消費税大増税に反対する国民はいないという大嘘
NHKが「日曜討論」で消費税増税問題を取り扱った。
司会は解説委員の城本勝氏で、偏向司会者の島田敏男氏よりははるかに良いが、問題は人選だ。
消費税増税賛成・推進論者しか出演させないなら、消費税増税推進キャンペーン番組になる。
4人の出演者のうち、2人は完全推進者、2人は増税時期見直し論者である。
主権者の多くは、増税そのものへの反対者である。
井堀利宏氏は石弘光氏、土居丈朗氏と並ぶ、代表的な御用学者の一人。
大和総研は理事長に財務次官経験者の武藤敏郎氏が就任しており、在籍エコノミストは理事長の側を向いていると見える。
静岡県立大学の本田悦朗氏は2012年まで財務省職員を務めていた人物である。
本田氏が番組内で述べたように、出演者全員が消費税増税賛成の主張を展開しているのである。
これは「討論番組」ではなく、「キャンペーン番組」だ。
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御用学者は将来世代につけを残さぬために消費税増税をすると主張するが、将来世代につけを残さない、最重要の施策は、政府支出の無駄を切ることだ。
政府支出の無駄の象徴が、官僚利権のための政府支出だ。
2009年の総選挙の際に、野田佳彦氏が絶叫したのはこれだ。
「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」
4500の官僚天下り機関に公務員OB2万5000人が天下りし、12兆1000億円の血税が注ぎ込まれている。
「天下りとわたり」を根絶しないで消費税を上げるのはおかしい。
これが野田佳彦氏の主張したことだ。
「将来世代につけを回さぬ」と言うなら、まず、官僚利権を切るのが先だ。
官僚の懐だけを豊かにする政府支出も切らないで、庶民に過酷な税負担を押し付ける消費税増税を先行させることが間違いなのだ。
御用学者の特徴は、消費税増税を主張するが、天下りとわたりの根絶を決して言わないことだ。
井堀氏にしろ、土居氏にしろ、天下りとわたりの根絶を優先して実施するべきとは決して言わない。
要するに、官僚機構に寄生して、自分の経済的、社会的地位を向上させようとしているだけなのである。
恥ずかしい学者が多すぎることはとても残念なことである。
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4人の出演者のなかでは、本田氏がもっともまともな主張を展開していた。
しかし、消費税増税について反対する国民は皆無だとの発言は、事実誤認もはなはだしい。
消費税増税反対に三つの類型がある。
第一は、マクロ経済との関連で消費税増税に慎重な意見。
本田悦朗氏は、この視点から消費税増税の先送りないし、段階引き上げ論を提示している。
第二は、天下りとわたりに象徴される官僚利権の根絶が優先されるべきだとの主張。その後の消費税増税については、必ずしも全面否定ではないが、足元の問題として、「シロアリを退治しないで消費税引き上げはおかしい」の考え方に立つ。
第三は、消費税の逆進性、消費税の構造的欠陥から、消費税そのもの、あるいは消費税増税そのものに反対する意見。
この三つがある。
本田氏の発言は、上記の三つの消費税増税反対論のうち、第二と第三を無視するものである。
つまり、NHKの日曜討論には、第二の立場、第三の立場に立つ論者が一人も起用されていないのである。
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討論番組の内容を操作、誘導することは極めて容易だ。
出演させる論者の人選を操作すればよい。
NHKはこれを行っている。
偏向NHK、御用NHKの面目躍如だ。
主権者は2009年総選挙、2010年参院選で消費税増税に明確にNOの意思を示した。
2010年6月に首相に就任した菅直人氏が、突然、消費税増税を提示した。
その結果、菅直人政権は2010年7月参院選で大惨敗した。
ところが、2011年に首相に就任した野田佳彦氏が、主権者を裏切るかたちで消費税大増税を提唱した。
NHKは日曜討論で、野田政権が消費税大増税を法案化した2012年に、徹底的に消費税問題を論じ、争点を掘り下げる必要があった。
ところが、これをやらず、2012年の総選挙の際も、消費税増税の是非をまったく論じて来なかった。
国会は2012年8月に消費税増税を決めたが、この決定は選挙で示された主権者の意思に反するものであった。
したがって、2010年夏から年末にかけて、消費税増税の是非を徹底討論する必要があった。
NHKはこの責務を放棄して、消費税増税は国会が決定したものだから、すでに決着済みの問題として取り扱ってきた。
つまり、一度もまともに論議したことがないのである。
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昨年12月の総選挙、本年7月の参院選が終わると、すでに消費税大増税問題は決着済みで、実施時期についての論議だけが残されているとの考えを提示し、日曜討論でも、消費税大増税肯定論者しか登場させていないのだ。
NHKが討論のテーマに設定したのは、消費税大増税の実施時期の問題だけであって、消費税大増税そのものの是非ではない。
御用放送局の特徴を鮮明に示している。
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