横浜建築確認取り消し訴訟、「確認は違法」と住民勝訴(読売新聞)
民間の指定検査確認機関が行った建築確認の取消と、市に対する損害賠償を求めて周辺住民が訴えた事例。
記事によれば「(民間)検査機関による確認事務は自治体の事務」との今年6月の最高裁判決を踏まえているようだ。
注目すべき点は、記事にもあるように「検査機関に故意や過失があった場合、確認の権限を持つ横浜市が賠償責任を負う」とした点。故意又は過失、という要件は国家賠償法に基づいている。
耐震強度偽装問題について「国家賠償で救済できないものかなぁ。」で書いた●2の理論で、いけそうである。
また、耐震強度偽装問題の場合、必要な書類が添付されていないなど、検査機関の過失あり、と判断できる要素も含んでいる。
もう一つは、「周辺住民」が原告である点だろう。
建築確認という「行政処分」は、申請者である建築主の権利義務関係を変更するものであるが、周辺住民の権利義務関係を変更するものではないので、誰が訴えることができるのか(原告適格)という問題が常に立ちはだかる。
今回の判決では、原告適格を広くとらえている点で評価できる。
「国家賠償で救済できないものかなぁ。」で書いた●1と●2のケースでは、誰が訴えることができるのか、という問題が付いて回るとしたが、その点で少し明るい巧妙が見えたのかもしれない。
行政事件訴訟法 (昭37年法139号)
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
民間の指定検査確認機関が行った建築確認の取消と、市に対する損害賠償を求めて周辺住民が訴えた事例。
記事によれば「(民間)検査機関による確認事務は自治体の事務」との今年6月の最高裁判決を踏まえているようだ。
注目すべき点は、記事にもあるように「検査機関に故意や過失があった場合、確認の権限を持つ横浜市が賠償責任を負う」とした点。故意又は過失、という要件は国家賠償法に基づいている。
耐震強度偽装問題について「国家賠償で救済できないものかなぁ。」で書いた●2の理論で、いけそうである。
また、耐震強度偽装問題の場合、必要な書類が添付されていないなど、検査機関の過失あり、と判断できる要素も含んでいる。
もう一つは、「周辺住民」が原告である点だろう。
建築確認という「行政処分」は、申請者である建築主の権利義務関係を変更するものであるが、周辺住民の権利義務関係を変更するものではないので、誰が訴えることができるのか(原告適格)という問題が常に立ちはだかる。
今回の判決では、原告適格を広くとらえている点で評価できる。
「国家賠償で救済できないものかなぁ。」で書いた●1と●2のケースでは、誰が訴えることができるのか、という問題が付いて回るとしたが、その点で少し明るい巧妙が見えたのかもしれない。
行政事件訴訟法 (昭37年法139号)
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
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