敗戦報告～首相官邸～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＵＣ．００３２　１月１２日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マリアナ管制区パトロール隊のジベール・ミマノ警備隊長は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　セブ侵攻作戦に失敗しチベ級宇宙戦艦一隻を失い殿まで投入させ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　無様な敗走劇を演じてしまった戦闘報告書をまとめミッドウェー総督府にいた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イナガワ首相は軍機として国民に喧伝しなくともすぐに噂は広まるとして国民に公式発表をした
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　全責任は私にあるとして

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミマノ警備隊長は軍籍を解かれる事を覚悟し首相官邸でイナガワ首相を待っていた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「自分を責めるなミマノ大尉」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イナガワ首相が国会から戻ってきたのだ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「申し訳ございません首相　弁解の余地無しであります　どんな処遇も構いません」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミマノは頭を上げる事ができなかった

　　　　　　　　　　　　　　「我々にも情報収集の甘さがあったのだ　大尉だけの責任ではない　謝罪をするなら総統に謝罪するのが妥当であるが
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　総統も今回のセブ侵攻失敗によるお咎めはあらんだろう
　　　　　　　　　　　　　　　　まさかロシア宇宙軍が後ろ盾となり宇宙要塞まであるとは　事前に情報分析をしセブの兵力が把握出来ていれば
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　コロニー守備隊である君の艦隊を「マリアナ」を丸裸にしてまで登用することはなかった事なのだよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その時ヒロユキ・アガワ首相補佐官が血相を変えて首相執務室へ入ってきた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「失礼します　キョン総統直筆の封書が総統官邸の秘書官より届いております」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「読め」

　　　　　　　　　　　　　　　「ジベールお前は退役するつもりで敗戦報告にきたのであるが貴官には宙族ユキザーとの戦いで多大なる借りがある
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　お前の先遣艦隊が先行してくれなければ今の私はなかったのだ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キャメル先遣機動艦隊の八隻と戦死者全てに哀悼の意をささげなければならない
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　多くの将兵の屍の上に私があるということ
　　　　　　　　　　　　　　　親愛なる戦友ジベールへ　追記たまには顔を出せよ　一杯やろう　私の総統官邸ではなくプライベートルームでな　〆」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イナガワ首相の前でミマノ大尉は泣き崩れた