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窓の向こうの海

素直で純心なきみに、憧れ手を伸ばしていた。いつのまにか、掴まれていた。もう離さないよって、きみが太陽みたいに笑った。

イノセント 島本理生

2016-06-24 10:01:35 | 読書




島本さんウィーク?ひと段落な一冊。
サインしていただいた宝物な一冊。


読み終わりました。


なんというか、最初は、おお!これは面白そうな本だぞ、わくわく、という感じで読み進めていたのだけれど、
後半になるほど失速というか、うーん、もう少し深めてほしかったなあ、と思ってしまった。


特にカソリックの牧師という設定に期待していたのに、そこがイマイチ踏み込めてないなあという印象を受けた。


もっと、人間の原罪について、agapēについて、神と共に生きるとは、というテーマまで深く掘り下げたうえで、それぞれの出した'救済'の答えを示してほしかった。


ひとりの女性が無条件にその魅力や容姿、危うさによって愛されるというのは、わたしは結構苦手な設定なのかもしれない。

なんというか、説得力に欠けてしまって。


主人公が、自分を保護してもらって生きるために信徒になる、とか。

苦手だ、そういうご都合主義は。




期待しすぎて、酷評みたいになってしまったけれど、全体として楽しく読めた。


島本理生さんの小説はわたしにとっては、深い共感を伴う類のものではないのだと思う。






P.S.


ナラタージュ、実写化!


島本さんの本の実写化は初めてだそうで。
有村架純ちゃんと松潤。
どんな感じになるんだろうなあ。


実はまだ読めていないので、
多分そのうち文庫を買います。




よだかの片想い 島本理生

2016-06-22 23:02:36 | 読書



「もし無理をすれば違う自分になれるんじゃないかと思っているなら、その幻想は捨てたほうがいいかもしれない。そのほうが、君はきっと成長できる。たしかに、人は変わることもある。しかし違う人間にはなれない。それは神の領分です」



「あなたが思っているほど、多くの人は深刻にも真剣にも生きていないんだ。だから真の孤独の中にいるとき、受け止めてくれる人の存在は貴重なんだよ。ー」


『他人の痛みのほうがこんなにもつらい。体感することができない分、想像は何倍にもふくれ上がるし、どこを触っても傷つけてしまいそうで、垣根なしに手を伸ばすことがこんなにも難しいことだったのだと。』



『私は軽く目をつむって、これから始まるんだ、と思った。ミュウ先輩も私も。たくさん悩んだり笑ったり泣いたりしながら戦っていく。』



顔の目立つアザがコンプレックスの主人公の気持ちは、アトピーの自分にも近いものがあって、シンパシーを感じた。


でも、恋愛模様はやっぱり、なんだかなあ。

飛坂さんがわたしにとってはそんなに魅力的に思えなくて、でも、アイコの気持ちもわかるんだけど。


ミュウ先輩や教授、原田くんなど、
周りを取り囲む登場人物たちが魅力的だった。



島本さんの小説は本当に読みやすい。



このくだりには共感した。


『この先、もし原田君のことを好きになっても、ならなくても、今日という日を永遠に忘れない。心の底から思った。』


こういうことって、本当にあるんだよね。



こういう経験を積み重ねて、自分のことを好きになれるようになっていく。




そして、わたしにとっては、誰かを大切に想うこと自体が宝物みたいな記憶なのだと、再確認した。




無花果とムーン 桜庭一樹

2016-05-29 00:44:28 | 読書




すごい小説だった。

わたし、どうしてこの本を買ったんだっけ。

表紙とあらすじだと思うけど‥
あんまりよく覚えていない。

これ、四年前とかに読んでたら、
今とは大分違った感想を抱いてたんだろうな‥と思う。


月夜は、ずいぶんメルヘンで芝居がかっていて、その上可愛いから、周りから見たらイライラするような女の子かもしれないけれど、
そっか、お兄ちゃんが死んだ時の悲しみ方って、こういう感じなんだよ、ね、そうだよねって、
背筋がゾクゾクするくらいに納得させられてしまった。


狂気的なまでに、死者と過ごす夏休み。


月夜が1ヶ月経って、やっと涙を流すシーンが大好きだ。


ところどころ、自分と重ねて読んでいた。




理屈じゃないんだよね、悲しみは。


いくら周りに愛されていても、
心に穿った悲しみが簡単に癒えるわけじゃない。

月夜に、最近ずっとわたしの中のテーマだった、『悲しみとの向き合い方』を教わった気がした。


そして何より、奈落の愛に痺れた。


現実と向き合うこと、非現実の中に身を浸して生きること、
生きていることと死ぬことの表裏一体。
18と19の境界線。



いろんな散りばめられたテーマが、心に刺さった。


分量の割にスラスラ読める、桜庭節の光る一冊でした。

好き嫌いは分かれるだろうけど、
わたしにとっては、なかなか忘れられない本になりそうです。




そして恩田作品でも思ったけれど、
義兄妹モノが割と好き。


そういえばこの家族構成と雰囲気、理瀬シリーズとよく似てるなあ。。



完璧で在ろうとする女の子は、どんなに歪でも美しいし愛おしいです。







このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集

2016-05-28 00:25:58 | 読書



実家から持ってきた積み本を順調に消化中です。

なかなかまとまった時間が取れなくて、ゆっくりペースではあるけれど。


久しぶりの桜庭さん。


短編集は初めてだったのですが、
それぞれが濃くて個性的で、
短編に思えないボリュームがありました。



ミッションスクールの話と、ひと夏の冒険の話と、冬の牡丹が特に好きかなあ、
面白さとほろ苦さが絶妙で、素晴らしいテイストです。


次も続けて桜庭さんを読む予定。


わくわく。