浮世風呂

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支那の「権力闘争の行方」

2014-01-23 10:02:02 | 資料

薄煕来の「野心」に荷担した周永康のXデーはいつ?

2014年01月22日(Wed)  佐々木智弘 (日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長)

 周永康(写真:ロイター/アフロ)

現在、北京で持ちきりの話の1つは、周永康前中央政治局常務委員に対する拘束、或いは取り調べ、処分を当局が発表する「Xデーはいつか」ということである。

次々と拘束される周人脈

 以前、薄煕来前中央政治局委員兼重慶市党委員会書記が失脚に追い込まれたことについて、

 「薄の『野心』、すなわち習近平が兼務する国家主席や李克強が兼務する国務院総理といった重要なポストを当時狙っていたとする憶測にはかなりの説得力がある。それは江も胡も受け入れられないものだった」

 という私の見解を紹介した(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3194)。

 周は以前からこの薄の「野心」を支えていた人物と見られていたが、これまでのところ周に関する公式情報はない。他方、周によって抜てきされたと見られる政治家(周人脈)が昨年(2013年)後半から次々と当局に拘束されていることは確認されている。公安系統では李東生公安部副部長(現職)、石油業界系統では蒋潔敏国務院国有資産監督管理員会主任(現職)、王永春中国石油天然ガス集団副總経理(現職)、四川省系統では李崇禧四川省政治協商会議主席(現職)、郭永祥元四川省副省長などである。彼らの拘束の原因は一様に表向き「重大な法律違反規律違反」とされた。要は汚職である。しかし、本当に汚職だけの原因で拘束されたと信じる人は誰もいない。全員周絡みと容易に想像がつく。

 2014年に入り、香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』が1月10日付で、周の息子である周濱も汚職で拘束されたと伝えた。これで再びXデー騒ぎに火がついた。Xデー騒ぎは、一昨年(2012年)3月の薄拘束直後からこれまで出ては消えてきた。おそらく、周の処分をめぐり積極派と消極派の対立があったのだろう。しかし、今回はこれまでとは状況が異なるように思われる。すなわち、周に対する扱いが一応の決着を見たのではないか。その状況から処分は周人脈にとどまり、周自身の拘束はない、あるいはあったとしても当局が発表することはないのではないか。

 筆者がこう考えるのには理由がある。それを2014年に入って開かれた2つの大きな会議に関する『人民日報』の報道ぶりから説明することができる。

中央政法委員会のトップだった周 

 2014年に入って開かれた大きな会議の1つは1月7~8日の中央政法工作会議であり、もう1つは同月13~15日の第18期中央規律検査委員会(中規委)第3回全体会議である。この2つの会議で習が重要講話を行っている。以下、『人民日報』が伝えたこの2つの会議での習の重要講話に関する記事から注目される部分を紹介する。

 最初に中央政法工作会議である。政法とは司法、治安などの政治領域を指し、中央官庁で言えば司法部や公安部、国家安全部などが該当する。そしてこれらの官庁を統括する上部組織として党中央内に中央政法委員会がある。中央政法委員会は、司法への関与、公安部隊の動員、取り締まり、高官を含めた幹部の機密情報へのアクセスなどを可能とする巨大な政治権力を有している。2007年から2012年までそのトップである書記を務めていたのが周であった。

異例の中央政法工作会議

 中央政法工作会議は党中央主催の政法工作に関する会議である。習近平は重要講話で次のように言及している。

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「政法戦線は旗幟を鮮明にし、党の指導を堅持しなければならない」
「政法工作に対する党の指導に動揺はなく、政法工作に対する指導を強化、改善しなければならない」
「われわれの政法隊伍の主流はすばらしい。党の指揮に従い、人民に奉仕し、激戦を戦い、犠牲を恐れない隊伍であり、党と人民が完全に信頼できる頑強な戦闘力を有する」
「理想信念の教育を政治隊伍建設の第一に置き、たえず旗幟を高く抱え、党の指揮に従い、使命に忠誠を尽くすという思想的基礎をしっかりと打ち建て、党の事業至上、人民の利益至上、憲法法律至上とすることを堅持し、党に忠実で、国家に忠実で、人民に忠実で、法律に忠実という政治の本来の姿を永遠に保たなければならない」
「政治隊伍があえて責任を負い、悪しき風潮に直面するには、あえて剣を見せて断固闘争し、絶対に任せっきりにすることはできない」

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 党中央が政法工作を指示、確認する会議は通常中央政法委員会全体会議である。そのため中央政法工作会議の開催は極めて異例と言わざるを得ない。筆者自身も記憶にない。しかも習の重要講話の内容が意味深である。

 1つは政法工作に対する「党の指導」を繰り返し、何よりも優先して強調している点である。これはこれまで「党」ではないものの指導が優先されていたことを示唆している。

 また「政法隊伍の主流はすばらしい」としているのは、一見政法関係者を評価しているように思えるが、むしろ「主流」でない一部のものがすばらしくないことを示唆していることが重要である。

 さらに政法工作が「剣を見せて断固闘争」しなければならないほど深刻な「悪しき風潮」に直面していることを指摘している。

 状況を鑑みれば、こうした「党」ではないもの、「主流」ではないもの、そして「悪しき風潮」は、これまで長きにわたり政法工作を牛耳ってきた周を指していると考えるのが自然であろう。つまり「党の指導」を強調し、政法工作を「主流」の手に取り戻し、「断固闘争」するよう指示したのは、まさに周による中央政法支配の一掃を意味している。

 そして、この会議の終了を受けて『人民日報』1月9日付に発表された評論員による「党の政法工作に対する指導を揺らぐことなく堅持する」と題する論説は「公安部門の幹部と警察官は重大な政治的試練に直面し、困難や危険を進んで引き受け、絶対に『二股』をかけてはならない」としている。この「二股」は「党」と「周」を指すものと見られる。つまり、公安部門の幹部と警察官は党に忠誠を誓うよう指示しているのである。

 そして異例なのはこれだけではない。『人民日報』には、1月10日から17日までのあいだに評論員による「習近平同志の中央政法工作会議での重要講話精神を学習、貫徹」と題する論説が4回、17日から20日まで「中央政法工作会議精神解読」と題する解説記事が4回連載されている。通常会議後のこうした連載は、決定事項の周知徹底の意味を持っている。つまり何かがすでに決定したことを示唆している。

 以上、「中央政法工作会議」という党中央主催の異例の会議が開かれたこと、会議後に2つの連載論説を掲載していることは、習が「周」による中央政法委員会の支配の一掃にすでに成功したことを意味しており、それを高らかに示しているように思われる。

習近平との思想の一致を求める中央規律検査委委員会全体会議

 もう1つの会議は1月13~15日の第18期中規委第3回全体会議である。中規委は共産党員の腐敗など規律違反を監督、処分決定を行う機関である。全体会議は毎年1月に開かれ、前年の回顧と当年の目標指示が議題となる。習は重要講話で次のように発言している。

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「われわれは中央政治局から行い、上が下を向上させることを堅持し、模範作用を発揮した。突出した問題の解決を切り口にし、正しいものを助け邪悪なものを除去することを堅持し、明確な進展を勝ち取った。『虎(大物)』も『ハエ(小物)』も一緒に取り締まることを堅持し、腐敗分子に対する高圧的な態勢を形成した」
「全党同志は反腐敗闘争の長期性、複雑性、非常な困難さを深く認識し、劇薬で病を取り去り厳しい法律で混乱を治める決心、骨を削って毒を治療し勇猛果敢に腕を断つ勇気で、党風クリーン政治建設と反腐敗闘争を断固徹底的に進めなければならない」
「党の各級組織は党員、幹部が政治規律を守ることに対する教育を強化し、党の各級規律検査機関は党の政治規律を守ることを第一に置き、全党の思想上、政治上、行動上党中央との高度な一致を確保しなければならない」

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 「邪悪なもの」「虎」はまさに周、そして周人脈を指していると言え、「高圧的な態勢」で腐敗高官を取り締まったことを強調した。その上で「劇薬」「骨を削って毒を治療し勇猛果敢に腕を断つ勇気」で今後も取り締まる決意を示したことは、同時に周や周人脈の取り締まりがいかに困難なプロセスだったかということも示唆している。そして、「党中央との高度な一致」の確保はまさに習との一致を指示している。

周問題は収束の方向へ

 こうした2つの会議の報道ぶりを見る限り、これまでの党中央の手続き方法に照らせば、薄と周の問題は収束の方向に向かっている。つまり周に対する拘束、或いは取り調べ、処分を当局が発表することはないのではないかと思われる。

 やはりそこには、中央政治局常務委員というハイレベルの地位に就いた者を処分することには強い抵抗があるのではないか。これは党中央内の暗黙の了解であり、それを破ることは中国共産党による一党支配の枠組みを破壊することになる。

 当然、習にとって強いリーダーシップを発揮することが自らの権力基盤を固める上で有効である。しかし、ソ連共産党崩壊の教訓を重視する習にとっての至上命題は一党支配を守ることにある。習がそのために周の処分を公表するというリスクを冒すだろうか。ここでの見方は分かれるだろう。薄と周の「野心」は、北京では「クーデター」とも言われる事態で、私は単なる権力闘争を超えた一党支配を破壊するものだったと見ている。それほどの大事だった故に、周の処分の公表に踏み切る可能性もまだ否定できない。

 しかし、その「野心」を表沙汰にはできない以上、汚職を理由にした周の処分は習にとってリスクが大きすぎる。なぜなら一昨年(2012年)『ニューヨークタイムズ』紙にファミリー利権を暴露された温家宝にまで影響が及ぶ可能性があるからである。こうした一党支配に不安定をもたらす連鎖を習が選択するとは考えられない。それ故に、李東生公安部副部長を始め現役高官の周人脈を完膚無きまで拘束して、周自身に十分なダメージを与えているのではないだろうか。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3532

◆中国「太子党」ら、海外蓄財400兆円は氷山の一角だ!

BLOGOS 木村正人 2014年01月22日

中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席、温家宝前首相、李鵬元首相ら中国共産党や中国人民解放軍幹部のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになった。

これまで告発サイト「ウィキリークス」に流出したイラク・アフガニスタン駐留米軍の機密文書、米外交公電、米中央情報局(CIA)元職員スノーデン容疑者が暴露した米国家安全保障局(NSA)の情報活動の実態を連続スクープしたガーディアン紙だけに、中国共産党、中国人民解放軍幹部ファミリーの蓄財をどこまで暴けるか、注目される。

ICIJのボール記者らはタックスヘイブンとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の2社から200ギガバイト以上のデータを入手、約2年にわたって分析し、裏付け取材を進めてきたという。

第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人。

国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース、スイス銀行大手クレディ・スイス、UBSなど欧米の銀行や会計事務所がバージン諸島での会社設立を仲介していたという。

中国と香港の2万1千人以上が海外会社のオーナーや株主になっており、2000年以降、1兆~4兆ドル(約104兆~約417兆円)の隠し資産が中国から流出したとボール記者は指摘している。

12年、米紙ニューヨーク・タイムズは、温前首相のファミリーが27億ドルを超える資産を保有していると報道。温前首相の妻は「ダイヤモンドの女王」と呼ばれ、実弟は不動産・医療廃棄物処理などを手がける実業家、長男の温雲松氏は大手保険会社の大株主で、天津市の土地開発に関与する資産家という内容だった。

温前首相は報道内容を否定している。

温雲松氏は今回の報道でも名前が挙がっている。ニューヨーク・タイムズ紙が温ファミリーの蓄財を取材していた最終段階から同紙にはハッカーによるサイバー攻撃がかけられたという。ガーディアン紙でも今月7日以降、中国で同紙ウェブサイトの閲覧が一部遮断されるトラブルが発生していた。同紙は「理由は不明だ」と説明していた。

反腐敗対策に力を入れる習主席は中国最高指導者の共産党総書記に就任するとともに、中堅クラスの中国共産党幹部十数人を一斉摘発。「指導幹部の規律違反や違法行為を断固として処罰する」と宣言した。

しかし、国際人権団体アムネスティー・インターナショナルによると、習主席の言葉とは正反対に、昨年7月、「新しい市民運動」を呼びかけた活動家Xu Zhiyong氏を拘束。同氏はその2カ月前に、中国当局の透明性と腐敗の解明を求める記事を発表していた。

アムネスティー・インターナショナルは21日、「Zhiyong氏は良心の囚人と考えている。即時、釈放を求める」と表明した。

中国では高度経済成長とともに貧富の差も拡大。100人の富豪が3000億ドルの資産を独占する一方で、推定3億人が毎日2ドル未満の生活を強いられている。ボール記者らが入手したデータでも、16人の資産を合わせた金額は450億ドルにのぼっていたという。

たった2社のデータでこの数字である。しかも、タックスヘイブンはバージン諸島だけではない。タックスヘイブンを使う目的は租税回避、不正蓄財、国内資産の海外移転などが考えられる。中国共産党、中国人民解放軍幹部ファミリーによる海外蓄財は一体どれぐらいの規模に及ぶのか、想像もつかない。

http://blogos.com/article/78526/

◆中国の経済大国化の影で蠢くEU

 世界最大手のアメリカ国債の所有主となり、米国への金融「支配」を拡大する中国。

日本と衝突する防空識別圏の設定等といった、中国の軍事・外交的な強硬さは、こうした経済大国・金融大国化によって後押しされている。

中国の中央銀行(日本であれば日銀に該当)である中国銀行は、RBS=ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドと事業提携を行っている。

世界最大の為替市場を持つ金融センター=英国ロンドンの金融中枢を握る銀行であり、前ブッシュ大統領の恩師であるキリスト教原理主義教会の宣教師パット・ロバートソンが経営に関与する銀行である。

「人種的に劣った日本人をはじめとする有色人種は、世界規模での核戦争によって絶滅すべきである」と主張する、キリスト教原理主義教会。

「有色人種を絶滅し、白人だけの神の国を創る」と主張するキリスト教原理主義教会にとって、日本と中国が核戦争を起こし、東アジアの有色人種が激減する事は、極めて望ましい事になる。その発端として、防空識別圏でのトラブルが必要となる。

この「思想」が、中国の中央銀行の中核を握っている。

また中国の政治的中心地を握る北京銀行は、オランダの銀行INGを提携先としている。

かつて世界の覇者として世界帝国の原型を作り出したオランダは、南アフリカ等の支配地で、少数民族問題を大いに利用した。少数派の民族をオランダの代理人として現地の支配人として使う事で、これまで少数派として虐げられてきた多数派への怨念を利用し、多数派への暴力支配を徹底化させた。

怨念に取りつかれた少数派が、暴力を使った強硬な支配を貫徹する事は、オランダの現地支配を安定化させる効果を持っていた。

そして多数派に恨まれるのは少数派であり、オランダは恨まれずに済んだ。

この少数派と多数派の対立を、陰に隠れ、巧みに使う戦略は、2013年、東アジアでの少数派=日本と、多数派=中国との対立にも駆使されている。

オランダが没落すると、南アフリカの覇権をオランダから奪取した英国も、現地に残ったオランダ人=少数派を英国の代理人として使い、黒人奴隷制度の徹底化=アパルトヘイト体制を強化した。

多数派に恨まれるのはオランダであり、英国は恨まれずに済んだ。

英国・オランダは、表に出ず、陰に隠れ、多数派と少数派の対立を巧みに利用する支配体制を戦略として取ってきた歴史を持つ。

この英国・オランダが、経済大国・金融大国=中国の陰に隠れ、戦略=入れ知恵を施すブレーンとして動き始めている。

◆中国・習近平主席の護衛総入れ替え クーデター警戒が理由か

2014.01.02 zakzak

 中国の習近平・国家主席など中国共産党や政府要人の警備を担当する党中央警衛局の最高責任者に習主席の腹心中の腹心である栗戦書・党中央弁公庁主任が就任するなど、同局で大幅な人事異動が行なわれ、警備担当者も中国人民解放軍の特殊部隊の精鋭に総入れ替えされていることが分かった。

 中国では最近、共産党政権転覆のクーデターや習主席暗殺などの計画があったなどと不穏な情報が飛び交っており、警備担当者の総入れ替えも宮廷政変に警戒しているためとの見方も出ている。香港の月刊誌「博訊(ボシュン)」が伝えた。

 党中央警衛局は伝統的に共産党指導部の護衛を担当する組織で、組織的には党中央弁公庁に属しているが、そのメンバーは軍総参謀部と日本の警察庁に相当する中国公安省の第9局(中南海警衛局)から選抜される。

 中央警衛局長は胡錦濤前主席時代から変わらぬ曹清氏。曹清氏は軍出身で、党元老の葉剣英・元国家主席の護衛を務めており、1976年に毛沢東夫人の江青女史を逮捕した際のメンバーで、警備畑一筋の生え抜き。

 ところが、この曹清氏は最近、まったく影が薄くなってしまった。曹清氏を残して他の同局幹部が一掃されたのに加えて、同局政治委員として栗戦書氏が就任し、曹清氏の頭越しに同局人事を差配したのだ。

 気が付けば、曹清氏が知っている警備要員はすべて転出しており、新たなメンバーはほとんどが軍の精鋭と入れ替わっていた。

 中国では昨年3月、公安部門や武装警察、軍の一部組織、さら司法関係部門の一手に握る政法部門トップの周永康・元党政治局常務委員と、腐敗容疑で逮捕され終身刑の判決を受けた薄煕来・元重慶市党委書記(元党政治局員)が共謀して、政権転覆を謀った軍事クーデターを起こそうとしたとの情報が流れている。

 さらに、昨年9月には習近平主席が突然、約2週間、姿を消すという不可解なできごとがあったが、これは周氏らが習主席の暗殺を謀り、習主席が背中を負傷したとも一部では伝えられている。

 このため、警衛局メンバー総入れ替えはクーデターや宮廷政変を未然に防止するためのもので、曹清氏はいずれ解任されるのは時間の問題とみられている。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140102/frn1401021100003-n1.htm

周永康が公安部門や武装警察、軍の一部組織、さら司法関係部門の一手に握ってきたのだから、其れを粛清する習近平が自分の護衛を交代させるのは当然だろう。人民解放軍より多い予算を自由に使ってきた周永康だが、これで彼の野望はついに終焉を迎えたようだ。
 
◆習近平が「改革」の主導権を李克強から奪取? 18期3中全会の「決定」のポイント



2013年11月20日(Wed)  佐々木智弘 (日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長)

中国共産党18期中央委員会第3回全体会議(18期3中全会)が11月9~12日に開かれた。会議では「改革の全面的深化の重大問題に関する決定」(「決定」)が採択された。「決定」の全文は、会議から4日後の11月16日付『人民日報』に掲載された。

18期3中全会の「決定」は習近平政権の施政方針

 中央委員会は8512万人の共産党員から選ばれた委員204人と候補委員169人で構成され、全体会議はだいたい1年に1回開かれる共産党の重要会議の1つである。その全体会議のうち、今回の18期3中全会が注目されるのは、昨年11月に習政権が発足してからちょうど1年経った時期に開かれ、ここで採択される「決定」は習政権が自前で作成した施政方針に相当するためである。

 施政方針のポイントは「改革の全面的深化」にあり、60の改革項目を列挙した。2002年11月に発足した胡錦濤政権も、翌2003年10月の17期3中全会で「社会主義市場経済の問題に関する決定」を採択し、42の改革項目を列挙し、大いに期待された。しかし、10年後「この『決定』をまったく実行できなかった」との酷評も見られた。そのことを習が知らないはずがない。18期3中全会開催が11月にずれ込んだのは、習が「決定」策定に慎重に臨んだことを示唆している。

 「改革」はまさに「言うは易し、行うは難し」である。『人民日報』は、会議開催前から「決定」に対する過剰とも言える期待を示す論説や識者の見解を掲載してきた。そして、会議が終わってからも、「決定」を評価する論説、会議精神の学習、貫徹を指示する各機関の会議開催を伝える記事が並んでいる。他方、中には実行の難しさを懸念する論説も見られる。

「改革」実施の障害

 (1)11月12日付:『人民日報』評論部による「足より長い道はない」(「実現不可能なことはない」という意味=佐々木注)と題する論説

多元的な利益構造、複雑な矛盾の衝突、巨大なリスク挑戦に対し、ある人は改革者の決心や勇気を不安に思い、ある人は改革者の立場や態度に懐疑的で、あえて改革しない、改革したくない、改革すべきではないといった言論を散布すらする。

 (2) 11月12日付:評論員による「18期3中全会精神を真剣に貫徹、実現させる」と題する連載の第1回目「『三種の意識』で改革の全面的な深化を進める」と題する論説(なお、「三種の意識」とは、(1)先取りの意識、(2)チャンスの意識、(3)責任の意識)
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強烈な使命感で、あえて強情な気骨で、あえて危険で急なところをわたり、思想観念の障害を突破し、利益の固定化の垣根を突破するさらに大きな決心で道を前進する必要がある。問題を解決するための挑戦をしなければならない。
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 (3)11月15日付:上記同連載の第2回目「改革の全面的深化という総目標を理解する」と題する連載
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経済社会の発展要求に比べ、人民群衆の期待に比べ、日増しに激しくなる国際競争に比べ、われわれ(の認識や政策措置=佐々木注)はかなり不足している。いかに方式転換を通じて全面的で協調的で持続可能な発展を求めるのか? いかに改革、発展、安定の関係を立派に処理し、近代化プロセスの連続性を維持するのか? いかに効率を高めると同時に、人民の公平正義に対する要求を満足させるのか?
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 (4) 11月15日付:周人傑「改革の全面的深化という大きな試験を迎える」と題する論説
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実行されない、(これが)いつも改革が進まない根本的原因である。例えば、「旧36条」(2005年公布の「個人私営など非公有制経済発展の奨励、支援、指導に関する意見」=佐々木注)から「新36条」(2010年に国務院が公布した「民間投資の健全な発展の奨励、指導に関する意見」=同)、さらに改革誘導型の政策を集中的に打ち出しており、民営経済が市場での平等な地位を勝ち取るための改革措置は十分と言える。しかし、現実の中でのさまざまな障害によって、今日まで「禁止ではなく、すぐ参入」というポイントは実行されていない。「隠れた差別」は個別領域で依然横たわっている。「道は近いが、行かない、至らない」「事は小さいが、実行しない、成功しない」。
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 (5)11月16日付:習近平「『決定』に関する説明」の全文(18期3中全会期間中に行われた講話で、15日に新華社が配信したものを掲載)
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思想観念の障害を突破し、利益の固定化の垣根を突破し、思想を解放することが最も重要である。改革深化の問題で、一部の思想観念の障害はいつも体制外から来るものではなく、体制内から来る。思想を解放しなければ、われわれは各種の利益の固定化の問題の所在を見極めることが難しく、突破の方向や到達点を探すことが難しく、創造性の改革措置を手にすることが難しい。そのため、必ず自己革新の勇気と度量を持ち、さまざま規定や制限を飛び出し、部門利益の干渉を克服し、積極的で主導的な精神で改革措置を研究、提出しなければならない。
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(4)はこれまでも改革措置は十分に提出されていたと評価しながらも、さまざまな障害によって実施されなかったと指摘する。その障害について、(1)と(2)は、複雑な既得権益層の抵抗、改革への不安感、社会主義から乖離していくイデオロギー的な拒否反応などを挙げる。特に(5)では習自身が思想観念の障害が「体制内から来る」と指摘していることは重要である。具体的には、中央官庁や地方の抵抗を指している。また(3)は、現実の経済界、社会、国際社会の現状に政策措置が追いついていない点を指摘し、政策の策定能力の問題を提起している。

習近平への権力集中が加速

 習は「改革」の障害を乗り越え、全面的に深めることができるのだろうか。

 この「決定」の注目点はいくつかあるが、そのうち改革を進めるという点で特に注目するのは、「中央全面深化改革指導グループ」を設置することである。

 「決定」で挙げられた改革項目には、すでに国務院を中心に検討され、政策措置が策定され、実行に移されているものが少なくない。経済運営は国務院総理である李克強の担当であると考えられている。新たに「中央全面深化指導グループ」が設置されるということは、改革の司令塔が国務院から党中央に移ることを意味し、それは習が李から改革の主導権を奪ったことを意味するといっても過言ではないだろう。

 習同様に党総書記、中央軍事委員会主席、国家主席とポストを独占した江沢民は経済運営を朱鎔基総理に、胡は温家宝総理に基本的に任せてきた。しかし、習は今年の夏ごろから経済運営に介入するようになってきた(例えば、7月の湖北省視察で周辺の省・直轄市責任者を集めた座談会を開催)。

 習がこれからの経済運営の中心になる改革の全面的深化で主導権を発揮する体制を作ったことは政治的な意図があると考えざるを得ない。

 1つは改革に対するスタンスをめぐり民生重視の習と構造改革重視の李のあいだの確執である。今年前半の構造改革重視優勢は7月以降いくらか衰え、民生重視に優勢の感がある。その変化を両者の確執と見ることもできるが、民生重視が優勢にならなければならないほどの社会的な不安定さ(失業率や企業倒産数の上昇など)が顕著になっている状況は必ずしも観察できない。

 もう1つは習が権力の集中を図っていることである。経済運営の権力も掌握して、権力基盤を強化しようということだが、その背景が習の権力基盤が弱いため権力を集中しているのか、それともすでに権力基盤が強いから権力のさらなる集中ができるのか。その判断は難しい。いずれにしても、習が権力を独占する強い指導者を目指しているのではないかと思えるのである。

「調和」への言及は党内融和への配慮

 この「決定」のうち改革を進めるという点で、もう1つ特に注目するのは、「調和」(中国語で「和諧」)に6回も言及していることである。「調和」は胡の代名詞であり、総書記就任以降の習は意識的と思われるほど「調和」に言及してこなかった。それが、「決定」で「調和」に6回も言及したのには違和感がある。もちろん、民生重視ゆえに「調和」を多用したのは当然で、深読みしすぎなのかもしれない。他方、習の説明では「調和」に1回しか言及していないことは、習の胡へのスタンスに変化はない。

 それでは、なぜ「決定」では「調和」に6度も言及したのだろうか。胡の影響力が強まっているという状況は観察できない。しかし、習の強引な権力集中の動きに対する党中央内の反発を示唆する動きは観察されている。「党の大衆路線教育実践活動」の政治キャンペーンへの他の中央政治局常務委員の消極的態度や、中央政治局でこれも胡の代名詞である「科学的発展観」の学習綱領が採択されたことは、アンチ習の動きともとれる。

習近平は強い指導者を目指しているのか

 今回の「決定」で「調和」に6度も言及することを習が認めたのは党内融和を内外に示すためではないか。他方、権力を集中させている。それらは、単に自身の権力欲だけでなく、本当に党の存続の危機に直面し、強い指導者にならなければという使命感が習にはあるのかもしれない。そんなことを少し感じている。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3360

◆~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com
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 「風車」と闘うドン・キホーテ習主席の時代錯誤
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スペインの作家、セルバンテスが著した『ドン・キホーテ』の中で、騎士気取りの主人公が風車に突撃するシーンがある。
滑稽にして悲哀にも思える名場面だ。

実は最近、中国国家主席、習近平氏の行いを見ていると、彼のやっていることはことごとく、ドン・キホーテと風車との闘いに似てきているような気がする。

習氏が昨年11月の総書記就任以来、全力を挙げて闘いを挑む相手の一つは党と政府の内部の腐敗である。

「腐敗を根絶しなければ国が滅ぶ」という切実な危機感の下、習氏は「ハエもトラも一掃する」との大号令をかけ、疾風怒濤(どとう)のごとく腐敗撲滅運動を展開してきた。

だが、汚職幹部の筆頭だった前鉄道相を極刑に処することもできなかったことや、その上の「大物トラ」に摘発の手が及ばなかったことなどから、鳴り物入りの腐敗撲滅運動も最近では「トラがハエを払う運動」だと揶揄(やゆ)され、早くもその限界を迎えている。

今、腐敗しきっているのは習主席自身の権力を支えている幹部組織そのものだから、この得体(えたい)の知れぬ「風車」への突撃は最初から勝ち目はない。
本来、腐敗撲滅の唯一の方法は一党独裁体制にメスを入れることであろうが、それができないなら、「反腐敗」も中途半端に終わる。

習主席が渾身(こんしん)の力を絞って闘おうとするもう一つの「風車」はネット世論と、ネット世論によって代弁されている人々の自由な思考である。

昨夏以来、習指導部は官製メディアと警察力を総動員してネット上の反体制的世論に対する掃討作戦を展開してきた。
ネットへの検閲を強化しながら多くのオピニオンリーダーの拘束・逮捕に踏み切った。
その一方で、知識人たちが求める「普世価値」(民主・自由・人権などの普遍的価値)を、「西側の陰謀思想」だと決めつけ攻撃の集中砲火を浴びせている。

しかしその「成果」は実に散々なものだ。
5億人以上のネットユーザーがいるこの国では、ネット上の発言をいくら検閲しても検閲しきれないし、いくら削除しても削除しきれない。
今でも、ネット言論の世界は依然として反政府一色である。

そして、政権による言論弾圧には身内の中央党校からも批判の声が上がっている。
今月初旬、129人の民間弁護士が弾圧される人々を守るための「人権弁護団」を堂々と結成して、政権と正面から対抗する壮挙に打って出たばかりである。

習主席のやっていることはむしろ反対勢力の結集を促して政権への求心力をよりいっそう弱める結果となっているから、最高指導部の中でも最近、彼の「風車との闘い」に嫌気をさして別の道を歩もうとする動きが出ている。
そのままでは習主席は、天涯孤独の「笑い物騎士、ドン・キホーテ」となってしまおう。

ドン・キホーテの滑稽さは、騎士の世がとっくに終わったのに自分一人だけが本物の騎士になりきろうとしたことにある。
習主席も同じだ。就任以来、彼はあらゆる場面で年代物の「毛沢東思想」を持ち出したり、毛沢東の名言や格言を引用したりして毛沢東気取りをしている。

その腐敗撲滅運動の手法は毛沢東の「整風運動」をそのまままねしたもので、言論への弾圧も毛沢東の「文革」をほうふつさせている。
つまり彼は、毛沢東的なカリスマと強権政治がもはや存続し得ない今の時代、毛沢東になろうとしているのだ。

ドン・キホーテ流の「騎士妄想」そのものである。
ましてや、民主・自由と人権などの世界共通の普遍的価値に矛を向けようとするとは、時代錯誤はすでに限度を超えている。

「風車」と闘う習主席の失敗はもはや避けられない。
そこから新しい政治の方向性が生まれてくるかどうか、今後注目すべきである。

( 石 平 )