「 オレアナ 」
--- 理想郷を追い求める、絶望的な状況。

志田未来ちゃんの初舞台をみてきた。
渋谷のPARCO劇場にて。
舞台を観ること自体、初めてだったけれど(ミュージカルしか観たことがなかった)、
もう本当に、圧巻の一言だった。
二人芝居ということで、シンプルで質素なものを想像していたわたしは、
舞台のセットを見た時点で既に、圧倒されていた。
美術が細部まで凝っていて、傾斜のあるステージには驚かされた。
教授の部屋の、リアリティを感じさせる重厚な作りに、
大胆な傾斜のつけられたステージ。
見ているだけで、なんとなく不安な気持ちにさせられる。
見事だと思った。
そういう工夫もあり、すぐに世界観に入り込めた。
『ディスコミュニケーション』がテーマの話だという事前情報は頭に入れていたけれど、
細かい内容までは知らずに見たので、膨大ではやい台詞たちの応酬を、
頭に入れ込むことで必死になってしまった。
とても興味深いすれ違いや言葉による戦いに、頭をフル回転させながら観ていたので、
面白かったし、演出の狙い通りに笑えたし、
最後には気分が悪くなったけれど(そういう話だからです)、
田中哲司さんと志田未来ちゃんのお二人の芝居を隅々まで堪能出来たとは言いがたく、
見終わったあとすぐに、「あと三回は観たい!」という感想が心に湧いた。
席も割と、後ろの端のほうだったから、前の真ん中で見たら、また印象や楽しみ方が変わるんだろうなあ…と、このときばかりは、東京に住みたい!!と何度も思った。
実際、何度も見ている方々もおられるようだし。羨ましい限りです……。
本編が終わった後の、アフタートークもとても良かった。
なんといっても脚本を翻訳した方の話を聴けたのは満足度が高かった。
なるほどと思うことがたくさんあり、理解に役立てることができた。
パンフレットを購入し、これがまた内容がとても贅沢で、
帰宅してからじっくりと読み込んだ。
ジェンダー論というと陳腐な題材ととられてしまいそうだけれど、
このお芝居はユーモラスな部分を持ち合わせているし、
田中さんのインタビューにもあったように「文学的に寄せていない」ので、
説教くさいわけでもなく、どちらが悪者というような描き方もしていないので、
本当に見る人によって感想が大きく変わる、面白い内容だと思う。
わたしも大学に入ってから、似たようなことについて
考えさせられる機会が多かったので、
少し期間を置いた今、冷静な頭で考え直す機会にもなった。
そういう意味では、観に行った価値は大きいのかな。
やっぱり、ここには書ききれないの多くの感情や理論を貰ったので、
違う媒体で、何らかの形にできたらいいな。
ざっくり所感、おしまい。
P.S.
志田ちゃん、初舞台と思えない貫禄で、
発声も動きもよく、
舞台上でキラキラ輝いていたけれど、
まだまだのびしろがすごくあるんだろうな、と観ながら感じていた。
なにしろ、もともと持っているポテンシャルが高いから、
この公演を通してさらに磨きがかかるだろうし、
舞台を経験したことで、演技に幅が出て、これからもっと素敵な役者さんになるんだろうな。絶対。
今後が楽しみで仕方ない。
パンフレットの言葉、
「演じることは楽しい。好きですね。」
というシンプルで熱い言葉から始まっていて、グッときたし、
読みながらにこにこしてしまう自分がいた。
演じることについてまた『悩みたい』と思って、今回の舞台出演を決めたことも。
本当に女優さんなんだなあ、と刺激を受けた。
同年代というか、同世代というか、同い年の身として。
わたしが打ち込みたいのは「演技」ではないけれど、
ジャンルは違えど、似たようなものだし、
これくらいの覚悟や真剣さをもって
取り組むことが絶対に必要だし、
こんな風にやりたいと、強く思った。
つまり彼女が当たり前のように持っているのは、
小さい頃から仕事をし続けて身に付いている「プロ意識」なんだと思う。
意識の高さではなく、プロ意識。
この転換は、素人にとってこそ、
結構重要だと思うのだ。
気づかせてくれて、感謝です。
これからもそんな志田ちゃんを
応援していきたい。
まずは「オレアナ」公演、
無事に走りきることができますように。