雛祭り

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真多郎の鎌倉雛は養父から長女に送られたものだ。

段飾りのない、いわゆる親王雛で、武家の装束を付けた鎌倉雛である。

東男（あずまおとこ）に京女（きょうおんな）とか言って、男子用の五月人形は武家風、女子用の雛人形は公家風が普通なのだが、あえて雛人形を武家風に装ったところが、養父の気に入ったのであろう。

カデット（幼年学校生徒）の誇りを持した、古武士の風格のある明治男であった。おかげで、男勝りの娘が育ってしまった。

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