尾崎 慎 の 彫刻ライフ

石彫刻家尾崎慎の作品の紹介や、展覧会情報、これまでに起こってきたエピソードや日記など様々な事を綴って行きます。

再認識

2010-07-20 22:45:47 | 日記
先日,ミュー自然美術館に来られていたお客様に私の作品がどうしてこのようなスタイルになったのか問われました。
以前もこれにつきまして少し触れましたが、これは私が大学院終了後、母が体を悪くして実家で一緒に過ごしたわずか2年間の間にこのスタイルが突然生れました。
それまでは意外と彫刻自体に具象的な顔をしっかりと作っていたのですが、自分でもこれを何時も否定する自分がいました。
作っても作っても納得が行かずそのうちに顔そのものを作らなくなったのですが、まだ納得の行くものとはほど遠かったように思います。
そんなある日私は妙に仕事に没頭し、気が付くと今までには無いスタイルの物がそこに佇んでいました。「無我の境地」とでも言うのでしょうか?これは今まで決して体験した事のない不思議な感覚でした。大きな体躯に小さな頭。まるで種から息吹く小さな芽のようです。私の体の中心に有る何かが腕や掌や指先を伝って出てきたような感覚。
嬉しくて母に見せました。「何か面白い物が出来てきたわね。」実際この時点では喜びと同時に戸惑いすら覚えました。
今から思うと学生の時私は木の芽の息吹く様子を作りたくて、ワラビや木の芽を作っていました。その勢いのような物を人間の形に置きかえられないものだろうか?そんな事を何時も考えていたのです。その学生の時のスケッチブックに「私は生命感を作り続ける。」と記した事を思い出しました。
きっとこの想いがここに生きて来たのだと思います。

先日のお客様との会話の中「私の作りだす特徴有る頭の形は、木の幹や種から息吹く木の芽そのものなのかもしれません。」と応えていたのです。後からこの事を考えますと、新たに自分自身を再確認したような感覚になりました。
普段何気なく過ごしているようで、再発見が有ったり、再認識が有ったりで、何かを突き詰めていると面白い事が日々起こります。







コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 個展終了 | トップ | 個展回数 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (森永里織)
2010-07-21 21:34:12
えええええええええぇ、なんてなんて、意義深い事が、書いてあるのでしょう。私の中で尾崎さんは1万点でしたが、違います。1億点です。素晴らし過ぎです。これからも、断然応援します。頑張って下さいっっっっ。
返信する
こんにちは。 (尾崎慎)
2010-07-22 00:12:16
森永里織様。
いつもコメント戴き有り難うございます。
こうした日々の出来事がまた新たなエネルギーに繋がります。
これから新たなイメージが膨らんで来そうで私自身楽しみになって来ました。
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事