この五月連休の備忘録。
この連休は9連休という長い休み。どこか泊まりがけで遊びに行こうかとも思いましたが、イベントにかこつけて、既にあっちこっちで遊んでいるのでまあいいや、という気分でほぼノープラン。
そんな状態で迎えた五月連休、四月の末日、この日は上坂さんのヘッドフォン購入者お渡し会イベントもあったのですが残念ながら不参加のため、横山光輝『三国志』連載開始45周年 & 飯田市川本喜八郎人形美術館 開館10周年を記念、そして魯粛(ろしゅく)没後1800年を顕彰する「三国志桃園のつどい」に参加しました。東京カルチャー・カルチャーはラジオの文化部は夜歩くで知り、イベントは今回初参加です。
快晴のイベントの当日、渋谷のイベント会場は自由席で適当に着席。かなり詰め詰めで参加者120名で満席とのこと。近くの人とちょっと話してみましたが、人形劇三国志の最終回をたまたま見てからという方、漫画の横山三国志からハマったという方と色々です。
私はというと、NHKの人形劇三国志を見ていたく感動し、吉川英治の三国志を読み、さらに中国を二ヶ月近く歩いています。そこで自分の中の三国志ブームは一旦落ち着いたのですが、上坂さんの影響で横山三国志を読んでブーム再来。
そんなことを話して、ほらほらこの写真見てください、洛陽の漢魏故城を見に行ったのですが、畑しかありませんでした!なんてオタク語りをしたら、ちょっと引かれてしまいました…。
さて、イベントは以下の4部構成でした。
- 神戸 新長田発!密着型WEBラジオ「ラジオちゃんごくし in SHIBUYA」
- 横山光輝『三国志』連載開始45周年記念トークショー
- 飯田市川本喜八郎人形美術館 開館10周年 人形劇三国志トークショー
- 三国志 爆笑「回文」ライブ
冒頭のWEBラジオ公開録音、横山先生の地元が神戸ということで、三国志をテーマにしたカフェを開設し活動されているとのこと。ゲストは早稲田大学教授の渡邉義浩氏で、三国志学会事務局長も務めているそうです。専門は正史の三国志なので三国志演義は苦手とのこと。五月にNHKのEテレの100分de名著という番組で、三国志を題材にやるので是非見てくれとのことでした。好きなキャラは諸葛亮孔明だそうです。それにしても三国志学会なんてのがあるとは知らなかった。
続く横山光輝三国志トークショーは、ゲストに横山三国志にて横山先生の担当編集だった 潮出版社の岡谷信明氏を、解説に渡邉先生を迎えてのトーク。
開演タイトル。
横山先生のエピソードを交えながらの横山三国志のお話は面白かったです。先生はチェーンスモーカーでタバコのブランドは峰。いつも競馬のラジオ中継を流しながら執筆しており、実際賭け事もかなり強かったとのこと。韓国ソウルのホテルのカジノで大儲けして、その大金を持って出国しようとして空港で一悶着あったそうです。執筆中の横山先生。
奥に見えるラジオは執筆環境が変わってもずっと使われていたとのこと。仕事ぶりはキッチリしていて、アシスタントの出退勤はタイムカードで管理、ネームの段階でも、語句を短縮したりせずキッチリ書かれていたとのことで、ネーム取りは大変だったそうです。また、当時は中国との国交がまだ正常化しておらず、絵を描くにあたっての資料の入手に苦労したとのこと。
岡谷氏は桃園の誓いのシーンが好きとのことですが、渡邉先生によると、正史は歴史書ということもあって、桃園の誓いに関する記述はないとのこと。従って桃園の誓いがあったか無かったは分からないというのが正確で、おそらく三国志演義で付け加えられたのではないかとのことでした。
横山三国志で着目して欲しいのは曹操の眉とのこと。曹操の眉だけはスッしており、先生は明らかにそれを意識して描かれていて、横山先生はインタビューでは好きなキャラは誰でもないと言っていたけど、実は曹操が好きだったのではないかとのこと。確かに曹操は美形に描かれてますね。
ちなみに岡谷氏はキャラでは趙雲が好きとのことで、会場でも私を含めてかなりの方が趙雲が好きと手を挙げていました。渡邉先生も三国志演義では趙雲が好きとのことで趙雲の人気の高さが伺えます。ただし、渡邉先生のお話では、正史では趙雲は劉備の親衛隊長だったという250字程度の記述があるだけで、演義の趙雲像は、趙雲別伝という書物がベースになっているとのこと。
なるほど。人形劇三国志の刷り込みもあるとは思うのですが、趙雲はやっぱクールだよなあ。
横山先生の書庫。
ナチス黒魔団、夢野久作全集、スタートレック、日本ロボット創世記といったタイトルが見えます。
次いで呉の魯粛のお話に。横山三国志、そしてそのベースになった三国志演義では、魯粛はあんな扱いだけど、正史ではかなり扱いがよくて、渡邉先生曰く魯粛は曹操に次ぐ戦略家で、漢室再興のために天下三分の計を手段として考えていた孔明よりも、天下三分を目的として考えていたリアリストな魯粛は時代を突き抜けていたとのこと。孔明は正史も演義もほとんどキャラが変わってないそうですが、孔明があんなキャラなので魯粛は物語の構成上、道化役にならざるをえないとのこと。そんな魯粛も渡邉先生も参加した映画のレッドクリフでは正史に近いよい扱いだそうです。
そしてこれは割と知られている話ですが、中国では文武両道の曹操の人気が高いとのこと。
最後に、若い方はリアルタイムで横山三国志を読んでいたという方はいないと思うんですが、という会場への質問に、学校の図書館で読める漫画として、という声が多数。なるほどそういうルートがあるのか。
岡谷氏の、三国志は横山三国志に始まり、横山三国志に極まる、との締めの言葉に大判の横山三国志もよろしくとのことでした。
トークショー第2部は人形劇三国志をテーマにということで、ゲストは人形操演者の船塚洋子氏に、解説者として渡邉先生、早稲田大学非常勤講師の仙石知子氏を加えてのトークショー。壇上には本物の関羽の人形も飾られ否が応でも高まります。
船塚氏はNHK人形劇三国志 曹操他キャラクターの操演者として参加されており、仙谷先生は三国志演義を研究しているとのこと。人形劇三国志のプロフィール。
全68話見た人、との会場への問いかけに、私も含め場内三分の一位の人が手を挙げていたでしょうか。司会の方が再放送を見たんでしょうかね、初回の放送から見ていたという人はいないと思うんですが…なんて言っていましたが、私、初回から見ていて毎週土曜の夕方は憩いの時間でした。
大衆メディアへの三国志年表。
長さもさることながら、注目すべきは、本家中国よりも日本の方が大衆メディアへの登場が早いということ。それだけ日本では三国志演義の人気が高いということでしょう。
かくいう私、横山三国志のアニメ、やってたら必ず見ているはずなのですが記憶にありません。今でこそ衛星放送がありますが、地方のアニメ貧困ぶりは関東圏の人は知っておくべき地域ギャップです。同年代でも関東在住の人と地方在住の人とでは見ているアニメがかなり違うので、アニメの話をしていて相手が??という顔をしてもそれは仕方のないことなのです。
さて、トークは話数順に名シーンを辿りながらという体裁で、最初は桃園の誓いのシーン。このシーンは真俯瞰での撮影があるため、人形がまるで見えない状態で人形を操作する必要がありモニターを見ながらやっていたとのこと。三国志を読み終えた後、改めて桃園の誓いのシーンを見るとこみ上げてくるものがありますね。趙雲に、乗馬した若かりし玄徳。
趙雲かっこいい!ついで曹操。
岡本信人さんの渋い声が相まって貫禄十分です。
船塚氏のお話は興味深く、人形の操演にあたっては、まず原作は読まないというお話。原作を読んでしまうと先に自分のイメージができてしまって人形を動かせなくなってしまう、とのこと。まず台本を読み、録音された音を聞き、それを覚えてから、人形を操作するとのこと。アニメとは丁度逆ですね。 人形の造形は、川本喜八郎氏によるもので素晴らしいものです。長野の飯田市に美術館があるとのことで行ってみたくなりました。
三国志の一大クライマックスの赤壁の戦いのシーンでは、本火に本水を使っての演出で、燃やした人形もあったとのこと。赤壁の戦いのシーンで炎をバックにした曹操。
そして最終話の孔明五丈原に死すにて、一人天を見上げる孔明。
当時、この回を見た時は泣きました。そしていつか中国の地を踏むと決意したのもこの時です。これはその中国の旅で私が訪れた洛陽の漢魏故城、関羽の首級が葬られている関林に、成都の武侯祠。
そんなトークショーも細野晴臣作曲のNHK人形劇 三国志メイン・テーマが流れエンディングに。何をしていても土曜夕方の人形劇三国志の放映時間帯は必ず家のテレビの前に座ってこのテーマソングが流れるのを今か今かと待っていたことをしみじみと思い出しました。
これはよい曲なので聴いたことがない人は是非。著作権的なものはさておき、ネットを検索すれば聴くこともできるようです。
トークショーの終わりは関羽人形のご紹介。
ああっ!そんなところを!
そして閉会式。
この後、関羽人形との撮影会が始まりましたが、私は新幹線の時間があるので早々に会場を後に。大盛況で終わった三国志桃園のつどい、大変楽しかったです。
参加者お土産。
横山三国志カレンダーになぜか麦焼酎いいちこ。横山三国志カレンダーはお宝です。早速部屋に貼りました。
ちなみにせっかく都内だし、ということでイベントにまるで関係ないパワーパフガールズのコラボカフェにてお昼ご飯を食べました。ユートニウム博士のケミカルX実験ドリンク。
グラスの原液は薄いミント味。これにメスリシリンダーの液を加えると…?!
楽しい。
市長のピクルスビッグバーガー。
ボリュームあって食べ応えあり。その他のメニューも美味しそうでした。