恩師を訪ねて。

恩師である田原良作先生は八ヶ岳に工房を構え、彫刻家具の制作で何時も忙しそうにしています。
今日はその田原先生を訪ねて行ってきました。
目的は注文していた椅子を引き取りに行く事です。
今年の５月に先生を訪ねて八ヶ岳倶楽部の個展会場でお気に入りの椅子を注文しましたが、作家ものはお値段もかなりお高い。私もそのはしくれなので、作品となりますとそれなりのお値段をつけさせて頂いています。
椅子のお値段は２０万円程でしたが、先生には私が学生の時から大変お世話になっていて、先生の作品を何時か購入したいと常々思っていました。
それに今年は何時もの年とは違って一つ大きな注文作品が有りましたので、ここで清水の舞台から飛び降りる勢いで、先生に一つお願いしました。
作品を受け取る日取りは９月と伝えたのですが、９月１０月とあいちトリエンナーレや常滑の彫刻展、大作の作品設置などが有って時間が有りませんでした。
気が付いたら１１月になってしまいました。
それまでにこの椅子のお金も用意しておこうと思っていたところに、先生から手紙が届きました。
私の作品と交換しようとおっしゃって下さったのです。
私はかえって恐縮してしまったのですが、このお手紙の後、直接お電話をして、有りがたくこのお話をお受けすることにしました。
先生は私が多摩美の学生の時、非常勤講師をされていて、その後体調を崩され、学校関係の仕事をすべて断ち切り、彫刻で生きて行く事の大変さを誰よりも分かっておられる方です。きっと私の今の立場を理解され、私に一番負担にならない方法を探して下さったのかと思うと目頭が熱くなります。

先生が選んで下さった作品は今年私が一番お気に入りの作品です。
一番お気に入りの作品が最も尊敬する先生の手元に飾って頂ける事ほど嬉しい事はありません。
そして先生からお譲り頂いた椅子は、想像以上の素晴らしい物でした。

明日は先生からお譲り頂きましたその椅子をお見せいたします。