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ヒエログリフ(聖刻文字、神聖文字)

2017年05月03日 | 語学

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ヒエログリフ

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エジプトヒエログリフ
Egyptiska hieroglyfer, Nordisk familjebok.png
類型: 表語文字 (一部の文字はアブジャド的性格を持つ)
言語: エジプト語
時期: 紀元前3200年頃 - 400年
親の文字体系:
不明
  • エジプトヒエログリフ
子の文字体系: 神官文字(ヒエラティック)
民衆文字(デモティック)
メロエ文字
原シナイ文字
Unicode範囲: U+13000-U+1342F
ISO 15924 コード: Egyp
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
 
古代エジプトの墓碑に刻まれたヒエログリフ

ヒエログリフ(hieroglyph、聖刻文字神聖文字)とは、ヒエラティックデモティックと並んで古代エジプトで使われた3種のエジプト文字のうちの1つ。エジプトの遺跡に多く記されており、紀元4世紀頃までは読み手がいたと考えられているが、その後読み方は忘れ去られてしまった。19世紀になって、フランスのシャンポリオンロゼッタ・ストーン解読以降読めるようになった。

一般には古代エジプトの象形文字あるいはその書体を指す[1]が、広義にはアナトリア・ヒエログリフ英語版英語: Anatolian hieroglyphsヒエログリフ・ルウィ語英語版象形文字)、クレタ・ヒエログリフ英語: Cretan hieroglyphsEteocypriot languageの象形文字)、マヤ・ヒエログリフ英語: Mayan hieroglyphsマヤ語の象形文字)、ミクマク・ヒエログリフ英語: Mi'kmaq hieroglyphsミクマク語の象形文字)など、他の象形文字[2]に対しても用いられることがある[3]

 

 

ヒエログリフの呼称[編集]

ヒエログリフの名称はギリシア語ἱερογλυφικά古代ギリシア語ラテン翻字: hieroglyphiká, ヒエログリュピカ)に由来し、ἱερός古代ギリシア語ラテン翻字: hierós, ヒエロス。「聖なる」)+γλύφω古代ギリシア語ラテン翻字: glýphō, グリフォ。「彫る」)を意味する。古代エジプト遺跡で主に碑銘に用いられていたためこう呼ばれた[3]

歴史[編集]

文字の歴史[編集]

 
刻まれたヒエログリフ

ヒエログリフがいつ頃使われ始めたかについてはまだ解明されていない。エジプト原始王朝時代以前の紀元前4000年Gerzeh cultureの壷に描かれたシンボルがヒエログリフに似ていることが知られている。紀元前3200年頃、上エジプトにあったen:Nekhenの遺構から1890年に出土したナルメルのパレット英語版の文字を最古のヒエログリフとする見解が長い間一般的であった。

紀元前3000年頃にはヒエログリフとヒエラティックが使い分けられていた。ヒエログリフは神聖なものとされ、神や、それと同等であるとされたファラオを称える石碑や神殿、墓などに刻まれた。神聖文字とも言われる。言わば漢字における楷書に相当する。一方、パピルスへ手書きするときにはヒエラティック(神官文字)が使われ、これは行書に例えられる。

エジプト中王国時代(紀元前2040年-紀元前1782年)にヒエログリフの改革が行われ、使用する文字の数を750程度に抑え、単語の綴りも一定化された。当時、古代エジプト語中エジプト語英語版に移行した時期で、古エジプト語英語版よりも細かいニュアンスを表現出来る文章語としての完成度が求められたことも要因として上げられる。この改革は、同時代の古代オリエント世界において楔形文字でも使用する文字数を減らす改革と、起こった時期が一致している。

末期王朝時代エジプト第26王朝紀元前650年)頃にはヒエラティックの簡略化が進み、草書体とも言うべきデモティック(民衆文字)となった。

解読の歴史[編集]

中世を通じてもヒエログリフは多くの人々の関心を惹き付けていた。近代に入ると多くの学者達がヒエログリフの解読に挑んだ。特に有名なのは16世紀のヨハンネス・ゴロピウス・ベカヌス英語版と17世紀のアタナシウス・キルヒャーであるが、解読に失敗したり、全く根拠のない独自の解釈に終わった。初めて解読に成功したのは19世紀のフランス人学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンであり、彼はキルヒャーの収拾した資料を研究し、ロゼッタ・ストーンの解読を行うことで読み方を解明した。これが突破口になり、その後も研究が進んだため、現代ではヒエログリフは比較的簡単に読むことができる。

文字の特徴[編集]

ヒエログリフは象形文字と呼ばれるように絵に似ているが、その見かけに反して、表意文字よりも表音文字が多い。表意文字の音を借りることもある。漢字でいえば仮借の使用法に近い。表音文字では通常母音は無視され、子音だけが利用される。

その単語のカテゴリーを示すために、発音されない文字が表意的に単語に付け加えられることがある。これを限定符という。限定符の違いによって同音異義語を区別することができる。漢字でいえば形声文字部首に近いものである。例えば "pr" という発音には「建物、家、王宮」等という単語と、「出る」という単語がある。そこでヒエログリフでは建物を表す下記の象形文字でこれを表し、pr と読む。この場合は表語文字として使用していると言える。

O1
(pr『建物』)

pr「出る」を書きたい場合には、音だけを借りて同様に表す事も出来る。しかし、これでは「建物」等の意味に誤読される恐れがあるので、普通は下記の様な歩みだしている足の形をした文字を限定符として付け加える。これは、その単語が「歩行」に関する事を示す限定符である。

D54
(D54) (𓂻 : U+130BB)

また、表意的に使われている事を示す為に "r" の音を表すヒエログリフを、以下のようにいわば送りがなとして添える事もある。これでprと発音し、送りがなのrや限定符は発音しない。

O1
D21
D54
(pr『出る』)
 
メンフィスの博物館のヒエログリフ。後ろに見えるのはラムセス2世の像

右からでも左からでも書け、縦書き横書きも同様に行える。読む方向は、生物の形をしたヒエログリフの頭の向きで判断し、頭が向いている方向が文頭になる。

ヒエログリフで表される音は1子音から4子音だけで、母音は表記されない。実際にどう発音されていたかについては、ギリシャ語コプト・エジプト語など、他の言語に借用された単語などから再建される場合もあるが、わからないことの方が多く、現代では以下のような仮の発音法が取り決められている。

  • 子音一つの単語の場合、前に「エ」音を補って読む。
    例: s → エス(男)
  • 子音が二つ以上続く単語の場合は、各子音間に「エ」音を補って読む。
    例: nfr → ネフェル(美しい)
  • Ȝ、‘、ỉ、w は本来子音文字だが、それぞれ母音「ア」、「アー」、「イ」、「ウ」として読む。ただし、語頭の ỉ は「ア」と読む場合もある。
    例: sȜ → サ(息子)。 R‘ → ラー(太陽神ラー)、Wsỉr → ウシル(オシリス)、Ỉtn → アテン(太陽神アテン)、またはイテン。

しかし、この取り決めも絶対のものではなく、研究者によって様々な読み方がされている。例えばフランス式では「エ」の代わりに「オ」を補い、Ỉtn をアトンとする場合もある。


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