ルクノス ~ともし火~

日本聖公会 北関東教区 宇都宮聖ヨハネ教会のブログです。

顕現後第7主日

2006年02月19日 | ショートメッセージ
「あなたの罪は赦される」

 イエス様のもとにひとりの中風の患者が運び込まれた時のことが
今日の福音書(マルコによる福音書1:40-45)には描かれています。

イエス様は「子よ、あなたの罪は赦される」と言いました。
するとそばにいた律法学者たちが、
神以外に罪を赦す事は出来ないはずだとして、
イエスのこの言葉は神を冒涜するものとして非難したことに対して、
イエスはこの言葉を発したとされています。

当時のユダヤ教では、重い皮膚病や
今日取り上げられている中風など、
治り難い病にかかった人は罪人とされていました。
イエス様は、その中風の患者に対して
「あなたの罪は赦される」と言ったのです。

しかし、この部分のギリシャ語を見てみますと、
むしろ「あなたの罪は赦されている」という方が正しいようです。
いずれにせよ、彼らは病を患った上に、
罪人として迫害や排除を受けて差別されていたのです。
そして、この物語が取り上げたような差別の問題は現代も
克服されていないのではないでしょうか?

例えば、最近の1996年まで、「らい予防法」(1953年制定)は存続していました。
そこでは、患者たちの悲痛な叫びは無視され、
強制隔離政策は継承されてきたのです。
その間、元患者や家族の名誉や、尊厳は傷つけられてきたのです。

「『あなたの罪が赦される』というのと、
『起きて床を担いで歩け』というのと、どちらがやさしいか」

現代ではハンセン病は完治する病気です。
それでも差別は残っています。

イエス様はここで、どちらが難しいかと質問され、
「あなたの罪が赦される」という方のが難しいのだと答えています。
即ち差別を克服する方のが難しいのです。
ハンセン病元患者に対する差別はまだ克服されていません。
まして、治癒が困難であったこの時代の彼らの切なる願い、
それはたとえ病が癒えずとも、一人の人間として受け入れられる事ではないでしょうか。

そんな彼らにイエス様は宣言されています。
「あなたの罪は赦される」と。

執事 マタイ金山昭夫 《2006.2.19 週報より》

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