わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

なぜ相続登記は義務化されるのですか?

2022-02-08 00:00:00 | 司法書士
不動産は登記されていますが、その名義人の方が亡くなった場合、相続登記をすることによって
名義変更が行われます。

この相続登記(名義変更の登記)は、これまで法律上はやってもやらなくても所有者(相続人など)の自由でした。

例えば代々長男が受け継いできたような土地・家屋は、売却などをすることもないので
わざわざ相続登記を行って登記名義を変えなくても、親族一同も長男が相続したと考えており
それでなんの問題も生じることはありません。
そのため相続登記を行っていないことも多いと思われます。

また、現在は活用されていない山林などを相続した場合、相続人がすでに都会住まいなどで、
わざわざ費用をかけてまで相続登記をするメリットもないため、名義が先代のままになっている
というようなこともあるようです。

不動産の名義の登記は、「その所有者が行いたければ行ってください」というのが法律の建前です。
そのため、冒頭のように相続登記もこれまではやるもやらないも自由でした。

ところが、近年相続登記を行わずにだれの不動産なのかわからない=所有者不明の土地が増えてきてしまいました。
その合計は平成28年度の調査で九州を上回る面積になってしまっているそうです。

そして、このような所有者不明の土地によって、公共事業が進まなくなってしまうという問題が東日本大震災の復興事業などで
顕在化したと言われています。
復興作業をするためには、所有者の了解を得ながら行う必要がありますが、登記簿の所有者は場合によっては
明治・大正時代の名義人であったりしてなかなか相続人にアクセスすることが困難であったと言われています。

このように、公共事業をスムーズに進めたり、そもそも不動産が放置されて景観や治安などが悪化しないように
登記簿を確認すればきちんと所有者が分かるようにするために、法律が改正され、相続登記が義務化されました。

相続登記の義務化の実施は令和6年4月1日です。
ただし、義務化の対象は、義務化以前の相続も対象になっています。
つまり、令和6年4月1日以前の相続も対象です。
例えば、昭和や平成時代に生じた相続で、相続登記を行っていなければ、その不動産も対象となります。
そのため、そのようなすでに生じている相続については、義務化前であってもお手続き行うことをお勧めします。

この記事についてブログを書く
« 住宅ローン完済と抵当権抹消 | トップ | 成年後見制度とはどのような... »

司法書士」カテゴリの最新記事