平常心では上手くいかない

何か“いざ本番”というときに“平常心で臨むのが良い”とされる考え方がありますが、私はそうは思いません。本番のときは、自分の中で例えリラックスしているように思えても、通常の心理的・肉体的な状態を保つことは絶対的に不可能です。そのことを理解していない人は「リラックスしている（つもりな）のに、なぜ上手くいかないのだろう？」などと訳が分からなくなってしまいます。そして根本的な原因が分からないため、何度も同じ過ちを繰り返します。さらに悪いことに、周りからは「プレッシャーに弱い」などと言われてしまったりします。
本番中に潜在意識の力を利用しようとしても、実際そのときに働いているのは顕在意識です。潜在意識を利用しようと心がけることで、逆に顕在意識の力が鈍り、集中力や瞬発力が落ち、結果的に、場の空気に飲まれてしまうことにもなります。したがって、本番前はリラックスして右脳（潜在意識）による成功のイメージングを心がけるべきですが、本番中にはむしろ意識して左脳（顕在意識）をフル回転させ、次にするべきことを確認する、自分に命令する、自分に望ましいこと（「できる」など）を言い聞かせる、などといったことをする必要があります。なお、緊張しすぎないように腹式呼吸をすることは効果的です。