うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

ゆったり空間の天王洲ファーストタワー--天王洲アイル③

2009年01月25日 07時39分34秒 | 天王州アイル Project

 社会はバブル景気の頃、このビルが天王洲アイルではまず最初に建築された。
 天王洲ファーストタワー(TFT・かつての東京MIビル)の内外が機能面、景観上、一番効率よく余裕のあるスペース配分に成功している。
 このビル内には2階に北側と南側に長方形の緑地(テイカカズラの密植)があり、26階はアベリアの植栽、25階にはまとまった屋上庭園がある。屋上庭園のコンセプトは、エゴノキ株立ち・サツキツツジ・キチジョウソウを配した武蔵野の雑木林を再現することであったが、今ではこのガーデンデザインが流行らなくなっていることに気づき、思わず苦笑する。両側の貸し会議場の出席者に配慮し、スタティックな癒しのゾーンになっている。
 ここの高層階からは、快晴の時に西の方角にくっきりと富士山を望むことができる。夕景色も抜群。お知り合いの方がいたら、ご案内をお願いしてみてください。
 
 遠くに見えるのはSFSのシティグループセンタービル。その手前には都道にかかる天王洲大橋、天王洲運河、そしてその水門が背景にある。
 ここは、このビルの北側にあたるが、大きく育った桜並木(サトザクラ、関山・普賢象・駿河匂い・御車返しなど)があり、その先端には天王洲アイルのランドマーク的にこのタブノキが鎮座している。樹高11.0mである。いづれも、植栽時点には風による倒伏、傾倒対策に悩まされたもの。なんどか補修をかさねた。樹幹に傷みもあるが、なんとか、活着し自力でこの場の風景になじんでいた。

 この円弧柱状の奇妙な植栽は? このビル西側部分には、天王洲アイル全域の都市ガス地域冷暖房の集中した設備が設けられており、地階からこの2層階へ大きなパイプがむき出しで連結されている。それを緑でカバーした。
 当時は、垂直面の緑化の技術はなく誘引補助資材に苦心したが、亜鉛ドブ漬けの構造柱にステンレスのワイヤとメッシュを用いた。植物は育成した長さ3.0mのテイカカズラ、ビグノニア、スイカズラを、被覆パターン・スピード、常緑、落葉、開花期により組み合わせた。
 現在、植栽後17年は経過している勘定になる。これは、いちおう、成功例に入れても良さそうだ。
                             
《建築概要》
工事名: 東京MIビル( 緑の広場含む)
建築主: ㈱マタヨシ開発 
開発敷地面積: 7,437.63㎡  建築面積: 3,370.26㎡ 延床面積: 47,248.87㎡
工 期: 平成元年4月→平成3年 7月
建築設計: 建築設計: 佐藤工業㈱ --1棟 地下2階,地上27階建て
店舗設計: 倉俣史朗他 
(緑の広場設計スタッフ; 都市生活工房,スタヂオDUCA,R.e.i, ㈱ミンツデザイン,八木造景事務所→第一造園土木㈱)
施 工: 佐藤工業㈱  外構: 佐藤道路㈱
当社(第一造園土木㈱):植栽設計・施工 /当社不動産仲介
                                    
○植栽計画(東京MIビルのみ)○
 《コンセプト》
ここは天王洲アイルのなかで一番早く完成した建築物件であるが,このインテリジェントビルの外構 計画の場合, 一般的に見かける賃貸の事務所ビルのモデルの要素をもっていると言っていい。必ずしも広いとは言えない敷地のなかの緑地にボリュウムのある構成は中高層建物を修景的に盛り立てている。
量感のある樹姿の高木と豊かな緑葉性の灌木. 地被で立体感のある懐の深い奥行きをもつ植物景観を現出する。なお,樹種としては造園計画上オーソドックスな選び方をしている。
2階.25階.26階の緑地は全て客土厚t =150~450 の人工地盤であり渇水時の灌水用として地表ドリップチューブを布設しメンテナンスに備えている。
 現在, 地上部.25階の緑地には昆虫. 鳥類などの小動物も見られ特に夏から秋にかけ虫や蝉が鳴いたりと, 多様な生息空間を形成している。
・・施工後のひとこと・・
* 施主の植栽要望であるヤエザクラについて資料で探したところ, 耐潮性のある自生種としてヤエノオオシマザクラをリストアップしてその材料を手配した。しかし施工直前になっても, 材料が入手できず急遽, 園芸品種" 関山 "に変更した。データもなく, その後の経過を危うんでいたが通常の成長をしめしたものである。
 * 天王洲アイルのなかでもこの運河側は強風が吹く箇所であり施工直後 3回ほど支柱をやり変えた。秋の台風による被害も受けやすく, 強固な支柱が半永久的に必要と判断している。
 * 工程的に屋外の電気工事との取り合いがまずく, 作業が重複し仕上がりの緑地表面に多少の凹凸がある。
 《工事概要》
植栽工程; 平成 年 月~平成 3年 7月           
受注工事金額: ¥5,500万
協力業者: ㈱小金井園 昼間工健 
材料業者: ㈱小金井園     
敷地面積: 11,734.45㎡
施工範囲: 植栽工 客土工 地表ドリップ散水設備
緑地面積:地上部・自己敷地; 282.0㎡
  2階緑地; 75.9㎡  25階緑地(空中庭園); 321.9㎡ 26階緑地  156.0㎡  地区公園4号; 約380.0㎡(緑地78.8㎡)
(25,26階: ㈲大洋緑化.㈱サンホープ 設計施工)

・維持管理期間 当社(第一造園土木㈱):平成4年4月~平成16年 3月
 
 現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

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ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        

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