P240 「数学がいいのは、なぜ、と問わないところにある」
「どうなっているかを探求する。どうしてそうなってあるか、は問わない。そうなっているなら、そうなっている。それだけ。そこがいい」
P259 「人はなぜと問う。問うても無意味なのに、問わずにいられない。だからユークリッドは『原論』を書いた。なぜと問うのではなく、誰もが確かだと思うことだけを積み上げるために」
なるほど、と納得させられた。
わたしは高校にはいってすぐに数学に躓いて、心を閉ざして、徹底的にやらずにひどい点数を取り続けながら過ごしていた。
躓いた理由は、『なぜ』を追求してしまったから。なぜ、二次関数はこういう形なの?なぜ、この公式はこうなっているの?
『そういうものだから』も割り切れずに、ぐだぐだ悩んでいた。
でも数学は、神様の定めたひとつの法則、ルールの下に成り立っているのだ。
そういうことにもっとはやく気づけていたら、もっと楽しい高校生活が送れたかもしれないとおもった。
大学に入ってからの統計の授業は楽しかった。
なにかが吹っ切れたからかもしれない。
あの頃、受験のために何もかも詰め込まれているようで、勉強を心から楽しむことができなかった。
せっかく超進学校にいたのに、もったいないなあと思う。
主人公の栢山くんが、数学の苦手なクラスメイトの柴崎ちゃんの言葉をすごくニュートラルに捉えているのが良かった。
彼自身も多分、どうして自分が数学ができるのかわからなくて、不思議に思っているからなんだろうなあ。
栢山くんは一度見た数字を忘れないという才能ともいえる能力を持っているけれど、驕らず、才能に溺れず、本人が自覚もなくどことなくふわふわしているのが高校生っぽくていい。
そんな中で、数学のことばかり考えている同世代の仲間たちとの合宿。
目の前の問題との、仲間たちとの、対話を重ねる中で、知らなかったことや気づかなかったことに対する理解を深め、成長していく。
数学が得意で好きで、才能にも恵まれていた、賢い親友のことを思った。
放課後、毎日のように、東大を目指しているような頭の良い子たちと一緒になって、新しい証明を黒板に書き殴って研究していた。
あの頃、彼女たちを眩しく見つめながら、輪に入れずに、机の上に座って文庫本を読んでいたわたし。
それはそれで、愛おしい大切な時間だったことを思い出す。
数年前に彼女の部屋に遊びに行った時、本棚に並んでいた『数学ガール』、ずっと気になっていたけれど読んでみようかなあ。
青春な一冊でした。
2巻も続けて読む。
読んだら感想書きます。
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