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「幸せなひとりぼっち」

2017-03-13 | 映画ねた 「さ」行
 年末のテレビ番組で紹介され主人公のじじいのいい感じの低音の声とあらすじに興味を持ったものの、近隣で2月にようやく上映された「幸せなひとりぼっち」(EN MAN SOM HETER OVE/A MAN CALLED OVE)

 集合住宅に住む偏屈者のじじい・オーヴェさんは、妻・ソーニャさんに先立たれ職場のリストラに遭い、もうこの世に未練はない。
 そんな時パルヴァネ一家が隣に越してきて、オーヴェの生活と秘めた計画をことごとく引っ掻き回わす。
 オーヴェの人生を軸に、彼をとりまく個性的で様々な人達との交流を描いた作品。

 オーヴェ59歳という設定に絶句w

 ストーリー展開が児童文学の「おじいちゃんは荷車にのって」に似ています。
 人生に絶望した老人と、彼の本心など露も知らず頼る人達の物語って割とありがちなのかな?
 時折入るオーヴェの若き日の回想が、物語のアクセントとなってます。
 手先は器用なのに生き方が不器用なオーヴェと逆境に遭っても笑顔を絶やさず前向きで知的なソーニャの、互いを補い合っているかのように生きる夫婦の姿は美しく、経験値の高い彼等を頼り信頼する、迷える人達も愛らしくみせてました。
 
 邦題が残念ですが、ラストシーンの演出が粋でした。
 

「シン・ゴジラ」

2016-11-03 | 映画ねた 「さ」行
 なかなか観る機会がないまま秋になり、友人の感想も聞いたこともあり腰を上げることにしたものの、昼間の上映館が近郊では一か所しかなかったので青い電車に乗って観てきた「シン・ゴジラ」
 ちなみにゴジラ映画過去作は数作鑑賞、監督代表作の「エヴァンゲリオン」は鑑賞歴ゼロで主要登場人物の顔と名前が分かる程度のうっすい知識。
 鑑賞前の「シン・ゴジラ」については【会議が多い】【電車がすごい】という雑な意見しか頭に入っていません。

 東京湾の海底トンネル崩落事故が発生。
 首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官の矢口が、原因は海中の生物では?という指摘する。
 間もなく、海上に巨大不明生物が出現する事態に。

 会議ばっかり。電車ものすんごい。
 政治家や官僚視点の怪獣映画というのは新鮮でしたが、物語中盤の出来事はショッキング。
 想定外の出来事に対しての決断を迫られたトップの苦渋の言葉は重く響き、個性派揃いの巨災対メンバーをはじめとした各自が自分達の務めを果たそうとする姿に心を打たれます。

 過去作ではゴジラにボコボコにされていた、あんなものやこんなもの達が……と。
 前述友人も言っていたけど、物語の舞台が土地勘や縁のある地域だと面白さが増量。
 
 鳴り物入りで建てられたランドマークはゴジラやガメラ等のメジャー怪獣に暴れられて一人前という持論なので、近年下町に建てられたあの建物はまだまだその器ではない、ということ?
 そして帰宅時に青い電車に乗るのにこんなにワクワクするとはw

「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」

2016-09-27 | 映画ねた 「さ」行
 「THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK ‐ THE TOURING YEARS」、奇しくも数年前にジョージ・ハリスンのドキュメンタリーを観た映画館で観てきました。
 観客は若者も若干いるけどほとんど中高年ばかり。一週間に十日来い!とことんとことん♪

 1960年代初頭に世に出たザ・ビートルズが円熟期にライブ活動を停止するまでの数年間を、当時の写真や映像と、ビートルズ本人達をはじめスタッフや当時ファンだった著名人の証言を織り交ぜたドキュメンタリー。

 いづれブーム去ってお前ら消えるぜ…と言いたげな皮肉もこめた質問を記者たちから向けられ、それを受けて冗談を交え返す生意気な若造四人の攻防。
 なにより当時のファン達の逸脱した熱狂が理解できないわけじゃないけど恐ろしい。先日のお台場ラプラス捕獲騒動どころじゃない。
 大勢のサッカーファンの男だらけの「SHE LOVES YOU」大合唱のド迫力は良かったけど。
 日本パートの某氏の証言は例えがぼんやりしすぎて、ちょっと何言ってるかわからない……(←同行の旦那も同じ感想)

 過密スケジュールで私的な時間などないうえに、活動を重ねるごとに厳しくなる彼ら+ファンの安全の為の過剰警備と、正直歌や演奏など聴いていないのではと思わせるファンの行動、さらに本人達のキャリアや加齢等によるキャラクターの変化で、苦悩の中やがてビートルズはライブ活動休止という選択をする。
 本編エンドロールに流れた表題曲「EIGHT DAYS A WEEK」の、明るさの中に切なさを感じました。

 野球場ライブのリンゴのエピソードを聞いたうえで上映館限定のおまけムービーを観ると、クレイジーでパニック状態な中での汗だくプレイのジョン&ポールのツートップと、ジョージの横顔の美しさと(私の贔屓目ですw)、リンゴの屋台骨っぷりに改めて圧巻です。
 若くてイキのいい四人がとにかく格好いい。
 よくもまああの中で「HELP!」の冒頭をバッチリ歌えたものだと。
 そしてパンフレット掲載の、この作品の監督を交え現在のポール&リンゴのスリーショットは嬉しい限り。

「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」

2016-08-10 | 映画ねた 「さ」行
 春に帝都の一部映画館で上映され気になっていた「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」(DE SURPRISE/THE SURPRISE )
 先月さいたまでの上映があり観てきました。

 母親を看取り人生に絶望中の大富豪の中年・ヤーコブさんは、偶然知った謎の旅行代理店の【サプライズコース】に申し込むが、同じコースを選んだアンネさんと出会ったことで、彼の毎日が変化してゆく物語。

 互いの存在が刺激となって心が近づく様を描いており、ヤーコブ&アンネは美男美女でも若くもないけどなんだかかわいいと思わせる不思議なカップル。
 ラストのクレジットタイトルのバックに流れる二人のシーンは観ていて和みます。
 長年に渡りヤーコブの執事を務める老人・ムラーの生き様に心を打たれました。
 弁護士と不動産の決着エピソードが、今ひとつ分かり難いのが残念なところ。

 城のような豪邸や高級車に対し、主要人物達の服装が華美でなくシンプル(でも良い仕立て)でおしゃれ。
 死を題材にしたヨーロッパのブラックコメディなので、お国柄や生死観の違いなどで好き嫌いが割れそうですが、複数の人種の登場人物群にラブコメ要素もあり、おとぎ話っぽい印象も受けました。

「ジャージー・ボーイズ」

2014-11-06 | 映画ねた 「さ」行
 エンターテイメント界を舞台に、男性4人の音楽グループの栄光と犠牲、分岐と交差、そして義理人情を描いた軌跡「ジャージー・ボーイズ」(JERSEY BOYS)

 ちなみに自分は、題材の【フォー・シーズンズ】の名前も存在も知らなかった門外漢。
 だけど、登場する楽曲のいくつかは今も歌い継がれ馴染みがあるものに加え

 エースでアイドル
 真面目な頭脳派
 目立たない凡人
 手練れのワル

 と、【フォー・シーズンズ】のメンバー4人がキャラ立ちしていて、彼等が歌い演奏する姿が好印象だったのですんなりと物語の世界に引きずり込まれました。
 4人が初めて音を合わせるシーンの化学反応は鳥肌モノ。
 おかげで【フォー・シーズンズ】という名よりも【ジャージーボーイズ】という名前、顔も実在の人物よりも映画で演じた役者さん達で認識してしまっている俺ガイルw

 ボーリング場で流れたBGMに吹きwその経緯に驚くところ。
The Royal Teens - Short Shorts


 王道の話だけど、クライマックス~ラストシーン~フィナーレと続く怒涛の魅せ方が特に素晴しかったです。
 フィナーレは何度見ても幸せな気分になれます。
 ボスがトミーのネクタイを直したり、フランキーの嫁さんが笑顔で登場するあたりがすきだすきだすきだー


映画『ジャージー・ボーイズ』フィナーレ映像

「最強のふたり」

2012-09-17 | 映画ねた 「さ」行
 口コミ等でも評判の良い「最強のふたり」(Intouchables)を先日観ました。
 場内はこちらも、夫婦50割やシルバーパス利用者ばかりの大入り振り。

 富豪で身障者の老人男性・フィリップと、介護者として採用されたスラム街に住む健常者の無職黒人青年・ドリスの、境遇も世代も違う者達の友情……というか おバカな悪ガキ男子ふたりのドタバタ記 っすよ、コレ。

 下ネタありのブラックジョークや眉をひそめたくなる行動が出てきますが、下品さを感じなかったのは出演者達が持つ気品と彼等をひきたてる背景や音楽等のセンスの良さと演出のおかげなのでしょう。
 時折オロゴンさんばりの天然ボケをかますドリスはフィリップを【ひとりの男性】として向き合い、愛らしいったらありゃしない。
 そんなドリスと向き合うフィリップも、大人の余裕で彼を受け止めている。
 主人公ふたりを見守る使用人の熟女・イヴォンヌさんが粋でこれまた素敵っ。

 ドッカンドッカンな大爆笑はないけど、時折クスクスと笑い声が起こってました。
 誕生日会のクラッシックメドレーとダンスシーンは微笑ましかったです。
 そしてご多分に漏れず、アース・ウィンド・アンド・ファイアーが聴きたくなります。
 (この作品に限らず冒頭で懐メロ流して観客の心をつかもうとする演出は流行なのか?)


 伏線を回収する作品に対して自分は評価高くする傾向なのだな…と、つくづく感じました。

「ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」

2011-11-29 | 映画ねた 「さ」行
 ビートルズだったらルックス含めてのハリスン贔屓だけど人間性やソロ活動以降についてはほとんど無知ですっとこどっこいの自分が、10分間の休憩入れて四時間近くの長丁場映画をがんがって先週末に観てきたぜ little darling♪「ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」
 映画館の近所がかつてレノン・ミュージアムがあった地で、本編上映前にガールズバンド映画予告篇で「ろけんろーる!」と横断歩道シーンが出た等不思議なお膳立てがあったのも何かの縁w

 ジョージの軌跡を、エピソードや関わった人達及び生前の本人の証言と過去映像と音楽にのせて綴るドキュメンタリー。
 インタビューを受けた方々も実兄二人から始まり、元戦友二人・他界した元戦友の嫁・元嫁・師匠・好敵手・仕事仲間・現嫁・子息……と役者揃い。
 世間では充分語りつくされている事柄が多いかと思いますが、その中でも結束力が強かったバンドも年月が経つにつれ主導権を握る他メンバー達との格差と不満を抱く中でインドの文化・精神に傾倒、それに比例してゆくかのように(元)嫁との心が離れてゆく様はなんだか生々しい。
 そして現嫁が【夫婦円満の秘訣】を語るシーンと、晩年のお見舞いエピソードは印象強く胸がしめつけられました。
 優しさと激しさの二面性を持ち、繊細な美少年が年を重ねて渋い頑固じじい(でも色男)な風貌になっても多岐にわたる人々に愛されていた生涯だったのでしょう。


 他界から10年になるのですね。
 今日は「Here comes the sun」聴いて和みます。

「素晴らしき日曜日」(若干ねたばれ)

2006-11-10 | 映画ねた 「さ」行
 先日、黒澤明監督「素晴らしき日曜日」をレンタルして観た。
 川本三郎:著「続・映画の昭和雑貨店」でいくつかエピが紹介されていて、なんとなく興味を持ったので。

 美人じゃないけどプラス思考で明るく振舞う女性&敗戦で負け犬根性が染み付いてしまった男性の、若いビンボーさんカポーの或る日曜日のランデブーを描いた昭和22年の作品。
 当時の東京の町並みや人々の服装などが見所のひとつ。
 役者さんも子役を含め戦争をくぐりぬけた人ばかりなわけだ。
 現在の終戦記念ドラマ等と比べてクオリティーが違う。当たり前か。
 昔の東京の建物マニアは勿論、動物好きや鉄ヲタ向けのサービスカット有りww

 駄菓子菓子、ヒロインが森三中の村上さんに似ている。
 彼女の服装がトレンチコートなのだけど、トレンチコートが最近女性に流行っているせいもあってか、

平成18年からタイムスリップで昭和22年にやって来た村上さん

にも見えてしまったというのは内緒。
(そういえば「はだしのゲン」の野村澄子も戦後間もない日本でトレンチ着ていたっけ)

 となると相方のヘタレ彼氏も帽子を取ると、下手すりゃ稲垣ゴローちゃんに見えてしまう錯覚も。
 すいません、半分冗談です。稲垣&村上のドラマは観てませんでしたけど。

 そんなビンボーな二人が
「地球のみんな、オラたちに元気を分けてくれー!」
と呼びかけ元気玉をぶっ放す映画ですた。←何か違うよ

 戦後文化に興味があれば観てみんしゃい。
 二人が手を繋いで、上野駅前や有楽町~日比谷を走り抜けるシーンは個人的に大好きです。