その昔、社会科の授業中での先生の雑談「戦後の日本分割占領計画」を聞き子供心にぞっとした記憶がありました。
そんな【なっていたかも】な…ソ連と米英の東西戦勝国に分割統治された1962年の二つの日本のうち、東側領土が舞台の空想活劇「国境のエミーリャ」。
「おもいで停留所」の池田邦彦さんの作品ということで興味を惹かれ、既刊3巻をGWのお楽しみ用としてまとめ買いして読みました。
詳しいあらすじ等は「国境のエミーリャ」公式サイトを。
【なっていたかも】のエミーリャの世界ですが、皮肉にも2019年以前には決して思いも寄らなかった世界である今の状況。
しかも鉄の壁ならぬ見えないコロナのカーテン。
離れて暮らす身内や友人と会えない自分の現状が、壁で分断され家族や友人・恋人等と離れ離れになり会えない物語の登場人物達と重なります。
ところで物語では東京23区も東西に分断されているのですが、東側領土の埼玉県とつながりが強い印象の池袋を擁する豊島区が西側領土なのが個人的に若干の違和感を持ちました(苦笑。
「国境のエミーリャ」は鉄道関連ネタが多いのですが、都内に二校だけの実在鉄道高校のうち一校が東側の十月革命駅(旧・上野駅)そば所在なのでもう一校がある池袋は対する西側陣営へ、鉄道高校も裏設定では重要機関…、と妄想してますw
そして笑顔を忘れたドライなヒロイン・エミーリャが、話を重ねる毎にそのルックスやお転婆ぶりと人情の厚さが【神崎メグ(魔女っ子メグちゃん)】風味なのが良い意味で意外で、とっつき易さの好ポイント。
二つの日本のこれからと様々な登場人物達の過去と未来がどのように描かれ入り混じるのかも含め、7月配給予定の4巻が今から楽しみです。
国境のエミーリャ 作品紹介
4巻第18話によると、満州鉄道の技術者で日本人の杉浦政芳(父)は息子の茂(異母兄)を連れて、満州に住むロシア人女性(母)と結婚。
日本とロシアの血を引くエミーリャ誕生、と手短に紹介してます。
戦時中での日本人と外国人との婚姻については実際どうだったのか、また物語内では杉浦夫婦の馴れ初め等を触れてないのでこれも謎のままです。