今日は日経デジタルコアの勉強会で、竹中懇談会がとりあげられた。パネラーとして、懇談会の委員であった、慶応大学の菅谷先生、野村総研の村上理事長らが並び、検討経緯も含め、解説や質疑応答が行われた。参加者は100人ぐらいだったであろうか。
昨日のブログ記事で私は、この答申がNTT・NHK問題、いわゆるNN問題に偏っているのではないかという疑問を呈したが、少し読み方が浅かったようだ。確かに通り一遍読むと、具体性のある提言がNN問題を扱っているものが多いが、実際の議論はかなり広く深いものであったとのことである。また、NN問題以外の部分のそれぞれの短い記述にも、各委員のさまざま思いが埋め込まれていることもよくわかった。まあ「行間を読め」ということか。
村上氏によれば、今回の懇談会のゴールは構造改革と価値創造の2つであるという。まさにその通りである。最終文面ではこの後者の価値創造の部分のトーンが弱いように感じたわけだが、「融合サービス」という一言の裏に、自己放送規律に従う事業者がIPというインフラの上でさまざまな自由なサービスを提供する、という強烈な狙いが隠れている。
「融合サービス」について、村上氏は報告書には乗らない私見として、むしろsharp head(long tailの反対側)に図抜けたコンテンツ・コンテンツサービスを作るのが日本の通信・放送融合産業として、google対抗策のひとつのあり方ではないかと述べた。へぇ、なるほどね。私は単純にはやはりロングテールのところにインターネットの強みがあると見ていた。例えば、富山のローカルな放送を東京在住の富山県人がみるとか、幼稚園の運動会放送を田舎の祖父母が見るとか、やはりニッチや超ニッチのニーズを満たすものとしてである。村上氏の発言を聞いて、もしかしたら確かに逆の考え方もあるのかもしれないな、と思った。sharp headでの抜群のコンテンツは、ネットという国を超越したメディアにのることにより、その価値を単純人口比でも数十倍にすることもできるのだろうから(注:これは単なる私の類推。他のもっと面白い狙いがあるかもしれない)。
まあ、デジタルコアはいろいろ勉強したり、考えさせられたりするいい機会である。来週は、私が主査を務めることになった「ネット社会アーキテクチャ研究会」の第一回が開かれる。第1回は「ネットワークの中立性とコスト負担」がテーマである。以下、NGNやインターネットのそれぞれの可能性、インフラのコストシェアモデルのあり方、IPv4アドレス枯渇とIPv6対応、などのテーマを準備中である。参加は無料だが、基本的にはデジタルコアメンバ限定。が、たぶん私に言ってもらえれば、私から日経さんに頼むことも可能かも。