内山晃・新党きづな代表インタビュー
「あさっての議論ではなく“明日の議論”をしよう。 消費税増税やTPPをなぜ拙速にやる必要があるのか」
(DIAMOND online 2012年4月13日)
http://diamond.jp/articles/-/17140
昨年TPPへの交渉参加を表明した民主党は、今年に入って社会保障と税の一体改革案を発表、足もとで消費税増税法案を閣議決定し、国会へ提出した。しかし、TPPや消費税増税は、野党のみならず与党からも異論が絶えない。昨年末、野田内閣の政策に反対して同志9名と共に民主党を離党し、新党きづなを立ち上げた内山晃代表が、「第三極」の立場から見た政策の危うさと、今論じるべき日本の課題について語る。
■被災者が生きるか死ぬかのときになぜ消費税を命がけで議論するのか
――昨年から今年にかけて、TPPや消費税増税など、国家のあり方を大きく変える議論が行なわれている。野田内閣が推し進める政策には、野党のみならず与党からも異論が噴出しており、国会は紛糾している。現状をどう見ているか。
数年先のTPP交渉参加や消費税増税を今「不退転の決意」で議論することは、あまりにも的外れだ。復興がちっとも進まず、被災者が生きるか死ぬかという状況なのに、マニフェストにも掲げていない政策を、なぜ急いでやる必要があるのか。私には全く理解できない。
――内山代表は、昨年末、野田内閣の政策に反対して民主党を離党し、新党きづなを旗揚げした。現在、新党きづなは、増税反対の立場を鮮明にしている。それはなぜか。また、消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革には、どこに課題があると思うか。
私は消費税そのものに反対しているわけではなく、「時期」に疑問を抱いている。このデフレ下で増税をやるのがいかに大変なことか。「景気が悪くなったら上げない」という景気条項を付けたとしても、2~3年後に景気がよくなる保証は何もない。だったら今、「命がけ」でやるような政策ではない。
それに、社会保障制度と税制は本来切り離して考えるべきものだ。その点においても、一体改革には「まやかし」が隠されている。
民主党は「社会保障を充実させるために消費税増税をする」と言っているが、増税して得られる歳入のうち、国民に還元されるのはわずか1%であり、残りは財政の補填に使われる見通しだ。つまり、国民は直接恩恵を被らない。彼らは「社会保障」と名を付ければ増税の理由になると思っているフシがある。何も知らない国民を騙すにはちょうどよい理屈だろう。明らかに動機が不純であり、悪意さえ感じる。
本来は、まず財政改革に着手すべきなのだが、それをやらずに増税で急場を凌ごうと言うのは、論理が矛盾していないだろうか。
■消費税増税を議論する前に歳入と歳出の一体改革をすべき
――消費税増税の前に行なうべき財政改革とは、具体的にどんなものか。
増税を考える前に、歳入と歳出の一体改革をすべきだ。民主党は公務員の人件費2割カットなどを掲げているが、それで浮く経費はたかだか全体の5%程度。残りの95%に手を付けずして、財政の大きな改善にはつながらない。
たとえば、役所や自治体が民間業者に公共事業を発注する際には、競争入札を行なわずに業者を決める随意契約が、いまだに全体の9割を占めている。これを逆オークション形式にし、国が希望入札金額を決め、できるだけ安く発注できるようにすれば、多額のコストが浮くはずだ。
また、社会保障制度1つをとっても、仕組みを変えれば、コストや医療費の削減は一定程度できる。こうした改革は、単発の事業仕分けだけではどうにもならない。仕組みそのものを変えることが必要だ。
まずはそうした歳出改革をしっかりやるべきではないか。逆進性などの問題は別として、社会保障費の負担を広く浅く課すために間接税が一番よいことは、我々も理解している。しかし、努力をせずに国民ばかりに負担を求めるのは、順番が違う。経済学者でも一般市民でも、誰だって不思議に思うだろう。
――新党きづなが消費税増税と共に反対しているのが、TPPへの参加だ。これについては、どんな課題を感じているか。
与党内にも、TPPのメリットとデメリットを深く知っている関係者はあまりいない。皆、浅い議論ばかりに終始している。メリットばかりでなく、デメリットも国民にしっかり説明し、国民投票などを通じて合意を形成すべきだ。
実際、TPPは大変な問題だ。自由主義貿易のメリットは確かに大きいが、医療、農業、金融サービスなど26分野にわたる国内産業がグローバル競争に晒されるインパクトの大きさを、きちんと理解しているのだろうか。一度門戸を開いてしまうと、どんなに国内産業が疲弊しても容易に閉じることができないし、非関税障壁だと認定されれば、世銀傘下の認定機関でほぼ間違いなく負けてしまう。
米韓のFTAがまさにそうだ。非関税障壁の名の下に、典型的な不平等が起きている。そういう恐ろしさがきちんと認識されているとは思えない。
そのことは、民主党がTPPと郵政民営化法の見直しを同時に議論していることからもうかがえる。新党きづなは、もともと郵政民営化の見直しには賛成の立場をとってきた。しかし、郵政は三事業(郵便、簡保、郵貯)が一体となっているからこそ存続できるのであり、TPPで郵貯と簡保が解放されて切り離されたら、郵便事業だけではとてもやっていけない。
小泉・竹中改革で滅茶苦茶になった郵政事業をせっかく見直そうとしている一方で、米国の言いなりになってTPPへ参加しようとするなど、支離滅裂ではないか。「安全保障で世話になっているからTPPも断れない」という声も聞くが、これは全く的を射ていない。TPPと日米同盟は分離して考えるべきだ。
■政府がまずやるべきは震災からの復興と内需拡大
――それでは、政府は足もとでどんな策を講じるべきだろうか。また、新党きづなが考えている政策は?
政府がまず考えるべきは、震災からの復興と内需拡大だ。デフレと円高の解消を目指した金融政策を行ない、潤沢なマネーを市場に供給することが急務となる。
「そんなことをしたらインフレになるじゃないか」という声も出そうだが、そもそもがデフレ不況なのだから、緩やかなインフレはむしろ経済を刺激する。また、米国でもFRBがQE1、QE2であれだけ米国債を引き受け、ドルを放出しているのだから、日銀が国債を大量に買い取り、円を放出することも求められて然るべきだ。日銀法が足かせになっているなら、改正を考えればよい。
他にも、米国債を担保に日銀からお金を借りたり、年金積立資金122兆円を一時的に使ったり、IMFに借している10兆円を返してもらったりして復興対策に向けるなど、国内でやれることはいくらでもあるはず。
■利子をつけずに相続税を免除する「無利子非課税国債」を発行せよ
また、我々が震災復興策として提案しているのが、利子を付けない代わりに相続税などを免除する無利子非課税国債を発行して、資金を集めることだ。日本では、高齢者が1400兆円の資産を持っており、その中には多くの家屋や土地などの固定資産が含まれている。彼らの悩みは、固定資産の相続時に多くの相続税を取られることだ。
政府がそうした人たちに国債を買ってもらう代わりに相続税を免除すれば、大きな資金が集まる。相続税が税金に占める割合は6%ほどなので、理論的には100~200兆円のお金を集めることができ、巨額の費用を無利子で復興に充てることができる。財政面から見ても、今の利払いを続けるより非課税にしたほうが明らかに得だし、プライマリーバランスの改善にも貢献するはずだ。
被災地の再生プランも必要だ。被災地では、今土地の価格が8割まで落ち込み、住民が新しい住居を購入できず、移住が進まないという。そうした土地を政府が保障を上乗せして買い取り、有効活用すべきだ。たとえば、買い取った田畑にメガソーラー発電の基地を建設し、他県も含む電力供給の基地にする。既存の福島原発の送電線インフラを使えば、ソーラー発電のコストを下げることもできる。
セシウムが積もっている福島の山林については、草木を伐採して焼却することにより、火力発電の代わりにできる。セシウムを除去する技術はすでに確立されているので、燃やしても安全性に不安はない。その後新たに植林事業を行なえば、日本の林業を再生させることにも一役買うはずだ。
――本来なら、国中を巻き込んでそうした根本的な議論が起きなければいけないはずなのに、なぜ目先の議論ばかりに終始しているのだろうか。
民主党があまりにも拙速にことを進めようとしているため、国民の総意を得るための議論が置き去りにされ、説明不足に陥っている影響が大きい。
本来こうした問題は、一政権与党が決めていいことではない。にもかかわらず、「消費税増税法案が通らなければ解散総選挙だ」などと一方的な話ばかりが出てくる。それに対して、自分たちも増税を唱えていた自民党が、真っ向から民主党に反対しているのも理解に苦しむ。結局、消費税議論を党利党略に使っているだけ。これでは「子ども国会」ではないか。
大切なのは、国民にきちんと説明し、合意を形成することだ。増税を争点にして拙速に総選挙をやっても、民意など反映されるはずがない。国民だって、どうしても増税をしなければいけないタイミングが来れば、反対するばかりではないだろう。皆が納得して結論を出せるように、時間をかけて真摯に議論することが必要だ。
■野田内閣は「危険な車」だった私たちは飛び降りる決意をした
――公約違反が相次ぎ、支持率が低下していく民主党の中で、内山代表は離党するまでの間に、どんなことを考えていたのか。
2009年の政権交代時には、明るい希望に満ちた朝を迎えたような気持ちだった。しかし、ほどなくして鳩山内閣が普天間問題により窮地に陥った。危惧を抱いた私は、「きちんと対応すべきだ」と関係者に随分交渉したが、期待は裏切られた。言葉の軽さが浮き彫りになって、国民の期待が雪崩のように崩れていく印象を持った。
次の菅政権では、思いついたように消費税増税を口にし、完全に支持率を落として参院選で惨敗した。その後私は、総務大臣政務官の辞表を提出し、菅内閣不信任決議で採決を棄権したため、3ヵ月の党員資格停止となった。
そして、野田政権だ。消費増税を不退転でやると言う。車に例えれば、高速道路をトップギアで走っていたのに、いきなりシフトダウンしたようなもの。そんな危険な車には乗っていられないと思い、とうとう私たちは飛び降りる決意をした。
(mokeihikiさんの許可を得て転載してます)
「あさっての議論ではなく“明日の議論”をしよう。 消費税増税やTPPをなぜ拙速にやる必要があるのか」
(DIAMOND online 2012年4月13日)
http://diamond.jp/articles/-/17140
昨年TPPへの交渉参加を表明した民主党は、今年に入って社会保障と税の一体改革案を発表、足もとで消費税増税法案を閣議決定し、国会へ提出した。しかし、TPPや消費税増税は、野党のみならず与党からも異論が絶えない。昨年末、野田内閣の政策に反対して同志9名と共に民主党を離党し、新党きづなを立ち上げた内山晃代表が、「第三極」の立場から見た政策の危うさと、今論じるべき日本の課題について語る。
■被災者が生きるか死ぬかのときになぜ消費税を命がけで議論するのか
――昨年から今年にかけて、TPPや消費税増税など、国家のあり方を大きく変える議論が行なわれている。野田内閣が推し進める政策には、野党のみならず与党からも異論が噴出しており、国会は紛糾している。現状をどう見ているか。
数年先のTPP交渉参加や消費税増税を今「不退転の決意」で議論することは、あまりにも的外れだ。復興がちっとも進まず、被災者が生きるか死ぬかという状況なのに、マニフェストにも掲げていない政策を、なぜ急いでやる必要があるのか。私には全く理解できない。
――内山代表は、昨年末、野田内閣の政策に反対して民主党を離党し、新党きづなを旗揚げした。現在、新党きづなは、増税反対の立場を鮮明にしている。それはなぜか。また、消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革には、どこに課題があると思うか。
私は消費税そのものに反対しているわけではなく、「時期」に疑問を抱いている。このデフレ下で増税をやるのがいかに大変なことか。「景気が悪くなったら上げない」という景気条項を付けたとしても、2~3年後に景気がよくなる保証は何もない。だったら今、「命がけ」でやるような政策ではない。
それに、社会保障制度と税制は本来切り離して考えるべきものだ。その点においても、一体改革には「まやかし」が隠されている。
民主党は「社会保障を充実させるために消費税増税をする」と言っているが、増税して得られる歳入のうち、国民に還元されるのはわずか1%であり、残りは財政の補填に使われる見通しだ。つまり、国民は直接恩恵を被らない。彼らは「社会保障」と名を付ければ増税の理由になると思っているフシがある。何も知らない国民を騙すにはちょうどよい理屈だろう。明らかに動機が不純であり、悪意さえ感じる。
本来は、まず財政改革に着手すべきなのだが、それをやらずに増税で急場を凌ごうと言うのは、論理が矛盾していないだろうか。
■消費税増税を議論する前に歳入と歳出の一体改革をすべき
――消費税増税の前に行なうべき財政改革とは、具体的にどんなものか。
増税を考える前に、歳入と歳出の一体改革をすべきだ。民主党は公務員の人件費2割カットなどを掲げているが、それで浮く経費はたかだか全体の5%程度。残りの95%に手を付けずして、財政の大きな改善にはつながらない。
たとえば、役所や自治体が民間業者に公共事業を発注する際には、競争入札を行なわずに業者を決める随意契約が、いまだに全体の9割を占めている。これを逆オークション形式にし、国が希望入札金額を決め、できるだけ安く発注できるようにすれば、多額のコストが浮くはずだ。
また、社会保障制度1つをとっても、仕組みを変えれば、コストや医療費の削減は一定程度できる。こうした改革は、単発の事業仕分けだけではどうにもならない。仕組みそのものを変えることが必要だ。
まずはそうした歳出改革をしっかりやるべきではないか。逆進性などの問題は別として、社会保障費の負担を広く浅く課すために間接税が一番よいことは、我々も理解している。しかし、努力をせずに国民ばかりに負担を求めるのは、順番が違う。経済学者でも一般市民でも、誰だって不思議に思うだろう。
――新党きづなが消費税増税と共に反対しているのが、TPPへの参加だ。これについては、どんな課題を感じているか。
与党内にも、TPPのメリットとデメリットを深く知っている関係者はあまりいない。皆、浅い議論ばかりに終始している。メリットばかりでなく、デメリットも国民にしっかり説明し、国民投票などを通じて合意を形成すべきだ。
実際、TPPは大変な問題だ。自由主義貿易のメリットは確かに大きいが、医療、農業、金融サービスなど26分野にわたる国内産業がグローバル競争に晒されるインパクトの大きさを、きちんと理解しているのだろうか。一度門戸を開いてしまうと、どんなに国内産業が疲弊しても容易に閉じることができないし、非関税障壁だと認定されれば、世銀傘下の認定機関でほぼ間違いなく負けてしまう。
米韓のFTAがまさにそうだ。非関税障壁の名の下に、典型的な不平等が起きている。そういう恐ろしさがきちんと認識されているとは思えない。
そのことは、民主党がTPPと郵政民営化法の見直しを同時に議論していることからもうかがえる。新党きづなは、もともと郵政民営化の見直しには賛成の立場をとってきた。しかし、郵政は三事業(郵便、簡保、郵貯)が一体となっているからこそ存続できるのであり、TPPで郵貯と簡保が解放されて切り離されたら、郵便事業だけではとてもやっていけない。
小泉・竹中改革で滅茶苦茶になった郵政事業をせっかく見直そうとしている一方で、米国の言いなりになってTPPへ参加しようとするなど、支離滅裂ではないか。「安全保障で世話になっているからTPPも断れない」という声も聞くが、これは全く的を射ていない。TPPと日米同盟は分離して考えるべきだ。
■政府がまずやるべきは震災からの復興と内需拡大
――それでは、政府は足もとでどんな策を講じるべきだろうか。また、新党きづなが考えている政策は?
政府がまず考えるべきは、震災からの復興と内需拡大だ。デフレと円高の解消を目指した金融政策を行ない、潤沢なマネーを市場に供給することが急務となる。
「そんなことをしたらインフレになるじゃないか」という声も出そうだが、そもそもがデフレ不況なのだから、緩やかなインフレはむしろ経済を刺激する。また、米国でもFRBがQE1、QE2であれだけ米国債を引き受け、ドルを放出しているのだから、日銀が国債を大量に買い取り、円を放出することも求められて然るべきだ。日銀法が足かせになっているなら、改正を考えればよい。
他にも、米国債を担保に日銀からお金を借りたり、年金積立資金122兆円を一時的に使ったり、IMFに借している10兆円を返してもらったりして復興対策に向けるなど、国内でやれることはいくらでもあるはず。
■利子をつけずに相続税を免除する「無利子非課税国債」を発行せよ
また、我々が震災復興策として提案しているのが、利子を付けない代わりに相続税などを免除する無利子非課税国債を発行して、資金を集めることだ。日本では、高齢者が1400兆円の資産を持っており、その中には多くの家屋や土地などの固定資産が含まれている。彼らの悩みは、固定資産の相続時に多くの相続税を取られることだ。
政府がそうした人たちに国債を買ってもらう代わりに相続税を免除すれば、大きな資金が集まる。相続税が税金に占める割合は6%ほどなので、理論的には100~200兆円のお金を集めることができ、巨額の費用を無利子で復興に充てることができる。財政面から見ても、今の利払いを続けるより非課税にしたほうが明らかに得だし、プライマリーバランスの改善にも貢献するはずだ。
被災地の再生プランも必要だ。被災地では、今土地の価格が8割まで落ち込み、住民が新しい住居を購入できず、移住が進まないという。そうした土地を政府が保障を上乗せして買い取り、有効活用すべきだ。たとえば、買い取った田畑にメガソーラー発電の基地を建設し、他県も含む電力供給の基地にする。既存の福島原発の送電線インフラを使えば、ソーラー発電のコストを下げることもできる。
セシウムが積もっている福島の山林については、草木を伐採して焼却することにより、火力発電の代わりにできる。セシウムを除去する技術はすでに確立されているので、燃やしても安全性に不安はない。その後新たに植林事業を行なえば、日本の林業を再生させることにも一役買うはずだ。
――本来なら、国中を巻き込んでそうした根本的な議論が起きなければいけないはずなのに、なぜ目先の議論ばかりに終始しているのだろうか。
民主党があまりにも拙速にことを進めようとしているため、国民の総意を得るための議論が置き去りにされ、説明不足に陥っている影響が大きい。
本来こうした問題は、一政権与党が決めていいことではない。にもかかわらず、「消費税増税法案が通らなければ解散総選挙だ」などと一方的な話ばかりが出てくる。それに対して、自分たちも増税を唱えていた自民党が、真っ向から民主党に反対しているのも理解に苦しむ。結局、消費税議論を党利党略に使っているだけ。これでは「子ども国会」ではないか。
大切なのは、国民にきちんと説明し、合意を形成することだ。増税を争点にして拙速に総選挙をやっても、民意など反映されるはずがない。国民だって、どうしても増税をしなければいけないタイミングが来れば、反対するばかりではないだろう。皆が納得して結論を出せるように、時間をかけて真摯に議論することが必要だ。
■野田内閣は「危険な車」だった私たちは飛び降りる決意をした
――公約違反が相次ぎ、支持率が低下していく民主党の中で、内山代表は離党するまでの間に、どんなことを考えていたのか。
2009年の政権交代時には、明るい希望に満ちた朝を迎えたような気持ちだった。しかし、ほどなくして鳩山内閣が普天間問題により窮地に陥った。危惧を抱いた私は、「きちんと対応すべきだ」と関係者に随分交渉したが、期待は裏切られた。言葉の軽さが浮き彫りになって、国民の期待が雪崩のように崩れていく印象を持った。
次の菅政権では、思いついたように消費税増税を口にし、完全に支持率を落として参院選で惨敗した。その後私は、総務大臣政務官の辞表を提出し、菅内閣不信任決議で採決を棄権したため、3ヵ月の党員資格停止となった。
そして、野田政権だ。消費増税を不退転でやると言う。車に例えれば、高速道路をトップギアで走っていたのに、いきなりシフトダウンしたようなもの。そんな危険な車には乗っていられないと思い、とうとう私たちは飛び降りる決意をした。
(mokeihikiさんの許可を得て転載してます)
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