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夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第23回■

2014年11月25日 | 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー
夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第23回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■第23回■
 
ハーンが死んでほっと胸をなでおろした人間がいる

マリクだ。

ジェイに『ハルフォードの稲妻」を、ひいてもらわないと秘合が悪いのだ。

 マリクはジェイの出番を心待ちにしていた。

 いよいよジェイの番だった。司会者はジェイをビブラフォーンの
プロプレィヤーと紹介する。

会場から拍手がおこる。

 ジェイはビブラフォーンの前に立っていた。

何かなつかしい人と再会できた。そんな気がした。

 四肢をビブラフォーンの四肢に同じようにかける。

そして頭をビブラフォーンの真中の穴につっこむ。

ジェイの感覚はビブラフォーンがにぎったのだ。

「ジェイ」

どこからか声が、どこなのだ。

 ビブラフォーンが呼んでいた。女の声だった。

「払よ、ジェイ。やっと会えたわ」

また、ビブラフォーンが言う。

「だれだ?」ジェイは心の声で叫んでいた。

「記憶がもどっていないのね、いいわ、演奏すれば思い出すわ」
 
 ジェイの指は演奏し始めた。

伝説の曲『ハルフォードの稲妻』を、ジェイの左手は段々、熱をおびはじめた。                
 指は常人を越えた恐るべき動きをした。ビブラフォーンもそれにあわせて動いている。                       

 先刻のハーンの演奏の時の味に、霧が出てきた。あたりが暗くなってくる。

 天候が急変する。

雨が降り始め、それが暴風雨となり、松妻が光る。

すでに第3楽章にはいっていた。もう30分も続いているのだ。
 
 ジェイは体力を消耗するどころか、演奏するのにのっていた。

叫奮状態となっている。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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