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『金正日の死去』と『橋下大阪市長の就任』-先行き不透明の世の中

2011-12-20 22:35:01 | 雑感

     【 2011年12月19日 】

 テレビでは、北朝鮮最高指導者=金正日の死去を伝え、一方新聞紙上では大阪橋下新市長の就任を伝える記事が一面を占める。海外でのことは及び知らぬことであるが、国内は大変なことになってきた。

 橋下新市長は「大阪の統治機構を作り変える」と言い切る。『責任ある民主主義』という訳のわからない主張を持ち出し、中央集権制を改めるという。
 一方では、市職員全員に市長への忠誠を誓わせるとも言う。

 「従わないものは、自分を選んだ市民への裏切りになるから市役所を去ってもらう。」と言う。
 その結果どうなるのか。

 橋下徹の頭の中にあるのは、『競争第一、民間優位』の市場原理主義・新自由主義の経済観だけで、自分の考えることはすべて正しいという自己陶酔に浸っている。

 新市長は、論理のすり替えが上手である。『民意を裏切らない』という金科玉条を掲げ、『市民の期待にこたえること』=『橋下市長に絶対忠誠を誓うこと』という具合に、全く異質のことが当然のことのように置き換えてしまう。

 そういえば、市長選挙のときも、《独裁政治を許さないために、共産党を交えて党派を超えて『反独裁』の平松候補を応援したこと》をとらえ、『大政翼賛会』呼ばわりしたが、歴史認識のはなはだしい誤りとともに、白を黒と言いくるめる詭弁には、あきれるを通り越して、肌寒く末恐ろしいものを感じた。

 市民は橋下市長の掲げるすべて政策を支持して投票したわけでもないし、全人格を支持しているわけでもない。ましてや、今まで口にもしていない政策を突然出してきて、それに反対したからといって、民意を無視することにはならない。
 市長の出した提案にすべて無条件に従えというほうが無茶である。

 だいたい、1つの選挙の公約とかマニフェストというのは特定の分野の1つの政策であって、もちろん大事な柱というものはあるが、候補者のすべての考えやすべての分野の政策を反映するものではないく、個々の政策の組み合わせも無数にある。候補者というのは、その無数の組み合わせのうちのたたった1つを持ち合わせているに過ぎない。だから、その個人を《全面的に》かつ《完全に》支持することなどありえない。

 だから、《長》の役割というのは、さまざまな意見に耳を傾け、充分な論議ができる環境を整え、最善の施策ができるよう調整することである。
 そもそも民主主義の最終原理は多数決である。だからこそ、その前提として、徹底した話し合い、論議が必要なのだ。民主主義はある意味《手間のかかる面倒なこと》である。自立・自覚した対等な立場の個人も必要である。それを面倒がっては、《民主的な》政治などできるわけがない。


 橋下知事-新市長の手法が『ハシズム』(橋下独裁)といわれるのは、自身が『独裁』を嗜好すると言ったからではない。論議を軽視し、教育の根本に《競争》をすえ、《思考する》ことよりも《競争に勝つこと》を最優先にした教育観や、その具現化である『教育基本条例』を見れば、独断政治どころか独裁政治の体質そのものである。



 区長を公募するという。権限も持たせ、一般職の局長級より給与もいいという。公選制ならいいかもしれないが、公募にどのような意味があるのか。
 しかも、成果があがらなければ任期途中で罷免するという。公募しても、それをどんな権限、判断で罷免するのか不明だが、《成果の基準》というのは《経営効率》だと思われるのは、橋下新市長の今までの言動や思考法を見れば明らかである。

 大阪市を一企業に見立て、突然外から来たものが、経営効率第一主義を旗印に、その手腕を否応もなく振ったらどのようなことになるのか。
 一方、公に選ばれた(内実は、公といっても市長の個人的判断である)区長が、首根っこを市長に抑えられて、何ができるのか。

 掛け声だけは革新的な響きを持つが、矛盾だらけの中身である。


 一方、中央はといえば、野田首相はとんでもなくだらしがなく、恥じらいのかけらも持ち合わせていない。TPPはもとより、消費税も国民に背を向け、対外にむけ世論とは逆の約束をばら撒き、国民を平気で裏切る。《普天間基地の県外移転》、《消費税は上げない》は政権交代に当たってのマニフェストの柱とも言うべき《最低限の大事な公約》ではなかったのか。

 その約束違反を、自分らのしてきたことや責任を棚上げにし、追求する自民や公明。こんな行き所のない状況で、弁舌の立つ新市長への期待を持つこと-《橋下人気》はわからないでもない。

 しかし、かつてのファシズムはこのような空気の世の中で出現した。

 その選択に誤りはないか、新市長の動向から目をそらすわけにはいかない。北朝鮮の出来事に目を奪われ、好奇心と見下した視線であれこれ評論する前に、自分らの近くで起こっている現実に対応すべきではないか。
 

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