの私の学習の到達段階でしかありません。不十分な点など、忌憚なくご指摘をお願い致します。
☆「災害ガレキ広域処理問題についての質問状」
1.100ベクレル/kg以下というクリアランス・レベルは放射性セシウムに関しての値だとの認識は、尼崎市の「対話集会」の基礎用語集にも書かれています。
今回の「災害ガレキ広域処理問題」において、環境省も尼崎市も放射線核種として放射性セシウムしか問題にしていないところに一つの大きな課題が潜んでいると考えられます。
日本のマスコミ報道では希少ですが、それでもストロンチウム、プルトニウムなど他の放射線核種の発見は報道されており、ネットなどの情報では海外の専門家・機関が福島原発事故に由来する他の放射線核種の飛散を伝えています。東電などの発表やマスコミ報道が少ないからと言って、放射性セシウム以外の核種を無視することはできません。
福島原発事故から由来する放射線核種は、放射性セシウムしか存在しないとお考えでしょうか?
また、それらを無視しても良いとの合理的根拠は何でしょうか? 対策は必要ないとお考えでしょうか?
2.100ベクレル/kg以下のクリアランス・レベルは放射性セシウムについての値です。すべての放射線核種は、当然のことですが、すべて物質としての性質が異なり、半減期や人体に与える影響・危険性も異なります。したがって、原子炉等規正法や放射線障害防止法に基づくクリアランス・レベル設定も放射線核種によって値は全て異なります。
これらの違いを考慮した上で、どのように測定しコントロールされるのでしょうか?
3.バグフィルターについて
放射性物質は、燃焼によって気化します。フィルターの機能は、空気中(煙)に存在する微粒子を気体の通過時に補足するものです。もし気体を通過させないのなら排出口は詰まってしまい、焼却炉は爆発します。気化した放射線核種は、当然ながらフィルターを通過します。
にも関わらず、環境省は一部の「専門家」の発言「99.9%除去できる」という数値を臆面もなく垂れ流しているのです。気化した放射線核種が、0.1%にコントロールされると言う考えは、最早「バグフィルター神話」でしかありません。実証データも合理的推論に耐え得る根拠も存在しません。
また、先述したように放射線核種は放射性セシウムに限りません。すべての核種は物質の性質が異なり、気化する温度も異なります。一体、このような放射線核種の様々な気化の温度を通常の焼却炉においてコントロールし、気化をさせないことなど技術的に可能とお考えでしょうか?
また、微粒子といっても物質により異なり、超微粒子も存在し、フィルターを通過することは充分あり得ることです。
以上の諸点を踏まえるなら、「99.9%」という数字が、いかに恣意的な数字か、合理的推論を欠如させたものであるかは、試験焼却という危険な人体実験をしないでも明らかと思われますが、どうお考えでしょうか?
4.内部被ばくの危険性及びクリアランス・レベル自体の問題について
チェルノブイリ原発事故以降の治療・解剖や研究によって、放射性物質が人体に与える影響については、この値以下なら安全であるとする「しきい値」は存在しないことが世界的に認識されて来ています。また、内部被ばくや累積被ばくの危険性についても多くの研究者によって指摘されているところです。
クリアランス・レベルという考え方は、このような流れに逆行する考え方です。この値以下なら、「放射性物質と見なさなくてもいい」「人体に与える危険性について無視してもいい」との考えは、新たに「しきい値」を設定し直す発想に他なりません。
原子炉解体を想定して2005年に「原子炉等規正法」が改悪され、クリアランス・レベルという考えが導入されました。クリアランス・レベル以下の放射性廃棄物の資源としての再利用を認めたものですが、それはコンクリートや金属などに限定されたものであって、焼却を想定してはいません。
しかし、そもそもの発想が国民の健康を守る観点からではなく、「経済の論理」から出て来たものです。「資源の再利用」そのものは、一般論として、限られた資源を有効に再利用するもので、正しいことだと考えますが、人体に危険な放射性物質を「放射性物質と見なさない」と強弁するのは、人間の命や地球環境を守る観点から主張された「資源の再利用」という理念を冒涜するものと言わなければなりません。
このクリアランス・レベルの発想を、原子炉だけでなく、医療機関・教育機関・研究機関などが排出する全ての放射性廃棄物に横滑りさせ、「放射線障害防止法」に導入されたのが、2012年です。これを2010年に国会提出したのが文部科学省です。この改悪により、「クリアランス・レベル以下の放射性廃棄物は放射性物質と見なさない」、「産業廃棄物として処理・再利用できる。可燃物は焼却していい」という恐るべき改悪が行われました。
これも理由は、「経済の論理」です。これら機関が排出する放射性廃棄物が膨大になり、従来のドラム缶に密閉して埋設する処理法が、コスト高になって来たため、「産業廃棄物として処理・再利用」に踏み込んだのです。
これに乗ったのが、今回の環境省の「災害ガレキ広域処理」なのです。
歴史的な流れを把握すれば、人間の健康と環境を守る理念からの大幅な後退であることは明白です。
稲村市長は、「対話集会」において、「自然界にも放射能が存在する」と何度も発言されました。これは一般論としては当たり前のことですが、「自然界にも放射能が存在する」と言うことによって、原発由来の放射能の危険性を薄めよう、相対化しようとして「電気事業連合会」が盛んに使用して来たレトリックと残念ながら同じです。
自然界の放射能は、人類の長い歴史の中で、人間に一定の免疫力を与えて来ました。それと、原水爆や原発に由来して発生する人工的放射性物質が人体に与える影響・危険性とは自ずと異なると考えますが、いかがでしょうか?
プルト二ウムなどは自然界には存在しない猛毒物質です。そのことはご承知でしょうか?
厚生労働省が、アルコール濃度や煙草のニコチン・タール濃度にクリアランス・レベルを設定し、この値以下なら未成年も飲んでいい、吸っていいとの法律案を提出したら、社会から袋叩きに遭うことは間違いありません。
クリアランス・レベル以下の放射性物質なら吸ってもいいとの発想は、お酒や煙草の例を考えれば、いかにナンセンスなことか明らかではありませんか?
どうして、文部科学省や今回の環境省の考えは批判の対象にならないのでしょうか?
自治体は、市民の健康と福祉の増進に関わる点については、国の基準に関わらず、独自の見識を持った施策を実行するのが、地方自治・住民自治の本旨と考えますが、その点については、どうお考えでしょうか?
その点について、今回の「災害ガレキ広域処理」問題では、どのように具体化されるのか、お聞かせ下さい?
子どもたちが、クリアランス・レベル以下の放射性物質を吸わされるのなら、アルコールや煙草にもクリランス・レベルを設定して許可してくれと言われた時に、どう説得・納得させたら良いかお答え下さい?
清涼な東北海道でゆっくりとお過ごしいただきたく、地元の方々と市民団体の東北海道保養支援プロジェクトを立ち上げ運営しています。ざっくりとしたご案内ですが、詳細は、下記をご覧ください。
★東北海道保養支援プロジェクト(募集要項、申込書、問い合わせ先、あります)のブログはこちらです
http://ameblo.jp/doutouhoyou/
●滞在期間
H24、8/12~8/25
●滞在費、交通費
基本実費ですが、現在募金にて、滞在費を無料にむけて活動中です。
●対象地域
東北&関東圏
●対象者
保護者+子供達(ホームステイもできるので、子供のみでも可能です)
●滞在中の食事
食事付きもありますが、自炊もあります。安心な食材もご購入できるようにします。
●イベント
保養に来られた方同士がつながりを持てる事を企画しています。
全て、強制参加ではありません。
●募集期間
~7/10まで
★東北海道保養支援プロジェクト(募集要項、申込書、問い合わせ先、あります)のブログはこちらです
http://ameblo.jp/doutouhoyou/
●滞在期間
H24、8/12~8/25
●滞在費、交通費
基本実費ですが、現在募金にて、滞在費を無料にむけて活動中です。
●対象地域
東北&関東圏
●対象者
保護者+子供達(ホームステイもできるので、子供のみでも可能です)
●滞在中の食事
食事付きもありますが、自炊もあります。安心な食材もご購入できるようにします。
●イベント
保養に来られた方同士がつながりを持てる事を企画しています。
全て、強制参加ではありません。
●募集期間
~7/10まで
■「福島県の子ども」の病死者数について
-政府・人口動態統計から分かった事故後の変化-
http://dl.dropbox.com/u/17135518/nakate.pdf
☆政府統計の「総合窓口・人口動態調査」から、平成22・23年の「月報(既報)・月次」各月の、「(保管表)死亡数,性・年齢(5歳階級)・死因簡単分類・都道府県(20大都市再掲)別」にある福島県データを用いて作成しました。
7月以降の病死者数に大きな変化が現れています。
... 通常、病死者は冬春に多く、夏秋は少ない傾向が全国的にあります。これは大人も子どもも同じです。
しかし、2011年は夏秋の病死者数が多く、ほぼ直線的に累計数が増加しています。
もしもこの傾向が2012年も続いた場合は、“統計上の有意差”となりうるほどのハイペースで、子どもの病死者数が増加したことが分かりました。このような現象が起こることはとても稀なことで、全国でも僅かしかありません。宮城県や岩手県では起こっていないことです。
昨年の夏以降に、福島の子どもたちの体に異変が起こっている可能性を疑わざるを得ません。
(こどもたちを放射能から守る会・福島より)
-政府・人口動態統計から分かった事故後の変化-
http://dl.dropbox.com/u/17135518/nakate.pdf
☆政府統計の「総合窓口・人口動態調査」から、平成22・23年の「月報(既報)・月次」各月の、「(保管表)死亡数,性・年齢(5歳階級)・死因簡単分類・都道府県(20大都市再掲)別」にある福島県データを用いて作成しました。
7月以降の病死者数に大きな変化が現れています。
... 通常、病死者は冬春に多く、夏秋は少ない傾向が全国的にあります。これは大人も子どもも同じです。
しかし、2011年は夏秋の病死者数が多く、ほぼ直線的に累計数が増加しています。
もしもこの傾向が2012年も続いた場合は、“統計上の有意差”となりうるほどのハイペースで、子どもの病死者数が増加したことが分かりました。このような現象が起こることはとても稀なことで、全国でも僅かしかありません。宮城県や岩手県では起こっていないことです。
昨年の夏以降に、福島の子どもたちの体に異変が起こっている可能性を疑わざるを得ません。
(こどもたちを放射能から守る会・福島より)
☆兵庫県尼崎市:
5月16日、兵庫県尼崎市の被災地ガレキ広域処理問題で、市長と市民の対話集会に参加して来た。私を含めて発言した人は、全員、不安や反対意見を表明した。稲村市長は、受け入れについて白紙だと言っていて、今日も自己の見解を全く示さなかった。政治的見解を持たない政治家って、何なのだろう。しかし、議会内で少数与党であることも考慮し、市長を孤立させることなく、住民サイドに立たせることが必要だろうと考える。20日に、もう一回ある。粘り強く、情緒的に災害ガレキ受け入れに賛成している市民を説得できるよう運動を進めたい。
☆北九州市:
4月9日、「原発の廃炉を求める北九州市民の会」と「北九州コドモのミライ」が送った質問状に公開回答と説明の場が5月10日に設けられ、その中のやり取りの中で「石巻市からの要請ではなく、はじめに環境省から受入れ要請があった」と北九州市も認めている。
この日北九州市が用意した資料では、
◎2012年
・3月12日北九州市議会で全会一致で受け入れ決議
・3月16日首相・環境大臣より積極要請
・3月25日細野環境相より石巻市分の受け入れ要請
・4月4日宮城県副知事より北九州副市長へ要請
・4月5日石巻市長より北九州副市長へ要請
となっていたが、やり取りの中で環境省から要請があってから北九州市職員が視察に行き、石巻市が応えたということが明らかになった。
試験焼却については口約束のみ、文書をもっての契約は何もないそう。
北九州市が市民への説明に使う「石巻市からのたってのお願い」というのは違うということは認めた。
当日中継配信された録画がこちら。
IWJ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/15202
北九州市で焼却というのは早い段階で決められていた。
http://portirland.blogspot.jp/2012/05/blog-post_859.html
北九州で支援されている弁護士さんからの情報では、石巻市復興対策課に問い合わせたところ産廃業者の不法投棄や、一旦は請け負ったものの焼却灰の汚染が高いために、被災地へ返却希望する桐生市などの状況もあるので「残存がれきは今後は防波堤プロジェクトに回したいが、宮城県が取り仕切っており石巻市には何も権限がない」とのこと。
宮城県知事が5月21日に会見をする。
震災瓦礫の全量精査結果を発表するという情報もある。
焼却施設増設中の宮城県と岩手県の地元で処理できれば、北九州市や他の地域で受け入れは不要になる、という言質も説明会で確認した。被災地の仕事を奪う行為にもなるので。
☆福岡市:
今日、嫌な情報が入って来た。「福岡市議会も被災地廃棄物受け入れ決議」
市長は反対しているが、自民党議員が焼却灰でリサイクル製品を麻生セメントで、という情報。続報があれば流します。
☆兵庫県西宮市:
西宮市長が、災害がれき広域処理問題に関して、「西宮の土地だけキレイであればいいというのは間違っている。西宮の子供達だけキレイであればいいわけではない。痛み分けをすべきだ」という主旨の発言をされたとの情報が入ったので、西宮市とメールのやり取りをした。
◎高島からのメール:「災害ガレキ受け入れについての市長発言」
西宮市長が、災害がれき広域処理問題に関して、「西宮の土地だけキレイであればいいというのは間違っている。西宮の子供達だけキレイであればいいわけではない。痛み分けをすべきだ」という主旨の発言をされたと聞きましたが、本当でしょうか。事実だとすれば、西宮市政の責任者として、あまりにも軽薄な言葉だと思い、驚きと怒りを禁じえません。
私は、友人たちと被災者支援の小さな会を作り、福島県を中心に被災者支援活動を行っています。現地に6回行き、被災地の方々の悩みを直接伺ってもいます。無料で線量計をお貸しして、被ばくの実態を把握していただき、コンタクトの取れた方の半数近くは県外避難されましたが、未だ避難のできない家庭があります。小さいお子さんのおられる方も多いです。避難できない主な理由は、やはり経済的な理由です。それでも、何とか子どもたちの被ばくを減らそうと、入手困難で、しかも高価な安全な食品の購入や家の周りの除染や週末一時避難などの必死の努力をされ、それらが家計を圧迫するというジレンマの中におられます。
こういう被災地の現状を見る時、関西や西日本の役割は何かと申しますと、被災地に対する安全な食料の供給基地になることと、最大限の努力で、小さいお子さんのおられる家庭を優先して避難の受け入れ促進、住居の提供、就労支援、母子支援を自治体独自の支援策として具体化、実行して行くことだと考えます。これは、人権と人道上の必須の課題です。それは本来、国がやるべきことだと悠長なことを言っていられないのが、被災地の状況なのです。真に痛みを分かち合うとするなら、そのような人間的な優しさに基づいて命を大切にしよう、子ども達を守ろうと、市民が立ち上がること、その先頭に自治体の長が立つことではないでしょうか。
そうだとすれば、西日本に放射能汚染を広げるようなガレキ受け入れ、焼却といった施策を取るべきではないのです。ガレキ受け入れに反対することを、あたかも「地域エゴ」「個人エゴ」としか捉えられない市長の発想は、あまりにも政治家としての想像力・構想力を欠いたものと言わざるを得ません。それ以上に、西宮市民、子ども達に被ばくを強要するかの如き姿勢は、人間としての品性にすら疑問を覚えます。
私は尼崎市民ですが、ガレキ受け入れ、焼却による放射能汚染を食い止めるためには行政単位に拘っておられないので、メールを送らせていただきました。西宮市長の残っているであろう人間性に訴えます。発言を撤回、謝罪し、災害ガレキの受け入れを拒否し、真の被災地支援の自治体政策を明示してください。
◎西宮市からの回答:
高島 与一 様
平素は、本市行政に格段のご配慮いただき、誠にありがとうございます。この度、市民の声へ頂きました件につきまして、回答いたします。
本市では、阪神淡路大震災で発生した災害廃棄物を、他の自治体に処理をしていただいた経験もあり、東日大震災の被災自治体から災害廃棄物の受入れ等の要請があれば、早期復興のためにも支援する必要があると考えております。
しかし、焼却灰の最終処分地を持たない本市におきましては、大阪湾広域臨海環境整備センターでの海面埋立最終処分場を利用しておりますが、この利用にあたっては、同センターが国の安全性評価を受ける必要があり、安全な基準が示されておりません。
これらのことにより、市民生活の安全と市民の理解を前提に、慎重に検討していきたいと考えております。
また、ご質問にある様な市長の発言は、ございません。
よろしくお願いいたします。
西宮市 環境局 環境施設部
施設管理課 築山 進二郎
TEL 0798-22-6601 FAX 0798-26-9091
E-mail seibusen@nishi.or.jp
☆さらに、高島から以下の返信を行いました。
西宮市 環境局 環境施設部
施設管理課 築山 進二郎 様
高島与一
ご回答、ありがとうございます。
さて、最終処分地である大阪湾広域臨海環境整備センターでの海面埋立最終処分場の件について一言申しあげます。
最終処分地がないというのは、私が在住する尼崎市も同様です。ガレキの焼却そのものに反対ですが、焼却した場合の最終処分地のことも問題です。それで、私は、兵庫県下の友人7人で、5月10日に神戸沖の同地の見学に行って来ました。
通常の廃棄物(焼却灰)に対し、有害物質のチェックはどのように実施されているのかを質しました。陸上の基地に廃棄物がトラックで搬入される時、まずゲートで一旦停車し、その底部が計りになっておりゴミの重量を計測します。廃棄物を覆うシートが捲られ、ゲートの上部にある窓から職員が目視でチエックします。それだけです。
さらに、目視で有害物質の有無がどうして解るのかを質しました。それに対しては、年間数回の抜き取り検査を実施しているとのことです。それだけです。契約時に、法を守るとの確認がなされているので、有害物質は、そもそも持ち込まれないとの前提であるとも言われました。
このような“おおらかな”有害物質の検査体制の延長線上に、放射能汚染の災害ガレキ焼却灰が持ち込まれると考えるとゾッとします。「安全性評価」は、単に基準をどう設定するかの問題にとどまらず、それを、いかに、どのような体制と手順(人員、専門職の配置、機械・器具、何重ものチェック体制など)で行われるかまで具体化されなければ、机上の空論、紙の上の作文でしかありません。
まだ、他にも問題はありますが、いずれにしろ、阪神間の住民の命と健康に、また海の汚染に重大な影響を及ぼす施策ですので、国の指示待ちではなく、貴自治体独自で充分な安全検証をされ、受け入れ反対の判断を下されますよう切望いたします。
5月16日、兵庫県尼崎市の被災地ガレキ広域処理問題で、市長と市民の対話集会に参加して来た。私を含めて発言した人は、全員、不安や反対意見を表明した。稲村市長は、受け入れについて白紙だと言っていて、今日も自己の見解を全く示さなかった。政治的見解を持たない政治家って、何なのだろう。しかし、議会内で少数与党であることも考慮し、市長を孤立させることなく、住民サイドに立たせることが必要だろうと考える。20日に、もう一回ある。粘り強く、情緒的に災害ガレキ受け入れに賛成している市民を説得できるよう運動を進めたい。
☆北九州市:
4月9日、「原発の廃炉を求める北九州市民の会」と「北九州コドモのミライ」が送った質問状に公開回答と説明の場が5月10日に設けられ、その中のやり取りの中で「石巻市からの要請ではなく、はじめに環境省から受入れ要請があった」と北九州市も認めている。
この日北九州市が用意した資料では、
◎2012年
・3月12日北九州市議会で全会一致で受け入れ決議
・3月16日首相・環境大臣より積極要請
・3月25日細野環境相より石巻市分の受け入れ要請
・4月4日宮城県副知事より北九州副市長へ要請
・4月5日石巻市長より北九州副市長へ要請
となっていたが、やり取りの中で環境省から要請があってから北九州市職員が視察に行き、石巻市が応えたということが明らかになった。
試験焼却については口約束のみ、文書をもっての契約は何もないそう。
北九州市が市民への説明に使う「石巻市からのたってのお願い」というのは違うということは認めた。
当日中継配信された録画がこちら。
IWJ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/15202
北九州市で焼却というのは早い段階で決められていた。
http://portirland.blogspot.jp/2012/05/blog-post_859.html
北九州で支援されている弁護士さんからの情報では、石巻市復興対策課に問い合わせたところ産廃業者の不法投棄や、一旦は請け負ったものの焼却灰の汚染が高いために、被災地へ返却希望する桐生市などの状況もあるので「残存がれきは今後は防波堤プロジェクトに回したいが、宮城県が取り仕切っており石巻市には何も権限がない」とのこと。
宮城県知事が5月21日に会見をする。
震災瓦礫の全量精査結果を発表するという情報もある。
焼却施設増設中の宮城県と岩手県の地元で処理できれば、北九州市や他の地域で受け入れは不要になる、という言質も説明会で確認した。被災地の仕事を奪う行為にもなるので。
☆福岡市:
今日、嫌な情報が入って来た。「福岡市議会も被災地廃棄物受け入れ決議」
市長は反対しているが、自民党議員が焼却灰でリサイクル製品を麻生セメントで、という情報。続報があれば流します。
☆兵庫県西宮市:
西宮市長が、災害がれき広域処理問題に関して、「西宮の土地だけキレイであればいいというのは間違っている。西宮の子供達だけキレイであればいいわけではない。痛み分けをすべきだ」という主旨の発言をされたとの情報が入ったので、西宮市とメールのやり取りをした。
◎高島からのメール:「災害ガレキ受け入れについての市長発言」
西宮市長が、災害がれき広域処理問題に関して、「西宮の土地だけキレイであればいいというのは間違っている。西宮の子供達だけキレイであればいいわけではない。痛み分けをすべきだ」という主旨の発言をされたと聞きましたが、本当でしょうか。事実だとすれば、西宮市政の責任者として、あまりにも軽薄な言葉だと思い、驚きと怒りを禁じえません。
私は、友人たちと被災者支援の小さな会を作り、福島県を中心に被災者支援活動を行っています。現地に6回行き、被災地の方々の悩みを直接伺ってもいます。無料で線量計をお貸しして、被ばくの実態を把握していただき、コンタクトの取れた方の半数近くは県外避難されましたが、未だ避難のできない家庭があります。小さいお子さんのおられる方も多いです。避難できない主な理由は、やはり経済的な理由です。それでも、何とか子どもたちの被ばくを減らそうと、入手困難で、しかも高価な安全な食品の購入や家の周りの除染や週末一時避難などの必死の努力をされ、それらが家計を圧迫するというジレンマの中におられます。
こういう被災地の現状を見る時、関西や西日本の役割は何かと申しますと、被災地に対する安全な食料の供給基地になることと、最大限の努力で、小さいお子さんのおられる家庭を優先して避難の受け入れ促進、住居の提供、就労支援、母子支援を自治体独自の支援策として具体化、実行して行くことだと考えます。これは、人権と人道上の必須の課題です。それは本来、国がやるべきことだと悠長なことを言っていられないのが、被災地の状況なのです。真に痛みを分かち合うとするなら、そのような人間的な優しさに基づいて命を大切にしよう、子ども達を守ろうと、市民が立ち上がること、その先頭に自治体の長が立つことではないでしょうか。
そうだとすれば、西日本に放射能汚染を広げるようなガレキ受け入れ、焼却といった施策を取るべきではないのです。ガレキ受け入れに反対することを、あたかも「地域エゴ」「個人エゴ」としか捉えられない市長の発想は、あまりにも政治家としての想像力・構想力を欠いたものと言わざるを得ません。それ以上に、西宮市民、子ども達に被ばくを強要するかの如き姿勢は、人間としての品性にすら疑問を覚えます。
私は尼崎市民ですが、ガレキ受け入れ、焼却による放射能汚染を食い止めるためには行政単位に拘っておられないので、メールを送らせていただきました。西宮市長の残っているであろう人間性に訴えます。発言を撤回、謝罪し、災害ガレキの受け入れを拒否し、真の被災地支援の自治体政策を明示してください。
◎西宮市からの回答:
高島 与一 様
平素は、本市行政に格段のご配慮いただき、誠にありがとうございます。この度、市民の声へ頂きました件につきまして、回答いたします。
本市では、阪神淡路大震災で発生した災害廃棄物を、他の自治体に処理をしていただいた経験もあり、東日大震災の被災自治体から災害廃棄物の受入れ等の要請があれば、早期復興のためにも支援する必要があると考えております。
しかし、焼却灰の最終処分地を持たない本市におきましては、大阪湾広域臨海環境整備センターでの海面埋立最終処分場を利用しておりますが、この利用にあたっては、同センターが国の安全性評価を受ける必要があり、安全な基準が示されておりません。
これらのことにより、市民生活の安全と市民の理解を前提に、慎重に検討していきたいと考えております。
また、ご質問にある様な市長の発言は、ございません。
よろしくお願いいたします。
西宮市 環境局 環境施設部
施設管理課 築山 進二郎
TEL 0798-22-6601 FAX 0798-26-9091
E-mail seibusen@nishi.or.jp
☆さらに、高島から以下の返信を行いました。
西宮市 環境局 環境施設部
施設管理課 築山 進二郎 様
高島与一
ご回答、ありがとうございます。
さて、最終処分地である大阪湾広域臨海環境整備センターでの海面埋立最終処分場の件について一言申しあげます。
最終処分地がないというのは、私が在住する尼崎市も同様です。ガレキの焼却そのものに反対ですが、焼却した場合の最終処分地のことも問題です。それで、私は、兵庫県下の友人7人で、5月10日に神戸沖の同地の見学に行って来ました。
通常の廃棄物(焼却灰)に対し、有害物質のチェックはどのように実施されているのかを質しました。陸上の基地に廃棄物がトラックで搬入される時、まずゲートで一旦停車し、その底部が計りになっておりゴミの重量を計測します。廃棄物を覆うシートが捲られ、ゲートの上部にある窓から職員が目視でチエックします。それだけです。
さらに、目視で有害物質の有無がどうして解るのかを質しました。それに対しては、年間数回の抜き取り検査を実施しているとのことです。それだけです。契約時に、法を守るとの確認がなされているので、有害物質は、そもそも持ち込まれないとの前提であるとも言われました。
このような“おおらかな”有害物質の検査体制の延長線上に、放射能汚染の災害ガレキ焼却灰が持ち込まれると考えるとゾッとします。「安全性評価」は、単に基準をどう設定するかの問題にとどまらず、それを、いかに、どのような体制と手順(人員、専門職の配置、機械・器具、何重ものチェック体制など)で行われるかまで具体化されなければ、机上の空論、紙の上の作文でしかありません。
まだ、他にも問題はありますが、いずれにしろ、阪神間の住民の命と健康に、また海の汚染に重大な影響を及ぼす施策ですので、国の指示待ちではなく、貴自治体独自で充分な安全検証をされ、受け入れ反対の判断を下されますよう切望いたします。
ニッポンの被災地の汚染ガレキ広域処理に反対して活動する海外の素敵なお母さんたち
http://www.youtube.com/watch?v=WFSFDMiWVzU&feature=related
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