お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

子どもたちの見る 不況

2010-03-29 | from Silicon Valley
予算不足のため週4日登校が心配される公立小学校(CNN.com)

なかなか回復しない経済。長引く不況は子どもたちの目にどう映っているのでしょう?
シリコンバレーの主要紙「サンノゼ・マーキュリー・ニュース(San Jose Mercury News)」がサンノゼ市内の小学生にインタビューしました("A glimpse of the recession through the eyes of children" 2010年3月21日)。子どもたちは、不況の波が自分たちにも迫っていることを単に聞きかじっているだけではなく、肌で感じて理解していることがわかります。

4年生のアンジーは友達のことが心配で眠れません。「親友のリジ―のおウチは大変なの。不景気のせいで、大家さんが彼女が住んでいる家を売ることなったから。リジ―の家族は今の家を出なきゃならないのよ。でも次のおうちが見つからなかったら、ホームレスになっちゃうってリジ―が言ってるの・・・。」アンジーと同級のメ―ガンは「お父さんが心配なの」と小さな声で言います。「だってね、毎日すごく長い時間働いているから・・・。でも、だからレイオフされないよって、お父さんは言うんだけど・・・」こんな悩みを聞かされたら、きっと親も教師も慰める言葉が見つからないのではないでしょうか。

「子どもたちは不況のなんたるかを実感していますよ」と担任の先生。「両親が強いストレスにさらされているので、子どもたちもその影響をもろに受けています。子どもたちの話を聞くと、本当にかわいそうでなりません。本来、こんな心配などしないで、単純にハッピーでいていい年頃なのに・・・。」

長引く不況は、サンノゼに住む子どもたちにとって決して他人事ではありません。10歳のアルフレッドは家計を助けるために、毎日お父さんと一緒に空き缶や空き瓶を集めてリサイクル窓口に売りに行きます。それでもアルフレッドは「このところ引っ越しばかりしてるんだ。きっとお金がないからだと思う。最近おじいちゃんと住むようになって、おじいちゃんも家賃を払ってくれているんだ。僕以外は誰もかれもが家賃の支払いを手伝ってるよ。僕は子どもだから何もできないんだけど・・・」と残念そうに語っています。家族の中でおそらくはアルフレッドが最年少なのでしょう、大人たちが皆で彼をかばい、心配させまいとしている様子が伝わってきます。が、子どもはわかっているのですよね。

34人いる4年生のクラスに、不況の影響を受けた人を知らないと言う生徒は一人もいませんでした。ひとりの子が「うちのお母さんはレイオフされたんだ。でも何も話さない。きっと悲しいからだと思う。だってお母さんは仕事が好きだったから」と言えば、別の子どもは「ターゲット(Target:大型量販店)で見てると、みんなチップスの小さい箱を買ってるよ。それから1ドルの安いハンバーガーを買うのにいつも長い列ができてる。うちは前みたいに外食しなくなったんだ。この前外で食べたのは3カ月も前、それもレッドロビン(Red Robin:安めのバーガーショップ)だったんだ。でも、ハンバーガーは食べさせてもらったけどね!」と語り、感受性の鋭い観察を披歴しています。

それでも子どもたちは明るく、この不況が永遠に続くなどと悲観的になってはいません。

お母さんがミシガン州で美容師をしているシェインはサンノゼの親戚に預けられていますが、明るく「お母さんは遠くに出稼ぎに行ってるんだ。カリフォルニアにいるよりもたくさん稼げるからだって。美容師だよ。いつも電話で話してる。時々は20分も話すよ」と語り、将来の希望を聞かれると、即座に「大きくなっても、しっかり気を入れて頑張らないといけないんだ!」と答え、「どうしてって、だって仕事もお金も失くしたくないでしょ?だって、(大人になったら)子どももも養わなくちゃいけないし、甥や姪も、奥さんも、弟や妹も、従兄弟だって食べさせなきゃならないんだよ!」おじさんに面倒見てもらっているのでしょうか。お母さんと離れて暮らす自分の境遇を嘆くどころか、しっかり将来のロールモデルとして前向きにとらえているなんて、何てタフで健全な精神なのか!と感嘆します。

ボトルをリサイクルしているアルフレッドは稼いだお金を豚の貯金箱に貯めています。「もう本当に一杯になって、ペニー硬貨を入れようとすると跳ね返って出てきちゃうんだよ。」

カイルは楽観的です。「2011年のうちには不況は終わると思うんだ。そうしたら、お母さんはきっとまたフルタイムに戻れると思う。今は32時間しか働けないんだけどね」と希望を語り、”もしも大人になって君自身がクビになったらどうする?"と聞かれると「インターネットで仕事探しのウェブサイトを使えばいいんじゃない、たとえばwww.findajob.comみたいな・・・。でも、僕は獣医になりたいから。きっと獣医の仕事を探すけどね」

この子たちの笑顔が曇りませんように!



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