アセンションへの道 PartⅠ その理論と技法

2012年には銀河の中心と太陽系そして地球が整列し時代の節目を迎えます。アセンションの理論と技法について考えます。

第13章 世界宗教 ④魂(アートマン)

2011-03-25 22:56:00 | 第13章 世界宗教
前回インド哲学の概要を、島岩氏の『シャンカラ』から、その抜粋に拠って説明したが、ヴェーダーンタ学派の説も含め、これらをより明確に理解する為には、二つの重要な概念を理解する必要があると思っている。それらは、“魂(アートマン)”と“無明”であるが、夫々かなり長い説明が必要なので、二回に分けて説明しようかと思う。

先ずはこの内の“魂”であるが、実はこの魂という概念ほど判っているようで説明に困難な概念はなく、筆者がこれまで読んだスピリチュアル系の数ある書物の中で、一つとしてこれを明確に定義しているものは無かったと云っても過言では無い。筆者も良くは判らないなりに、本ブログ第7章①において、魂と霊の相違に就いての説明を試みたが、最近読んだヴィヴェーカナンダの『ギャーナ・ヨーガ』(以下、同書)において、かなり判り易い説明があったので、以下それを引用して行きたい。因みに、彼は“魂”とアートマンを同一のものとして説明している。以下の説明ではただ魂と記すが、これはヴェーダーンタ学派の不二一元論(次節で詳しく説明する)的な魂の捉え方(アートマンは即ちブラフマンであるとの説であり、筆者の第7章①での定義からすると“霊”に限りなく近い)であることを予めお断りしておく。
先ずは、ヴィヴェーカナンダの極めて感動的で力強い文章を味わって頂きたい。

「“自存の一者(筆者註:ブラフマンのこと)は感覚を外に向けた。それゆえ人は自分の内を見ないで外を見る。ある賢い人は不死を願い、反対に向けた感覚をもって内なる自己を見た。”既に申し上げたように、我々がヴェーダの中に見出す最初の探求は、外界の事物を対象とするものでした。それからやがて、ものの実体は、外界に見出されるものではない、外を見ることによってではなく、文字通り、目を内に転じることによって見出されるものである、という新しい思想が生まれたのです。そして魂、the Soulを表す為に使われている言葉は、非常に意味が深い。それは内にはいった彼(筆者註:ブラフマンのこと)、われわれの存在の深奥の本質、中心であるハート、いわば一切のものがそれから出てくるところの核心、という意味です。心、肉体、感覚器官、およびその他我々が持つ一切のものはそれから発する光線にすぎないところの、中心の太陽(筆者註:因みにイタリア語で太陽はSole)なのです。“幼い知性の人びと、無知の者たちは外界の欲望を追求し、遠くまで及ぶ死の罠にかかる。しかし賢い人々は、不死性を理解して、決してこの有限のものの人生の中に、永遠なる者を探し求めない。” 有限のものにみちているこの外の世界に、無限者を見出すことはできない、という同じ思想が、この言葉の中にも明らかにされています。無限者は無限であるものの中にのみ探求されなければなりません。そして、われわれのまわりで唯一の無限であるものは、我々の内にあるもの、我々自身の魂です。肉体も心も、我々の思いさえも、我々が自分の周囲に見るこの世界も、無限ではありません。見る者、これら全てが属しているところの彼、人の魂、内なる人の中にあって目覚めている彼、一人彼のみが、無限なのです。」

因みに、最後の文章で、「見る者」、「これら全てが属しているところの彼」、「人の魂」、「内なる人の中にあって目覚めている彼」と云っているのは全て不二一元論で言う、アートマン即ち真我(ブラフマンでもある)のことである。又、ヴィヴェーカナンダは次のようにも表明している。因みに以下の部分は、後に無明の概念を理解するのに非常に重要な説明である。

「この肉体は自ら光輝くものではありません。もしそうであったとしたら、死人の場合でも輝いたでしょう。心も霊体も、自ら光輝くものではないのです。それらの本質は、知能ではないのです。自ら光輝くものは、衰えることはあり得ません。かりた光で輝いているものの光輝は、来てそして行ってしまいます。・・・今や我々は、肉体即ち外側の形はそれの本質としては光を持っていない、ということを知りました。心もそれと同様です。なぜ出来ないのか。なぜならそれは満ち欠けがあるから。ある時には強く、またある時には弱くなるから。どんなものからでも、影響を受けるから。ですから、心を通して輝く光は、心自体のものではありません。では誰のものか。それは、自分の本性としてそれを持っており、従って決して衰えたり死んだりせず、強くも弱くもならないもの、に属するに違いありません。それは、自ら光輝いているのです。それは、輝きそのものなのです。魂が知るなどということはあり得ません。魂が知識であるのです。魂が存在する、ということはあり得ません。魂が存在であるのです。魂が幸福だ、ということはあり得ません。魂が、幸福それ自体なのです。幸福なものは、その幸福をかりてきたのです。知識を持つ者は、その知識を受け取ったのです。そして、相対的に存在するものは、ただ反映された存在を持っているにすぎません。性質なるものがあるところ必ず、それらの性質は、実体の上に反映されたものであります。しかし魂は、自分の性質として知識、存在、至福を持っているのではなく、これらが魂の本質なのであります。」

そして、ヴィヴェーカナンダは更に、時さえも魂の中にあると言う。因みにかっこ内の・・・以下は筆者の註である)

「我々はそれから、この人間と呼ばれるものは、第一にこの外側のおおいである肉体と、第二に心と知力とエゴイズム(アハンカーラ、私意識・・・自我意識のこと)とからなる精妙な体(幽体)とによって構成されている、ということを見ます。それらの背後に、人の真の自己がいるのです。我々は、粗大な体(肉体)は全ての性質と力とを心から借りており、そして心即ち精妙な体は、それの力と輝きを、背後に立つ魂から借りているということを見ました。今度はこの魂の性質について、実に様々な質問が生まれます。もし、魂の存在が、それは自ら光輝く、知識、存在、至福がそれの本質である、という論拠から引き出されるのであれば当然、それは創られたものではあり得ない、ということになります。自ら光輝く存在は、他のいかなる存在にも依存しておらず、何ものの所産でもあるはずはありません。それは常に存在していました。それが存在しなかったとき、などというものはありませんでした。なぜなら、もし魂が存在しなかったら、どこに時があり得ますか。時は魂の中にあります。時が現れるのは、魂がその力を心に反映させて、心が思うときなのです。魂が無かった時には確実に思いも無く、思いが無ければ時もありませんでした。ですからどうして魂が時の中に存在するなどと言えましょう。・・・時そのものが魂の中に存在するのに。それ(・・・魂のこと)は生まれもしなければ死にもしません。ただ、これらすべての、様々の段階を通過するのです。ゆっくりと、すこしずつ、低い方から高い方へ顕れて行きます。心を通して肉体に働きかけ、それ自信の偉大さを現しつつあります。そして肉体を通じて外なる世界を把握し、理解しつつあります。そして肉体が衰え使いつくされると、別の肉体をとって進み続けるのです。」

そして、不二一元論を、魂との関係でつぎのように説明する。

「彼(筆者註:不二一元論者)は言います。もし神というものがあるなら、その神は宇宙の質料因であって同時に動力因でなければならない、と。彼は創造者であるばかりでなく、被造物でもあるのです。彼自らがこの宇宙なのです。どうしてそんなことがあり得るのか。神、この清きもの、霊が宇宙になっているというのか。そうです。外見的にはそうなのです。全ての無知な者たちが宇宙として眺めているところのものは、実際には存在してはいません。では、みなさんや、私や、私達一同が眺めているこれら一切のものは一体何なのでしょうか。単なる自己催眠です(筆者註:この部分は無明と置き換えても良いと思う。尚、無明に就いては次回説明予定)。そこにあるのはただ、唯一の実在、無限なるもので、永遠に祝福された一者のみです。その実在の中で我々はこれら全ての様々の夢を見るのです。それは、一切を超越した、アートマンです。それはこのテーブルです。それは私の前の聴衆です。それは壁です。それは、あらゆるものから、その名と形を取り去ったものなのです。テーブルからその形を取り去ってごらんなさい。その名を取り去ってごらんなさい。後に残るのがそれです。ヴェーダーンティストはそれを彼とか彼女とは呼びません。彼とか彼女とかいうのは虚構、人間の頭脳の妄想です。魂には男女の別はありません。幻覚に支配されている人々、けもののようになっている人々は、女を見たり男を見たりします。生きている神々は男も女も見ません。一切のものを超越している人たちが、どうして性の観念などを持つでしょう。あらゆる人、あらゆる物は性を持たない、純粋の、永遠に恵まれたアートマンなのです。自己なのです。物質的なのは名です、形です。そしてそれらが、この一切の差異をつくるのです。もし名と形という二つの差異を取り去るなら、全宇宙は一つです。そこには二つはありません。・・・どうしてあなたがあなた自信の自己を見ることなどができますか。あなたは自分を映すことが出来るだけです。ですから、この宇宙全体は、その唯一永遠の実在、アートマンの映像です。」

魂の説明に始まり、不二一元論の宇宙観にまで踏み込んだ感があるが、次回は不二一元論の元祖的な存在であるシャンカラに就いて説明する予定である。

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