ここでは、野本寛一さんの著書を取り上げる。この学者名は《週刊新潮》のある脳研究者の連載コラム記事で紹介されていた。
民俗学の分野に類するらしいが、野本さんは「環境民俗学」を提唱されている。
フィールドワークで得た情報を次から次へとあげて写真と文章は展開する。わたしにとって文意はイメージを繰り広げる単語の集積ではないので叙述通りについていけばいいのだが素っ気なさがある。しかしわたしは、日本語独特の語感に貧しくて文章の背景が薄い記述の退屈に耐えなければならない。
ここでは、北海道を除くフットワークありきで全国を集めて調査渉猟した具体的な事実の集積、膨大な内容であり、分類し章立てした内容は重複している可能性もあり得るのだが、読了するのには物理的に時間がかかり過ぎる。読書向きではなく学術的な研究書というカテゴリーになるのだろうが。
如何に活字好きのわたしでも興に乗れば継続して読み進められるが、段落はあってなきが如くで、時と場合には忍耐を強いられる。したがって、理系に多い論理を駆使した文章の展開的な内容の論文調とは異なる、また語感を活かした文の構成や、叙述性がある文学書と異なり読み通すのは大変である。
野本寛一さんの著書
・自然暦と環境口誦の世界 大河書房
・神と自然の景観論 講談社学術文庫
・生態と民族 講談社学術文庫
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