ミステリー小説の名作リストを舞台で分けてみたら

 

週に一度は更新、と思っているのだが、 今ちょうどなかなか時間が取れない。

★
まだ寒い季節に書いた、サッチモのＬＰからジャズと芸能を考える、の続き。ニューオリンズ、ルイ・ジョーダン、そしてオーティス・レディングなど、いろいろ膨らませているうちに春が過ぎ、夏になり、になってしまった。

★★
今さらのようにグレン・グールドと出会った件。クラシックについてなんにも知らないままいいオッサンになってしまったのが残念で、かくなるうえはと、６月ごろ、『こどものためのクラシック』という究極の入門編を買ったら、そこにグールドが収録されていた。
そしてまたちょうどよいことに、アルテリオ映像館で生前に作られた記録映画が上映されたりしてマイブームに。

しかし、ＣＤを聴いて思わず、ワッと叫んだのは、オールタイム偏愛ベストに入る素晴らしい映画『スローターハウス５』（72）で流れるピアノ曲とまったく同じものが入っていたから。「ピアノ協奏曲第５番」。グールドの録音を使っていたんだ。前から知らずに出会っていたことに、カンゲキした。

★★★
ミニうんちく。あの究極の終末ＳＦ映画『吸血鬼ゴケミドロ』のゴケミドロは、語感からそれこそドロドロと禍々しいものを連想させるが、実は「ゴルゴタの丘のケミカルなアンドロイド」が、作り手によるネーミングの意味らしい。ほとんどビートニクのセンス。かっこいい。

で、まとまったものが書けない代わりに、蔵出しを。
去年、ある調べものの過程でためしに作ってみた、ミステリ―小説の名作のリストアップ例。
「発表年」や「作家」ではなく、「（主な）舞台となった場所」でカテゴライズし直すと、フランスのボリス・ヴィアンの作品がアメリカ南部のなかに入ってきたりして、また違った面白みが感じられると思う。

例によって、大部分は読んでいないし、かなり不完全だとは思うが、自分用のビギナー・リストを作ってみた、ということで。興味ある方、なにがしかの参考にしてください。




【フランス～パリ～】

エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」
ジョルジュ・シムノン『メグレ警視』シリーズ
ジャン＝パトリック・マンシェット「危険なささやき
イアン・フレミング「００７　カジノ・ロワイヤル」
フレデリック・フォーサイス「ジャッカルの日」
ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」　
　ほか


【フランス～パリ郊外から北西部、南部へ～】

パリ郊外
ガストン・ルルー「黄色い部屋の秘密」
ピエール・ボワロー＆トーマス・ナルスジャック「悪魔のような女」

ノルマンディー／北西部
モーリス・ルブラン「奇岩城（ルパン）」
ギャビン・ライアル「深夜プラス１」
ニコラス・ブレイク「野獣死すべし」

南フランス
パスカル・レネ「三回殺して、さようなら」　ほか


【イタリア、ギリシャ】

ローマ
カルロ・Ｅ・ガッダ「メルラーナ街の恐るべき混乱」

北イタリア
ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」

地中海
パトリシア・ハイスミス「リプリー（太陽がいっぱい）」
ジョゼ・ジョヴァンニ「生き残った者の掟」

アテネ
パトリシア・ハイスミス「殺意の迷宮」

エーゲ海
アリステア・マクリーン「ナバロンの要塞」　
　ほか


【イギリス～ロンドン１～】

コナン・ドイル『シャーロック・ホームズ』シリーズ
Ｆ・Ｗ・クロフツ「樽」
ジョン・ディクソン・カー「三つの棺」
アントニー・バークリー「毒入りチョコレート事件」
カーター・ディクソン「黒死荘殺人事件（プレーグ・コートの殺人）
ハドリー・チェイス「ミス・ブランディッシの蘭」
マイケル・ギルバート「スモールボーン氏は不在」
サラ・ウォーターズ「半身」
Ｐ・Ｄ・ジェイムズ「女には向かない職業」


【イギリス～ロンドン郊外・各地】

ロンドン郊外
Ｒ・Ｄ・ウィングフィールド「クリスマスのフロスト」

オックスフォード
コリン・デクスター「ウッドストック行最終バス」

デヴォン州
アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」『ミス・マーブル』シリーズ

コーンウォール
ダフネ・デュ＝モーリア「レベッカ」

ヨークシャー州
レジナルド・ヒル「骨と沈黙」

ケント州
クリスチアナ・ブランド「招かれざる客たちのビュッフェ」

スコットランド
ジョン・バカン「３９階段」
ケン・フォレット「針の眼」
マイクル・イネス「ある詩人への挽歌」　
　ほか


【ドイツ、オーストリアほか】

オーストリア・ウィーン
グレアム・グリーン「第三の男」
クレイグ・トーマス「闇の奥へ」

トルコ・イスタンブール
アガサ・クリスティ「オリエント急行殺人事件」

ドイツ・ベルリン
ジョン・ル・カレ「寒い国から帰ってきたスパイ」

ドイツ・ハンブルグ
フレデリック・フォーサイス「オデッサ・ファイル」

スイス・アルプス
トレヴェニアン「アイガー・サンクション」

スウェーデン・ストックホルム
マイ・シューヴァル＆ペール・ヴァーレー「笑う警官」
スティーグ・ラーソン『ミレニアム』シリーズ
　ほか


【アメリカ～ニューヨーク～】

エラリイ・クイーン「Ｘの悲劇」「Ｙの悲劇」
Ｓ・Ｓ・ヴァン・ダイン「僧正殺人事件」
ウィリアム・アイリッシュ（コーネル・ウールリッチ）「幻の女」「黒衣の花嫁」
アイラ・レヴィン「死の接吻」
ミッキー・スピレイン「裁くのは俺だ」
ヘンリー・スレッサー「快盗ルビイ・マーチンスン」
ローレンス・ブロック「八百万の死にざま」「墓場への切符」
ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター」
ドナルド・Ｅ・ウェストレイク「ホット・ロック」
　ほか

【アメリカ～ニューヨークから東部へ～】

ウエストバージニア
レックス・スタウト「料理長が多すぎる」

ボルティモア
トマス・ハリス「羊たちの沈黙」

ニューイングランド
トマス・Ｈ・クック「緋色の記憶」

マサチューセッツ（ボストン）
ロバート・Ｂ・パーカー「初秋」
デニス・ルヘイン「ミスティック・リバー」「シャッター・アイランド」
　ほか


【アメリカ～ロサンゼルス、サンフランシスコ～】

ロサンゼルス
レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」「さらば愛しき女よ」
ロス・マクドナルド「動く標的」
ジェームズ・エルロイ「Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル」「ブラック・ダリア」
マイクル・コナリー「リンカーン弁護士」
ジェームズ・Ｍ・ケイン「殺人保険」「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

サンフランシスコ
ダシール・ハメット「マルタの鷹」「血の収穫」
ジャック・フィニイ「夜の冒険者たち」
　ほか

【アメリカ～中米、北米、カナダ～】

シカゴ
フレデリック・ブラウン「シカゴ・ブルース」
スコット・トゥロー「推定無罪」
サラ・パレツキー「サマータイム・ブルース」

コロラド
スティーヴン・キング「シャイニング」「ミザリー」

モントリオール
トレヴェニアン「夢果つる街」
　ほか


【アメリカ～マイアミ、南部～】

マイアミ
イアン・フレミング「００７　死ぬのは奴等だ」

南部
ボリス・ヴィアン「墓に唾をかけろ」
ジョン・グリシャム「評決のとき」
ジョン・ボ―ル「夜の熱気の中で」
ジョン・ディクソン・カー「ヴードゥーの悪魔」
アン・ライス「夜明けのヴァンパイア」
　ほか