【ツカナ制作所】きまぐれ日誌

ガラス・金工・樹脂アクセサリー作家です。絵も描いております。制作過程や日常の話、イベント告知等。

【自作台本】好きってすてき

2018-01-09 07:58:12 | 自作台本
※自作声劇台本です。声劇台本なのに暗転とか書いてあるのは気にしないでください。演じる前に台本を読まずに、ぶっつけ本番で複数人で演じるのがオススメです。演じた方は感想頂けると嬉しいです(`・ω・´)b
私自身は複数人のメンバーで四回ほどやって修正を加えています。まだ今後直すかもしれません。


『好きってすてき』ラブコメ

篠原雄二(俳優)シノハラユウジ
加賀美真弓(俳優)カガミマユミ
田所圭司(篠原のマネージャー)タドコロケイジ
深瀬菜々子(加賀美のマネージャー)フカセナナコ
桜庭奏緒(映画監督)サクラバカナオ
築地一豊(ベテラン俳優)ツキヂカズトヨ
平井美香詠羅(ギャル)ヒライミカエラ
大谷きらりん(ギャル)オオタニキラリン

舞台上、スーツにバラの花束を持った男と、赤いドレスの女が差し向かう
篠原「マリ・・・俺の気持ちに気付いているんだろ?」
加賀美「でも・・・やっぱり私には分からない。セイジさん、あなたどうして私のこと好きだなんて言うの?私のどこが好きなの?」
篠原「君の、全てが好きだ。結婚してくれ、マリ!」
加賀美「セイジさん!私も!」

抱き合う二人。五秒ほどの間がある。

桜庭「カットだ!」

途端にマリ(加賀美)がセイジ(篠原)から離れる。

桜庭「いやぁー今日も素晴らしい演技でしたね加賀美さん、お疲れさまです」
加賀美「当然ですわ。」
桜庭「いやぁ、ほんとにその通りで・・・あ、篠原君も、お疲れ様!さすが『告白王子』って呼ばれるだけあるね!」
篠原「あ、どうも。そのあだ名はよしてくださいよ、恥ずかしいから」
桜庭「ははは、悪いねぇ」
篠原「(加賀美に向かって)ねぇ加賀美さん、良かったらこのあと・・・」
加賀美「(篠原を遮るように)あら!大変、私次の撮影があるから失礼しますわ」

優雅にスタジオを後にする加賀美、それを見送る篠原。加賀美は突然立ち止まり、加賀美のマネージャーである田所と短い談笑をする。それを見てため息をつく篠原の肩を、築地が軽く叩く。

築地「どうしたんだい告白王子」
篠原「よしてくださいよ築地さんまで。俺には相応しくないあだ名です。」
築地「俺が口を出すのもどうかと思うが、ま、言いたいことがあれば付き合うぜ。誰かさんを誘うよりは気が楽だろ?」
篠原「ベテラン俳優の大先輩を気軽に誘えるような身ではありませんよぼくは。駆け出しのぺーぺーです。『顔がいいだけで使ってもらえてる大根役者』だなんて、ネットで散々・・・あ、すみません、つい愚痴っぽくなっちゃって」
築地「いいさ。俺だってそう言われてた。まあ俺ん時はSNSなんて無かったわけだけど」
篠原「築地さん聞き上手だからつい愚痴を」
築地「気にすんな。演技なんて数こなせばそれなりになるもんだ。俺だって天才じゃねぇから頑張ってここまできた。お前さんもちゃんと努力してんだ。陰口言うやつなんかじきに見返してやれるさ」
篠原「築地さん・・・」
築地「おっと、俺も収録あるんだ。じゃあな。今度付き合えよ」

築地は背を向け、背中越しに篠原に手を振りながらはける。逆の手側からマネージャーの田所が登場。

篠原「かっけぇ・・・」
田所「あれ?しのさん?」
篠原「あ、圭司か。」
田所「お疲れ様です!今日もめっちゃイケてたっす!」
篠原「あぁ・・・」
田所「どうしたんすか?」
篠原「うーん」
田所「しのさん、しーのさーん?(篠原の目の前で手を激しく振る)」
篠原「お前さっきさ、加賀美さんと何話してたの?」
田所「え?加賀美さんと?うーんと、目があったんで、『お疲れさまです!』って。」
篠原「それから?」
田所「えー?えーっと、なんか言わなきゃって思って、『すごい演技でしたね!』って」
篠原「それから?」
田所「きらっきらの笑顔で『ありがとう!田所君!』って言われました!」
篠原「なにぃ!?(突如床に跪き、頭を抱える仕草)やっぱりおかしい!監督、しかもあの桜庭監督に褒められたのに『当然ですわ』で済ませた加賀美さんが田所にはきらっきらの笑顔で『ありがとう』!?しかも『田所君』!?俺だってまだ名前覚えてもらってねぇのに!この前なんか『えーっと、シノスケ君?』だって!どこの落語家だよ俺は生活情報番組の司会やったこと一度も無いわっ!篠原です!篠原雄二ですよ加賀美さん!」
田所「あのー、しのさん?」
篠原「ハッ!あ、ああ。ごめん田所君」
田所「え?な、なんで急によそよそしくなってるんすか!なんかおれ気に障ること・・・いつもしてるか!アハハ」
篠原「いや、ごめん圭司。そうじゃないんだ。ああもう、俺もうどうしていいか分からない!」
田所「あ、じゃあ飲み行きません?この後。俺しのさんに相談あるんすよ。しのさんぐらいしか俺の話聞いてくれる優しい人がいなくって」
篠原「圭司ィ・・・」
田所「な、なんすかしのさん」
篠原「いいやつだなぁお前。・・・いいやつなんだよなぁ」
田所「なんで残念そうに言うんすか?」

暗転
フェードアウトすると、舞台上には足を組んで座る加賀美とマネージャーの深瀬菜々子。

加賀美「ハァ・・・」
深瀬「どうしたんですか真弓さん、元気無いですね」
加賀美「ん、聞いてくれるの深瀬さん」
深瀬「モチのロンですよ加賀美さん。なんてったって私はあなたのマネージャーですからね!」
加賀美「実は・・・私、恋しちゃったみたいなのよ・・・」
深瀬「こ、こい!?あの、おふが大好きな」
加賀美「それは魚の鯉でしょ」
深瀬「ではCame onの日本語訳」
加賀美「発音はいいけど違うわ」
深瀬「ならば淡いの対義語」
加賀美「もう、そんなテンプレなボケよしてちょうだい。好きな人ができたって言ってるのよ」
深瀬「ええー!あのセクシービューテフォー女優なのにスキャンダルとは無縁!氷の女王とまで呼ばれる加賀美真弓が!?ゴシップ系週刊誌の記者に嫌われてる理由が『ネタが無い』の加賀美真弓が!?あまりに週刊誌に載らなすぎて、名前を売りたいお偉いさんに『多少のことは目をつぶるからウンヌン』って煽られても一切動じなかった加賀美真弓がー!?」
加賀美「あら、そんなこと言われてたの?」
深瀬「本人気付いてないやーつ!?」
加賀美「まあ、今回があたくしの初恋になるわね・・・」
深瀬「Holy shit!逆の意味でスキャンダラス!」
加賀美「今まで沢山の男性に口説かれてきたけど、お付き合いって一度もしたこと無いのよ。だからどう振る舞っていいか分からなくて」
深瀬「Goddamn!純潔の天使降臨!」
加賀美「あなた、さっきから様子が変よ?」
深瀬「すみません、まゆみん・・・げふん、真弓さんの意外な一面が見れたのが嬉しくて」
加賀美「まぁいいわ。聞いてちょうだい」
深瀬「なんとなくですけど、誰だか分かる気がします」
加賀美「あら、それなら話が早いわ。さすが菜々子さんね。彼は時々ちょっとお馬鹿さんだったりうっかりさんだったりして、そういう隙のあるとこがいいのよ。」
深瀬「・・・あるぇ?おかしいな予想外の感想だ。あのイケメン俳優の篠原さんじゃ、ない?そういや最近まゆみんあの篠原さんのマネージャの田所とよく話してるけどまさかのマッカーサーなのではこれは。あー!いかーん!誰だか分かるとか言っちゃった手前訊きにくい!」
加賀美「菜々子さん、どうしたの?」
深瀬「どうしようあんないかにも頭空っぽでふらふらしててダメそうな男を好きになるなんて、どう考えてもまゆみんダメ男に引っかかるタイプじゃん!あ、そうかまゆみんって高嶺の花オーラがすごくて、言い寄ってくる連中がみんな自分に自信あるタイプばっかだったんだろうな。あーあ困った。いやでも私はマネージャーである以上に、まゆみんに一番近いファン!彼女の幸せのためならこの深瀬菜々子!全身全霊とついでに命も掛けて支援いたす!」
加賀美「どうしたの深瀬さん」
深瀬「私、応援してますからね真弓さん!」
加賀美「・・・ありがとう深瀬さん!」
深瀬「天使ぃ!」

暗転
篠原と田所がカウンターに掛けている

篠原「で、圭司の相談?ってなんなの」
田所「あー、俺ぇ、好きな人できたんすよ」
篠原「えっ・・・ま、まさか・・・加賀美さんじゃ・・・」
田所「へ、何言ってるんすかしのさん。あんな高嶺の花、俺とは釣り合いませんて」
篠原「いやまあ・・・そんなこと・・・じゃなくて・・・えっと、ああもう」
田所「加賀美さんのマネージャー、深瀬菜々子ちゃんですよォ」
篠原「あ・・・そっか。よかった」
田所「なにがすか?」
篠原「あ、いやぁ何でも無い!」
田所「菜々子ちゃんて、いつも加賀美さんの隣で献身的に尽くしてるじゃないですか」
篠原「へー」
田所「そうなんすよ。この前なんか加賀美さんの真っ赤なハイヒール・・・なんて言うんでしたっけ。ピンヒールか。あれが見当たらないってなった時、菜々子ちゃん素早く懐から取り出して『拙者が温めておきました』って」
篠原「へ、へー・・・」
田所「それだけじゃないす。この前だって菜々子ちゃんが加賀美さんに飲み物のペットボトル手渡した時、なぜかちょっと減ってて。そしたら菜々子ちゃんすかさず『毒味しておきました』って」
篠原「そのペットボトル多分捨てられてないんだろうな・・・」
田所「えっ?」
篠原「いや、何でもない。」
田所「まだあるんす」
篠原「まだあるのっ!?もうあんまり聞かないほうがいい気がするんだけど」
田所「まあいいから聞いてくださいよぉ・・・」

暗転
カフェのような場所に二人連れが二組。桜庭監督と俳優の築地が話し始める。

桜庭「築地さん、それほんとなの?」
築地「ああ。桜庭監督も薄々は感づいてたでしょ。勘がいいから」
桜庭「うっ、まあ、そう・・・」
築地「あ、ほら。俺としてはさ、若い二人の恋を応援したいわけよ」
桜庭「ええ、ええ」
築地「篠原君、真面目なんだけど好きな人の前でやたらキザっぽく振る舞うもんだから」
桜庭「うーん・・・加賀美さん、気付いてるんですか?」
築地「さぁな」
桜庭「さぁって・・・」
築地「レディは自分の考えを隠すのが上手いからな。俺たち男をヘトヘトの骨抜きにしておいて、そして急に振り返って言うんだ。『あら、知らなかった』って。そういうとこも含めて魅力なんだけどな」
桜庭「思い当たる節があります」
築地「勘違いしてるのはこっちの勝手なんだ。ちょっと話しかけられたり、挨拶しそびれたりで一喜一憂して・・・でもそんなふうに振り回されるのを楽しむ余裕が出てきた分、俺も大人になったってことかな。」
桜庭「かっけぇ」
築地「ん?」
桜庭「いや、なんでも無いですけど・・・」

ちょっと離れたテーブルで盛んに聞き耳を立てていたギャルが視線をあわせる

平井「え、マジか」
大谷「マジマジ」
平井「マジか。パネェ」
大谷「ヤベェ」
二人「マジヤベェー」



平井「あ、ラッキーアイスクリーム」
大谷「ばーかハッピーアイスクリームだろ」
平井「ハッピーか。マジヤベェ」
大谷「マジエモい」
二人「ハピアイ~」



二人「ウェーイ(ハイタッチ)」
平井「じゃねーよ!」
大谷「え」
平井「あんたあの話聞いてなかったの?」
大谷「聞いてた聞いてた。だからマジヤベェーって」
平井「な。マジヤベェ。どうにかすっぞきらりん」
大谷「え、スーパー行くの?」
平井「・・・はァ?」
大谷「あれっしょ?マジヤベェのってスーパーの卵特売っしょ」
平井「ちっげーよばーか!何そっちのオバハンの会話聞いてんだよ。あっちのオッサンの話聞いとけよ」
大谷「オッサンの話ィ?」
平井「しのさんが」
大谷「しのさんて篠原雄二様?」
平井「そうだよ!あたしらのミラクルキューティクルスーパーハイパーイケメンハンサム俳優のしのさんだよ!」
大谷「しのさんはぁ、マジヤベェ。嫁。」
平井「マジもんのイケメン。つかあーしらが嫁。」
大谷「で、しのさんが?」
平井「お前なんも聞いてねぇーな!しのさんが好きな人できちゃったんだよ!」
大谷「マジ?」
平井「マジだよ」
大谷「マジパネェ」
平井「だるぉ?(巻き舌)」
大谷「で、誰を好きになったって?」
平井「新作映画で共演してる加賀美真弓」
大谷「いや、それ違うべ」
平井「何が」
大谷「加賀美真弓なんてただ顔がよくて、美人で、おっぱいっでっかくて、ないすぼでーで、学歴よくて頭も良くて性格もよくてカッコイいだけのセクシー女優じゃん。しのさん、あんなんのどこがいいんだっつーの」
平井「あんたも結構ファンじゃん・・・」
大谷「ミカエラが聞き間違えたんっしょ」
平井「あーしが?」
大谷「だからあ、しのさんが加賀美真弓を好きなんじゃなくて、加賀美真弓がしのさん好きなんっしょ」
平井「え、マジで?」
大谷「マジマジ」
平井「マジパネェ」
二人「マジヤベェー」



二人「ウェーイ(ハイタッチしかけるが平井が直前にかわす)」
平井「じゃねーよ!だったらあーしらがどうにかすっぞって言ってんの!」
大谷「どうにか?」
平井「どうにかして阻止すんだよ!」
大谷「阻止すんのか!」
平井「名付けて・・・えーと・・・加賀美真弓をしのさんから遠ざけ・・・違う。あーしらのしのさん奪還大作戦!」
大谷「マジヤベェー、ミカエラクレイジー」
平井「なに笑ってんだよお前もやるんだよ」
大谷「マジ?」
平井「マジマジ」
大谷「マジかぁー」

暗転
篠原が舞台端でもじもじしている。考え事に夢中で加賀美が近づくのに気付かない。

篠原「あー、今日こそ・・・今日こそやるんだ。加賀美さんに『好きです!』・・・って言うのは無理だから、せめてお茶しません?いやでも、まず気軽に挨拶できる関係になるべきなんだから『おはようございます』?」
加賀美「ええ、おはよう篠崎さん」
篠原「ヒェッ!じゃなくて篠原です加賀美さん!今日もお美しい!」
加賀美「ねぇ、今日は田所君は?」
篠原「東京湾に沈めました」
加賀美「え?」
篠原「と、いうのは冗談です。ははは・・・えーっと今楽屋じゃないかな」
加賀美「そう・・・」
篠原「そうだ加賀美さん、(加賀美の頬に触れる)今日撮影の後」
桜庭「あ、ねぇ篠原く・・・っと、ごめん、お話中・・・だったね」
篠原「あ、その」
加賀美「いいえ、構いませんわ。あたくし失礼しますね」

優雅に去る加賀美、肩を落とす篠原と桜庭。

桜庭「ご、ごめん篠原君。」
篠原「・・・え?あ、いいえ、気にしないでください。ただ挨拶してただけですから」
桜庭「うーん、いやホントに・・・ごめんな?」
篠原「いや、だから何がですかって。ははは」
桜庭「実は築地さんに聞いたんだけど・・・いや、私も薄々感づいてたんだけどさ、篠原君さぁ、加賀美さんのこと好きなんだよね?」
篠原「あ、え、まあその」
桜庭「うん、分かってる分かってる。私も応援してるよ」
篠原「でも全然脈なしで・・・」
桜庭「ま、肩落としなさんなや。乙女心はなんとやら、だろ?どうにかなるって。はっはっは」
篠原「・・・桜庭さんて人を慰めるのが下手だって言われません?」
桜庭「うんよく言われる」

暗転
控え室。コーヒーをすする田所。

田所「はぁー、うめぇ・・・」
深瀬「あ、た、田所てめぇ」
田所「へっ」
深瀬「あ、違う違う!えーと、田所君ってねぇ、って言ったの」
田所「はぁ、うっす菜々子ちゃ・・・さん。何か用すか」
深瀬「用・・・大ありよ。田所君、ぶっちゃけはっちゃけ私の加賀美真弓さんをどう思う?」
田所「どうって・・・ナイスバディー?あ、でも俺的には菜々子ちゃんの方が」
深瀬「ハンッ!やっぱりこの男駄目だ。でもまゆみんのため・・・げふん。あのね田所君」
田所「圭司って呼んでほしいっす!」
深瀬「は?いや、いいよどうでも。今から私がきっちりみっちりまゆみんの魅力を解説するからそこに正座しなさい。」
田所「え、はぁ」
深瀬「まずまゆみんのかわいい所から。まゆみんはチョコが大好きなの。でもチョコってカロリー多いから、日々の食生活の管理もしている私としては予定外のカロリー摂取はひかえてくれって常々言ってるわけ。でもほんとはこっそり食べてるの気付いてわけよあたしも。でもわざと気付かないフリしてたの。でね、この前偶然現行犯でチョコ食べてるとこ見ちゃったわけ。そしたらまゆみん、困った顔して、なんて言い訳したと思う?」

徐々に照明落とす
平井と大谷

平井「マジヤベェ」
大谷「マジパネェ。ほんもんの加賀美真弓マジ天使。」
平井「おいっ」
大谷「何!?」
平井「あーしらの目的忘れんなよ」
大谷「わーってるわーってる」
平井「言ってみ?何するか」
大谷「えーっと、しのさんが通りかかったら(篠原通りかかる)この、まゆみんの悪口が書かれた紙飛行機を・・・えいっ」
篠原「(目に紙飛行機が刺さる)目がぁーっ!」
大谷「あっしまった!」
平井「何やってんだばーか!逃げるぞ!」

逃走する二人、通りかかった加賀美が篠原を抱える。

加賀美「ちょっと、大丈夫?東雲さん」
篠原「あ、加賀美さ・・・ええ、平気です。ちょっとあなたの美しさに目がくらんだだけで」
加賀美「お立ちになって。休んだ方がいいと思うわ」
篠原「い、いえ、お気になさらず!」

慌てて舞台端に逃げる篠原。加賀美は怪訝そうな顔ではける

篠原「ふいー、危ない。まったく、誰が俺に紙飛行機なんかぶつけたんだ(紙飛行機を丸めて投げ捨てる仕草)それにしても・・・加賀美さん、なんか優しかったな・・・俺かっこ悪いとこ見せちゃったのにな。気をつけなきゃ。男は常にカッコイいとこ見せてなきゃ」

舞台からはける篠原と逆の手から平井と大谷

平井「ヤベェ」
大谷「パネェ」
平井「お前のせいだぞ」
大谷「ちょっと、作戦考えたんはミカエラでしょ。プルーンなんだから。」
平井「・・・ブレーン?」
大谷「それ。早く次の作戦考えてよ!」
平井「まあ、待て待て。これを食べるんだ」
大谷「ば、なな?」
平井「そうだよほら早く!」

篠原がはけた手から加賀美登場

平井「よし、きらりん今だ行け!」
大谷「むふんっ(バナナの皮を投げる)」
加賀美「ひゃあっ」
深瀬「(倒れかかる加賀美を突っ走ってきた深瀬が支える)おっと、お怪我ありませんか真弓さん」
加賀美「ええ、おかげで大丈夫よ深瀬さん。ありがとう」
深瀬「でへへ」
平井「なんだあれ」
大谷「ライバル・・・」
平井「違うだろって。うーん、こうなったら収録中に加賀美真弓のざまぁねえとこ晒すしか無いな」
大谷「えぇ・・・」
平井「パンチラとか」
大谷「やろうぜミカエラあ!」
平井「なぜ急にやる気になったし。まあいいや、早くロケバスの屋根によじ登るんだ!」

暗転
和室のセット。中央に、厳しい顔付きの和服の築地、向かい合うのは篠原と加賀美。舞台端には桜庭がメガホンとカチンコ、逆の端に釣り竿を持った平井と大谷

桜庭がカチンコ
篠原「オオキさん・・・いえ、お義父さん!娘さんと結婚させてくd」
築地「許さん!まずいきなりお義父さんは無いだろう。お前のような子を産んだような覚えは無いぞ」
加賀美「あら、私を産んだのもお父さんじゃないわ」
築地「あ、そうか。うーん、じゃあ靴下が派手だ。気に入らん。」
加賀美「私がプレゼントしたのよ」
築地「派手だがセンスはいいな。しかし貴様のようなどこの馬の骨とも知らん男にうちの娘をやるなど・・・ぐすん・・・め、目に入れても痛くない、こんなに大切に・・・育てた娘を・・・」
平井「おいきらりん、早くしろって」
大谷「まっちょまっちょ、これ結構操作が・・・うおっ(築地のウィッグが取れる)」
築地以外全員『あっ』
築地「えっ・・・あぁあ!?」
築地のロマンスグレーのカツラの下は紫の短髪
篠原「あっ!その頭まさか!」
築地「フッ・・・ばれちゃ仕方ねぇな(懐からサングラスを取り出してかける)そう、俺の裏の顔は、伝説のハードロッカー高村キンジ!(脱ぎ捨てた和服の下に革ジャン)」
全員「かっけぇ!」
築地「おっと、このことはここにいる人だけの秘密だぜ?そこでコソコソしてる子猫ちゃん達もな」
大谷「ひぇっ」
平井「逃げるぞ!」
はける平井と大谷。築地は素早く和服とウィッグを身につけ、懐にサングラスをしまう。
築地「さて仕切り直そうか、監督」
桜庭「・・・あ!はぁ・・・じゃなくて、カット!カットだ!」

暗転
平井と大谷

平井「この作戦も失敗か」
大谷「やっべーほんもんの高村キンジマジかっけぇ」
平井「マジ渋イケメン。え、つかさ、次どうすんの」
大谷「マジヤベェの思い付くしか無い」
平井「あっ・・・」
大谷「い?」
平井「・・・蚊に刺された」
大谷「なんでぇい!」
平井「蚊で思いついたんだけど、大量の虫を集めて加賀美真弓にぶつけるのはどうだ?」
大谷「え、ヤベェ」
平井「それ賛成ってこと?反対ってこと?」
大谷「いや感想。ヤベェって。やるやる」
平井「じゃあ(カフェのテーブルの下から虫取り網と虫かごを出し)行くか!」
大谷「(テーブルの下から麦わら帽子を出し)行く!」

暗転

影でこそこそするギャルコンビ。二人に背を向けてうつらうつらする桜庭。篠原と加賀美は台本を手に向かい合い、小声で打ち合わせている。

平井「よし、やんぞ!」
大谷「この大量の芋虫爆弾で加賀美真弓の無様な姿を・・・あれ、あーしこの後の展開読めた気がする・・・」
平井「どうしたきらりん」
大谷「芋虫降ってきて・・・まゆみんがキャーッてなって・・・しのさんにくっ付いて・・・」
平井「何ブツブツ言ってんだ。やるぞほら」
大谷「あーっ、ちょっち待っ・・・」
平井「いいから早く・・・うわあー!」

壊れた虫かごから大量に蝶が飛び出す。(黒子が釣り竿で蝶を飛ばす)

桜庭「ぎゃー!(篠原に抱き付く)」
篠原「ひぇー!(桜庭に抱き付く)」
加賀美「あら、きれいね」

桜庭から逃げようとした篠原、大道具につまづき、物が倒れ、連鎖で舞台セットがめちゃめちゃになる。蝶に見とれる加賀美はそれに気付かず、指に蝶がとまる。

加賀美「・・・あら、どうしたの篠原君」
篠原「あ・・・俺、虫苦手で・・・うわわわ」
加賀美「うふふ・・・ふふふ」
篠原「幻滅しました?」
加賀美「いいえ?あなたやっぱりかわいいとこあるのね。」
篠原「か、かわ・・・どういう意味ですか」
加賀美「立って、ほら」
篠原「ありがとうございま・・・あれ・・・加賀美さん俺の名前覚えてくれてたんですか!?」
加賀美「あら、うっかりしてたわ」
篠原「え、それどういう・・・加賀美さん!?」
加賀美「ごめんなさいね、雄二君。私、好きな人には意地悪したくなっちゃうタイプみたいなの」
篠原「えぇえ!?」

暗転
田所と深瀬

深瀬「なんてこったい」
田所「菜々子ちゃ・・・菜々子さん、泣いてる?」
深瀬「泣くもんか。いや、泣かずにいられるか!まゆみんが篠原さんと付き合ったのが嬉しくて・・・」
田所「嬉しいのに泣くんですか」
深瀬「・・・悪かったな」
田所「悪くないです。好きな人のために泣けるってすごいっす」
深瀬「違うよ。あたしゃ自分のために泣いてんだ」
田所「俺じゃダメですか?」
深瀬「どういう意味?」
田所「俺じゃ加賀美さんの代役にはなれませんか?」
深瀬「・・・俳優でも始めるつもり?」
田所「ええ、そうです。俺確信したんです。自分やっぱ、死ぬほど演技が好きなんすよ。いいえ、好きなんです。もう一度始めから、役者としてやり直したい。」
深瀬「あたしはマネの仕事好きだけどな」
田所「だったら、俺のマネやってください。俺が役者になったら。」
深瀬「・・・あたし、食生活から管理するけどいいの?」
田所「ピーマン以外なら何でも食べますよ」

暗転


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。