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封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●

2018年02月10日 | 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training


ユニコーンと北の詩人が歩みはじめた、その地下、つまり「大球」の奥深く

存在する純粋思考体、新しく目覚めたばかりの「天宮」は異物の飛来を気にやんでいた。

そしてまた、「大球」の鉄表面でも、大いなる生態系の変化が、起こっている。

つまりは、すでに大球の表面に生棲していたハーモナイザーからの監視者=ユニコーン達、新機類、はゴーストトレインが喰いつくしている。

覚醒したる「天宮」は、情報ユニット「ゴーストトレイン」を実体化させると同時に、その「ゴーストトレイン」の感覚を共有している。

つまり、「天宮」イコール「ゴーストトレイン」。

そして、不思議なことに同じく実体化させた情報ユニットである「ユニコーン」と「北の詩人」の心情、感覚も理解して、共有している。

覚醒したる「天宮」は、「大球」の鉄の表面には、存在しえない生物体を

実体化させ、「大球」「小球」の生命生態系を、大いに改革しょうとしている。

まるで、別の星になるように、、



何匹めかのユニコーンを倒した時、「大球」につながる「小球」に存在する

大いなるハモナイザーの監視機構「生命球」から、危険信号が天空にむかい放たれたのを、機械群の共生体「天宮」は感じていた。


さらに、むずがゆさとでも呼べばいいのだろうか、ある種の奇妙な感覚を天宮の予知能が感じていた。



目覚めたる機械群の共生体「天宮」にとっての「敵の存在」である。

「生命球」以上の存在。

ハーモナイザー?、しかし、今感じる脅威は、それではなかった。




「天宮」、

その気持は、新機類を喰いつぶした時のゴーストトレインの様な荒々しい気持とは異なっている。

何か細やかな手ざわりを持つもの。


そう、なつかしい人?の手?のイメージが、天宮の全感覚の中にひろがっていく。

人?

手? 

それは、何だ。

「天宮」には記憶にない。あるのかの知れないが思い出せない。

やわらかき手。

そして人間のイメージが、、。

しかし、天宮は、そのやわらかい手によってにぎりつぶされるイメージを描いた。

「自分は滅びるかもしれない」、

そんな予感を、覚醒したばかりの「天宮」は感じているのだ。


ハーモナイザーの使徒、「アー・ヘブン」の空間飛翔体、

つまり「胞子」は、急に襲ってきた「粘性の網」に包まれている。



胞子の持つ推進力が、この粘着力のある網に対してはまったく作用しないのだ。

あらゆる方向に動くことは動くのだが、一定の距離に達すると、反作用でまた元の場所へ戻ってしまう。

つまりは、アー・ヘブンはみごとに敵の手中に陥ったようだ。


ここは「敵」の勢力圏の中である。

「敵」イコール、ハーモナイザーせざるモノたちである。



恒星「タンホイザー=ゲイト」の中心部、緑色の液体で充たされた空間。

その場所に浮遊する巨大な″木″。

″木″は意思の集合体であり、「ハーモナイザー」と呼ばれる。


また、この粘性のネットは、俗に「スパイダー・ネット」と呼ばれている。

「天宮」は、小球をチューナー部分として使い、自分の膨大な情報ユニットが持つ、

色々なイメーージを宇宙にまき散らし、そのイメージ像に、興味を持った宇宙船を呼び寄せていた。

 そして、その宇宙船を、大球と小球を結ぶコードから発射される「スパイダーネット」でからめとっていた。



「天宮」は、その船のメインデータバンクや乗員から全宇宙の知識を盗み出していた。

「天宮」は、自分の存在を検証しているのだ。

自分とは何か。

そして何のために存在するのか。

そして大なる覚醒の意味合いは、何なのか?


アー・ヘブンの乗った胞子は、ゆっくりとコードヘ引き寄せられていた。

ハーモナイザーの使徒、アー・ヘブンは、自分の分かれている位置をじっくり観察する事にする。

まっ黒な表面で包まれている「大球」のまわりをゆっくり「小球」がまわっている
。小球は大球の何分のIかの大きさで衛星のようだった。


睡眠学習によれば、「大球」は、遠い昔、ハーモナイザーと争い、敗れたとの事。

その時、「大球」はみずからの意志で、大球表面上の生き物をねこそぎ滅ぼした。


大球が黒い表面、鋼鉄で被われているのは、ハーモナイザーによって封印されたからだ。

宇宙の邪悪なる星として。


 睡眠学習を再生中のアー・ヘープンの体にいきなり激しい衝撃が伝わる。

 アー・ヘブンの意識は停止した。

 ついに胞子は、スパイダーネット」によってコードまでたぐり寄せられ、凄まじい圧力を加えられた。


「胞子」は圧力で消滅しアー・ヘブンは裸のままとり残される。

アー・ヘブンのまわりを包み込んでいた胞子の構成要素は瞬時に消え去っていて、

 破片を分析しようとしてコードからはりだした、「天宮」の「感覚枝」は、むなしく空をがでた。

「感覚枝」は天宮の、実在化する神経細胞であり、手の役割をする。

感覚枝は、代りに、とり残されたアー・ヘブンの体をとらえた。

コードの一部に穴が開き、感覚枝はアー・ヘブンをその穴の中へ引きずり込む。

感覚枝は、アー・ヘプンを、巨大&プールヘと送り込む。

このプールは、コードにある透視層で、生命体が解析される場所だった。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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