ものずき烏の無味乾燥?文

ブログ発想 LP/LD/CD コレクション作業 進行中。ジャズばっかしじゃないかと言われたら身も蓋もない。

ジャッキー・マクリーン:Rites Of Passage

2005-05-31 | 音楽 の 紹介

RITES OF PASSAGE: Jackie McLean



 現役で今、安心して聴けるアルト・サックス奏者のジャッキー・マクリーンである。このアルバムは、マックリーンのコレクションで唯一のCD。ブログの投稿開始以前よりPCに取り込んで愛聴している。LPからCDに移り変わり、新譜でのLPが入手できなくなった頃、わたしの餌漁りは止んだ。その時期に買ったものである。
LPレコードはサイズが大きい分、ジャケットが楽しめるが、PCに取り込むとなると再生の時間プラス・アルファーがかかってしまう、その点CDは短時間で取り込め、レコードの様にクリーナーで溝の埃を取り除くなどの手間がなくて良い。が、手間ひまをかけるというセレモニーが、相撲の仕切りのように重要だったのかも知れん。

 チャーリー・パーカーの時代から、現在までさまざまな演奏家との共演で、楽しませてくれているジャッキー・マクリーンである。前衛のオーネット・コールマンとも共演している。節操もないという言葉があるが、当てはまらない、そのときそのときの潮流にどっぷりと浸かり、精一杯の演奏をしてくれている。

"Rites Of Passage" Triloka(USA)188-2
A Calling / My Lady (Portrait Of Doll)
Destiny's Romance / Cyclical
Morning Prayer / Rites Of Passage
Naima's Tone Poem / Firesign
Yesterday's Blue Tomorrow
Rendezvous In Congo Square
Jackie McLean (as) Rene McLean (ts、as、ss)
Hotep Tdris Galera (p) Nat Reeves (b)
Carl Allen (ds) 1991/01/30
 Rene McLean は子息で、親子共演となるのだろうが、変な甘さはない。他のメンバーは若手なのだろう。活気があってよろしいではないですか。


投稿済み・準備中を含め アルバム・ジャケット一覧 を用意しました。
2005/05/31 ものずき烏

リロイ・ジェンキンス&JCOA

2005-05-30 | 音楽 の 紹介

FOR PLAYERS ONLY: Leroy Jenkins
The Jazz Composer's Orchestra



 集めてきたJCOAですが、この7作目が最後と思います。なぜなら主宰者のマイク・マントラーとカーラ・ブレイは別に立ち上げたWattレーベルに活動を移したようですから、それに伴ってジャズ・コンポーザーズ・オーケストラなるものも自然消滅したようです。
 正直言うと、このリロイ・ジェンキンスは苦手なのです。他にもレボリューショナリー・アンサンブルというのが3枚あるのですが、なかなか針は落としません。ジャズ・ヴァイオリンで現在の第一人者なんでしょうが、完全にクラシックの現代音楽となっています。JCOAの主宰者も留守です。
"For Players Only" JCOA(USA)LP-1010
For Players Only
Leroy Jenkins (violin) Jerome Cooper (ds) Sirone (b)
Leo Smith (tp) Anthony Braxton(b.cl) other 1975/01/30
 残るJCOAレーベルとしては、1作目と2作目が未投稿です。それぞれ大作ですので、期が熟したら取り上げます。またJCOAを結成するまえに、オランダのFontanaで出したAの付かないJCOも2枚ありますが...そのうちに、登場させます。


投稿済み・準備中を含め アルバム・ジャケット一覧 を用意しました。
2005/05/30 ものずき烏
(参考)
2005-05-04 ドン・チェリー:相対性組曲 JCOAレーベル3作目
2005-05-27 グレシャン・モンカー三世&JCOA JCOAレーベル6作目
2005-05-28 ラズウェル・ラッド&JCOA JCOAレーベル4作目
2005-05-29 クリフォード・ソーントン&JCOA JCOAレーベル5作目

クリフォード・ソーントン&JCOA

2005-05-29 | 音楽 の 紹介

THE GARDENS OF HARLEM: Clifford Thornton
The Jazz Composer's Orchestra
THE PANTHER AND THE LASH: Clifford Thornton



 JCOA、これが5作目です。なじみのない演奏家に出会いました。それがこのクリフォード・ソーントン。コルネット奏者だそうです。チャルメラみたいな楽器を吹いているのですが、この音色がコルトレーンがソプラノ・サックスを使い出したとき(マイ・フェバリット・シングス)を想いうかべるのです。誰もがヒットしたミュージカルの挿入歌だなんて思わず、どっかの民俗音楽だろうと感じた、その雰囲気なのです。専任の指揮者が居りまして、アルバムが一つの作品として仕上がっているいい音楽だと想います。
"The Garden Of Harlem" JCOA(USA)LP-1008
Ogun Bara / O Desayo / Agbadza	Chango Obari
Ain Salah / Gospel Ballade / Sweet Oranges
Blues City
Clifford Thornton (tp)
Janice Robinson (tb) Roland Alexander (ts)
Marvin Peterson (tp) Michael Ridley (tp) Carla Bley (p) other
1974



 クリフォード・ソーントンを知っちゃった訳で、このLPも求めたのです。コラージュしたジャケットのデザインとタイトルで損していると思うアルバムです。仕事を求めてフランスに渡ったのでしょう、フランスの演奏家とやっています。これが、普段の演奏スタイルと思います。時間を打ち合わせず気が済むまで演奏するようで、El Fath という曲はテープが足りなくなったのか、途中で切れています。
"The Panther And The Lash" America(FRA)30_AM-6113
Huey Is Free / El Fath / Tout Le Pouvoir Au Peuple
Paysage Desole / Right On / Shango/Aba L'ogun
Mahiya Illa Zalab 
Clifford Thornton (tp)
Noel McGhie (perc) Beb Guerin (b) Franqois Tusques (p)
1970/11/07
 完成度としたらJCOAのガーデン・オブ・ハーレムです。


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2005/05/29 ものずき烏
(参考)
2005-05-04 ドン・チェリー:相対性組曲 JCOAレーベル3作目
2005-05-27 グレシャン・モンカー三世&JCOA JCOAレーベル6作目
2005-05-28 ラズウェル・ラッド&JCOA JCOAレーベル4作目
2005-05-30 リロイ・ジェンキンス&JCOA JCOAレーベル7作目

ラズウェル・ラッド&JCOA

2005-05-28 | 音楽 の 紹介

NUMATIK SWING BAND: Roswell Rudd
The Jazz Composer's Orchestra



 JCOAレーベル4作目(LP-1007)にして、初めての観客を入れた、そして唯一?のライブ録音。残念ながらB面の最終1分付近で針飛びがする、前回聴いたのは何年前だろうか、たぶんそのときの不始末。食べ物が変化したカビなのだろう、盤の材質まで食い込んだようで取れない、その箇所は、指でカートリッジのトレースを補助してなんとか、全曲MP3へ変換した。
"Numatic Swing Band" JCOA(USA)LP-1007
Vent / Breathahoward Circulation
Lullaby For Greg / Aerosphere
Roswell Rudd (tb) Beaver Harris(ds) Howard Johnson (tuba)
Sheila Jordan (vo) Dewey Redman (cl、ts) Charlie Haden (b) other
1973
 そんな訳で、久しぶりに聴くのですが、ライブ録音が2曲で残りはスタジオですね。ライブも観客の拍手が少ないようです。チューバのソロが、象さんのイメージなんです。ジャケットのラッドの息子さんの写真の影響もあるのでしょうが、ジャズ版の「動物の謝肉祭」かも知れません。JCOAという集団自体が、相当に現代音楽を意識して組織したようなので、クラシックで現代音楽が好きな人にも向いているかもしれません。もちろんタイトルに示すとおりの、スイング・バンドです。


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2005/05/28 ものずき烏
(参考)
2005-05-04 ドン・チェリー:相対性組曲 JCOAレーベル3作目
2005-05-27 グレシャン・モンカー三世&JCOA JCOAレーベル6作目
2005-05-29 クリフォード・ソーントン&JCOA JCOAレーベル5作目
2005-05-30 リロイ・ジェンキンス&JCOA JCOAレーベル7作目

グレシャン・モンカー三世&JCOA

2005-05-27 | 音楽 の 紹介

ECHOES OF PRAYER: Grachan Moncur Ⅲ
The Jazz Composer's Orchestra



 JCOAレーベルを積極的に集めていました。その6作目(シリース番号ではLP-1009)が、グレシャン・モンカー3世のエコーズ・オブ・プレイヤーです。このトローンボーン奏者は、ブルーノートに数々のリーダー・アルバムの吹き込みがあり、主流派とみなされているのですが、自主制作(a non-profit organization )を建前としているJCOAでアルバム製作をするとは、意外な感じを受けます。
"Echoes Of Prayer" JCOA(USA)LP-1009
Prologue / Reverend King's Wing Ⅰ
Medgar's Mence Ⅰ / Drums Transition
Garvey's Ghost (Space Station) / Angela's Angel Ⅰ
Drum Transition / Right On Ⅰ / Angela's Angel Ⅱ
Right On Ⅱ / Reverend King's Wings Ⅱ
Medgar's Menace Ⅱ / Drum Transition
African Percussion Ensemble / Right On Ⅲ
Angela's Angel Ⅲ / Drum Transition
Amen Cadence / Epilogue
Grachan Moncur Ⅲ (tb) Carlos Ward (as、fl) Leroy Jenkins (violin)
Marvin Peterson (tp) Carla Bley (p) Cecil McBee (b)
Charlie Haden (b) Beaver Harris (ds) Tanawa Dance Ensemble
other 1974
 コンポーザーズ・オーケストラですから、作曲はしたが、演奏するチャンスのない作曲家(=演奏家)に、演奏家と録音の場を提供していたのでしょう、作品の回が進むにつれて主宰者マイク・マントラー、カーラ・ブレイの色彩が薄れていくようです。
このアルバム、テーマはアフリカですかね。民族的打楽器が基調として響いています。


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2005/05/27 ものずき烏
(参考)
2005-05-04 ドン・チェリー:相対性組曲 JCOAレーベル3作目
2005-05-28 ラズウェル・ラッド&JCOA JCOAレーベル4作目
2005-05-29 クリフォード・ソーントン&JCOA JCOAレーベル5作目
2005-05-30 リロイ・ジェンキンス&JCOA JCOAレーベル7作目

カル・ジェイダー:コンサート・バイ・ザ・シー

2005-05-26 | 音楽 の 紹介

CONCERT BY THE SEA: Cal Tjader





 ジャズを分類して聴く必要なんかまるでない、聴いてなにかしら感じるかどうかだと云うのは正論なのですが、この当時のジャズを West Coast と East Coast に別けて聴くのが一般なのでしょう。このアルバムはその便利な分類でいくと、West Coast が Latin にはみ出してしまったところですかな。ラテンから見たらジャズの要素が濃いってなところでしょう。
"Concert By The Sea" Fantasy(USA)8038
Doxie / Afro Blue / Laura
Walkin' With Wally / We'll Be Together Again
Round About Midnight

"Concert By The Sea Vol.2" Fantasy(USA)8098
Love Me Or Leave Me / Tu Crees Que
S.S.Groove / Night In Tunisia
Bess、You Is My Woman Now / Lover Come Back To Me
Tumbao

Paul Horn(as、fl) Cal Tjader (vib) Mongo Santamaria (ds)
Willie Bobo (conga) Al Mckibbon (b) Lonnie Hewitt (p) 1958
 アフロ・ブルーは、コルトレーンもマッコイ・タイナーも演奏していまして、調子のいい曲で好きなのですが、作曲者のモンゴ・サンタマリアが演奏しているのは、このアルバムしか持っていません。このモンゴ・サンタマリアもジャズへの貢献度が高い人物のようであります。なぜならば、『真夏の夜のジャズ』というニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルのドキュメンタリー映画で、モンゴ・サンタマリアのバンドでフルートを演奏していたのが、誰あろうエリック・ドルフィーなのですから。
正直言いまして、このメンバーは馴染みがないのであります。しかし、とっても陽気なジャズ・アルバムです。


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2005/05/26 ものずき烏

定方晟:インド宇宙誌

2005-05-25 | 書籍 の 紹介
 須弥山儀とよばれる変った機械時計が残っている。江戸末期に僧侶であった佐田介石が製作したという。東洋の天文学史に少なからず興味を持っていたわたしは、古代中国の宇宙観と相違する、仏教の宇宙観の異様さに戸惑っていた。「金輪際(こんりんざい)なになに...」などと、日本語にまで用語が残っているのがこの須弥山宇宙観なのである。
定方晟の著作は、講談社現代新書『須弥山と極楽 -仏教の宇宙観-』以来2度目である。この分野の研究者であるからして、やたらと詳しい記述が並ぶが、門外漢であるわたしは平気で読み飛ばす。そんな中で、わたしなりに考える。この本は、仏教の源流であるヒンドゥーの宇宙観まで及ぶ。

...そもそも春分の、それもとりわけ満月の日が聖なるときとされ、種々の祭りに結びつけられるのは世界に広くみられる現象である。ブッダの誕生日はわが国では四月八日とされるが、これももとインドで定められた「春分の満月の日」に由来するものである。ブッダの実際の誕生日は早くからすでに不明であったから、春のこのめでたい日がブッダの誕生日にあてられたのである。キリスト教では復活祭の復活日が「春分後の最初の満月の次の日曜日」と定められている。春の訪れが生誕や復活に結びつけられることは自然のなりゆきであろう。...
p113...ちなみに五元素説はギリシャにもある。五元素の発生する順序はインドでは空、風、火、水、地であるが、ギリシャのエンペドクレスにおいては空、火、地、水、風である。...
p132

 何を得たか、須弥山宇宙観の異様さは変らない。ヒンドゥーの創生神話は、ギリシャ神話と近いようである、多神教なのであるが、その神も堕落する。
ヒンドゥー(=インド)を理解するには『梵我一如』の思想がキーとなるようだ。
。。。『ヴィシュヌ・プラーナ』の右の思想はウパニシャッド以来(前6世紀以降)、インドの伝統となった「梵我一如」の思想を表している。「梵我一如」の思想は汎神論である。われわれが考えているような小さな「自我」は真の自我ではではない。真の自我(アートマン)は宇宙と同一であり、存在すべて(梵、ブラフマン)そのものである。このことを知らないかぎり、人は迷い続け、己に執着し、苦しみをくりかえす。...
p156
 ヒンドゥー教の宇宙観の第二章「タントリズムの宇宙観」を読んでいたら、この宗教儀式は、地下鉄で毒ガスを撒いた犯罪集団が参考にした儀式ではと思ってしまった。性交を宗教儀式に取り入れた真言立川流といった邪教も存在したのだが、ときの幕府の良識により葬られた。毒ガスを撒いた団体は名前を変えて未だに存在している。ヒンドゥー教の一面をカルト教団が取り入れることが可能な、ある意味では危険な著作なのかもしれない。
インド宇宙誌』定方晟 春秋社 1994/05/30 10刷
                               1985/06/30  1刷
 古代人の宇宙観に興味があって、だいぶ前に古書市で購入しておいたものを読んだ。天文学史の宇宙観であればこの書籍は不適当である。著者もこの件については熟知していて、プロローグに
本書は自然科学書コーナーにおかれるような書物ではない。むしろ、宗教書コーナーにおかれるべき書物である。
と断ってある。そのとおりの結果で、わたしの好奇心が踏み外したといえる。
キリスト教で地動説の成立に危機感を持ちガリレオを裁判にかけた事とか、浄土宗の佐田介石が仏教の須弥山宇宙観に固執した事とかの歴史を考えると、宗教の持つ宇宙観が科学の発展によりその都度、改変されていることになる。宗教の本質が宇宙観にあるのでは勿論ないが、異様なものを信ずることが宗教となっている側面があると認めないわけにはいかない。

2005/05/25 ものずき烏

レム・ウインチェスター:スペシャル

2005-05-24 | 音楽 の 紹介

WINCHESTER SPECIAL: Lem Winchester



 ジャズの聴ける喫茶店のない田舎に就職し過ごしたわたしは、ラジオのジャズ番組をよく聴いていた。その話題に登場したのがレム・ウインチェスターという警察官を兼業したヴィブラフォン奏者である。その話題とは
...警邏中にドラック・ストア(日本とは違い、酒も扱う)に立ち寄り、バッファリンを所望した。そのとき店内で客がルシアン・ルーレットのゲームをしていた。ゲーム好きのレム・ウインチェスターは、たちまち参加し、ルシアン・ルーレットで使用するリボルバー拳銃に込める一発の弾丸に頭蓋骨を撃ち抜いて33年の一生を終えた...
 破滅的な演奏家が目立つ、ジャズの歴史であるが、ほんとうに破滅してしまったエピソードである。レム・ウインチェスターという名前が脳みそに刻み込まれた。その後、FANTASYが過去の傘下にあった名盤の再発をOJCというシリーズでおこなっていて、このウインチェスター・スペシャルを見つけた。あまり売れないと踏んだのか限定と銘を打っているが、CDでは容易に入手できるようである。
"Winchester Special" New_Jazz(USA)OJC-1719
Down Fuzz / If I Were A Bell
Will You Still Be Mine? / Mysticism
Hou Are Thing In Clocca Morra? / The Dude
Lem Winchester (vib) Benny Golson (ts)
Tommy Flanagan (p) Wedell Marshall (b) Arthur Taylor (ds)
1959/09/25

 それで、このアルバムですが。ブルースをやらせたら、ミルト・ジャクソンと甲乙つけがたしと聴きました。ベニー・ゴルソン、トミー・フラナガンとサイド・メンに恵まれたいいアルバムと想います。


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2005/05/24 ものずき烏

シェリー・マン:マイ・フェア・レディ/ロリンズ:ウェイ・アウト・ウェスト

2005-05-23 | 音楽 の 紹介

MY FAIR LADY: Shelly Manne
WAY OUT WEST: Sonny Rollins



 ウエスト・コーストで一番のドラマーと云えば、シェリー・マン。残念ながらシェリー・マンのリーダー・アルバムはこれしか持っていない。手持ちのコレクションを眺めてシェリー・マンが重要な仕事をしているのと云えば、ロリンズの「ウエイ・アウト・ウエスト」。これまた名盤中の名盤で、サキソフォン・コロッサスと並び称される。あまりにも有名な「ウエイ・アウト・ウエスト」をロリンズではなく、シェリー・マンで持ってくるのが、わたしとわたしのコレクションが、偏向しているところ。

 オードリー・ヘップバーンが好きですね。「マイ・フェア・レディ」はオードリーで映画化されたんです。その前のミュージカルはジュリー・アンドリュースだったそうで。こんなことから、比較的最近、近所の中古レコード屋で安く出ていて入手したのが、シェリー・マンの「マイ・フェア・レディ」なんです。
まあ、ウエスト・コーストらしく、きれいに挿入歌がジャズで演奏されていると聴いています。アンドレ・プレヴィンが映画に関係したこともあって、癖の強いジャズが苦手の人には、もってこいのアルバムと想います。

"My Fair Lady" Contemporary(USA)S7527
Get Me To The Church On Time
On The Street Where You Live
I've Grown Accustomed To Her Face
Wouldn't It Be Loverly / Ascot Gavotte
Show Me / With A Little Bit Of Luck
I Could Have Danced All Night
Shelly Manne (ds) Andre Previn (p) Leroy Vinnegar (b)
1956/08/17



 シェリー・マンとしては「マイ・フェア・レディ」翌年の吹き込み。ロリンズも「サキソフォン・コロッサス」の翌年。この東西融合ともいえる、ピアノ・レスの「ウエイ・アウト・ウエスト」が録音されたのであります。
このLP、わたしのコレクションとしては初期のものなのです。ピアノが不在という不安定で、なぜに名盤といわれているか、正直判りませんでした。ロリンズは豪快に吹いているのに、ピアノ不在で、なんか落ち着かないと聴いていたのです。ところが、この「ウエイ・アウト・ウエスト」以降のロリンズは、レギラーではピアノを含まないのが定着してしまったのです。なぜにこの録音でピアノが欠けたかは、評論家がなにかしら書いているのでしょう、気になるところです。
ジャズの始まりがニューオリンズであるから、街頭を練り歩くジャズ・バンドには、ピアノはないと云う理屈もあるのでしょうが...ブログでジャズを取り上げた頃から気になっていたピアノ・レスの原型がこのアルバムにあるように想います。
"Way Out West" Contemporary(USA)S-7530
I'm An Old Cowhand / Solitude / Come、Gone
Wagon Wheels / There Is No Greater Love
Way Out West
Sonny Rollins (ts) Ray Brown (b) Shelly Manne (ds)
1957/03/07


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2005/05/23 ものずき烏

植草甚一:(ブック・ランド)

2005-05-22 | 書籍 の 紹介

植草甚一『こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』
植草甚一『ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』



 ファンの心理というのは、不思議なものである。ミステリは読まないのに(その昔、ホームズ物でないコナン・ドイルは文庫で読んだ記憶がある)、植草甚一が書いた本となると読んでしまう。内容は、既にきれいさっぱり消えている。しかし、植草甚一の文体?のようなものは、いつまでも残っている。本のタイトルから、それらしき文体が垣間見えるではないか。
こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』
                               植草甚一 晶文社  1974/05/30
『ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』
                               植草甚一 早川書房 1978/11/15

 この2冊、ほとんどが海外小説の紹介コラムである。植草甚一が映画評論を行っていたので、ミステリの読書は、ヒッチコックの延長で考えれば頷ける。
 その中で、「中間小説研究」と題して東京新聞に連載(1971/9~1973/12)ものが興味深い。当時の読者であったわたしが、純文学嗜好であったため、たぶん読み飛ばしたと思うのだが、日本の小説家が発表した作品を、すさまじい速度で次々に読破する。たぶん読んだ小説は、通過するだけだろう、このスピード感が読書の楽しみだと自認する植草甚一であるが、仕事であるから疲労も見え隠れする。通過するといっても、わたしと違い、なにかしらのエッセンスは残っているようである。それが、植草甚一の好奇心となるのだろう。
 ファンというのは、その対象の人物の守備範囲が広ければ広いほど、未知の分野に興味をもつチャンスが得られるということのようである。

2005/05/22 ものずき烏
(参考)
2005-06-02 植草甚一:(自叙伝)
2005-05-21 植草甚一:(コミック・ワールド)


植草甚一:(コミック・ワールド)

2005-05-21 | 書籍 の 紹介

植草甚一『ぼくがすきな外国の変った漫画家たち』

 植草甚一の本のタイトルは、やたらと長いのが特徴であり、それが他の本と分け隔て、書店で一度は手にとってみることになっていたようだ。しかし、購入するのはファンに限られていた。
 わたしが、植草甚一の名前を知ったのはSJ(スイング・ジャーナル)の誌上である。他のジャズ評論家とは、明らかに違う観点から評論したり、コラムを発表したりしていた。この『ぼくがすきな外国の変った漫画家たち』は、わたしが最初に手にした植草甚一の単行本となった。ジャズではないが、海外の漫画をみる視点が同じではなかったかと今にして思う。
 後、この本を刊行した青土社の月刊誌(「ユリイカ」詩と評論)を定期購読するという、ある意味では無駄な消費に走らせたのも、この本がきっかけだったのかも知れない。
植草甚一『ぼくがすきな外国の変った漫画家たち』 
                                       青土社 1971/12/05



 これは、イラストレータとして「ユリイカ」に連載したものなのであろう。コラムニスト、映画評論家、中間小説評論家、ジャズ評論家、コラージュ作家...すべてでもあるし、どれでもない。没後20年をすぎても、今だに捕らえどころのない植草甚一なのである。

2005/05/21 ものずき烏
(参考)
2005-05-22 植草甚一:(ブック・ランド)
2005-06-02 植草甚一:(自叙伝)


セシル・テーラー:イノベーション

2005-05-20 | 音楽 の 紹介

INNOVATION: Cecil Taylor
( Cecil Taylor At The Cafe Montmartre )



 昼間寝て、夜勤の出掛けに、セシル・テーラーを聴く。こんな時代もありました。昼夜逆転で、睡眠時間としては充分とっているのに熟睡していないので、覚醒が遅い。こんな時、このスピード感が心地よいセシル・テーラーを聴いていました。わたしには、馴染みのアルバムです。

"Innovations" Freedom(JPN)PA-7033
That's What 
Trance / Call / Lena
Cecil Taylor (p) Jimmy Lyons (as) Sunny Murray (ds)
Cafe Montmartre 1962/11/23

 フリー・ジャズは、騒音だ喧しいという先入観を持つ人が多いと思うのですが、わたしの場合、覚醒剤のようなもので、慢性化しちゃったのかも知れませんね。
これベースなしの変則的な3人だけて演奏しているんですよね、サニー・マレーは80年代になってあまり消息を聞きませんが、このアルバムだけ聴いてもすばらしいドラマーです。へたくそなフリー・ジャズは、確かに騒音と感じるのもありますが、ここまで洗練されると、心地良いというものです。
セシル・テーラーは、まだ登場すると思いますが、まずは顔見世まで...


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2005/05/20 ものずき烏

ラウンド・ミッドナイト(サントラ)

2005-05-19 | 音楽 の 紹介

ROUND MIDNIGHT:
Soundtrack Produced By Herbie Hancock
THE OTHER SIDE OF ROUND MIDNIGHT: Dexter Gordon



 現役のジャズ・マンが大勢出演していると聞いていた、「ラウンド・ミッドナイト」を、映画館で観賞したのは、だいぶ昔のことになってしまった。その後、クリント・イーストウッドの監督した「バード」も観た。しかし、ジャズをテーマにした映画の興行成績は振るわない。ジャズ好きのイーストウッドも、今は文藝路線といったところだろうか。このマイナーなところがジャズ・ファンのデグニティ(尊厳、威信)と、想うことにしよう。

 タイトルの「ラウンド・ミッドナイト」はセロニアス・モンク(p) の作曲で、かっこよさならマイルス・ディビス(tp) の演奏が有名である。映画の「ラウンド・ミッドナイト」はモンクと並ぶ、ジャズ・ピアノの巨人であるバッド・パウエル(p) をモデルに描く。ところが主演がデクスター・ゴードン(ts) ときているので、ジャズを聴きなれていない人(付加情報のない人)には、ちと紛らわしいきらいがある。映画としたら良い映画です。子供の描き方がうまい。日頃、ジャズでも商業的に恵まれないジャズをやっている演奏家ほど、人に対する優しさを持っていると感じているが、その辺がよく表現されている映画であると思います。オリジナル・サウンドトラックとして出したのは、音楽監督のハービー・ハンコック(p) の名が冠してある。

"Round Midnight Soundtrack" CBS(USA)SC-40464
Round Midnight / Body And Soul
Berangere's Nightmare / Fair Weather
Una Noche Con Francis 
The Peacocks / How Long Has This Been Going On?
Rhythm-A-Ning / Still Time
Minuit Aux Champs-Elyse / Chan's Song
Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
Dexter Gordon (ts) Wayne Shorter (ss) Chet Baker (tp) 
Freddie Hubbard (tp) Bobby Hutcherson (vib) other 1986

 バッド・パウエル(役の上では、テイル・ターナー)を演じたデクスター・ゴードンが、飄々といい味を出していまして、アカデミー賞候補(主演男優)になったそうです。筋書き上は、妻に逃げられたジャズ・ファン(狂い)のグラフィック・デザイナーとその娘が、重要なのですが、ジャズ・マンに目がいってしまいます。サウンド・トラックはアカデミー音楽賞をハービー・ハンコックで受賞したそうです。まあ、ジャズとしては当たり前で、そんなに誇れることでもないと思います。このサウンド・トラックとは別に、デクスター・ゴードンで次の1枚がでています。

"The Other Side Of Round Midnight" Blue_Note(USA)BT-85135
Round Midnight / Berangere's Nightmare No.
Call Sheet Blues / What Is This Thing Called Love
Tivoli / Scciety Red / As Time Goes By
It's Only A Paper Moon / Round Midnight(piano solo)
1986



 最後に、このラウンド・ミッドナイト(WARNER BROS.)の映画監督は、ベルトラン・タベルニエです。この映画はLDも買っちゃいましたが、ナガラ族がライフ・スタイルで、なかなか再生の機会がありません。

タバコの灰が落ちそうです、だれか、灰皿もってきてあげて!


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2005/05/19 ものずき烏

トミー・フラナガン:オーバーシーズ

2005-05-18 | 音楽 の 紹介

THE COMPLETE "OVERSEAS": Tommy Flanagan



 ピアノ・レスのバンドが、気になっています。ソニー・ロリンズはシェリー・マンとのウエイ・アウト・ウエスト以来、ピアノ・レスが定着しているのですが、そのロリンズの名盤中の名盤である、サキソフォン・コロッサスに参加しているピアニストがトミー・フラナガンなのです。

 (オーバーシーズはブログを始める前に、MP3に変換してあったので、ジャケットだけのスキャンで済みます。
 左の画像は、普及しているオーバーシーズ(ネットからGet)です。欧米人の駄洒落でCを沢山デザインしてオーバー”C”ズで超有名。幻の名盤となったこともあります。
わたしが買ったのは、ディスク・ユニオンがこさえたコンプリート盤で、SP盤のデザインを転用したとのことであります。みんなが持っているのなら、わたしはいらないと、偏屈なところがありまして、特にコンプリートとか限定にも、さほど食指がうごかないのでありますが、金銭的に余裕があったときに、ディスク・ユニオンの誠意と努力をかって、求めたものと思います。

The Complete "Overseas" DIW(JPN)25004
Relaxin' At Camarillo / Chelsea Bridge
Eclypso / Dalarna (tk3) / Verdandi (tk1)
Willow Weep For Me (tk2) / Beats Up
Skal Brothers / Little Rock Dalarna (tk2)
Verdandi (tk2) / Willow Weep For Me (tk1)
Tommy Flanagan (p) Wilbur Little (b) Elvin Jones (ds)
1957/08/15
 ”粋”という日本語がありますが、そのなかで”小粋”というような演奏でございます。特に、柳よ鳴いておくれ(Willow Weep For Me )がようございます。人生経験が豊富ではごさいませんのでシチュエーションが、思い浮かばないのが残念でございます。

 女性歌手(エラ・フィッツジェラルド)の伴奏者として、長いキャリアのあるトミー・フラナガンなのですから...サキソフォン・コロッサスのロリンズを、歌手として聴いてみるのも、新しい趣向かもしれません。


投稿済み・準備中を含め アルバム・ジャケット一覧 を用意しました。
2005/05/18 ものずき烏

チック・コリア:サークル

2005-05-17 | 音楽 の 紹介

CIRCLE PARIS CONCERT
CIRCLE-1 GERMAN CONCERT
CIRCLE-2 GATHERING



 軟弱なエレクトリック・ピアノを使う商業主義的チック・コリアのアルバムを、毛嫌いさせたのが、時系列的にみれば、瞬間存在した如き、サークルなのである。
 マイルス・デイヴィスのグループ改変で離脱したのが、ウェイン・ショーターとジョー・ザヴィヌル、及びチック・コリア、デイブ・ホランド、バリー・アルトゥシュルでそれぞれグループを立ち上げた。前者は、弦楽器の本場ともいえるヨーロッパ(チェコ)出身のベース奏者ミロスラフ・ヴィトウスを加えてウエザー・リポートとなった。チック・コリアのグループは、前衛のマルチ・リード奏者アンソニー・ブラックストンを招き、このサークルを結成したのである。

CIRCLE:
Anthony Braxton (reed) 
Chick Corea (p) David Holland (b) Barry Altschul (ds)

"Circle Paris Concert" ECM(GRM)1018/1019
Nefertitti / Song For The Newborn
Duet - Lookout Farm - 73Deg. Kalvin
Toy Room - Q And A / No Greater Love
1971/02/21



 当時、CBSソニーが、来日したチック・コリアを説き伏せ、所有していた録音をLPにしたのがこの2枚。1枚目は、パリで演奏する前のドイツでのコンサート。聴く人が聴けば違うのだろう。2枚目が、まさに実験的な観客を意識しない試み。

"Circle 1:Live In German Concert" CBS(JPN)SOPL-19-XJ
Medley:Toy Room - Q And A / There Is No Greater Love
1970/11/28

"Circle 2:Gathering" CBS(JPN)SOPL-20-XJ
Gathering
1971/03/17


 サークルの一環で、録音されたと思う、アンソニー・ブラックストンとチック・コリアのデュエットがこのアルバム。どちらかといえば、アンソニー・ブラックストンの色彩が強い。ただし片面のみ。
チック・コリアとアンソニー・ブラックストンが一緒というので、このEuropa を持ち出したのであるが、このアルバムは明らかにアンソニー・ブラックストンのアルバムであった。

"Europa" Piccadilly(USA)PIC-3514
N508-10 (4G) / JNK 4゜
---
ZM F / 4・16 CJF
Anthony Braxton (reed) Chick Corea (p) 1971/02/04-05


 この時期、チック・コリアは、ソロのピアノ・インプロビゼーションとか、ブラックストンを外したピアノ・トリオでソング・オブ・シンギングとかARCなど、聴きごたえのあるアルバムを残しているのである。エレクトリック・ピアノでのチック・コリアしか知らないファンは一聴に値する。
 今にして思えば、この時期チック・コリアは背伸びをしていたのかも知れぬ。この後、軟弱なリターン・トゥ・フォーエヴァーで、商業的にも成功を収めて、現在に至る。一方アンソニー・ブラックストンは、前衛をキープし続けている。
 そしてこのサークル。
「一家は...離散したと伝えられる。」


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2005/05/17 ものずき烏
(参考)
2005-05-08 チック・コリア:ザ・トリオ ←サークルの前(及び後)
2005-03-18 ブラックストン(トラディション) ←サークルの後
2005-03-19 ブラックストン(スタンダード) ←トラディションの後