お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

幻想的でマニアック、大人もはまるDr.Seuss

2009-03-24 | about 英語の絵本

One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish

"One Fish Two Fish Red Fish Blue Fish" は1960年刊行のドクター・スース(Dr. Seuss)の絵本です。幼い読者にもわかりやすいライム(韻)で構成されていて、いろいろな人の朗読でオーディオブックが出ています。この本に限らず、ドクター・スースの絵本は、声に出して音読することで「おもしろさが倍加する」と定評があります。

タイトルは魚ですが、この本に登場するのは魚だけではありません。ページごとにいろいろな空想上のキャラクターが登場し、さまざまなことをしたり、感じたり。ページを繰るごとに、まるで脈絡なく、どんどん話が展開するので、はじめはめまぐるしい感じがするかもしれません。が、オーディオブックには効果音もたくさん入っているので、空想豊かな子どもたちは、飽きずに聞き入ります。ドクター・スースは、オーディオブックとの併用をおすすめします。

ドクター・スースの絵本は、これに限らず、いずれもテキストもイラストもちょとユニークで変わっています。それも、子どもの本だというのに、必ずしもきれいとかわかりやすいというのではなく、どちらかというとマニアックで幻想的。ちょっと怖いとか、気味悪いという印象を持つ方もいると思います。

子どもを「お子ちゃま」扱いしない、ドクター・スースの毅然とした姿勢には、どこか英国の児童文学作家ロアルド・ダール(Roald Dahl)に共通するものがあります。二人とも、読者、特に子どもの読者に媚びない、ウィットとユーモアに満ちた爽快な読後感のある作品を書いています。私は、二人とも大好きです。

ドクター・スースには、子どもだけでなく、大人のファンも大勢います。彼の挿絵作品にも熱狂的なコレクターがいて、たいていの街には彼のイラスト作品だけを集めたギャラリーがあります。またドクター・スースの絵本が原作になった映画(たとえばクリスマスChrismas!)も、絵本同様、子どもだけでなく大人にも人気があります。かく言う私もファンのひとりで、我が家では毎年クリスマスに一度は観る定番ビデオになっています。

ドクター・スースほどパロディや引用の多い絵本作家も珍しいのではないかと思います。よく知られているところでは、「ポケモン」シリーズの"One Team, Two Team, Red Team, Blue Team"がありますが、実は、もっと学術的な雑誌記事などにもしばしば使われています。たとえば2005年5月号の"National Geographic"誌には
"One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish, Why are Coral Reefs so Colorful? "と題した記事が掲載されています。ドクター・スースが、アメリカ人の国民的教養の一端をなす人気作家であることがわかるエピソードです。

ドクター・スースの本名はテオドール・スース・ガイゼルTheodor Seuss Geisel で、1904年生まれのアメリカの作家ですが、商業広告のイラストレーターとして、また政治風刺漫画家としても有名です。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする