草食系日本人が思うこと

あの、実はベジタリアンなので草食系と…、適当すぎてスイマセン。でもほら草食恐竜でも強いヤツいたでしょ? トリケラ…

あの日あの時4.26長野聖火リレーにて1

2008年04月30日 22時31分58秒 | チベる
チベットサポーター(以下略チベサポ)として長野に乗り込みました。何かを伝えたいと思い、目的を持って書きたいのですが、どうも考えとか感想がまとまらないのです。したがって特別気の利いたオチもないし、感動話でもありません。

淡々と私から見た聖火という名の不審火護送イベントを書こうと思います。日本中が注目したあの日あの場所、そして大混乱の真っ只中に確実にいたというだけのことですが、とりあえず読んだ人に、良し悪しは別にしても何か伝われば幸いです。


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前日4/25の夜遅く、都内某駅前集合。チャーターバスに乗り長野に向かう。

同乗者たちはすべて初対面の人たち。数時間後には長野の町で一緒に闘う同志ではあるが、まったく気分が全体一致しない。つまり全員緊張しているのだ。お互いに、ではなく長野で起きることがまったく予想できないからであろう。私は席が隣になった人と軽く雑談。同じような職業の人だったのでちょっと気が楽になった。

高速に乗ると道はガラガラ。なるべく睡眠をとろうという主催者サイドの判断ですぐに消灯。しかし私にとっては寝れる時間帯ではないので結局一睡もできず。途中SAに寄った時からすでに中国人留学生たちの集団だらけ。長野の町が真っ赤になることだけは実感できた瞬間だった。

早朝うっすらと明るくなった頃に長野入り。高速を降り、バスがリレーコースに入るとすでに赤旗が場所取りをしていた。みんな元気だねぇ…。日も昇ってないのに。

聖火のスタート地点となった噂の空き地をバスに乗ったまま通過する時、あまりの赤旗の大群に笑いが出た。そのあまりにも圧倒的な物量作戦。中国大使館が動員をしただけのことはある。人数で我々チベサポが勝てる見込みは当然ない。政治とスポーツはわけるべきだなどという詭弁を中国自らが否定している証拠と言ってもいい。

しかし、しかしだ。そんな中、スタート地点にすでに配置されている警官たちに混ざって、ひとりで全力でチベット国旗を振っている人がいた。しかも、たったひとりで。早朝5時頃のこと。それを見た私は「あぁ、ヤツを助けなきゃ」とつぶやいた。他の席の人たちも彼を見た。ちょっと車内がザワついた。でもバスは目的地の善光寺へと進むしかなかった。

私の目には彼の姿が焼き付いている。彼の名も知らないし知りようがない。でも彼の姿を見た時、確実に私の体の中の血がザワっとした。不思議な感覚だった。あの場所に行って、一緒に旗を振りたかった。これは本心だ。もしそうしていたら、その後の一日の過ごし方はどう変わったのだろうか…。

スタート地点から善光寺はあまり離れていないのですぐに到着。私たちは全部で40人以上いたが目的は大きく二つに分かれていた。ひとつは在日チベット人(以下略チベタン)たちのアピール地点があらかじめ決まっているので、その場所取り班。そしてもうひとつはチベタンたちと一緒に善光寺で特別法要に参加する班だ。私は法要参加を希望していた。しかし時刻は6時前。法要は8時15分。…うーん、それまで何をすれば? 

誰かが準備をしながら言った「旗を振るの初めて。日本の旗も振ったことないのに」と。それを聞いて私も思った。確かに私もそうだ。家には日の丸はないし、日の丸を振ったこともない。それなのに今回、大きなチベット国旗を購入し、それを一日全力で振るんだと決心している自分がいる。なんとも不思議な感覚だった。

班を分けつつ、他の団体の合流を待ちつつ、やがて朝日が昇ってくる。善光寺の住職がわざわざ表に出て来てくれたが、内容は注意だった。法要には国旗を入れるなとのこと。法要は3/10チベット動乱以降に亡くなったチベット人と中国人のどちらも追悼するという主旨だったので国旗は不可というわけだ。それはその通りだと思った。全員から旗とかポールを集めてひとまとめにして警備事務所にあずけた。

善光寺は静かだったが、地元の熱心な信者の人たちはいつも通りにお参りをしている。さすが善光寺といった感じ。我々チベサポはあきらかに邪魔者だ。チベサポの中には6時開始の定例法要に参加している者もいれば、さっそくお土産売り場を物色している者もいた。私は境内をブラブラと歩きながら退屈していた。先に場所取りに行った班が心配だった。多少は小競合いになっているだろうと予想できた。法要参加をあきらめて助けに行こうかと思ったが、どうしても善光寺法要ははずせないという思いは強く、結局多少イライラしつつも境内をブラブラしていた。この頃から、遠くから歓声や怒号やシュプレヒコールが聞こえるようになってきた。おそらく中国連中だろう。それを聞いて、さらにイラっとする。

7時過ぎ頃ネットで知り合った人で、旗をあげる約束をしていた人から連絡が入り、旗をプレゼント。一言二言会話をした。やはり緊張しているようだった。善光寺で出会ったチベサポに共通して言えるのは、やはりみんな緊張感があった。何がどうなるかなんて誰にもわからない。3月の渋谷のデモは1500人集まったが、対立する中国人の大群はいない。長野には推定4000人~6000人の中国人が集まるとの予想もあり、その中にチベサポ数百人で突入し抗議活動をしようというのだ。当たり前だが、後にも先にもこんな経験はないと思う。

これは、楽しい聖火リレー見物でもなければ、聖火リレーの火を消すイベントでもなければ、デモですらない。嫌な表現だが的確な言葉が見つからないので言うが、ある意味ちょっとした【戦争】だ。主義主張が正面から衝突し合うのだ。相手に向かった時、ちょっと意見交換しようか? という雰囲気にはならないだろう。「Free tibet」と「One china」で言い争うわけだ。どうなるかなんて、誰にもわからないから、みんな緊張していたのだ。

気がつくと、マスコミが揃って追いかける人が境内のウラからやってきた。よく見ると国境なき記者団のメナール代表だった。善光寺は今回の聖火騒動により、世界に名が知れる素晴らしい寺になったということなんだな~とあらためて思った。インタビューをとりたいマスコミと、ややうんざり顔のメナール氏。外国人のメナール氏も善光寺から一日を始めようと思ったんだな~と思ったら親しみを覚えた。彼がこの後どんな抗議活動をするのかは知らないが、きっとうまくいくだろうと思った。

そしてついに8時前、チベタンたちが揃って善光寺に入ってきた。境内にいた100人くらいのマスコミたちが殺到する(★写真)。今日という日の主役と言ってもいい。マスコミはどういう風に彼らを報道するかは知らない。しかし私にとっても彼らが主役だ。彼らと共に行動し、最悪の時は彼らを守らなければ、という思いがあった。他のチベサポたちも同様に考えていたと思う。境内中から人々が彼らのもとに集まってきた。一緒に手を合わせて祈る者もいた。無言で写真を撮り続けるカメラマンや、テレビカメラ。チベタンたちの祈りの歌が善光寺の境内に静かに響いていた。

続く

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2 コメント

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本人たちが気づいてないのが可哀相 (ピカです)
2008-05-01 11:07:55
やはり中国政府から動員がかかってましたね。
数の力で言論を踏み潰す本質が明らかになってしまうのに、それを客観的に見ることの出来ない人たち。
かわいそうです。
なぜか今回の騒動を観て感想は「かわいそうな人たち」でした。

昔から思っていることですが、オリンピック自体の必要性に価値を見出せないでいます。
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Re : 本人たちが気づいてないのが可哀相 (ピカです) (ベジスピエコ)
2008-05-01 16:13:14
確かに「かわいそうな人たち」であると思います。しかしそのかわいそうな人たちの無理解が、今日も明日もチベット人たちを殺すのです。このことに関しては、中国国内、国外にかかわらずほとんどの中国人の悪意としか思えません。あのアグネス・チャンやジャッキー・チェンでさえ、中国はひとつだ、チベットは国内問題だなどと言う。スポーツと政治は分けるべきだなどと言う。分けてないのは中国だ! オリンピックを利用したプロパガンダ垂れ流しは即刻止めろ。

中華思想と中国共産党、中国の共産主義、すべてカスだと思う。

((( ̄へ ̄井)ハラタツゼ
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