ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

片腕マシンガール

2009年02月16日 | 映画/映像

片腕マシンガール

公開時ぜったい観たいと思ってたのに、レイトショーしかやってなくて観そびれた。さすがに、ベビーシッターさんに子ども預けてまで観るのははばかられる映画かな、と…。

しかし、ついにDVDが出た。
さっそく購入。
レトロなブリキの容器に入れた豪華装丁が嬉しい。



いやー素晴らしかった。
全編ゲラゲラ笑いながら観てしまった。
これほど爽やかなスプラッター映画がかつてあっただろうか!!!!

ストーリーはものすごく単純。

身内を殺された主人公が、仇討ちしようとして最初は返り討ちにされるが、修業を積んで強くなり、最後には本懐を遂げる… って、こう書くとわかるけれど、要するに1970年代のカンフー映画の構造なのである。

ただ、主人公が女子高生、協力してくれる相棒もやたら強い女性(なぜそんなに強いのかはわからない)というところがポイント。『プッシーキャット・キル!キル!』『キル・ビル』『デス・プルーフ』…のような、女の子がアホな男どもをぶっ飛ばす映画ならではの開放感が魅力。マシンガンつながりで言えば角川映画『セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子を思い出したりも。(それにしてはスプラッターすぎるけど)


以下、グッときたポイントを箇条書きメモしておこう。
(観た人にしかわからないと思いますが)


・スシ、テンプラ、オニギリ、ニンジャ、ヤクザ、ユビツメ、メイド、ジョシコーセイ、ルーズソックス、パンチラなど、欧米の「"クール・ジャパン"オタク」が喜びそうな画を全て詰め込んだ過剰なサービス精神!

・登場人物の名前もアミ、ミキ、ユウなどやけに覚えやすい!これも欧米マーケットへの配慮か?

・主人公の敵となるヤクザは、なんと服部半蔵の末裔!
 そしてそのヤクザが放つ刺客の名前が、手裏剣を武器にする「忍者隊」

・主人公に倒された敵の遺族(ごく普通の市民)が凶悪な戦闘集団と化して襲いかかる後半の展開が笑える。同じように後半クレージーに展開するカルト映画『発狂する唇』へのオマージュか?

・ちなみに、その名も「スーパー遺族」。他にも「誰でも殺し隊」などという集団が登場。どういうネーミングのセンスだ!

・主人公が腕を斬られると『椿三十郎』のラストなみにブシュウウウウーーーーッ!と超大量の血のシャワーが噴出する!…そんなに出血したら死ぬだろ普通!

・美しすぎる逆光の夕陽の中で、頭のてっぺんに包丁をぶっ刺すというアホな方法で殺される同級生!

・このシーン以外にも、死体の身体にあいた穴越しに向こう側をうつす etc. あまりに非人道的な(←褒め言葉)カメラアングルの数々!

・追い詰められた主人公が腕をつくと、そこにはなぜか卵で溶いた天ぷら粉が。当然、彼女の手が天ぷらに揚げられてしまうのだった!

・逃げ込んだ先の自動車修理工が、実は医者の息子で、傷ついた主人公を治療してくれる。自動車修理のテクで、失われた主人公の手に装着する特殊マシンガンを手作りしてしまう!といった、あまりにもご都合主義な設定の数々が笑える。

・随所に光る、惚れ惚れするような名台詞!

主人公の決め台詞
「息子の血で髪を洗いな!」
「親子の情が仇になったね!」
「家族で地獄に行きな!」
「地獄で接吻しやがれ!」

主人公にかけられる優しい言葉
「弟さんが浮かばれないよ、このバカタレが!」
「俺が作ってやるよ。鋼鉄の腕をな!」

敵も負けてはいない
「つまらぬ物を喰ってしまった!」
「半蔵様の魂の前で死ね!」
「あの世で半蔵様に謝れ!」





しかしこれ、単なる馬鹿映画ではないよ。パンフレットの対談で大林宣彦監督も激賞している通り、映画として技術的にものすごくきっちり作られているのがよくわかる。映画への愛で全篇みちあふれてるのが、1カット1カットの丁寧な作りから伝わってくるのだ。名画である!






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