「はじめてであう小児科の本」は、すでに成人した娘を妊娠中に買って以来、実に長い間、ほんとうにお世話になった本です。
熱を出して荒い息をしている子どもを見守りながら過ごす夜は、新米の母親には、永遠のように長く、心細さのあまり泣き出しそうになったこともしばしばでした。そんな時、山田先生の穏やかで温かな語り口と、説得力ある内容のこの本が、いつも不安をしずめてくれました。
子どもは「病気にかかることで『ひと』として生きるための抵抗力をつけていく」ということが本当に納得できるように書かれていますので、子どもが高熱を出しても、過剰に動じないですみました。うちの娘が余分な予防接種はせずにすませられたのも、この本に学んだからです。また、病気になったときは「しょうがない、これも、免疫力をつけるチャンスだから」と親子で言いあい、「治るまであと何時間、あと何日・・・」と一緒にカウントダウンしてやり過ごし(この本を読むと、こういう見通しが持てるようになります!)、その結果、21年間に娘が服用したお薬はほんの数えるほどです。
子どもの病気は、医師や病院に行かなければならない状態かどうかを見究めることが何よりも大事と教えられ、そうか、要するに、親がすべきことは「いつでもちゃんと見ている」ことに尽きるのだな、と納得したのも山田先生のおかげです。もっとも、「いつでもちゃんと見ている」って、実は、現代の暮らしではそれなりに大変なのですけれど・・・ね。
版を重ねてのロングセラー、よく分かります。
小っちゃなソックスを添えた歩き始めのころに履くお靴、ブルーナーのうさこちゃんの絵本などとともに、出産のお祝いに差し上げる、私の定番ギフトの一冊です。