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インザダスト第9回■私シオンは、体制反逆者として、上の世界の幹部会にゼルフィンに連行されて行く。しかし、その途上は地獄で、疫病が蔓延していた。

2020年12月21日 | インザダスト
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。
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インザダスト第9回■私シオンは、体制反逆者として、上の世界の幹部会にゼルフィンに連行されて行く。しかし、その途上は地獄で、疫病が蔓延していた。
 

インザダスト第9回(1986年)SF同人誌・星群発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

 プランテーション36の収穫の塔が大爆発を起こしたのだ。

 

 四時間程走ると、目の前に、ビラミッドが現われた。上の世界と

同形だ。ここが目には見えない上の世界との連絡通路になっている。

空間転送だ。

 

 ロボット武装兵が立ち並ぶ廊下を抜け、中央の部屋へ連れていか

れる。

 

「どうだね、上の世界へ再び帰れる気持は」

 

「ふん、悪夢だね」私は吐きすてるように言った。

 

「あえて、その悪夢を見てもら訟うか」シオンダッシュが言った。

 

その瞬間、

 

私のペンダントはゼルフィンに向かって光条を放っていた。ゼルフィンは昏倒した。

彼の体をベットヘ押し込み隠した。

「シオンダッシュ、頼むぞ」

 

「わかった、こちらへ」

 

シオンダッシュは、実は私の分身だ。ゼルフィンの味方のふりをして

空きをついたのだ。シオンダッシュはクローンの段階である人物の手でそう

計画されていた。

 

 ピラミッドの下部へと我々は降りていった。シオンダッシュが

一緒なのでロボット武装兵は疑問を抱かないのだろう。

 

 ピピラミッドの玄室に当る部屋はまるでモルグ、死体置き場の様であった。人間

の体が何体も床に並らべられている。

 

「彼らが農場へ送り出される予定の老人達だ。ここが君が探してい

た所だろう」シオンダッシュが指さした。

 

 完備されたオペレーンョン=ルームだった。ガラス窓ごしに私は

それをながめた。裸の人体が手術台に横たわっている。レーザー=

メスか人間の頭部を切り裂き、マニュピュレーターが小さい機械を

押し込んで、縫合していた。

 

 「あれは」

 

 「そう、あの機械が君が探していたものさ」

 

 私は先日、自殺した男の頭の中からみつけ出した機械をとりだし

た。オペレーノョン=ルームのマニュピュレーターがつかんでいる

機械と同じものであった。

 

 「あれは何だ」私は尋ねた。

 

 「私は、あの原住民のオペルームで、実験的に一つを犬に埋め込ん

でみた。どうなったと思う。ある時、犬は自分から石に頭をぶちつ

けて死んだ」

 

「なんだって、犬が自殺した」

 

「そう、あの機械は「自殺願望を起こす」ものらしい。それはゼルフィ

ンの知らぬ事だ」

 

 「そうか、いよいよ大詰めだな」

 

 「そうだ」

 

 「すまん、シオンダッシュ、頼むぞ」

 

 私は小型の時限爆弾を手術室の側に隠した。

 

 それから二人して、ゼルフィンの息を吹きかえさせる。彼は気を

失った事すら気づいていない。

 

 三人は小さなゲートをくぐった。再び、あの解放感が私を包んで

いた。しかし今度は意識を失わ々かった。

 

 

上の世界のピラミッド(上の世界と下の世界をつなぐ目に見えないリフト)を再び、私は歩んでいた。

 

「おかしい。兵士が見当らんぞ」ゼルフィンが言った。

 

我々はビラ々しドから外へ出ていた。機械で包み込まれた世界。組織と機構の

世界へ私は再び足を踏み人れていた。

 

 しかし、この世界はひと一人見当らず、閑散としている。

 

 道路の方からホーバークラフトが走って来て、我々の前で止まっ

た。兵士か一人降りて敬礼をする。

 

「同志ゼルフィン、至急、高級市民最高幹部会ピルヘおこし下さい」

 

 兵士はあえいでいた。顔が青白い。

 

「一体、どうしたのだ。この町は」

 

「疫病か急激に蔓延し始めたのです。恐ろしい速度で、、」

 

 そこまでで言葉かとだえ兵士は急に前のめりに倒れた。

 

「かい、とうしたのだ」

 

 ゼルフィンが兵士を揺り動かした。が反応はない。

 

「死んでいる」

 

「どりやら、こいつも疫病で死んだようだ。恐るべき疫病速度だ」

 

 三人は兵士の乗ってきたホーバークフフトに乗った。兵士の死体

はそこへそのまま放置された。

 

 ホーバークフフトは中央官庁街に一際目立ち聳え立つ最高幹部会

ピルヘと向かう。

 

 途中はまさに死のロードであった。死体が道側に無数に転がって

いる。死臭がした。死体を焼いているのであろう煙りがあちこちに

見えた。遺体の処理が追いつかないのだ。

 

 D25の作り上げた病原菌が、上の世界を飲み込もうとしているの

だ。

 

 高級市民最高幹部会のメンバーの前で、私とシオンダッシュ、ゼルフィ

ンは立っていた。数名の男達が私達をなめまわすようにながめていた。

 

側にはロボット兵が立ち、そして到る所から罵声が飛んできた。

 

 「待て、それより先にゼルフィノの話を聞こり。とりあえずは疫病

の方が急を要する。ノオンの制裁処置は後からだ」幹部の長老の一

人、ラムリーが言った。

 

 「やはり、マザーの推測通り、プランテーノョン36で、病原菌が

穀物へ混入されていたのです」

高級市民幹部会の会場で驚きの声がおこった。

 

 「信じられない話だ」

 

 「なぜだ。なぜそんな事をしたのだ」

 

 「それを行った男は、我々の作りあげたノステムヘの復讐だと言

 ってかりました」ゼルフィンは言った。

 

 「何だと、マザーの作りあげたこの最高のシステムヘの復讐だと」

 

幹部達は信じられないという顔をする。

 

「まあ、それはいいではないか。それより、その男は、この疫病に

対する治療法を白状したのかね」幹部の一人が尋ねる。

 

 

インザダスト第9回(1986年)SF同人誌・星群発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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