【客觀と主觀と】
「自分は客觀的だ」と宣言出來て了ふその態度こそ、頗る附きのエゴであり、そのエゴには何ら生産性が認められないものも珍しい。
福田恆存さんは、エゴにも生産的なエゴと云ふものがあり、生産的なエゴは自己の向上に寄與すると説かれてゐます。
自分は客觀的だ、自分は事實に基づいて言動してゐる、延いては自分は正しいと云ふ風に、みづからを疑ふ事がない人と云ふのは、いづれ、多くのばあひ、爭ひを招來します。
神ならぬ身である私達は、みづからの主觀から脱する事は出來ないと自覺し、覺悟したはうが、みづからにとつても、他者に對しても、精神的に安定するものと思はれます。
そして、上記した自覺や覺悟を有する事こそが、生産的なエゴを有する事に繋がるのではないかと私は思ひます。