この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「13歳の夏に僕はうまれた」

2006-11-14 19:08:03 | おすすめ度No1
 2006年10月8日(京都シネマ)

 イタリアの裕福な家庭に育った主人公の13歳の少年・サンドロが、バカンスで父とその友人とクルージングにでたが、誤って海に投げだれれてしまう。しばらくしてそれに気づいた父親が必死で探すが見つからない。サンドロも必死で父を呼ぶが気がつかれずに遠ざかる。ほとんど溺れかけていたところに遭遇したのはのはイタリアを目指す様々な国籍の不法移民を乗せた密航船だった。その中のルーマニア国籍の2人兄弟の兄ラドゥーが周りを振り切り海に飛び込み密航船に引き上げる。その後、船は悪徳移民斡旋業者に置き去りにされた後、イタリアの沿岸巡視艇に見つけられ移民センターのある港に曳航されていく。

〈サンドロが海に投げ出され大海を誰にも気づかれずにさまようさまは「オープン・ウォーター」を思い起こしてぞっとした。あの映画では、いい加減な「ダイビング・ツアー」業者の手違いにより、カップルが大海原に取り残され結局、鮫の餌になってしまうという、ぞっとするような結末で、観なければよかったという内容だった。〉

 しかし今回は、そうならずに、無事船に助け上げられたのだが・・・。

    ○   ○   ○

 不法移民はイタリアに限らずアメリカでも他の先進諸国でも問題になっており、日本でも例外ではなく、朝鮮半島や中国・台湾はじめ東南アジアからの不法移民がことあるたびに問題にあがる。その背後には、世界規模での経済格差がある。日本や先進国で働けば何十倍もの賃金が得られる。しかし、現実は厳しい。不法密航ではなくとも、甘い言葉にだまされて危険を冒して来てみても、思ったような仕事とは違って、過酷な労働、非人間的な環境が待ち受けている場合が多い。一方、国内の労働者の立場からすれば、安い労働力が流れ込めばただでさえ少ない仕事の口が奪われる。確かに難しい問題があるが、日本の政治は経済的難民、それと政治的な難民に対しても厳しく、ある意味では冷酷である。

 映画を観ていて日本と全然違うと感じたのは、同じ人間である難民に対する取り締まる側の職員等の対応が優しいのだ。イタリア人のおおらかさだけからは説明できない暖かみ配慮が感じられる。

 そのイタリアの日本よりましな対応にさえも、サンドロの目からすれば、国の対応や法律は冷酷に映る。どうして兄弟が一緒にイタリア国内で働いて生活できないのか、と。

 サンドロは13歳の夏に《新しい世界に》生まれて、それまでとは別の問題意識を持つが、その世界で生きていくためには様々な試練に行き当たらざるを得ない。大人たちが今、《新しい世界観》のために生まれ変わる必要があるように思える。


       「13歳の夏に僕は生まれた」-オフィシャルサイト



イタリア   「輝ける青春」  不法移民  ピエトロ・ジェルミ監督の「越境者」  「

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