写進化・ヲアニーの徒然日記

秀峰大山を中心に山陰地方の風景等を掲載。(※古い記事の画像は、削除しているのもあります。)

小豆島の醤油

2013年05月31日 | 県外旅行記(中国・四国)

小豆島観光1日目の最後は、醤油製造会社を訪ねてみました。
小豆島は醤油製造が盛んで幾つか醤油工場がありますが、昔ながらの製造方法にこだわっておられるのが「ヤマロク醤油」です。

場所は大通りに面しておらず、細い道を通っていくのでちょっとわかりづらいですが、ナビに電話番号を入力して到着できました。
到着したときは4時過ぎで、少し遠慮しようかと思ったのですが、車を止めるなりすぐ近寄ってこられ、快く案内していただきました。もしこの時間で見学が無理なら、翌日に再度伺おうかと思っていました。
実は、今回の小豆島旅行の目的の一つが、旅行誌で調べておいたヤマロク醤油でした。

ヤマロク醤油は、江戸時代の終わりごろ創業だそうですが、最初は醤油を搾る前の「もろみ」を卸販売していたとのこと。3代目が醤油を搾る圧搾機を導入して、昭和24年に醤油屋となったそうです。今は、5代目です。

まず、服に付着している塵をはたきで落としてから蔵の中へ案内していただきます。
(この記事は、説明いただいた際の内容に、ヤマロクのHPに記載されていることを一部追加付記しています。)
   

   
土壁にも歴史を感じますね。
蔵は明治初期に建てられ、100年以上が経過しています。今は国の登録有形文化財に指定されています。
実は、土壁や木桶にも百種類という酵母菌や乳酸菌たちが暮らしているそうです。ここが本当のポイントだとか。
蔵を大きくしても菌たちがいなければ醤油はつくれず、少しずつ手を加えて大きくしていくしかないそうです。
   
   

   
    

   
もろみ樽は大杉樽を使っていて、使い始めてから150年以上は経過しているとのこと。
  
  

   
ぼろぼろに見える木桶ですが、腐っているのではなく、菌たちが暮らしています。
触ると、フワフワしているそうです。(触ると変な菌がつくといけないと思って、遠慮しました。)
    
  

  
樽の上へ案内していただきました。
手前の茶色の色をしたもろみが5か月ほどに仕込んだもので、向こうの黒っぽく見えるのが1年以上経過したものだそうです。
夏になると、菌たちの発酵する音が聞こえてくるそうですよ。  
  

  
天然本醸造の醤油は1年ほどで完成しますが、ヤマロク醤油は1~2年かけて仕込まれ、更にもう一度仕込んで再仕込み醤油がつくられます。まろやかで、深いコクのある醤油だそうです。

見学終了後、醤油をテイスティングさせてもらいました。
今までの醤油と違う味でした
帰り際に買わせてもらいました。
(帰ってから、「鶴醤(つるひしお)」醤油で、冷や奴と刺身を食してみました。余り食べ物のことはわからない私でも、食べ物の味をそのまま残したまろやかな辛さというか、醤油にしては甘いというか、深いコクがあります。)
  
  

  
蔵も徐々に増改築されています。
醤油の生産性や品質向上のために、木桶を使っているところは少なくなり、樽職人は今は大阪の堺市にしかいないそうです。
もし樽をつくる職人がいなくなると、100年後には木桶が使えなくなるそうです。

日本食基礎調味料の醤油、味噌、酢、味醂、酒は、江戸時代までは木桶で製造されていて、これらの調味料は微生物の発酵によってつくられます。
おいしい発酵調味料をつくる微生物たちは、タンクにはほとんどいませんが、木桶には多くすみつくことができます。

このままでは本物の日本食基礎調味料がなくなることを憂い、小豆島の男気のある大工2名と5代目で、木桶職人を目指して修行しているとのこと。 
昨年1月に3人で大阪の堺市へ弟子入りし、新桶の製作に取り組まれ、発注した新桶3本を使って製作の全工程を教えてもらい、桶屋さんとともに新桶を組み上げできたそうです。
もろみ蔵にまだ9本の木桶を入れるスペースがあり、3人でこれから木桶9本をつくって食卓に届けることと、子や孫の世代に本物の醤油を届けるべく頑張っておられます。 

醤油づくりも近代化が進んでいる中で、木桶での製造にこだわりを持って頑張っておられる様子に感銘を受けました。
ものづくりの神髄を聞かせていただいたような気持ちです。旅のいい思い出ができました。
こだわりの醤油づくりにかける5代目を心から応援し、ヤマロク醤油を後にしました。

次回は、2日目の訪問地を紹介します。


[追記]
6/9(日)15:30~16:54にヤマロク醤油がテレビで紹介されます。
TBS系列全国28局ネット「ネプチューンのTHE宝島」
瀬戸内の島々が取り上げられる中、小豆島が約7分取り上げられます。
もろみ蔵や木桶も紹介されるそうですよ。
山陰地方はTBS系列ならBSS山陰放送ですが、放送されるかなぁ^^;


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4 コメント

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Unknown (nasuka)
2013-05-31 16:26:39
さすが怪著ーーー!!勉強になりましたっっ!
先日、「ためしてガッテン」で、
これからの季節、室内のどこにでもいるカビやダニに注意!
なんてのをやってましたが、
醤油や味噌の醸造では、その菌たちが重要な役割を果たすんですね~~
ワタクシに着いたカビも、私を発酵美人にしてくれないだろうか・・・(^_^;)
・・・ってか、それだと水虫( -o-)/☆ビシッ!

暑くなると、冷奴にお醤油がサイコーです。
今年は、いいお醤油を使ってみようかな~~♪
返信する
nasukaさんへ (ヲアニー)
2013-05-31 17:58:30
こんばんは(^^)
文章がちょっと怪しい著し方だったかな(笑)
ヤマロク醤油は、「どっちの料理ショー」など、テレビやラジオでも出演されているようです。
ロケの写真が壁に掲げてありましたが、連れが写真に写った俳優などを知っていましたが、
私は見たことあるようなないような人ばかりでした^^;
私が言うべきことではないですが、有名になっても、ものづくりの基本を守り続ける5代目の
姿勢には頭が下がる思いですね。

最後と下から3番目の画像に、増改築の板壁が見えると思います。
菌がすむには土壁が適しているそうですが、土壁塗りの左官の手配が難しく、
増改築部分は板壁の構造にしているそうです。でも、菌はすめるそうです。
私が子どものころには、まだ土壁で新築改築する家がありました。
土に藁を混ぜてかき分け、混ぜた土を下の人がはしごに乗っている左官に投げて、
それを左官が板で受け取って鏝で壁塗りする様子は、まるで神業を見るように魅入っていました。

>ワタクシに着いたカビも、私を発酵美人にしてくれないだろうか・・・(^_^;)
我が家のだれかさんは、八方美人のようですが(爆)
今回の旅行をきっかけに、我が家のデナーは、ビフテキなど豪華で油っぽいものでなく、
これからは健康的な日本食でおいしい醤油をかけて食べることにしました~
返信する
Unknown (ina)
2013-06-01 05:12:30
おはようございます

小豆島は醤油作り盛んですよね
木樽すごいですね 樽職人居なくなるのかな
この技術はすごいと思いますね
木を組み合わせて水が漏らないからね
最近は金属か強化プラスチックに取って変わってるのかな
醤油屋さんは資本力無いと出来ないらしいね
仕入れから出荷まで時間掛かるから
昔の調味料と言えば塩、醤油ぐらいかな
土壁も良いですね 竹に土を塗り込んで
こんな環境だから菌も住み着くのかな
良い物見ましたね


返信する
inaさんへ (ヲアニー)
2013-06-01 07:49:48
おはようございます(^^)
我が家も木樽で、祖母が糠味噌漬けをつくってました。
もちろん家族が食べるだけでしたが、どこの家庭でもつくっていたと思います。
子ども心に、あの糠味噌のにおいが嫌いでしたが(笑)

最近の桶はステンレス製のようですが、木樽での仕込みは、手間暇がかかり苦労があるようですね。
微生物でも油断すると白カビが発生して、それは醤油のうまみ成分を食べてしまって
香りも駄目にしてしまうそうです。攪拌などのサポートも必要なようですね。

>醤油屋さんは資本力無いと出来ないらしいね
今日の地方紙のローカル版に、鳥取県内で珍しい伝統工法による木造住宅の建築が進められていると
記事がありました。
土壁で、柱や梁などはボルトを使わずに木組みで建築するそうですが、コストがかかるでしょうね。
建築費用までは記事には載っていませんでしたが。
伝統工法の木造住宅も醤油屋さんも、あとは我が家しかできないということかなぁ・・・
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