アベノリスクとは日本政治が劣化して「数の力」による暴走が広がることであ
る。
原発・憲法・TPP・消費税・沖縄
などの重大問題が、国会における「数の力」だけを頼りに、独裁的に決定され
ている。
議会制民主主義の危機である。
NHKのあり方を定めているのは放送法である。
放送法自体に重大な問題があり、放送法を改定してNHKの民主化を実現しな
ければならない。
日本の民主主義が劣化している大きな理由のひとつに、メディアの劣化、メ
ディアの偏向がある。
主権者である国民に、多様な情報、意見、主張が適正に提供されていない。
メディアが多種多様な情報、主張、見解を提供すれば、主権者である国民の判
断も多種多様になるだろう。
ところが、マス・メディアが偏向した情報だけを提供すれば、当然のことなが
ら、主権者の判断、主張も偏ってしまうことになる。
第二次大戦時の国民世論の動向を見れば、このことは明確だ。
大本営情報が情報空間を支配して、国民全体が洗脳状態に陥っていた。
メディアが流布する情報の、本当とウソを見分ける能力。これをメディア・リ
テラシーと呼ぶが、市民がメディア・リテラシーを高めることは必要である。
しかし、メディア・リテラシーは、メディア自身が本来の役割を発揮して多種
多様な情報を提供する状況が実現して、初めて涵養されるものでもある。
日本ではマス・メディアがごく少数の権力に迎合する大資本に握られているた
めに、多種多様な情報を提供していない。
このために、市民のメディア・リテラシーが育ちにくい状況になってしまって
いる。
このなかで、公共放送であるNHKの役割は、本来、大きくなければならな
い。
放送法は放送の不偏不党、公正、中立を定めているが、NHKの運用がこの放
送法に反しているために、NHKが歪んでしまっている。
端的に言えば、
「みなさまのNHK」
であるべき存在が、
「あべさまのNHK」
になってしまっているのだ。
NHKの最高意思決定機関はNHK経営委員会である。
経営委員会がNHK会長を選任し、実質的にNHKの業務執行責任者であるN
HK役員の人事権を握っている。
NHKが適正に運営されるには、まずは、NHK経営委員人事が適正に行われ
ることが必要不可欠である。
そのために放送法第31条が定められている。
(委員の任命)
第31条 委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と
知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各
分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならない。
ところが、安倍晋三氏が実行したNHK経営委員人事は、この規定に反してい
る。
その上で、NHK会長としての適格性に欠く籾井勝人氏をNHK会長に起用し
た。
このために「みなさまのNHK」であるべきところが「あべさまのNHK」に
変質してしまっている。
NHKが公表しているデータに、NHK放送受信料の?都道府県別推計世帯支
払率(平成24年度末)というものがある。
http://goo.gl/rRfQP9
非常に興味深いデータである。
最低値は沖縄の44.3%。第2位は大阪の58.0%。
関西圏は数値の低い府県が多い。
京都 68.2% 兵庫 68.5% 奈良 73.8% 滋賀 74.4%
などとなっている。
そのほか、東京 61.6% 北海道 64.5% で、全国平均は73.4
%である。
最高値は秋田県の95.7%である。
大阪では4割以上の世帯が不払いである。
沖縄では不払いが55%を超えている。
本来、NHK受信料の強制徴収は不当である。憲法が保障する財産権を侵害す
るものである。
NHK経営委員に起用された長谷川千代子氏も放送内容への不満から受信料不
払いを実行していたことを公言しているから、偏向したNHKの放送を不服と
する国民は、不払い運動を全国規模に広げてゆくべきであろう。
このことを正当化する新たな事態が生じた。
NHK予算が野党6党の反対を押し切って強行承認されたのである。
賛成に回ったのは自民・公明とみんなの党である。
8億円政治資金疑惑で追及されることが必至の渡辺喜美氏が代表を務めるみん
なの党がNHK予算案に賛成したことが注目される。
大多数の国民は、このようなNHKに対して受信料を支払う必要はないと強く
感じていることと思う。
アベノリスクの本質は、このNHK問題にもくっきりと表れている。
野党の6党が反対したNHK予算案。
反対の理由は正当なものだ。
NHK人事が完全に歪められている。
NHK経営委員に起用された百田尚樹氏や長谷川千代子氏。
およそ、
「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する
者」
とかけ離れた存在である。
会長就任に際してすべての理事から強制的に辞表を提出させ、人事権を振りか
ざしてNHK理事会を支配しようとする籾井勝人NHK会長。
籾井勝人氏は従軍慰安婦制をどこにでもあったことだと発言し、さらにオラン
ダにはいまも飾り窓があると指摘した。
戦後の国際軍事裁判で、日本軍占領中のインドネシアでの日本軍人によるオラ
ンダ人女性に対する監禁・強姦事件の存在すら知らずに発言したのであろう。
この裁判ではオランダ人女性を慰安所に強制連行し強制売春させ強姦した容疑
で当該軍人・軍属に対して有罪が宣告されている。
さらに、籾井氏は
「政府が右というときに左とは言えない」
とも発言した。
安倍政権は籾井勝人氏を直ちに更迭するべきである。
国会において野党6党が反対するNHK予算案が強行承認された。
「数の横暴」でしかないが、メディアはこの重大ニュースをほとんど伝えな
い。
これが独裁政治の恐ろしさなのである。
NHK予算は全会一致での承認が原則なのである。
国会で多数の議席を有していれば、何をしても構わないというのは、議会制民
主主義に対する冒涜である。
みんなの党の渡辺喜美氏は選挙の直前に8億円の資金を借り入れた。
借入れを依頼するメールでは、選挙のために資金が必要であるとの主旨の内容
が記載されている。
この資金の存在を隠蔽していたことは重大問題である。
同じ事案が、もし、小沢一郎氏の事案であったなら、NHKはどのような対応
を示しているか。
小沢一郎氏は受領もしていない水谷建設からの5000万円の資金について、
重大犯罪が確実に存在したかのような巨大報道を延々と展開された。
NHKは小沢氏や小沢氏の秘書に関する事案で、どのような報道姿勢を示した
のか。
NHKは政治以外の分野では、一部で良質な番組を制作している。
だから、NHKのすべてを否定するつもりはないが、国民から受信料を強制的
に徴収してまで制作する必要のない分野の放送が多すぎる。
NHKは必要最小限の業務だけを行い、埋まらない時間枠には、過去に放送し
た番組のなかで、再放送のニーズの高い番組を再放送すればよい。
政治放送は完全に偏向しているから、抜本的な改変が必要である。
このようなNHKを野放しにすることは、国民的な損失である。
放送法を改定して、NHK受信料契約を任意制に移行するべきだ。
受信契約をせずに視聴することを防ぐには、NHK放送をスクランブル化すれ
ばよい。
そして、NHKの人事権などの意思決定権を受信契約者に付与するべきだ。
NHKの運営が放送受信者の資金によって行われるなら、その放送受信者がN
HKに対する支配権を持つべきなのだ。
NHKの運営費用を市民に押し付けて、NHK支配権を内閣総理大臣が握るの
は不当である。
しかも、放送法第31条が定めるNHK経営委員の条件を無視して、内閣総理
大臣が著しく偏った「おともだち人事」を強行している。
NHK私物化の行為である。
日本の市民は、放送受信料支払いの都道府県別比率の表をじっくりと観察する
べきだ。
日本で唯一、メディア・リテラシーが高い地域がある。
それが沖縄県だ。
沖縄県には、琉球新報と沖縄タイムズという、二つの地方紙がある。
日本のなかで、社会の木鐸としての役割を果たしている稀有な存在が、琉球新
報などの報道機関である。
沖縄では、権力迎合でない、骨のあるメディアが存在し、多種多様な情報を市
民に提供している。
その結果として、メディアの情報を鵜呑みにはしない、あらゆる情報を、吟味
して検討するという市民のメディア・リテラシーが育つのである。
この沖縄でNHK放送受信料の支払い率が日本最低値を示していることは、特
記に値する。
他の都道府県の市民も、メディア・リテラシーを育て、沖縄の実績に負けぬ数
値を記録できるように努力するべきだろう。
NHK放送受信料不払いに対する不当な弾圧を跳ね返してゆくうえで、都道府
県別の支払い率データは、非常に有益なものである。
この数値に鼓舞されて、日本のメディア空間を浄化するために、受信料不払い
運動に立ち上がる市民が激増することが期待される。
※有料メルマガ版第829号植草一秀の『知られざる真実』2014年4🈷2日より「転載」
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る。
原発・憲法・TPP・消費税・沖縄
などの重大問題が、国会における「数の力」だけを頼りに、独裁的に決定され
ている。
議会制民主主義の危機である。
NHKのあり方を定めているのは放送法である。
放送法自体に重大な問題があり、放送法を改定してNHKの民主化を実現しな
ければならない。
日本の民主主義が劣化している大きな理由のひとつに、メディアの劣化、メ
ディアの偏向がある。
主権者である国民に、多様な情報、意見、主張が適正に提供されていない。
メディアが多種多様な情報、主張、見解を提供すれば、主権者である国民の判
断も多種多様になるだろう。
ところが、マス・メディアが偏向した情報だけを提供すれば、当然のことなが
ら、主権者の判断、主張も偏ってしまうことになる。
第二次大戦時の国民世論の動向を見れば、このことは明確だ。
大本営情報が情報空間を支配して、国民全体が洗脳状態に陥っていた。
メディアが流布する情報の、本当とウソを見分ける能力。これをメディア・リ
テラシーと呼ぶが、市民がメディア・リテラシーを高めることは必要である。
しかし、メディア・リテラシーは、メディア自身が本来の役割を発揮して多種
多様な情報を提供する状況が実現して、初めて涵養されるものでもある。
日本ではマス・メディアがごく少数の権力に迎合する大資本に握られているた
めに、多種多様な情報を提供していない。
このために、市民のメディア・リテラシーが育ちにくい状況になってしまって
いる。
このなかで、公共放送であるNHKの役割は、本来、大きくなければならな
い。
放送法は放送の不偏不党、公正、中立を定めているが、NHKの運用がこの放
送法に反しているために、NHKが歪んでしまっている。
端的に言えば、
「みなさまのNHK」
であるべき存在が、
「あべさまのNHK」
になってしまっているのだ。
NHKの最高意思決定機関はNHK経営委員会である。
経営委員会がNHK会長を選任し、実質的にNHKの業務執行責任者であるN
HK役員の人事権を握っている。
NHKが適正に運営されるには、まずは、NHK経営委員人事が適正に行われ
ることが必要不可欠である。
そのために放送法第31条が定められている。
(委員の任命)
第31条 委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と
知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各
分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならない。
ところが、安倍晋三氏が実行したNHK経営委員人事は、この規定に反してい
る。
その上で、NHK会長としての適格性に欠く籾井勝人氏をNHK会長に起用し
た。
このために「みなさまのNHK」であるべきところが「あべさまのNHK」に
変質してしまっている。
NHKが公表しているデータに、NHK放送受信料の?都道府県別推計世帯支
払率(平成24年度末)というものがある。
http://goo.gl/rRfQP9
非常に興味深いデータである。
最低値は沖縄の44.3%。第2位は大阪の58.0%。
関西圏は数値の低い府県が多い。
京都 68.2% 兵庫 68.5% 奈良 73.8% 滋賀 74.4%
などとなっている。
そのほか、東京 61.6% 北海道 64.5% で、全国平均は73.4
%である。
最高値は秋田県の95.7%である。
大阪では4割以上の世帯が不払いである。
沖縄では不払いが55%を超えている。
本来、NHK受信料の強制徴収は不当である。憲法が保障する財産権を侵害す
るものである。
NHK経営委員に起用された長谷川千代子氏も放送内容への不満から受信料不
払いを実行していたことを公言しているから、偏向したNHKの放送を不服と
する国民は、不払い運動を全国規模に広げてゆくべきであろう。
このことを正当化する新たな事態が生じた。
NHK予算が野党6党の反対を押し切って強行承認されたのである。
賛成に回ったのは自民・公明とみんなの党である。
8億円政治資金疑惑で追及されることが必至の渡辺喜美氏が代表を務めるみん
なの党がNHK予算案に賛成したことが注目される。
大多数の国民は、このようなNHKに対して受信料を支払う必要はないと強く
感じていることと思う。
アベノリスクの本質は、このNHK問題にもくっきりと表れている。
野党の6党が反対したNHK予算案。
反対の理由は正当なものだ。
NHK人事が完全に歪められている。
NHK経営委員に起用された百田尚樹氏や長谷川千代子氏。
およそ、
「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する
者」
とかけ離れた存在である。
会長就任に際してすべての理事から強制的に辞表を提出させ、人事権を振りか
ざしてNHK理事会を支配しようとする籾井勝人NHK会長。
籾井勝人氏は従軍慰安婦制をどこにでもあったことだと発言し、さらにオラン
ダにはいまも飾り窓があると指摘した。
戦後の国際軍事裁判で、日本軍占領中のインドネシアでの日本軍人によるオラ
ンダ人女性に対する監禁・強姦事件の存在すら知らずに発言したのであろう。
この裁判ではオランダ人女性を慰安所に強制連行し強制売春させ強姦した容疑
で当該軍人・軍属に対して有罪が宣告されている。
さらに、籾井氏は
「政府が右というときに左とは言えない」
とも発言した。
安倍政権は籾井勝人氏を直ちに更迭するべきである。
国会において野党6党が反対するNHK予算案が強行承認された。
「数の横暴」でしかないが、メディアはこの重大ニュースをほとんど伝えな
い。
これが独裁政治の恐ろしさなのである。
NHK予算は全会一致での承認が原則なのである。
国会で多数の議席を有していれば、何をしても構わないというのは、議会制民
主主義に対する冒涜である。
みんなの党の渡辺喜美氏は選挙の直前に8億円の資金を借り入れた。
借入れを依頼するメールでは、選挙のために資金が必要であるとの主旨の内容
が記載されている。
この資金の存在を隠蔽していたことは重大問題である。
同じ事案が、もし、小沢一郎氏の事案であったなら、NHKはどのような対応
を示しているか。
小沢一郎氏は受領もしていない水谷建設からの5000万円の資金について、
重大犯罪が確実に存在したかのような巨大報道を延々と展開された。
NHKは小沢氏や小沢氏の秘書に関する事案で、どのような報道姿勢を示した
のか。
NHKは政治以外の分野では、一部で良質な番組を制作している。
だから、NHKのすべてを否定するつもりはないが、国民から受信料を強制的
に徴収してまで制作する必要のない分野の放送が多すぎる。
NHKは必要最小限の業務だけを行い、埋まらない時間枠には、過去に放送し
た番組のなかで、再放送のニーズの高い番組を再放送すればよい。
政治放送は完全に偏向しているから、抜本的な改変が必要である。
このようなNHKを野放しにすることは、国民的な損失である。
放送法を改定して、NHK受信料契約を任意制に移行するべきだ。
受信契約をせずに視聴することを防ぐには、NHK放送をスクランブル化すれ
ばよい。
そして、NHKの人事権などの意思決定権を受信契約者に付与するべきだ。
NHKの運営が放送受信者の資金によって行われるなら、その放送受信者がN
HKに対する支配権を持つべきなのだ。
NHKの運営費用を市民に押し付けて、NHK支配権を内閣総理大臣が握るの
は不当である。
しかも、放送法第31条が定めるNHK経営委員の条件を無視して、内閣総理
大臣が著しく偏った「おともだち人事」を強行している。
NHK私物化の行為である。
日本の市民は、放送受信料支払いの都道府県別比率の表をじっくりと観察する
べきだ。
日本で唯一、メディア・リテラシーが高い地域がある。
それが沖縄県だ。
沖縄県には、琉球新報と沖縄タイムズという、二つの地方紙がある。
日本のなかで、社会の木鐸としての役割を果たしている稀有な存在が、琉球新
報などの報道機関である。
沖縄では、権力迎合でない、骨のあるメディアが存在し、多種多様な情報を市
民に提供している。
その結果として、メディアの情報を鵜呑みにはしない、あらゆる情報を、吟味
して検討するという市民のメディア・リテラシーが育つのである。
この沖縄でNHK放送受信料の支払い率が日本最低値を示していることは、特
記に値する。
他の都道府県の市民も、メディア・リテラシーを育て、沖縄の実績に負けぬ数
値を記録できるように努力するべきだろう。
NHK放送受信料不払いに対する不当な弾圧を跳ね返してゆくうえで、都道府
県別の支払い率データは、非常に有益なものである。
この数値に鼓舞されて、日本のメディア空間を浄化するために、受信料不払い
運動に立ち上がる市民が激増することが期待される。
※有料メルマガ版第829号植草一秀の『知られざる真実』2014年4🈷2日より「転載」
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