山猫法律事務所の独立開拓日誌

このブログは4年目20代後半の弁護士がほとんど縁のない土地で開業する頃までの脳内会議の模様を淡々と描いたものです。

弁護士費用5 価格設定の効用

2008-02-08 | 弁護士費用
ヤマネコ:昨日あるブログを見ていたら、マクドナルドの原価一覧が載っていました。なんというか、驚くほど安いんですねえ。チキンナゲットは1個5円ですか。コーラに至っては無償で提供されていたんですか。そうですか、そうですか。

ウミヘビ:まあ、信用に足るソースかどうかは分からんがの。

ヤマネコ:高級化粧品や有機農作物についての原価にも触れられていて、これもお値段の割には結構安いんだそうです。

ウミヘビ:農家で食べる米は本当に美味じゃぞ。高級化粧品が何であんなにばか高いのかは知りんせんがの。

ヤマネコ:特に有機農作物については、農家自身がある程度高値でないと売れないと言っている、と書いてありましたね。

ウミヘビ:それならわっちも分かりんす。人間というのは良いものであればあるほどありがたみを感じさせて欲しいものじゃからの。信仰に威厳が必要なのと似ておるな。

ヤマネコ:それを読んで、何となく弁護士費用について思いを馳せたりしまして。いまだに私自身、良い弁護士の探し方というのが分かりませんが、もし一般市民の立場として探すことになったら、弁護士費用の『高さ』をひとつの目安にするでしょうね。

ウミヘビ:まあ、本当に弁護士を頼む必要が出てきたら知り合いの弁護士に頼むじゃろうがの。それにしても、『安さ』ではなく『高さ』とな

ヤマネコ:もちろん限度というものがあります。高すぎるとぼられてるんじゃないかしらと不安になりますし、逆に安すぎると任せても大丈夫なのか心配になります。高級化粧品や有機農作物も、高すぎると詐欺の臭いがしますし、安すぎると本物っぽくなくて買いたいとは思えなくなります。

ウミヘビ:でも、もともと弁護士費用は一般的に高額と思われておるのじゃろう?

ヤマネコ:弁護士費用が高額だとすると、独占業であることが関係しているんでしょうね。裁判では原則として弁護士に頼まなきゃいけない、裁判にまでなるということは結構大変な事態になっている。こういう状況だと、費用が高額化するのは経済学的に当然なんでしょう。

ウミヘビ:『経済学的』って意味も分からずに使っておるがの。まあ、普通の商人だったら、需要があって供給できる者が限られている市場ならば、客足が遠のかない程度に価格を吊り上げるじゃろうな。

ヤマネコ:それでも数年前までは報酬基準があったので、恣意的な価格設定には限界があったわけです。これからは、もっとドラスティックな報酬体系を設定しても良いのではないかなあ。とりあえず、集客力のある価格設定は単に安いだけではないということだと思います。

ウミヘビ:問題は、弁護士費用の相場が周知のものではないということじゃろうな。弁護士に依頼するなんて一生に一度くらいしかないという人たちに、高い安いの判断が果たして可能じゃろうかのう。



うみへ美:雪祭りのシーズンだわいのー。苫小牧名産のホッキカレーが食べたかったが、見つからなかったわい。

やまね子:コメントが届いているわよー。

『えっ開業は春ですか。じゃあやっぱり(続きは意外と見せられないよ)』

ヤマネコ:大熊猫、受験生、苗字のもじり……、何となく察しはつきましたが、確信が持てません><(京都ではありませんでしたっけ?)。でもお気遣いは無用ですよ。お気持ちだけで十分です。ちなみに、このブログは将来独立開業する可能性がある受験生も想定しています。希望をなくすような内容かもしれませんが。

←徹夜明けで雪祭りを見に行くのは良くないですな。
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弁護士費用4 ハイブリッド型

2007-11-22 | 弁護士費用
ヤマネコ:どーも、引越しの準備で結構アップアップしてます、ヤマネコです。
やまね子:は~い、インターネットの引越手続ってどうやんのよまた別の何かに入会しないといけないの初めてだから良く分からないわ、やまね子よ。

ヤマネコ:無事に引っ越せるのかどうか甚だ怪しくなってきました。

やまね子:いつもぎりぎりになるまで動き出さないからよねえ。しかも、中途半端に荷造りだけはして生活が不便になるし。

ヤマネコ:さて、弁護士費用について、タイムチャージにはしないとして、実際にどんなふうに決めるかというところです。料金設定には、大きく分けると経済的利益の何割という方法とパッケージ料金による方法の2通りがあるということは、前回までに考えてきたとおりです。

やまね子:債務整理のような定型的に処理できる案件についてはパッケージ料金がなじみやすいということだったかしら。

ヤマネコ:さらに、パッケージ料金はお客人からしても料金が明確で分かりやすいので依頼しやすくなり、やがては集客効果につながるのではないか、といった潜在的メリットもあるかもしれない、ということですね。

やまね子:そうすると、できる限りパッケージ料金にした方が望ましいってことになりそうだけれど、実際の処理の手間が過重になったときに手当てできるようにしておかないと、事件が長期化した場合には費用に対する業務の負担が過大になって悲惨なことになりかねないんだったわよねえ。

ヤマネコ:それを防ぐ一つの方法として、割合による算出方法とパッケージ料金を組み合わせるというのが考えられます。例えば、離婚事件であれば、着手金は一律30万円、報酬は30万円または回収額の10%のいずれか高いほう、というような感じです。

やまね子:回収額の10%というのは結果が出ないと算出できないけれど、最低額が30万円とされているので、クライアントにとってもある程度料金が明確化されているというわけね。

ヤマネコ:また、報酬で最低でも30万円はもらえるというので、通常の事件処理であればペイすると言えるのではないでしょうか。ま、実際に固定金額をいくらとするかは、どのような事件処理を想定するかによりけりでしょうけれど。

やまね子:報酬は30万円または回収額の10%のいずれか高いほうということだけれど、30万円に回収額の10%を加算するというような方法も見かけるわねえ。

ヤマネコ:まあ、そうすると報酬の30万円というのが、結局は着手金の分割払いみたいな感じがするように思うんですけどね。それを気にしなければ、最終的には価格設定に競争力があるかどうかという問題になってくるのでしょう。



ウミヘビ:懐かしい日本の原風景シリーズ。下賀茂神社の連理の賢木。2本の木が1本に結ばれていることから、縁結びのご利益があるとか言われておる。しかも、木が枯れると境内に同じ木が生えると言い伝えられており、現在の木は4代目になるそうな。ちなみに、アメリカ生まれだからといってアメリカの法律実務に詳しいなどということはありんせん。

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弁護士費用2 法律相談料

2007-11-20 | 弁護士費用
ヤマネコ:どーも、気がついたら引越しの時期が迫ってきました、ヤマネコです。
やまね子:は~い、ダンボールが足りるかしらねえ、やまね子よ。

ヤマネコ:前回は弁護士費用のパッケージ料金化というお話をしましたが、今回は弁護士費用の中の法律相談料にスポットを当ててみたいと思います。

やまね子:ほいさ。

ヤマネコ:法律相談料については、30分毎に5000円(消費税別)で行う事務所が多いように思います。また、個人の法律相談と法人の法律相談で料金に差をつけたりすることも結構行われているようですね。

やまね子:法人の方が法律相談料は高くなるけれども、理由としては、法律相談の内容が専門的になることと、法人は個人よりも資力があるというところなのかしらね。

ヤマネコ:また、債務整理については無料にするという事務所もあります。これは、お金に困って相談に来ている人からさらにお金を取るのは気がひけるという価値観が根底にあるのでしょうね。

やまね子:他方で、仕事に対する対価をきちんと受け取らないのはプロ意識に欠けるという価値観もあるところね。

ヤマネコ:ところで、ここ最近、法律相談料については債務整理だけでなくすべて無料にするという新しい傾向があるように感じます。

やまね子:結局、法律相談料って言っても、収入全体からすればそんなに大きなものではないでしょうから、有料にして客足が遠のくよりは、いっそ無料にして集客効果を狙った方が、結果的には繁盛するだろうという考え方かしらね。

ヤマネコ:しかし、無料にすると、法的サービスに対する客人からのリスペクトが低下したり、単に法的助言を聞きたいだけで依頼する意思はないという相談にも対応しなければならなくなり、業務に対する負担は大きくなりますね。

やまね子:そうすると、ただ単に無料にすればよいというものでもなさそうねえ。

ヤマネコ:そんなわけで、すべて無料化がメジャーになるかどうかは、まだ様子見といったところでしょうか。とりあえずこちらとしては、債務整理については無料にして、それ以外については有料とし、個人と法人とでは区別は付けない予定です。全て無料とするかどうかについては、実際に事務所を開業してしばらく集客率などを観察してから検討することにしましょう。



ウミヘビ:懐かしい日本の原風景シリーズ。龍安寺の石庭。イギリスのエリザベス女王が日本を公式訪問した際に見学を希望し、絶賛したそうな。だがわっちは庭には興味はありんせん。仏像見たいよ仏像。

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弁護士費用1 パッケージ料金

2007-11-18 | 弁護士費用
ヤマネコ:どーも、長時間の作業用にパソコンの遮光シートを買いました、ヤマネコです。
やまね子:は~い、事務所でも使っていたくらいこれがないと仕事にならないのよねえ、やまね子よ。

やまね子:前回、弁護士費用のパッケージ料金化という話があったけれど、あれは何だったのかしら?

ヤマネコ:弁護士費用というか報酬規程が既に自由化されているということは周知のとおりです。

やまね子:そうねえ。

ヤマネコ:しかし、多くの弁護士は、過去の報酬規程を踏襲して、経済的利益の何割というように算出している例が多いように思います。

やまね子:そこらへんの実情については、以前紹介した『Q&A 弁護士報酬ガイドブック』(株式会社ぎょうせい)が参考になるわよ。また、日弁連が弁護士を対象に行ったアンケートhttp://www.nichibenren.or.jp/ja/attorneys_fee/もあるので、参照してみるといいかもしれないわね。

ヤマネコ:しかし、実際の経済定期利益は事件終了時にならないと分からないわけですし、養育費や婚姻費用などのようにそもそも経済的利益自体がいくらになるのかを算出する必要があったりして、一般のお客人からは非常に分かりにくいようです。

やまね子:というか、具体的にいくらの費用がかかるかってなると、同業者でも良く分からないのよねえ。

ヤマネコ:料金がどれくらいかかるのかが分からなければ、依頼するのかどうかを判断するのが非常に難しいということは、想像に難くないと思います。

やまね子:値札のついてない、しかもすごく高価な商品を、そのままレジに持っていくようなものだからねえ。

ヤマネコ:そこで、いっそのこと経済的利益の何割という比例的な費用の算出方法を止めて、定額制にしてしまった方が、お客人の側からすると分かりやすくて依頼しやすいのではないか、というのがパッケージ料金化の発想です。

やまね子:まあ、既に債務整理なんかでは、そういう流れになりつつあるけれどねえ。

ヤマネコ:ただ、事件処理があっさり終わったときにはクライアントにやや割高感が生じ、他方で、事件処理が長引いたときはこちらの業務負担が過重になってしまうという難点があります。そういう意味では、債務整理のように事件処理の内容がある程度定型的になっている分野向けの料金設定というのが妥当なのでしょうね。



ウミヘビ:懐かしい日本の原風景シリーズ。伊勢神宮正宮の宇治橋鳥居。伊勢神宮では、地元の人らしきベビーカーを引いた母堂が境内の鳥居を潜るたびに礼拝をしていたのが印象的じゃったの。わっちも神社では綺麗に参拝できるようになりたいものじゃな。

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