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夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第22回■

2014年11月24日 | 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー
夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第22回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■第22回■
 最初のプレイヤーがビブラフォーンに体をあずける。

 そいつは「やめてくれI」と大きな声をあげたが、観客からは笑
い声しか返ってこなかった。

おかげで、すぐに楽曲の第1章もプレイしないうちに死んでしまい、観客からは非難の声があがっていた。

「そんな奴をプレィヤーにいれるな」

「水ましのプレィヤーをいれるな」

 感覚世界は、そのプレィヤーが弾きおわるまで持続するが、途中
で死亡すると、中途ハンパな感覚を観客にあたえ、後味が悪いのだ。

 コンテストは中盤をすぎ、すでに何人かのプレィヤーがビブラフ
ォーンの中に同化されていた。最期までひき続けた者はいない。

 次のプレィヤーが舞台の上に連れてこられた。3人組の一人ハーンだった。

「いやだ、俺も死にたくない」

 ハーンは舞台の上で暴れている。ふと、ジェイがすわっているのに気
がついた。

「おい、あんた、ジェイ。こいつらをとめてくれ、あんたの力で新世界
にしてくれ、お頑いだ」

 ハーンは暴れまわるが、モーターにとりおさえられる。超能力は
効かない。そんな薬が与えられていた。

「なぜ、答えてくれないんだ」

泣き声だった。

 「もし、止めることができないなら、あんた俺の意識を今度の新世界
界では、より高い地位の人物に刷り込んでくれ、頼んだぜ」

ハーンはジェイの方をにらんでいる。

「わかったのか、神の左手よ」
 
ジェイはわずかにうなずいた。意味かわからなかったが。

 ハーンは暴れるををやめた。モーター達に向かっていう。

「わかったよ、お前ら、俺がすばらしい曲をひいてやるよ。見てい
ろ。曲名は「ハルフォードの稲妻」だ」

ハーンがプレイする曲名が、司会者から告げられると。観客がどよ
めいた。

 ハーンは目を血ばしらせて、ビブラフォーンにむかう。四肢をそ
れぞれの部位にかけて顛を、ビブラフォーンの真中につっこんでい
る。
「よーし、一世一代の演奏だぜ」
 ビブラフォンの演奏が始まった。
 あたりに。霧が立ち込み始め、天候が急変してきた。

 数十分、ハーンは死力を尽していたが、やはり、彼もこときれか
ハーンの死体の四肢がビブラフォーンにあわせて踊っていた。

いたいたしい感じを観客も感じた。


 天気は、ハーンが死ぬと同時に快晴に向かい、ビブラフォンの音だけがうつろに響いていた。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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