年末年始の読書のハイライトはなんと言っても、年末24日に出版されたばかりのこの本だった。「はやぶさ」ミッションの責任者による、世界初の「小惑星サンプルリターン」プロジェクトのドキュメントは、このプロジェクトの全貌を教えてくれると同時に、なによりも深い感動で心を打つ。「はやぶさ」がオーストラリアの夜空で、輝く火の玉となって大気圏で燃え尽きた映像の背後には、7年にわたる様々な困難を伴った「はやぶさ」運行の日々と、プロジェクトの発案から数えればなんと25年もの歳月があり、この果敢なプログラムが、日本の宇宙開発の歴史において独自の重要な位置を占めていたことがわかる。「はやぶさ」の成功により、少なくとも宇宙開発のこの分野においては、日本が信じられないことながらNASAを凌駕する飛躍を遂げたことがわかる。 . . . 本文を読む
2007年に自動車事故で惜しくも亡くなったハルバースタムの遺作である。
「朝鮮戦争」は、アメリカのみならず世界にとって“The Forgotten War”であると、著者自身が序文で触れている。 映像ジャーナリズムが世界を支配し始めた60年代に、世界中の注目と非難を浴びたベトナム戦争とは違い、まだ東西冷戦の初期に起こった「朝鮮戦争」は、金日成軍が1950年6月、突如として38度線を突破し、怒涛のごとく南に攻めてきて始まった。 不意をつかれた韓国・アメリカ軍は後退を重ね、8月には釜山から日本海に蹴落とされる危機に瀕したが、洛東江の戦いと呼ばれる釜山防衛戦で何とか踏みとどまり、9月15日、マッカーサーの伝説的な奇襲攻撃、仁川上陸作戦の成功で10月にソウルを奪回し、クリスマスまでには、戦争は終わると将軍は豪語していた。 しかし、、、 . . . 本文を読む
8月30日の衆院選まであと3週間。 民主、自民のマニフェストの中身がメディアでも取り上げられているが、民主党の高速道路無料化や月2万6千円の子供手当てを、ばら撒きと批判する自民代議士が多い。 だが、財源の裏づけがないといわれる前に、この国の肥大した官僚政治には膨大な無駄があるということを、多くの市民が感じているのではないだろうか。それでなくても、この10年間に世帯年収が100万円も減り、重税感に喘いでいる国民は、年金の財源として消費税の引き上げをお願いするという自民党より、まずは無駄を徹底的になくして財源を見つけ出す、という民主の声に耳を傾けている。
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2月のアメリカの自動車販売は、前年同月に較べ41%下落、年換算では900万台まで落ち込んだ。 GMは前年比マイナス53%、フォードも49%の落ち込みで、日本車も軒並み35~40%の減少となり、これで15ヶ月連続前年同月を下回った。 年販900万台とは、1981年12月以来の低水準で、当時は第二次石油ショックをきっかけに3年間続いた深刻な自動車不況の渦中であった。 現在も、シティグループやAIGなどのアメリカの最大手金融機関が政府の必死の救済策で辛うじて生き延びている状況であり、ダウ平均も6000ドル台まで下落。2月の失業率は8.5%まで上昇し、不況は現在進行形で深刻の度合いを増している。このままでは、GM、クライスラーが膝を屈するのは時間の問題とも思われる.
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未曾有の経済危機に世界が突入しつつある中、「ウォール街の終焉」だとか、「強欲資本主義の破滅」といった派手なタイトルのついた新刊が書店には目白押しだ。そうした本の中には、マスメディアを毎日のように埋め尽くす情報以上には特段の分析や洞察もなく、後知恵で金融資本主義をこき下ろす内容のものも多いことだろう。そんな中で、前著「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」で、その精緻な経済分析と歴史的な洞察によって、見事にグローバル資本主義の本質を解き明かしてみせた水野和夫氏の新著は、新書でありながら、先の見えない現在の曖昧模糊とした視界に光を射してくれる。
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