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From 首相官邸ホームページ
2015年12月27日ニュース
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政府は24日、TPP(環太平洋経済連携協定)の発効に伴う経済効果の試算を発表し、当初試算の約4倍にあたる14兆円の実質GDP押し上げ効果が見込めるとの見方を示した。だが、この試算は達成時期や期間を全く示していない杜撰なもの。政府はいよいよ、TPP批准に向け露骨なプロパガンダを始めたと判断できる。
記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年12月26日号より※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
さて、政府がTPPの「経済効果」を、いきなり4倍に引き上げました。
おはよう寺ちゃんでも語りましたが、試算効果以上に重要なのは「前提」です。上記の14兆円という試算は、一体、いかなる前提に基づいているのか。
つまりは、「いつ」日本のGDPが14兆円増えるのでしょうか。というわけで、24日に上記記事の試算結果がリリースされたため、ご紹介。
From 首相官邸ホームページ
2015年12月27日ニュース
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とりあえず突っ込んでおくと、日本のGDP拡大に最も好影響を与える日本製の自動車部品に課すアメリカの関税全廃が、協定発効から15年後となります。
というわけで、上記の分析報告が正しいと仮定しても、我が国が「新たな均衡状態」に移行するのは、15年後以降という話になります。
さらに、上記の分析でも、TPPによるGDP拡大効果は「一度だけ」です。無論、「新たな均衡状態に移行」するためには、長期の時間を必要とするのですが、それでも増加するGDPは「14兆円弱」のみとなります。何を言いたいかといえば、TPPは、
「1年目14兆円、2年目14兆円+14兆円、3年目14兆円+14兆円+14兆円」
という形で、経済効果が積み上げられていくわけではないのです。
そもそも、現在の日本はデフレという需要不足に苦しめられています。その状況で、相も変らぬ潜在GDP拡大政策というわけで、政府の政策が「セイの法則」を前提にしていることが分かります。
その上、発表された試算は、「批准から15年後以降のいつか、成長経路が新たな均衡状態に移行したとき、一度だけ、GDPを14兆円押し上げるよ」というものなのでございます。
しかも、セイの法則を前提にしているため、そもそも現在の日本に適していないシミュレーションモデルとなっています。何しろ、「潜在GDPを拡大すれば、絶対にGDPが増えるはずだ!」と、過去何度も裏切られてきたモデルが前提なのです。
いずれにせよ、以前とは異なり、「新たな均衡状態」に移行する時期を明記していない分析報告書を受け、政府がTPP批准に向け露骨なプロパガンダを始めたと判断したわけでございます。
【関連】マスコミに私怨?安倍首相が報道に求める「公正・中立」の呆れた中身=不破利晴http://d16tvlksr2me57.cloudfront.net/p/money/wp-content/uploads/2015/12/151227tpp01.jpg
出典:TPP協定交渉参加国 | TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉の大筋合意 – 首相官邸ホームページ
上記の分析報告ですが、驚くなかれ、「時期」「期間」を全く示していません。
一応、TPP批准後に、「一定の期間」を経て、「これまでの成長経路」から「新たな成長経路」に移行することは明記していますので、「時間軸」を意識していることになります。とはいえ、TPPによって、「いつ」GDPが増えるのか。
厳密に書くと、「いつ、新たな均衡状態(成長経路)に移行するのか?」は、明記していないのです。
新たな均衡状態とは、要するにTPPにより「潜在GDPの拡大」が終了した時点、という話になります。
つまりは、今回の分析報告は、「TPPを批准すると、生産性向上によって潜在GDPが拡大し、いつか成長経路が新たな均衡状態に移行し、GDPが14兆円弱増えるでしょう」という報告書になっているのです。
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安倍政権のトンデモ試算~露骨な「TPPプロパガンダ」が始まった=三橋貴明
2015年12月27日ニュース
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政府は24日、TPP(環太平洋経済連携協定)の発効に伴う経済効果の試算を発表し、当初試算の約4倍にあたる14兆円の実質GDP押し上げ効果が見込めるとの見方を示した。だが、この試算は達成時期や期間を全く示していない杜撰なもの。政府はいよいよ、TPP批准に向け露骨なプロパガンダを始めたと判断できる。
記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年12月26日号より※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
安倍政権による露骨な「TPPプロパガンダ」が始まった
なぜ?TPPの「経済効果」がいきなり4倍に
さて、政府がTPPの「経済効果」を、いきなり4倍に引き上げました。
政府が取りまとめた環太平洋経済連携協定(TPP)の発効に伴う経済効果の試算結果が22日分かった。輸出増加や企業の国境をまたいだ投資拡大で成長が加速し、国内総生産(GDP)を実質で14兆円弱(3%弱)押し上げる効果を見込む。24日に開くTPP対策本部で公表する。
政府がTPP交渉参加前の2013年3月に示した試算ではGDPの押し上げ効果を3.2兆円と見込んでいた。
出典:TPP経済効果14兆円 政府試算、当初の4倍に – 日本経済新聞
おはよう寺ちゃんでも語りましたが、試算効果以上に重要なのは「前提」です。上記の14兆円という試算は、一体、いかなる前提に基づいているのか。
つまりは、「いつ」日本のGDPが14兆円増えるのでしょうか。というわけで、24日に上記記事の試算結果がリリースされたため、ご紹介。
From 首相官邸ホームページ
安倍政権のトンデモ試算~露骨な「TPPプロパガンダ」が始まった=三橋貴明
2015年12月27日ニュース
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成長路線への移行は早くとも15年後
とりあえず突っ込んでおくと、日本のGDP拡大に最も好影響を与える日本製の自動車部品に課すアメリカの関税全廃が、協定発効から15年後となります。
というわけで、上記の分析報告が正しいと仮定しても、我が国が「新たな均衡状態」に移行するのは、15年後以降という話になります。
さらに、上記の分析でも、TPPによるGDP拡大効果は「一度だけ」です。無論、「新たな均衡状態に移行」するためには、長期の時間を必要とするのですが、それでも増加するGDPは「14兆円弱」のみとなります。何を言いたいかといえば、TPPは、
「1年目14兆円、2年目14兆円+14兆円、3年目14兆円+14兆円+14兆円」
という形で、経済効果が積み上げられていくわけではないのです。
そもそも、現在の日本はデフレという需要不足に苦しめられています。その状況で、相も変らぬ潜在GDP拡大政策というわけで、政府の政策が「セイの法則」を前提にしていることが分かります。
その上、発表された試算は、「批准から15年後以降のいつか、成長経路が新たな均衡状態に移行したとき、一度だけ、GDPを14兆円押し上げるよ」というものなのでございます。
しかも、セイの法則を前提にしているため、そもそも現在の日本に適していないシミュレーションモデルとなっています。何しろ、「潜在GDPを拡大すれば、絶対にGDPが増えるはずだ!」と、過去何度も裏切られてきたモデルが前提なのです。
始まった露骨なプロパガンダ
いずれにせよ、以前とは異なり、「新たな均衡状態」に移行する時期を明記していない分析報告書を受け、政府がTPP批准に向け露骨なプロパガンダを始めたと判断したわけでございます。
【関連】マスコミに私怨?安倍首相が報道に求める「公正・中立」の呆れた中身=不破利晴http://d16tvlksr2me57.cloudfront.net/p/money/wp-content/uploads/2015/12/151227tpp01.jpg
出典:TPP協定交渉参加国 | TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉の大筋合意 – 首相官邸ホームページ
時期と期間を示さない杜撰すぎる試算
上記の分析報告ですが、驚くなかれ、「時期」「期間」を全く示していません。
一応、TPP批准後に、「一定の期間」を経て、「これまでの成長経路」から「新たな成長経路」に移行することは明記していますので、「時間軸」を意識していることになります。とはいえ、TPPによって、「いつ」GDPが増えるのか。
厳密に書くと、「いつ、新たな均衡状態(成長経路)に移行するのか?」は、明記していないのです。
新たな均衡状態とは、要するにTPPにより「潜在GDPの拡大」が終了した時点、という話になります。
つまりは、今回の分析報告は、「TPPを批准すると、生産性向上によって潜在GDPが拡大し、いつか成長経路が新たな均衡状態に移行し、GDPが14兆円弱増えるでしょう」という報告書になっているのです。
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